墨映画(BOKUEIGA)

映画を墨彩画とコメントで紹介する。
映画好き・絵好き・書道好きなどなど。好きなこと寄せ集めのブログ。

扉をたたく人

2010-06-04 07:23:14 | 映画(た行)
「何もできていない。忙しいふりをしているだけ」


【STORY】(goo映画様より引用させていただきました。)
主人公の大学教授を演じた名優リチャード・ジェンキンスがアカデミー賞主演男優賞にノミネートされた感動ドラマ。911以降、移民希望者や不法滞在者に対して厳しい措置を取るようになったニューヨークを舞台に、孤独な初老の大学教授と移民青年の心の交流を描く。監督は俳優としても活躍中のトーマス・マッカーシー。共演は『シリアの花嫁』のヒアム・アッバス。人間関係を丹念に描いた心揺さぶる展開と、現代社会を反映した考えさせられるラストに注目だ。
妻に先立たれて以来、心を閉ざして生きてきた大学教授のウォルター(リチャード・ジェンキンス)。出張でニューヨークを訪れた彼は、マンハッタンの別宅で見知らぬ若いカップルに遭遇。彼らはシリアから移住してきたジャンベ奏者のタレク(ハーズ・スレイマン)と彼の恋人でセネガル出身のゼイナブ(ダナイ・グリラ)だと名乗るが……。

「goo 映画」こちらから

扉をたたく人 - goo 映画

劇場公開時に見逃してしまったのでDVDにて鑑賞です。
映画館で観たかった。
こういった心の話は好きな分野ですね。

ごめんなさい。劇場公開が終わっている作品なので、以下の内容は、相当ネタばれっぽいです。ご注意下さい。




生きることに、その意味を感じなくなってしまっている主人公。
妻に先立たれたことで、心の中にぽっかりと穴が空いた感じなのだろうか。
妻との思いでは、彼女が好きだったピアノ。
彼にとって音楽の中に、何かがあると思っていたに違いない。
だから、何とかピアノが弾けるようにならないかと努力もする。
しかし、自分には奏でることができない。
そんな中、出会うジャンベ奏者のタレク。
タレクが教えてくれるジャンベの中に、自分が求めていた何かを感じたのだろう。
だからこそ、タレクに迫る不幸にも、身を徹して対処してあげようとする。
そこに、自らの存在意義を感じてしまったのだろう。

ラストでの告白のシーン。
「自分は、何もしていない。忙しいふりをしているだけだ。」
非常に衝撃を受けた。
何かに悩んでいるとき、いろんなことを他人のせいにして進まない。
それは、結果としては自分が何もしていないこと。
自らのことと感じて、行動に移していないこと。
そこが結局の根本なのではないだろうか。

だからこそ、こんな告白ができること。
それは非常に勇気がいることであると思う。

自らを否定することだから。
なかなかできることではないように感じる。
自らの責として、受け止め行動することがいかに大切か。
それが、悩みの壁をぶち破ることと気が付くことの難しさと受け止める勇気。
難しいことであると感じる。


とにもかくにも、自らを否定する勇気を!の映画に出会ってしまった。
だから映画好きはやめられない。



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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (たんぽぽ)
2010-06-04 21:49:22
これは、私も大好きな作品でした。
結構前に見たのですが、いろいろなシーンが心に残っています。
ラストで地下鉄の駅でジェンベをたたくシーンは、まさに、この出会いが彼の人生を変えた、そういうことを物語っていますね。
単純なようで味わいのあるジェンベの音色も、魅力的です。
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たんぽぽさんへ (de-nory)
2010-06-05 16:14:48
たんぽぽさん。こんにちは。
いつもありがとう。

風邪をひいてもゆっくり休めず、直りきらず。
人員整理で業務の負荷はどんどん増える。
こんなんで、いいのかな。
なんて、日々思ってました。

「忙しいふりをしているだけ」

結局、自分もいろいろと思っているだけで、何もしていないんだ。
なんてことに気が付かされた映画でした。
何だか、そんな意味でもいい映画に出会ったと思える作品でしたね。
本当に、映画好きはやめられませんわー。
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ジャンベ (tatsu)
2010-06-10 01:16:26
ジャンベのリズムは国籍や年の差を越えて
見知らぬ青年と老教授を結びつけますが
9.11以降のアメリカの不法滞在者に対する厳しさは
そんな二人をあっという間に引き裂きましたね。
無力な我が身に怒りを込めて叩き続けるジャンベが
地下鉄の駅に悲しく響きました。
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tatsuさんへ (de-nory)
2010-06-10 12:33:18
9.11以降のアメリカの社会問題が背景にある作品です。
その部分もしっかりと考えさせられる作品でしたね。

社会の仕組みが、人のつながりを引き裂くなんて、あまり歓迎したくないです。
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 (とらねこ)
2010-06-13 12:01:06
なるほど。de-noryさんには、あのシーンはそのように感じられたのですね。
この主人公は、大事な人を失って以来、同時に自分の心も亡くしてしまったのだろう、と
胸を打たれました。
どこか心が死んだまま、ただ生きて呼吸をしているだけ、という感覚。
自分にも覚えのある感情だな、と涙が溢れました。
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とらねこさんへ (de-nory)
2010-06-15 07:35:51
とらねこさん。こんにちは。

なんだか、自分に置換える事ができて。
だからこそ、ジンと来てしまいました。
いろいろと環境のせいにして、結局自分では何もしていない。そんなことを感じてしまいました。
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