師走の葬儀と「千の風になって」

街中は、クリスマスイルミネーションで美しく飾られた師走。
綾乃さんのもとに、１本の電話がかかってきた。
ご縁ある方の訃報だった。

お通夜と告別式の両方に出席した綾乃さんから、
こんな話をは聞いた・・・。

告別式のその日、
昼下がりの式場は、
ご遺族と親戚関係の方のみがお寺の建物のなかで、
弔問客は特設のテントに暖をとる形式で用意されたとのこと。
あらかじめ、お香典や献花はすべてご辞退との連絡があったものの、
祭壇は、たくさんの白い花で飾られていたそうだ。

読経が終わり、
いよいよ最後のお別れのとき。
菊の花を棺に綾乃さんも入れさせていただいたそうだ。
棺の中のその方は、生前の記憶に残る大柄なイメージはなく、
一回りも、二回りも、
小さく感じたそうだ・・・。

棺の蓋を閉めるときが、
今生の別れとなることが、何かとても強調されるようで、
心の中に、遺族でなくても涙があふれるものだとも思う。

出棺前、ご遺族代表の挨拶が行われ、
喪主の方がされると思っていたのを裏切るように、
故人のご長男が、マイクの前に進み出たとのこと。

その彼は、決してまだ人生の経験をたくさん重ねた歳ではなかったけれど、
小春日和のような師走の温かな午後の日差しを浴びて、
“満面の笑顔”で、マイクの前に佇んでいたそうだ。
そして、凛と、胸を張り、
瞳の奥にじっと悲しみをこらえながら、
しかし最後まで笑顔で、弔問客に感謝の言葉を立派に述べ終えた。

途中、言葉に詰まり、大丈夫かと心配する周囲をよそに、
彼は、大きく深呼吸をして、
「話そうとして考えてきた言葉が、
真っ白になって、まったく浮かびません。
すみません。・・・・」と
自分の気持ちを正直に語ったそうだ。
その姿は、多くの言葉にあらずとも、
たくさんのものが弔問客に伝わったはずだと、
綾乃さんは話してくれたんだ・・・。

“風”は、その時、吹いてはいなかった・・・。
けれど、亡き父そっくりの口もとのその青年の後ろには、
「それでいい・・・」と、囁く笑顔の“父”の姿を感じたような
そんな爽やかで、心に残るいい葬儀だったそうだ・・・。

パンとバターと白鳥（はくちょう）と・・・

綾乃さんと一緒に、
横浜の大桟橋ホールにクリスマスコンサートを観に行ってきた

みなとみらいや周囲の夜景は、とっても美しく、
気分はかなり、ロマンティック

船をイメージしたその大桟橋から、
ディナーを楽しめるクルーズ船が出港するころ、
コンサートが始まった。

は、実は出演者のうちの１組の方は、
その名前も、曲も何も知らなかった
しかし、彼らは活動を４０年近くも続けてきた
有名な往年の兄弟ユニットだった。

海の好きな綾乃さんも、
以前海洋生物の研究とかで、しょっちゅう出没したらしい
湘南の海をテーマに前半のコンサートが進んだ。

思うに、「湘南」というエリアは、
とても独特の文化や香りがする。
・・・そう感じるのは、だけだろうか？

彼らのトークの中に、
「冬の海辺」が年を重ねてきてますます好きになったという・・・。

コンサートの後半は、同期デビューの素敵な“白鳥”だった。
彼女のクラシカルな代表曲の一つでもあるAmazing Graceがアカペラで演奏された時、綾乃さんも、一緒に口をパクパクしてるのをは発見。
来年の１月のコンサートで、綾乃さん歌うんだって。

以前も、いろいろなことが気になって、
コンサートを純粋に楽しめなくなってきたことを書いたことがあるけれど、
この日は、ステージのバックは、ガラス越しに向こうは夜景の海上。
紗幕が開いたとたん、１羽のカモメが
右から左へと飛ぶ姿や、
羽田から離陸したが、
自然の贈り物のように素敵な演出効果をあげていたんだ！

再来年、横浜港は開港１５０周年を迎える。
たくさんのイベントが、この大桟橋ホールでも行われるようだ。

綾乃さんも海をバックに歌ってみたいだろうなぁ～



追伸：あ、この夜のコンサートの演奏は、
ブレッド＆バターさんと白鳥英美子さんでした。