思考ダダ漏れ

なんとなく書こう

蜘蛛

2017-09-19 18:15:41 | 日常
ここ一週間ほど、俺の喉には蜘蛛がいる。俺はそいつが巣を張るたびに吐き出している。だが、あいつは寝ている最中も貼り続ける。目を覚ませば息苦しさを覚え、首元を締めて吐き出さなければならない。そいつは初めこそ黄緑色の巣を張っていたが、近頃は透明な気泡まみれの粘液を用いるようになった。それでも健康を気遣っているとは言いがたいが。
  蜘蛛はこの時期なると定期的に寝ている俺の鼻の奥に入り込む。あいつは眉間をかち割れば出ていくに違いないが、俺にそれができないことをよく分かっている。
  彼女は巣作りに時間をかけすぎると、俺は頭痛や吐気や睡眠障害を患う。それは彼女が密かに出産の準備を整えているせいなのが、俺には手に取るように分かる。あいつは俺の鼻の奥で気ままに暮らした挙句、子を捨てて家を飛び出して行くんだ。子は俺の鼻をかんだり、痰を吐き出す勢いにやられて飛び出し、ティッシュの上で干からびて死ぬ。それが毎年繰り返される。彼女はそろそろ出産の時期に達し、その膨らませた尻を振っては鼻奥の壁にぶつけてくる。産みたくて仕方がないんだ。

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