鄭州鉄道日記

河南省鄭州市で働いています。中国鉄道交通の要衝であるこの街から、中国の鉄道の情報を発信していければと思います。

D358次 成都→上海虹橋 2011年1月19日

2011年01月21日 17時14分06秒 | 乗車記(寝台)
1月11日から成都/重慶北~北京西/上海虹橋の4区間でそれぞれ運行を開始した臥舗動車組。日本では「寝台新幹線」などと報じられたが、どちらかというと寝台電車というのが正しい表現になる。583系みたいなものだ。

この4往復の中でも運行区間が最長となる成都~上海虹橋のD358次に乗車してきたので、ひと月ぶりくらいに乗車記を投稿する。


雪が舞い散る成都の街のスタバで15時過ぎまで過ごし、地下鉄で成都駅へ。まだかなり時間があるので駅の切符売り場を偵察に行ったが、D358次軟臥はまだ残数が200枚以上存在した。

 

続いて駅舎に入場。臥舗動車組専用の入り口が用意されており、荷物検査も含めてとても楽に通ることができた。

そして1階に設置された臥舗動車組軟臥待合室へ入る。ここはとても広く明るくきれいだ。写真のような感じだがこの背後にもまだ数十席が並んでいる。トイレもホテル並みだ。たった2本の臥舗動車組のためにこんな立派な待合室を造ったのかと思うとかなり無駄な気がするが、まあそれだけ成都鉄路局も力を入れたということだろう。この待合室ではお湯のサービスがあり、紙コップに入れて持ってきてくれる。

 

発車約30分前に乗車が開始された。ただここで問題なのは臥舗動車組の発着ホームが動車組用に嵩上げされた5・6番ホームなのだが跨線橋へ上がる方法が階段しかないことだ。待合室が2階だったらそこへ上がるエスカレーターがあるから問題ないのだが、これは何とかしてほしい。なお動車組用のホームは新たに増設されたものなのだが、「どうせそのうち成都東駅ができるし」という発想からか仮設と言った雰囲気の強い場所だ。

 


前よりの3号車だったので、コンパートメントに荷物を置いて先頭車両を撮りに行った。運行開始したばかりの列車なので撮影していても怪しまれないのがありがたい。



なおこのCRH1Eはボンバルディア社の高速車両ZEFIRO250ベースの車両だ。と言っても導入実績が今のところこれだけのようなので、ボンバルディアのサイトの紹介ページにもこの列車のCGイラストが掲載されている。
例のフジテレビの報道ではまるで初デビューのようになっているが、車両自体は2009年11月から北京~上海で運行を開始していた。今回成都や重慶で運行を開始した車両も、推定ではあるが上海/杭州~アモイで代用座席扱い運用されていた物の転属と思われる。

編成は、

1号車(2等座)・2~8号車(軟臥)・9号車(食堂車)・10号車(高級軟臥)・11~15号車(軟臥)・16号車(2等座)

となっている。軟臥は以下のような感じ。

 

臥舗動車組の最大の問題は荷物スペースの狭さにある。通常軟臥は廊下の天井裏に当たる部分が荷物置き場となっているが、車高が低い高速車両なので置き場所は下段寝台の下に限られる。ただその分寝台下の荷物スペースは高さも高めなので、よほど巨大なスーツケースでない限りは収納が可能だ。
ただ1両に軟臥10室定員40名分を詰め込んだため、トイレや洗面所含めてギリギリの設計だが、こんな長距離運用なら満席になるのは稀なのだから、一部屋減らして荷物室を設置してもいい気がする。


17:15、D358次は定刻通りに成都駅を発車。達成線を東へ向かい始めた。この時点ではコンパートメントは上段2名と自分だけで向かいの下段は空いていた。また上段1名は隣の部屋と合わせての5人組なためにほとんど部屋にはおらず楽でいい。
ただこの5人組は何と犯罪者護送の私服警官なようで、隣の部屋の上段には手錠が寝台の手すりに固定された犯罪者の姿があった。実は鄭州から広州へ向かうT255次でも隣の部屋はこれだったのだ。今回は護送と縁があるらしい。しかし「収容所群島」などのストルイピン車両で護送されていた話を思うと、軟臥で寝て護送とは21世紀の犯罪者は恵まれていますな。


建設中の東駅からと思われる連絡線と合流すると、列車は一気に加速しほぼ時速200キロを維持しながら進む。達成線は2009年に複線電化が完工したが、旧線とは別線で直線化された複線が建設されたためほぼ3線区間となっている。



およそ50分で遂寧を通過。この遂寧で2006年開業の遂渝線が分岐している。この遂渝線開業で成都重慶間がほぼ最短距離で結ばれ、所要時間が大幅に短縮された。今では1日に動車組が10往復している。全便CRH1の重連運行で切符も買いやすい。

ふと考えてみると達成線の遂寧以東は2007年4月に通ったのが最初で最後であるのに気付く。成都を出る際の半分くらいは飛行機利用なのが原因だろう。

遂寧通過頃に車内販売が食事を売りにきたので購入した。この弁当は郷村基(CSC)という名前も外観もケンタッキーによく似た中華料理ファーストフードチェーン(四川や重慶に多い)の監修だそうだ。レンジでチンの弁当だが、一応4~5種類くらいは揃えているようだった。スープ付きで28元/38元。たぶん魚料理のが38元なのだろう。

 

味はまあまあ。ただ成都客運段管轄列車の食堂車のレベルの高さを思うと非常に物足りない。


そして18:39、定刻通りに最初の停車駅南充に到着した。ここはその07年4月に関口知宏とニアミスした場所だ。と言ってもたぶん駅周辺で生中継中に列車で通り過ぎたというだけの話だが。

南充で夫婦が乗ってきて結局コンパートメントは満室となった。上下で別の部屋だったのだが、奥さんは妊娠中なようで、上段に一人で乗っていたおばさんが隣の部屋へ移ってあげたのだった。どうやら切符は途中駅乗車も含めて端から埋めるように発券しているようだ。9号車の食堂車まで偵察に行ったが、進めば進むほど人の気配がしなくなっていた。


成都を出てからちょうど2時間半ほどで達州に到着。ただここは運転停車で客扱いは無い。でもなぜか録音の車内放送がある。達州は四川省北東部の中心で重慶から襄樊へ至る襄渝線と達成線が合流する場所だ。数分の停車ののち成都発南昌行きの列車と同時に発車した。同じ方向へ進んでいるが、あちらは先日開業の宜万鉄路経由なのだろう。

ここからは襄渝線をしばらく北上するが辺りはすでに真っ暗で何も見えない。時々すれ違う列車の明かりだけが闇夜に浮かび上がる。この襄渝線も2009年に複線化された。

上段の警官は相変わらず隣の部屋で仲間とカードゲームをしており戻って来ないが、まあそのうち戻ってくるだろうということで鍵は開けたまま21時過ぎには消灯して就寝体制に入った。


22:04、定刻より20分早く陝西省の安康に到着。ここは襄渝線・陽安線・西康線の3路線が合流する要衝だ。定時発車にするため30分くらい停車して発車した。ここからは進む方角を東に変える。
このあたりは初めて通った時は典型的な山岳路線だったが、複線化に合わせてかなり改良が進んでおり、ほとんど揺れもなく列車は進む。この辺りからは記憶が無い。


4時台に武漢の漢口に停車し6時過ぎには安徽省の合肥に到着した。廊下から人の声がするので合肥で降りる人も多いらしい。


 

7:11、定刻通り南京に到着。ここでかなりの人が降り車内はいよいよ閑散としてきた。部屋のブラインドカーテンを開けると外は雪景色だった。
南京で乗務員が無料配布の朝食を持ってきた。パンと牛乳のセットだが、なんでも案内冊子によれば開業初日、開業1週目はこれ以外にも記念品配布があり、この朝食は開業1ヵ月間の配布らしい。その後はどうするのだろう?(列車が無くなってたりして)

南京駅を出てしばらく走り滬寧城際鉄路に乗り入れた。ここからは最高時速の250キロをフルに生かすことになる。一面の銀世界の中を爆走し、鎮江、丹陽、常州、無錫と通過していく。

 

しかし蘇州を前にして無錫新区駅でなぜか臨時停車をする。しばらくして発車したが、続いて蘇州新区駅でも臨時停車。雪の影響だろうか?同室の夫婦は蘇州下車なので無錫を通過したあたりから準備をしていたが、なかなか着きそうにない。

結局25分遅れで蘇州に到着した。だが定刻では2分停車を蘇州駅もなかなか発車とならない。対向の南京行き高速動車組(列車番号からノンストップ便と思われる)も通過線上で停車した。
そうこうしているうちに、なぜか重慶北発と思しき臥舗動車組に抜かれる。さらに高速動車組にも抜かれた。そしてようやく発車。10分以上停車したことになる。



その後、昆山南駅構内と上海虹橋駅手前でも臨時停車し、結局ちょうど40分遅れの9:30に上海虹橋駅に到着した。あとで新聞を見たがやはりこの日は雪の影響で徐行運転が相当行われたらしい。

 

しかし上海で降りて思ったのは上海下車の客の少なさ。安い2等座すら蘇州までで降りた人が多いようでチラホラとしか降りて来なかった。ここまで出口への階段とエスカレーターが空いている虹橋駅も珍しい。まあおかげで一目散に出口を目指さなくていいので、のんびりできるのだが。


この後はそのまま地下鉄2号線に乗って静安寺の潜伏先へ向かったのだった。




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2 コメント

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D358乗車ご苦労様です。 (ぶんしゅう)
2011-01-22 20:51:17
D358ご乗車ご苦労様でした。私も2月23日から北京(T69)→哈密→三道嶺撮影→ウルムチ(K454)→成都→芭石鉄道撮影の後、3月7日に上海までD358乗車予定です。
CRH1Eは初乗車になります。CRH2Eと比べて車高が高いので居住性は良いと思っていましたがそれほどでもないのですね。餐車のメニューは、TVニュースでは本格的な中華料理が食べられると放映していましたので楽しみにしておりました。といっても放映されていましたのは焼飯等々で、以前乗車しましたT7/8と比べようありませんでした。レンジでチ~ンでは仕方ないですね。飛行機のビジネスクラスの料理には遠く及びませんね。
一時帰国されるまでの乗車紀行楽しみにしており舞うす。
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Unknown (dayuan)
2011-01-23 10:38:29
ぶんしゅう様。

どうも。いま浦東空港です。CRH2Eに乗ったことが実はないのですが、写真を見比べる限りではCRH1Eの方が車高が高いため特に上段の上下空間は広そうな気がします。ただボーゲン隊長曰く「差不多」だそうです。

残念ながら食堂車は夜遅くにのぞきに行っただけなのですが、一応コックらしき格好の人がしゃもじでご飯をよそっているのが見えました。ただあまり期待はできませんね。
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