ebakam art studio blog

眞壁 陸二

モニーク・フリードマン展

2011年11月28日 | Weblog
金沢21世紀美術館にて開催中の絵画展モニーク・フリードマン展

そのオープニングに作家自身によるトークレクチュアーがあった

話を聞く前に展示を見る 
色セロファンのような透明シートや薄い布に着色染色した生地を重ねるようにカラフルなインスタレーションが最初に目に入る
しかし何と言っても圧巻なのは展示室11。 
ここがモニーク・フリードマンのメイン会場「絵画の部屋」素晴らしい!
久しぶりに脳と目が快感を感じる絵画に出会えた。
ヒューマンスケールを遥かに超えた大きなペインティング
近代絵画(モダニズム)を真摯に受け止め数々の問題点と可能性を研究したことが作品から伺い知れる。
そしてそんな理屈は抜きにして最も素晴らしいのは色彩だ。

そして画面に近づくとランダムな曲線が画面全体にうねる
「無限さ」「崇高さ」「身体性」といった事をテーマにしていることが一瞬で理解出来る。
理屈抜きで「美しい」絵画です。

この感覚はロスコ、ニューマン、マチス、ボナールというコロリスト(色彩家)に共通する特有の感覚
フランスに住みながら近代絵画、とくににカラーフィールドペインティングに強く影響を受け、それらを乗れ超えるべく研究を重ね、継承しつつも変化させていった。
真っ正面から絵を描いている。この人は真性の「画家」です。
非常に良い絵画を描いている。

その後トークを聞いたのだが非常に共感する話が聞けた
絵画にこだわり色彩にこだわる姿勢ととくにボナールを好きな作家に上げているあたりが実にいい

マチスもロスコも確かにいいんだけど「色彩」なら忘れちゃならないボナール。
ゆらぎのある色のムラが色彩に透明感と空気感を醸している
(ロスコは確実にボナールに憧れてます)
マチスとボナールはフランスの画家で同時代で親友、お互いに色彩家として認め合っていた、ロスコはその後の世代。ミルトンエイヴリーらに影響を受けていると言われるけど本当は一番影響を受けたのはボナールでしょ?と僕は勝手に分析してます。(モニークの話では無い)


レクチュアー中に映し出した画像は「ミモザの見える部屋」というボナールの中でベストと思われる作品だった。
僕もボナールの作品の中では「ミモザの見える部屋」を選びます こういう一致は嬉しい

数知れずのアーティストの中から数名の作家を挙げ、数有る作品の中からお気に入りの一点を選ぶ。
それが偶然の一致というものがあるものでそういう偶然の一致は言葉が通じなくても心で通じ合える。
彼女はちゃんと光が見えているのだと思います。

鴻池朋子さんとモニーク・フリードマン 金沢でこんな良い作家に出会えるとは!
良い絵を見ると幸せな気分になる。
アートがどうのこうの言っても「やっぱり絵画だよな~」

是非実物を見てほしい モニーク・フリードマン展は来年の3月20日までの開催

鴻池朋子展とモニーク・フリードマン展

2011年11月24日 | Weblog
今週から始まった素晴らしい絵画の展覧会を二つ
最初はギャラリーSLANTで開催している鴻池朋子展。

数年前に六本木森美術館で見た「ストーリーテラーズ」で彼女の作品を初めて見た時「こんな手がまだあったのか」とびっくりした素晴らしい画家。

画面は濃密な色彩とハッチングのような強烈にうねるグルーヴ感のある描画方法だ。
画面から艶かしくこの世のモノものでは無い「妙」を感じた。
以来彼女の大ファンの一人。

今回は絵本の原画展ということで鉛筆画による小品
濃密な鉛筆デッサンのような絵だが現実を超えた世界を描いている。

また震災後の活動として東北に本を送るという「みみお図書館」なるプロジェクトを立ち上げ絵本の寄贈を募っています。
トークショーでは「震災以前、社会との関わりを意識して作品をつくっていなかった」と語っていたが、震災の経験から自分が変わらなくても周りが変わっていった。
どちらかというと外向きの作品ではなく、ひたすらに内側を向いた作品を作り続けてきた鴻池さんだが、そうであるからこそあの独自の世界感が実現出来たのだと思う…

たしかに現在の社会を簡単にアジテーションしたりイラストレーションした作品は作っていない。作るべきではないと僕も思う。
現代アートは、やもすると即物的に時代を映したり批判したりしたものと思いがちだが、そうではない
その同時代の空気を吸い感覚を敏感に研ぎ澄ましインプットする必要はあるが 出力の仕方は様々であってしかるべきだ。

金沢美大構内でおこなわれた講義ではディスカッションの中で学生たちのアートの無力さのほうが意見としては多数派だった

アートの無力さを口にする学生が多かったが、そうあってほしくはない
911同時多発テロから10年、阪神淡路大震災から17年、広島と長崎に原爆が落とされて大戦が終わり戦後66年。
いくつもの大きな災害天災があったがその度に何度も乗り越えてきた。

「今しか描けないこと」今だから描けることを感じてを描けばいい

現代アーティストであるなら いつの時代でもその時代の感覚を感じていなければならないと思う
でなければただ奇麗な色や線で絵を描き彫刻を彫ってしまってはただの美術や工芸品となってしまう
僕は時代を「自分の感覚で感じ取った目に映らないコトを抽出」したようなと言うか、「言葉なき言語」のようなものと言うか そんなものががアートだと思う。
「言葉で言えないけれど感じるものや事」それを表現したいのだ。

長くなってしまったのでモニーク・フリードマンの話は次回に持ち越し


展示スケジュール 個展とart fair

2011年11月22日 | Weblog
来年の年明けからの展示スケジュールが決まりましたのでご報告いたします。

今年同様ヨーロッパのアートフェア3つとアートフェア東京。
そして久しぶりの個展を東京日本橋は茅場町にあるベイスギャラリーで約2か月間開催します
お近くの皆様よろしくお願いいたします。

2012 上半期スケジュール

ART FAIR

ARTEFIERA ART FIRST 2012
会期:2012年1月26日~30日
会場:Bologna Exhibition Center, ボローニャ, イタリア

ARCO madrid 2012
会期:2012年2月15日~19日
会場:IFEMA, マドリッド, スペイン

ART FAIR TOKYO 2012
会期:2012年3月30日~4月1日
会場:東京国際フォーラム, 東京

ART COLOGNE 2012
会期:2012年4月18日~22日
会場:Koelnmesse, ケルン, ドイツ

個展
眞壁陸二展
BASE GALLERY (ベイスギャラリー)
会期:2012年4月6日 ~ 5月31日
会場:東京都中央区日本橋茅場町1-1-6 小浦第一ビル1F
TEL: 03-5623-6655


色即是空 虹

2011年11月21日 | Weblog
このところ連日時雨模様。
北陸地方の冬の前触れ。
曇りのちどしゃ降り、気まぐれに晴れ、また雨ごく時々雷…。
雪起こし、カミナリ起こし、またはブリ起こしと呼ばれます。
面倒な天気なんだけど、たまに凄くいい雲や青空をドラマチックに見せてくれます。
レンブラントやフェルメールの絵に出て来そうな空雲。

夕方前に「ザーっ!!」と強い雨が降っていたのに強い西陽がさしていた、反対側の空をふと見上げると凄く大きな虹が架かっていた。
こんな大きな虹を見たのは何年ぶりかな?

雨に濡れた紅葉が深い赤や黄色の色彩を豊かに放ち、その上に7色の光に輝く虹まででている

色即是空なり

読書の秋

2011年11月19日 | Weblog
先日より鈴木大拙の本を幾つか読んでみた。
さすがに明治の人の文章なので読めない漢字がチラホラあって理解するのに時間がかかったが、読み進むとすごく面白い。
「東洋的、日本的」どちらも日本人にとっては当たり前のこと、とつい思ってしまうが、僕に限らず戦後に生まれた世代にとって何が日本的なのか殆んど理解できていない。
いや日本も東洋の一部であるという自覚すら薄いのではないだろうか?
知らず知らずアメリカ的な生活や習慣が当たり前となり思考法や感覚までも西洋風となっている。
東洋哲学や仏教や禅について何も知らないし教わる機会も無かったように思う。
本当の国際社会になるには自国の抱える哲学や宗教を自覚する必要があると思う。
外国に行って「お前は何教か?」と訪ねられ「無信教です」では済まされない。
現に日本人は初詣や結婚式には神社へお墓は寺へ年末はクリスマスを祝う。
そして八百万の神々がいる。

出家し悟りを開くことは流石に出来ないけど少し学ぶことぐらいはしてみようと思う。

たまたまいろんな偶然が重なって金沢に戻って来て、それも鈴木大拙館のそばに住むことになったのだから何か強力な縁を感じないではいられない。

この二冊の本が将来自分の芸術哲学の肝になるかもしれない。
そんな予感がするのです。

読書の秋。
オススメの二冊です。「日本的霊性」「東洋的な見方」

PCまだ故障中

2011年11月16日 | Weblog

携帯からのブログアップは可能ですがメールは届いても、しばらく見れない状態です
実家に行った際にチェックしてますので返信遅くてごめんなさい。
今日は晩秋の兼六園を散歩しました。
モミジがスゴいキレイに色づいてます。

デッサンのススメ

2011年11月12日 | Weblog
先日開催した茅ヶ崎市美術館でのワークショップ概要をちょっぴり報告します。

絵画実技のワークショップでドローイング。
「絵画とは何か?」「何故人は絵を描くのか?」「いい絵と上手い絵の違いは?」などといった結論の出ない話しをし、
カラバッジオとセザンヌの描いた絵をを比較。


リンゴという共通のモチーフはあっても視点と基準、あるいは目的が異なるため表現方法と形式に差が出ます
どちらが「上手?」と聞かれれば多くの方はカラバッジョのほうを指すと思いますが、どっちが「よい絵?」と尋ねられれば迷います。
カラバッジオはどこまでも細密に質感と明暗を描いています近くで見る程に良い絵です。
しかしセザンヌのリンゴの場合ちょっと遠くから見ると実に立体的です。
近寄ると筆触のきいた絵具の物質が見えてきます。
「自分は絵である」と絵画自身が言い放っているように感じます。

彼らがどのような目的で絵を描いたのかを推測してレクチャーし、そのあとに「そっくりに描こう!」というテーマで制作をしてもらいました。

絵画とは主体的なものですから自分の目でみて観察し感じたことを描いてほしい。
描く人(作者)が何を見てどう感じたか?
もしくは何を省略したか?

モチーフはリンゴ
よく見ると色んな要素があります。
ただ丸くて赤いでは済まされない、じっと見つめるといろんなものが見えてきます。
絵を描くための一番最初は、モノを見るところから始まります。
絵を描かないで生活してる人には見えないモノが見えて来ます。
まずは実感を持って(自分にとって)そっくりに描くことをオススメします。

参加者20名、それぞれのリンゴの絵が出来ました。中にはナカナカの名画も生まれました。

PC故障中

2011年11月12日 | Weblog
先週より自宅PCのネットワークが不調。
しばらくメールが見れない状態になってます。
すでに送られた方々申し訳ありません。
しばらくお待ち下さい。
お急ぎの場合はお電話下さい。

紅葉のピーク

2011年11月09日 | Weblog

金沢に戻って来ました。
今週が紅葉のピークです。
散歩に中央公園の楓や紅葉が雪のようにヒラヒラ降り落ちて来ます。
真っ赤からオレンジ、黄色と色とりどり。
真っ青な空と芝生と苔のグリーン。

紅葉が終わると北陸はそろそろ冬支度。
ミゾレまじりの冷たい雨と雷から始まる
そして長い冬が来ます。
雪が降るのが楽しみ。

男木島便り 

2011年11月08日 | Weblog
短い男木島滞在でしたが濃密な時間を過ごしました

メンテナンス目的で行ったのですが滞在二日目はあいにくの空模様
お世話になっている「民宿さくら」の建設途中の宿舎の側面に即興で壁画を制作
ぞくぞく島の方が集まってきました


完成にはほど遠い状態ですがまた行った際にすこしづつ増幅させてこうかな

「民宿さくら」にお泊まりの際にはぜひ新しい壁画をチェックしてみて下さい
お問い合わせ TEL 087-873-0515

夜の交流館ジャウメ・プレンザ制作は周囲のプールが鏡のようになってまるで宇宙船
ほとんど宇宙を飛んでるようです
夜にしか見れない絶景です