狷介不羈の寄留者TNの日々、沈思黙考

多くの失敗と後悔から得た考え方・捉え方・共感を持つ私が、独り静かに黙想、祈り、悔い改め、常識に囚われず根拠を問う。

アメリカ占領時の分断謀略「沖縄ナショナリズム」、「振興策」要求反対デモ、基地依存、利権、格差、「日米地位協定」、そして日本全体の根「日米安保」・・・「沖縄の不都合な真実」を読む

2017-04-23 22:49:27 | 日本政治・総合 2012~2017
 次の本を読む。
 「沖縄の不都合な真実」(著者:大久保潤氏、篠原章氏、出版社:新潮社、出版日:2015/01/20)

 本書を読む前まで、余り沖縄の事を理解していなかった。新聞やテレビ等から伝わって来る表層的な事やイメージによって、沖縄県人がただ単に可愛そうだ等と大方思っていた。
 確かにそれは全く間違ったものでは無いと、本書を読んだ後でも思っている。ただ、割合からすれば、100%ではない事は確かである。直接行って取材した訳では無いが、YouTubeや本書から、沖縄の世論や政治家、地域それぞれで意見が割れている事が伺える。
 やはり何と言っても、「日米地位協定」である。この協定の存在は、私には全く理解出来ず、納得出来ないものである。「日米地位協定」を簡単に訳すと、日本がアメリカの下僕となる事における規則、アメリカよりも日本の身分が低い事を定めた決まりである。こんなものは、私には到底理解できず、納得出来ず、全く屈辱に感じるものである。その協定が、沖縄県内を縛っている事は伺える。
 沖縄県内での米軍兵士やその家族による犯罪や事故が発生するが、その「日米地位協定」によって「治外法権」となっている為、日本側が米軍兵士やその家族を裁く事が出来ない。日本が明治維新後に近代化を進めながら、臥薪嘗胆した苦労の上で治外法権の撤廃(領事裁判権の撤廃)と関税自主権の回復を手に入れたが、大東亜戦争での敗戦によって、再び米軍に対しての治外法権を押し付けられている
 私は、この「日米地位協定」米軍に対する「治外法権」、日本の領土内の「米軍基地」、そして「英語の義務教育」から、日本はアメリカの植民地である様に思えてならないのである。そして私には、それらはただ単に「屈辱」に思えてならない。その屈辱感を、沖縄県人の内の、特に格差の広がっている沖縄の中でも利権に絡んでいない貧困層の人達、また、その上で沖縄県人としてのアイデンティティを強く持っている人達にとっては、私と同様の思いを抱いているのではないかと思うのである。
 大東亜戦争の末期、米軍の沖縄上陸で、沖縄が形として本土の前衛となっていた事は否めない。それ故、沖縄県人が本土や天皇に対して悪い感情を抱くのは理解出来る。ただ、日本軍による沖縄県人に対しての集団自決の強制は、数少ないながらも裁判例を見ると、それは無かったと、私は思っている。
 沖縄だけでは無く、日本全体の問題の「根」にある「日米安保」。これが存在する限りは、日本は外交等で「自己矛盾」に陥り続ける事となる。しかし、日米安保からの自立は、そう簡単ではない。支那(中国)や北朝鮮の脅威が在り、いきなり解消は出来ない。防衛予算も大きく増やさなければならない。しかし、漸進的に解消の方向に持っていき、将来的には解消して自主防衛を達成して、真の独立を果たすべきであると思う。
 沖縄問題の「根」をアメリカが作ったという事が、次の本書の一内容より伺える。沖縄が米国の占領下にあった間、差別等の潜在的な本土との不和の種を利用して、沖縄と本土との分断が謀られ、それにより米国は戦略的支配を強めようとしたとの事である。占領中、宣撫政策を実行し、「琉球」という言葉を多用した雑誌を配布して、「琉球ナショナリズム」を作り出した。そして、被害者意識を米軍から反らして本土側に向けようとし、「反日」・「親米」を作った。また、米国は琉球大学を設立し、卒業生を地元のマスコミ、政財界、公務員、学識者等に送り込み、アメリカニズムの沖縄支配階級を形成したという。
 沖縄には「税金還流システム」なるものが存在すると言う。煽られたデモ行進で「基地反対」を叫べば叫ぶ程、国から「振興策」が得られ、それが振り分けられた癒着した利権業者は、その予算の内の一部を政治家に献金として渡しているらしい。また、防衛予算として貰いながら、別の関係の無いものに使われているとの事である。そして振興策を貰い続ける事で、県人の自立心が低下し、一時凌ぎであり、地域が分断され、自然破壊が進んでいるとの事である。その振興資金を、保革両方共が歓迎している。
 沖縄の特徴として、まず、失業率、県民所得、所得格差、貧困率が全国でトップという事。非正規社員、季節工の人達が多い。一方、資産所得は全国トップであり、これには基地使用料を得る地主の存在が大きく影響している。そして、自主財源が3割未満であるとの事である。また、県土の埋立面積も全国トップである。
 国が沖縄県の為に負担しているものとして、振興予算、減税措置、内閣府沖縄総合事務局、沖縄振興開発金融公庫、市や地主が所有する米軍借地料(※これは本土の基地は国有地の為に不要)、埋立の為の漁業への補償金、基地交付金、基地光熱料が有り、これらは全て国民の税金で賄われる。
 人口の密集した宜野湾市の真ん中に位置する普天間基地が危険な為に辺野古移設を進めている。辺野古は過疎で、産業も無く、米軍基地の振興資金埋め立てによる補償金依存している。安全保障の上では変わりないのであるのだが、米軍兵士の余暇を過ごす為のものが何もない事が、却ってストレスを生むのではないかと懸念されている。
 移設は公共工事であり、県内移設では地元の建設会社が受注出来るが、県外移設では本土の業者が受注する事となる。また、特殊技術は本土の業者が賄う。浅瀬の埋立では仕事が減ってしまう。地元の建設業界と、政治家、外務省や防衛相の官僚、本土の大手ゼネコン会社やコンサルタント会社、学識者等と、その利権繋がりの存在があるとの事である。
 ところで、神奈川県の厚木基地は、沖縄以上の住宅密集地に在る。また、東京の赤坂プレスセンター(麻布米軍ヘリ基地)も同様に、六本木ヒルズのそばで住宅密集地に在る。普天間第二小学校は、危険を承知で基地の隣に後から建てた
 地元の琉球新報沖縄タイムス基地返還した場合の経済効果を試算しているが、空想的で水増し、そして現状の基地依存利益を除外せず含んだままであるらしい。また返還した場合、宅地・施設が供給過剰となり、土地価格が暴落すると言う。基地依存は、米軍基地への就職の為の専門学校への入校が30倍の人気になっている事にも表れている。
 その地元の2紙は、学識者、労組、県公務員のエリートに同調圧力をかけて、それら支配階級が一体化しているらしい。また政治家の選挙は、建設会社が双方に就いての争いとなり、地主、建設業界の利権、既得権益が絡んでいるとの事である。
 米軍海兵隊が減っているが、代わりに自衛隊を呼ぶ事で、本土依存、基地依存が変わる事は無いだろうとの事である。

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「沖縄の不都合な真実」 「沖縄の不都合な真実」
   (著者:大久保潤氏、篠原章氏、出版社:新潮社、出版日:2015/01/20)


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