●焚火の終わり 上 宮本 輝/著 集英社
妻を喪った茂樹と異母妹の美花。
茂樹の母が遺したノートに綴られた謎の言葉と差出人不明の葉書。
美花が育った家にある一枚の異様な写真。美花の出生をめぐってめばえるいくつもの奇妙な謎と秘密。
ふたりの想いはやがて…。
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●焚火の終わり 下 宮本 輝/著 集英社
出生の秘密をめぐってさまよう異母兄妹の茂樹と美花は、
心安らぐ懐かしさとぬくもりを求め、越えてはならない河を渡った。
茂樹は会社を辞し、美花と岬の家で生きる決意をする。
詮索は終わりにしようと思ったふたりだったが…。
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★★★★★
異母兄妹だったのか、そうでは無かったのか?
うやむやな状態からの心の決断。
作者には珍しい、エロチシズム漂うストーリー展開。
やっぱり上手な作者だと再確認。
●田舎のパン屋が見つけた「腐る経済」 渡邉 格/著 講談社
お金中心の「腐らない」経済から、発酵を繰り返す「腐る」経済へ。
「不思議なパン屋」が起こす、静かな革命とは。祖父と父の教え、田舎の自然の恵み、古民家に棲みつく天然菌…。
すべてが一つになった奇跡のパンの物語。
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★★★★★
めずらしくドキュメンタリーな一冊に手を出してしまった。
でもこれがなかなかに面白い!
パン好きな方も、経済に疎い自営業者さんにも
読んでみて欲しい一冊です。
●ひなた弁当 山本 甲士/著 中央公論新社
27年間勤めた会社をリストラされ、妻や娘からも愛想をつかされた芦溝良郎49歳。
自信も誇りも居場所もない彼は絶望の毎日を過ごすが、
ある日、拾ったドングリを食べてみようと思い立ち…。男に明日はあるのか?
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★★★★☆
リストラに遭った冴えない中年男が
ある日、身の回りにある自然の恵みに気がつく。
そしてそれらでお弁当をつくり充実する日々を手に入れる。
ありそうでなかった、ある意味でのサバイバル。
面白いです。
●完璧な母親 まさき としか/著 幻冬舎
幼くして死んだ兄の代わりに産み直された妹は、母の絶大なる愛情を注がれ空洞として生き続けている。
やがて兄の死の秘密を知るもうひとつの家族の告白が波琉子を揺さぶる-。感涙のミステリ書き下ろし。
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★★★★☆
子の人格形成に深く関わるのは一般的には母親。
その母親によるしつけや毎日の生活。
その中で形成された歪んだ子ども4人(5人)が大人になり交わる。
母とは、子とは、そして心を育てていくのはいったい誰なんだろうか。
そんなことを考えさせられたミステリーです。