セヌヒマ

日本の古典芸能好きのりえこが、
日常を綴ります

古写真展

2010-04-28 17:09:28 | 日記
長崎歴史文化博物館で開催中の『幕末長崎古写真展』に行ってきました。



サブタイトルは「龍馬と彦馬 維新のまなざし」。
またまた龍馬伝あやかり企画のようではありましたが、龍馬さんの写真はほとんどありませんでした。(それが目的ではないので別に良いのですが)
彦馬さんの写真はかなりの点数にのぼってました。晩年の彦馬さん、額の皺がビックリするほど多かったので、数えてみたら5本ありました。 ナイス皺です。

閑話休題。
古い写真をみるのが好きです
女性の髪結いとか、着物の着付けとか見るのがすごく好き。
昔の日本女性は着物の着付けが今よりよっぽどダラッとしています。
帯の位置はひどく低いし、胸元もかなり空いて襟を見せています。
(昔は襟が今日のように飾りの目的で付けられていたのではなく、防寒の意味が強かったからこその着こなしなのでしょうか…。襟がマフラーやストールのように見えます。)
何だかその“ゆるさ”が、当時の日常を感じさせてくれるようでホッコリするのです

あと、当時の日本人の体格と姿勢。
東京の『細川家の至宝展』で能装束を見た時にも感じたことですが、昔の日本人は本当に身長が低い。たぶん、男性でも150㎝台が普通だったんじゃないかなぁ??

浮世絵などからもわかることですが、日本人は身長が低い上に農耕民族、当時の歩行はナンバ(お相撲さんのツッパリと同様ですね)でなされておりましたから、当時の日本人は猫背に近い前屈みの姿勢が自然だったわけです。

現代においては日本人の平均身長は飛躍的に伸び、背筋のピインと伸びたデューク更家姿勢が一般的にもてはやされております。
……が、古典芸能世界に身を投じている身としては、ヘソの下の丹田を動きの要とした、かつての日本人の前屈姿勢こそ、理想とする身体運用の極致があるのではないかと私は思うのです。

肩の力が抜けながらも、どこか緊張感が生まれる堂々とした佇まい。
これが、これが欲しいのですよ



古写真展全体を通して見ると、写真点数は多くて見どころもあったものの、当時の丸山遊郭周辺の写真があればもっといいのにな、と思いました。


ババンバ バン バン バン♪

2010-04-27 18:23:44 | 日記
自宅からほど近い所に、『西山湯』というお風呂屋さんがあります。

銭湯といえば独立した建物を想像しがちですが、こちらのお風呂屋さんはアパートの二階にある、なかなか珍しいタイプ。




私の幼少時より前から営業していていたはずだから、わりと古いところだと思われます。
あいにく これまで我が家ではお風呂トラブルとは無縁であったがために、私は未だかつて銭湯という場所に足を踏み入れたことがありません。
したがって、なんの意識も持たぬまま、毎日のようにこの『西山湯』の前を通過していたわけです 

今日になって初めて、こちらの風呂屋の前になかなかパンチのある手書き看板があるのを目にしました。
古いもののようだけれど、今日の今日まで全く気付かなかった……。





凄いと思う。
日本中がこのデフレ不況に喘いでいる中にあって、こんなザックリした商売が成り立っているなんて。

…ホントに凄いと思う


あれ、見ました。

2010-04-26 21:25:37 | 日記
休日にDVDにて話題作『アバター』を見ました。
映画館の大画面の3Dで見たかったな、家の小さな画面で見るには勿体ないなと思わせるような、躍動感に満ちた大迫力の映像。すごいです

……だけど、この作品のストーリー展開って、どうなんだろう??
史実に柱をおいて壮大な恋愛叙事詩に仕上げた、同監督の『タイタニック』の方が、物語の運びは随分スムーズで完成度が高かったように思うのだけれど

『アバター』をまだご覧になったことのない方にこの映画の説明をするのならば、
「『インディペンデンス・デイ』と『マトリックス』と『ポカホンタス(ティズニー)』を足して3で割った感じ」、と。たぶん、これに尽きます。


アメリカ人はかつてインディアンたちに対して自分たちが行ったこと(或いは現在のイラクに対して)への罪悪感を未だ拭えないからこそ、このように寓話のような形を取って世界に謝罪アピールしているのでしょうか
だとしたら、随分真面目なアメリカ人もいるのだなぁと、彼らを見直す一因にはなるかと思います。



それにしても、ハリウッド映画のヒロイン女性って、どうしてあんなに荒々しくて血の気が多いのかしら
物語冒頭で「命は大切」と説きながら、後半で殺戮しまくってる彼女の姿をみるとゲンナリします



怒りで我を忘れて敵をなぎ倒しつつも、正気に返った時に己の行為に畏れ慄いて気を失ってしまう風の谷のナウシカとか……、
或いは命からがら逃げ回っている時でも、風になびくスカートの裾の広がりを気にしてしまう天空の城ラピュタの少女シータとかさ……
……そんな乙女ゴコロをハリウッド映画ヒロインにも求めたいところです

笠之段

2010-04-23 14:23:56 | 芸のこと
5月3日、京都は観世会館にてお社中の能会があります。
朝の9時に始まり、夜の19時前に終了するという、お腹いっぱいのボリューム。
能・『小袖曽我』がある他、舞囃子多数。
お昼には人間国宝・片山幽雪氏の番外仕舞まで見れてしまいます
こんな豪華な素人会、私は他に知りません。近隣にお住いの方は是非お越しください

私は仕舞『笠之段』を舞わせて頂きます。
『笠之段』というのは能楽・蘆刈の一部。


<蘆刈のあらすじ>
津の国・日下左衛門は貧乏であったためやむなく夫婦で別居せざるをえなかったが、妻が都で貴人に乳母として仕え、生活も安定したため、ある日従者を伴い里帰りに難波の浦へ戻り夫の行方を尋ねる。
そこへ 難波の芦を売る面自い男が現れ、御津の浜の謂を語り、笠尽しの歌を謡いながら舞を舞う。
実はその男こそ、妻が捜していた夫なのであった。
妻は自ら夫の心を解きほぐし和歌を交わし、別離後の恋しさを語り合い、めでたく再会を果たす。男は装いも新たにして和歌の功徳を称え 祝儀の舞を舞い、夫婦仲良く都へ向かう。


笠之段というのは、上のあらすじにおける、青字の部分。
これといって深い感情表現があるではありませんが、型が多く華やかで、ノリのよい楽しげな曲です。

これまで「りえこといえばドロドロやね」と人に言わしめるほど、嫉妬や妄執に狂う人間を描いた曲を好んで多く舞っていた私です。(鉄輪、船橋、葵上、女郎花など)
なのでこんなに軽やかで陽気な曲はホントに馴染みがない…

師匠は「男(=夫)は芸を尽くして客人をもてなそうとするんやから、“人懐こくて”“シャイ”なキャラやと思うねん。どちらかだけではアカン」とおっしゃいました。

師匠、私は“人見知りの激しい”“シャイ”ですが、一体どうしたらいいですか……。
言葉にならないその声を、目力で訴えたものの……どうなるものでもありません


のんびりと構えすぎていたのが禍いして、会に出す曲が『笠之段』に決まったのが2月半ばのこと。
こんなに型の多い曲を短期間で舞い込むのは私にとってはかなり厄介なことなのですが…。
曲との出会いも人との出会いと同じくらい貴重で大切なものです。
本番でどうなることやら分りませんが、出会えたこの曲を愛しみながら、大切に舞いたいと思います。





ちなみに

2010-04-22 09:24:28 | 日記
浅草の黒田屋さんというお店で購入した和紙はこんな感じ。




こちらのお店の和紙は、柄の種類が豊富な上に四隅の余白が残った半端ものなどを
比較的安値で売ってくださるので、とても嬉しい。

これをどう使うかと言うと、
長唄稽古の時に先生から貰う譜本コピーの自作ブックカバー。





ひと手間ですが、こうすることで譜本、さらには曲そのものに対する愛着が湧きます。
誰に教わるでもなく、みんなそうしてるので、私も真似しています。

包装紙やカレンダーの写真を利用して作る方もいらっしゃるみたいですが、私自身はやはり和紙が好き。
ザラっとした手触りが気持ち良いし、こちらの方がやっぱり 見目うるわしい思う。
曲の雰囲気で和紙の柄を選ぶというちょっとした作業にも快感がありますので。