審判講習会 参加報告書
平成30年8月7日
報告者 川村 貴昭 印
この度参加しました、審判講習会について報告します。
講習会名 (大会名) |
平成30年度 全国高等学校体育大会バスケットボール競技大会「彩る感動 東海総体」 |
報告者 |
川村 貴昭(社会人連盟) |
期 日 |
平成30年 7月 29日(日) から 平成30年 8月3日(金) |
会 場 |
一宮市総合体育館、パークアリーナ小牧、愛知体育館(ドルフィンズアリーナ) |
参加者 |
愛知インターハイ研修生、インターハイ担当講師、開催地およびその他審判員 |
報告1 講義① 講義② |
JBA主催 審判研修会 講師(敬称略):佐藤誠、有澤重行、須黒祥子、平出剛、阿部聖、堀内純、漆間大吾 テーマ:『よりよいゲーム運営のためのクルーワークの重要性~3POベーシックの確認と徹底』
講義① JBA PLAY CALLING GUIDELINE 1、PLAY CALLING GUIDLINEとは ・PLAY CALLING=審判がコートの上で判定することそのもの ・誰が審判になっても同じ現象については、同じように判定されるべきである。スピーディかつアグレッシブでありながらクリーンなゲームを目指すためにあるもの。情報については、日本全国のどの審判員もが知っている(知っておかなければならない)共通のもの。 2、「PLAY CALLING GUIDELINE」の内容 3、各項目についての追求 実際の試合映像をもとに検証を行った。特に、高校生の試合で起こり得る項目について重点的に考察した。 1.悪い手・腕・肘の整理(HAND-CHECKING含む) (1)基本的な考え方 ファウルの3原則 (2)ディフェンスの悪い手・腕・肘(HAND-CHECKING含む) (3)オフェンスの悪い手・腕・肘 2.スクリーンプレー リーガルスクリーン/イリーガルスクリーン 5.アンスポーツマンライクファウル クライテリアとは
講義②3PO MECHANICS(映像を用いながら) 先だって…「意識」の大切さについての話 目には入ってるけど、確認できていないことが往々にしてある。 →これを起こさない(なくしていく)ために、どれだけ「意識」をすることができるか (意識できることを増やしていけるか) 1、TIMING OF ROTATION リードのローテーションのタイミングについて映像をもとに確認 ・センターラインをわたった時にどちらにボールがあるか(ミッドラインを基準に) ・トリガー(きっかけ)は、ボールとTレフリーがセンターラインをわたるときに ・LとTのスピードは同じに(Tはスピードを落とさずにダイレクトにCへ) ・自分の視野にパートナーを入れておく ・Lはダイレクトに行かない(必ずCDを経由して) ・パスバックがあっても(逆にふられても)もう一度Lへ (上記の繰り返し) リードのローテーションを中断するべきケース ・5秒以下は行かない(ショットがあるので) …逆の速攻があると、Lが来たのに気づかないこともあるので。 ・クイックショット・ドライブ・パス →ノーワーキングエリアで止まらない…プレイが近いと速く感じる(誤った判定に) バックペダルを活用すると有効 ・Lのローテーションがうまくいかなくても、レフリーは必ず両サイドに位置している …仲間を信頼して(Lが見えないものはCが、Cが見えないものはTが、Tが見えないものはLが見えている) センター側でディフェンスのプレッシャーが高まっている時について ・約束事として、センター主導のローテーションはない(Lがローテーションを行う) →まずはCがワーキングエリア(3.6mの範囲内で)で頑張る ・ダブルチーム・トラップについては →キャリー(ダブルドリブル)、サイドライン、バックパスなどの見るべきものと、明確な理由を持って行く…プレイがそこで完結する場合が多いので、必ず行く。例外として、場合に応じては走って見に行く局面もある。(現場をおさえる) 2、OPEN ANGLE./POSITION ADJUST オープンアングルとは 一例として、ファウルがあるかもしれないが、背中ごしに(見えていないのに)吹くのは× 見に行かないと見えない、オープンルックを確保することが必要(見に行かねばならない) …そこには工夫が必要 クロスコールについて Lからミッドラインを越えて判定すること…判定の精度が落ちるリスクがある →まずは判定を間違えない(ルール・ガイドラインの適用、オープンアングルでとらえる) 1番良い位置でとらえることが大事(1番見やすくなるのは?) クロスステップについて 有効的(合理的)な手段…プレイとすれ違ってアングルを取りに行く技術 オフェンスのつま先を探す、ディフェンスを探す(レフェリーディフェンス) →1歩、2歩でアングルが変わる 1歩、プレイに先行する トレイルのレベル(高さ)について 3ポイントラインのトップからセンターラインの間がベーシックポジションであるが、プレイに応じて、それよりレベルを下げてもOK(最後はしっかりベーシックポジションへ) プロテクトシューター シューターを怪我させないためのガイドラインの適用 ポイントとしては、 →1.足を確認 2.ディフェンスを確認 3.フロア(オフェンスが正しく着地したか) +α オーバージェスチャー(フェイク) 3Pショットに対するリードの協力 |
報告2 講義③ |
講義③Officials`Tools(3PO)/IOT(Individual Officiating Technique) とても幅広いトピックスで、3POを取り組む上で、常に努力し、追及していかねばならない。 今回は4つのTOPICSについて、グループでディスカッションを交えて深めていった 1、Last second shot 上記の時間帯は、バスケットボールにおいて試合の結果や流れを左右する印象的なプレーが 行なわれる大切な時間帯 KEY WORD ・原則は、オポジットサイドのRefereeが時計 ・Backcourtから4.9秒以下でスタートしたとき、 C(センターポジション)のRefereeが時計 (※フロントコートはオポジットが持つ) (但し、クルーワークとして情報をCrew全員が持っておく) 2、Out of bounds communication 試合で非常に多く起こる。アウト・オブ・バウンズを適切に判定していくことは、スムーズな試合運営には欠かせない。正しく判定するために、Crew間での協力が必要な場面が多い。 KEY WORD ・原則は、プライマリのRefereeの判定(笛&ディレクション) ・ヘルプを求められたとき(アイコンタクトなどで求められる)・・・ ヘルプを求められたRefereeが判定(笛&ディレクション) ・プライマリの判定が明らかに間違っているとき・・・ 100%の確証があれば、判定したクルーに近づいてcommunication 判定したReferee自身が必ず訂正する(笛&ディレクション) 3、Crew communication 3POを行う上では、色々な場面でCrew間での協力は必要不可欠。その協力こそ3POの最大の強みでもあり、クルーワークが重要。そのクルーワークを発揮するためにも、ベーシックの徹底が欠かせない。 KEY WORD ・Crew communicationは、必要な場面で情報を持っている人から・・・。 ・確認がほしいとき、Crewの意見を聞きたいときは、自分からCrew communicationを。 ・持っている正しい情報は共有を・・・。それがCrew communication (後からではなく、できるだけ早く可能なタイミングで、スムーズに正確に) ・Crew communicationが何らかのノイズになることもあるので、方法にはクルー間の協力が欠かせない ・Crew communication後の(決定)判定は、はっきりと示す。 4、Team foul count 試合では、審判のゲームコントロールはとても重要。そのためにも、我々はコート上で起こることをしっかり把握すること、知っておくことがとても大切。たくさんの情報をしっかり把握し、より良いゲーム運営を目指して取り組む必要がある。チームファウルの把握もそのひとつ。 |
報告3 コート研修①② |
いくつかのケースについて、実際にコートで実践 つきつめていく方法として、ルールとメカニクスをどのように適用していくか A.RUN C to C B.OOBの訂正について、協力して正しい判定をする C.3or2の協力(FlashとPeek)
プレゼンテーションの研究 ビデオを撮り、自身の姿を振り返る 一例)リバウンドファウルを判定した時のプレゼンの練習 |
報告4 モデルゲーム 講義④ |
□ゲーム 日時 7月31日(火)12時 実践学園(東京)対 九州学院(熊本)
CC 桝岡 直久 U1 川村 貴昭 U2 村越 裕悦 講師 有澤 重行 ■内容 Breaking down on the Game movie 試合の映像を解剖することの重要性と、各ゲームで3人が協力して映像から学ぶ理由の大切さ 多くの成長は映像を解剖することから始まり、審判員が作り上げている「プロフェッショナリズム」につながる。 How to break down; ・映像の必要なケースを見つける ・映像を止めてその場面で誰が何を見ているのかを確認 ・プライマリとアングルを確認(2つを持っている人がまずは判定をする、プライマリでなくてもアングルを持っている人は判定に参加できる) ・映像を少し再生してボールやプレイヤーが移動したところで再度映像を止めて確認 ・ボールやプレイヤーが移動したことでプライマリやアングルが変わっているかどうかを確認 ・対応すべきケースに向けクルーでメカニクス等確認、具体的に対応策を共有 What to look for(何を意識して映像を解剖するか): 1)そのゲームの中でパートナー同士良くできた場面やケースを見つける 2)修正や向上が必要なケースを見つける 3)走り方、歩き方、立ち方、その他コート上でのプレゼンに注意を払う 4)自分の癖や習慣、立ち位置や場面に合わせた対応、言葉を通さないコミュニケーションなどの確認・修正 5)基本に沿ったメカニクスやマニュアルが徹底されているかを確認
上記に基づき、クルー間のみならず、同グループ全員で共有 講義④では、全グループでの取組を全員で共有 |
報告5 ゲーム1 男子1回戦
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□ゲーム 日時 8月2日(木)16時10分 コザ(沖縄)対 八戸学院光星(青森)
主審 浜本 伸 副審 川村 貴昭 ■内容 ポスト・ゲーム(主任より) 声を使ったバーバルサポート、OOBの2人のコミュニケーションなど、研修で学んできたことをしっかりと意識してトライしている場面が随所に見られて良かった。 試合の立ち上がり、不要な笛(判定)を入れることなく、ガイドラインに沿って2人でテンポセッティングができたことは良かった。コザの激しいハイ・プレッシャーに対する判定は適格だったが、一方で八戸学院光星のディフェンスは、わかりづらいが真上の空間の権利を占めているように見せて、いくつか不当なものがあったので、それをおさえることができるとなお良かったのではないか。メカニクスについては、Lが右に行って厚く見る局面で、そのリスクをTと2人でどのようにカバレージしていくか、さらにつきつめてほしい。 1試合を通じて選手はオールコートプレスから走り続け、試合途中のコートの板がずれるというアクシデントにも動じず、最後まで白熱した接戦でとても面白い試合だった。 |
報告6 ゲーム2 男子2回戦
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□ゲーム 日時 8月3日(金)10時 八千代松陰(千葉)対 羽黒(奈良)
主審 岩崎 晋也 副審 川村 貴昭 ■内容 ・ポスト・ゲーム(主任より) 両チームの特性(3Pショット成功率が5割を超える選手が多数いる)を理解し、最初は少し気になる部分があったが、すぐに2人で修正して強いメカニクスでプレイをとらえていた。インパクトの大きなものについて、2人で必ず笛を入れて判定することができたので、激しい試合だったがスムーズに進行できたことが良かった。課題としては、Tの見方について、ポジションアジャストをより強く強調していくことで、信頼や安心感につながっていくので、さらに追求してほしい。 終始接戦で、クロージングゲームにおいて、2人でコミュニケーションをしっかりとって無事に上手に終わらせることができた。ゲーム終盤のコミュニケーションは、何をどのように取り組んでいくのか、先の先まで具体的にコミュニケーションを行うと、審判の対応力が増すので、今後に活かしてほしい。 |
所 感 |
変革著しい日本のバスケットボールにおいて、この愛知インターハイも、様々な変化を重ねている最中とのことであった。その中で、インターハイに初めて参加させていただいたこと、大きなチャンスを与えていただいたことにまずは深く感謝申し上げます。 審判研修会の冒頭で、研修会主任講師の佐藤誠氏より、「連盟や年齢を越えて、今回全国から集まったすべての審判員が、1つのチームとして、共に頑張っていこう」と講話いただき、とても感銘を受けた。今回の新しい出会いは、私にとって大きな財産となり、今後の審判活動の糧となった。審判研修会すべてを通じて、講師の方々にはとても丁寧に熱くご指導いただき、たくさんの経験を得ることができた。これを地元の仲間と共有し、一丸となって取り組んでいく覚悟である。テーマにもある、クルーワークの重要性に改めて気づかされ、「協力」とは何か、どのようにコートで実践していくべきかを考える機会となった。それと同時に、協力することの難しさ、そして喜びを感じることができた。この新たな気づきを忘れず、一層つきつめていきたい。 また、今の審判員に必要な3つの条件についてのお話しもあった。「決断」「責任」「オープンマインド」。自分がしっかりと決断をし、その責任を負う。しかし、間違っているものについては、オープンマインドをもって謙虚に受け止め、自身を改めていく。今後の取り組み方の指針となるように強く感じた。 本大会では、高校生バスケットボールの最高峰のレベル、白熱した試合が展開された。苦しい局面もあったが、クルーの支え、プレイヤー・ベンチの理解、そして試合を盛り上げる観客すべての方々の力で、グッドゲームとなった。チームの歓喜、そして涙を忘れずに、次のステップに向けて取り組んでいきたい。そして再び、このインターハイのコートに立てるよう、挑戦したい。 今大会運営において、開催地審判員の方々はもちろん、多数の競技運営スタッフの方々の姿があった。最後になりましたが、このたびの愛知インターハイという素晴らしい大会に関わったすべての関係者皆様に深く感謝申し上げ、私の報告とさせていただきます。本当に有難うございました。 |