鞦韆院落

北京で過ごすインディペンデント映画な日常

第五回中国独立動画電影論壇

2016-10-17 00:37:37 | 映画祭報告
毎年行われている中国独立動画電影論壇(China Independent Animation Film Forum)が今年も開催されました。
中国でフラッシュアニメの第一人者とされている皮三が代表をしているイベントで、今年が5回目となります。
今回は、798にある前沿芸術展演中心で10月13日から16日までの日程で行われました。





私はこれまでチャンスがなくて、今回初めて行くことができました。
初日に行ったところ、私は少し遅れてしまったので、すでに上映が始まっていました。
会場の入口には皮三が立っていて、中に入れてくれました。
でも、席はすでに満席で、通路に立って観ることに。



皮三はこのブログでも何度か言及したことがありますが、賈樟柯や王宏偉と学生時代に電影小組を作っていたメンバーの一人で、その後も『世界』でフラッシュアニメのパートを担当するなど、付き合いが続いています。
今は泡芙小姐というネットのアニメシリーズが人気で、798に自身の制作会社を構えて多くのスタッフを抱えているようです。

2010年の宋荘の映画祭のとき、アニメ特集を組んだことがあり、そのときに皮三にプログラマーをしてもらいました。
それがきっかけだったかどうかは知りませんが、その後彼は自分で映画祭を企画するようになりました。
毎回、コンペ部門をはじめ、国内外の優秀作品をたくさん上映しています。

第一回は劉健の『ピアシングⅠ』が参加した年で、いくつもの賞を獲りました。
ただ、インディペンデントの長編アニメはほとんど作られていないので、大部分は短編です。

中国では、大きな総合大学ならだいたいアニメ専攻があるくらいで、アニメ制作を学んでいる学生はたくさんいます。
なので、この映画祭にも卒業制作などがたくさん応募されてきます。
ただ、卒業後も引き続いてアニメをインディペンデントで作り続ける人は少ないので、コンペ部門の大半は学生作品となっていて、レベルが高い作品ばかりではありません。
でも勢いのある中国アニメですから、注目すべき作品もあります。
残念ながら、私が初日に見た作品の中には気になるものはありませんでしたが……。

中二日は用事があって行けなかったので、最終日に再び訪問しました。

今度は、入口のセキュリティチェック(空港のように手持ちの金属探知機で探られます)のところで、「腕輪はあるか」と聞かれました。
腕輪って?と聞いたら、チケットが腕輪になっているそうで、入場するにはそれを買わないと入れないのだそうです。
初日は皮三が入れてくれたので、買わなくても何も言われなかったわけです。

外にチケットを売ってる所があるというので、改めて買いに行ったのですが、チケットはなんと160元。
1日券とはいえ、かなり思い切った値段です。
学生チケットはもう少し安いそうですが、それでも半額にもらないようで、なのに超満員になるのだからちょっと驚きです。
チケットを買わずに入れる人もたくさんいるのでしょうけど。



中に入ると、今敏について語るトークショーをやってました。
この映画祭では、第一回から日本のアニメ作家の今敏氏を記念した今敏賞というのがあって、日本から招いた今敏の関係者であるゲストたちが審査員となって選ばれています。
第一回は『ピアシングⅠ』が受賞しました。
王宏偉曰く、皮三が一番好きなアニメ作家が今敏なのだそうです。

今回は、雷磊と陳蓮華がキュレーターをしていて、オランダアニメーション映画祭特集、韓国インディペンデント・アニメ特集、東京芸術大学作品部門や、山村浩二特集などの上映がありました。
また、午前中には各種の講座も開かれ、学生たちが多く参加していたようです。



私はこの日、山村浩二特集とオランダアニメーション映画祭特集を観ました。
そのあと閉幕式があって、各賞の受賞式があったのですが、あまりに段取りが悪くてビックリました。
全然リハーサルもしてないようだし、グダグダなんです。
これに比べたら、内モンゴルの映画祭のほうがよほど立派でした。
途中から見てられなくなって(どうせエントリー作品もほとんど観てなかったので)、退場してしまいました。
不思議なのは、授賞式に来ている観客もあまりいないのです。
授賞式って、あんまり重視されてないんでしょうか。

映画祭の印象としては、毎回上映では超満員だし、とても盛況です。
観客はほとんどが学生のようです。
私のような年齢の観客はほとんどいなくて、いても関係者。
ちょっと居心地が悪くなるくらい、若い人で溢れています。
前回まではあまり会場も良くなかったと聞きますが、今回は会場の環境も含め、非常に良かったと思います。
まあ、作品によっては上映素材に問題があったりしましたが。
ゲストのトークやQ&Aも充実していて、質問も盛んに出ていたし、学生にとっては身になる内容だったと思われます。

ただ、気になったのは通訳です。
もう少し経験のある通訳を用意すべきですね。
たぶん、海外でアニメを学んだ経験のある人とか、それなりの人を選んだつもりなのだろうけど、英語にせよ日本語にせよ、通訳がお粗末で残念でした。
今敏トークショーでは中国人の司会者が通訳を兼ねていて、ゲストと司会者が5分くらい日本語で話した後で、司会が何を話していたか1分くらいで説明するという流れが続いて、観客にとってはかなり退屈な進行だったと思います。
やはり通訳は大事です。
せっかく良いゲストが来ているのに、話の半分も伝わってなかった感じで、勿体なかったです。

ところで今回のキュレーターの一人である陳蓮華が、今度札幌で開かれる新千歳空港国際アニメーション映画祭2016で中国のインディペンデントアニメを紹介するようなので、興味のある人は是非足を運んでみてください。

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