「しんぶん赤旗」(2006年8月11日)によると、BSE(牛海綿状脳症)発生・拡大の危険もあるとされるメキシコ牛など第三国で飼育された牛が、生後二十カ月以下の「科学的証明」ができないのに「米国産牛肉」として日本に輸入できることになっていた――。十日に開かれた内閣府食品安全委員会プリオン専門調査会の会合で、こんなずさんな事実が明らかになりました。<o:p></o:p>
厚生労働省と農水省は、この日、輸入再開にあたって米国の食肉施設の事前調査結果を報告。対日輸出の認定をうけた施設がメキシコ産など第三国から米国が輸入した牛を、日本に「米国産牛」として輸出でき、昨年から今年にかけて九つの食肉施設に、メキシコ産牛の輸入があったことを明らかにしました。厚労省は、日米で合意した輸入条件では「米国で、と畜された牛とされ、(日米で締結した)家畜衛生条件で米国が第三国から輸入した牛を排除していない」という事実を初めて明らかにしました。 専門委員は、米国産牛肉輸入再開の条件となっている肉質による生後20カ月以下の「判定」がメキシコ産牛には適用できないはず、などと疑問を提起しました(「赤旗」同上)。<o:p></o:p>
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もともと月齢20ヶ月といっても、肉質で判定するやり方に、疑問があるのにメキシコ産牛の迂回輸入になると米政府の発行する輸出証明もどこまで信用できるものか、新たな疑問が湧いてくるのは当然でしょう。
迂回輸入と反対の迂回輸出について情報通の間では、早くから問題点を指摘していました。
「メキシコ産牛肉や中国産牛肉について現在日本では規制がないが、メキシコ産牛肉はアメリカから入ってきたものを数ヶ月飼育してメキシコ産 として輸出している。元は危険なアメリカ牛と同じ。迂回輸出なんて簡単にできるのに、日本政府はメキシコ産牛肉が安全だと言っているらしい。馬鹿ではないだろうか?」というわけです。
メキシコ産牛肉のBSE(牛海綿状脳症)の実態について、調査することが早急に求められます。
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政府は、いまのところ、アメリカからの輸入については、輸入業者が全箱を開けて「確認」し、国の検査官は一部の箱を抜きとって「検査」するという、水際対策をとるようです。要員が足りないからといって、一部の抜きとり検査でいいのか―担当官が責任をもって実施する体制をとる、消費者が選択可能なように牛肉は加工食品を含めてすべて原産国表示するよう基準を改定することなどは、いまやるべき最低限の施策でしょう。
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