紫のオルフェ~何でもかんでも気になる音楽、名曲アルバム独り言

ジャズ、ラテン、クラシックを中心として、名曲、アルバム演奏者を紹介します。&私の独り言を…

この色香漂うジャケット…新主流派の傑作アルバム…ボビー・ハッチャーソン~ハプニングス

2007-11-08 23:21:09 | ジャズ・ビッグバンド・その他
ショッキング・ピンクの色地にモデル風美女の魅惑的なアルバム・ジャケット。

演奏は?と言えば、これもジャケットに負けぬ新主流派の王道的な名演奏。
収録曲には、名曲「処女航海」も有ります。

そして、参加ミュージシャンも、当時のブルーノートの革新的な若手メンバー揃いの上、アルバムリーダー「ボビー・ハッチャーソン」のヴァイブと、「ハービー・ハンコック」のピアノが高次元で、交錯し飛翔する…。

60年代中期を代表する1枚でしょう。

アルバムタイトル…ハプニングス

パーソネル…リーダー;ボビー・ハッチャーソン(vib、marimba、trk、等)
      ハービー・ハンコック(p)
      ボブ・クランショウ(b)
      ジョー・チェンバース(ds、vib、trk)


曲目…1.アクエリア・ムーン、2.ブーケ、3.ロジョ、4.処女航海、5.ヘッド・スタート、6.ホエン・ユー・アー・ニア、7.ジ・オーメン

原盤…BLUE NOTE ST-84231  発売…EMIミュージック・ジャパン

CD番号…TOCJ-7030

演奏について…最も有名なのは、ピアニストとして参加の「ハービー」が作曲した名曲「処女航海」の4曲目であろう。
ここではドラム「チェンバース」が幾分派手目にタイム・キープするのだが、「ハッチャーソン」のソロは、原曲の美しさを活かした、とてもスタンダードな解釈&演奏で、作曲者「ハンコック」に敬意を表した形になっています。
「ハンコック」も自分は一歩引いた形で曲に向かっており、(かなり客観的に曲を分析して演奏している様で)思索的な一曲に仕上げています。

このアルバムで一番の聴き物は、「エリック・ドルフィー」の「アウト・トゥ・ランチ」から、諸に影響を受けている様に聴こえるラスト曲「ジ・オーメン」だと思う。
決して聴き易い曲では無いが、ドラムス「チェンバース」がアヴァンギャルドな序奏を始めると、続く「ハンコック」が、もっと過激に曲を展開させる。
その後は「ハッチャーソン」が、360度に向けて、ヴァイブによって、異彩の空気をばんばん放出する。
効果的に使用される、トライアングルも良く考えられて使っています。
とにかく「ハッチャーソン」と「チェンバース」のデュオ的な演奏の緊張感は半端では無く、「ハンコック」のピアノも思わず躊躇うのでは?と思うぐらい、行っちゃってるんですよ。
正に異次元空間にタイム・トリップする1曲です。

オープニング曲「アクエリア・ムーン」…硬派で良いですよ。
スタートから「ハッチャーソン」が飛翔の如く、ヴァイブを敲き捲るのですが、バックのベース「クランショウ」が、渋く且つハードにベースラインを刻み続けて、「ハッチャーソン」を強烈にドライヴィング&アシストする。
皆を煽るドラムス「チェンバース」のタイム・キーピングも良い味を出してますよ。
そして、中間からは「ハンコック」が、煌びやかでセンス抜群のアドリブ・ソロをガンガン弾き捲ります。
「ハッチャーソン」と「ハンコック」のバトル合戦がまじに聴き所です。
フィナーレは静かに終えた様に見せといて…もう一回サプライズが…。
うぅーん、カッコイイ!!

2曲目「ブーケ」…序奏は「ハンコック」&「ハッチャーソン」の、静寂のバラッド演奏から始まる。
この不思議で、幻想的な余韻の感じる演奏は、やはりヴァイブと言う楽器の持つ魔力なのか?
このピアノとヴァイブが奏でる異空間…他では真似できないでしょうね。
特に「ハッチャーソン」のアドリブが、とてもハイ・センスで聴かせ上手だと思います。
「ハンコック」は、美音でリフレインを効果的に使用して、曲の幻想さをより輝かせていて、好感が持てますね。
アルバム中、個人的には一番好きな演奏でしょうか?

3曲目「ロジョ」…ラテン・リズムをバック・ボーンにして陽気に「ハッチャーソン」と「ハンコック」がやってくれます。
この二人のアドリブの魅力もたっぷりなんですが、それ以上に冴えているのが、ラテン・リズムを抽出しているドラムス「チェンバース」です。
ハイハット、シンバルワーク、バス・ドラと適材適所に効果的な一発を入れて、曲の核をしっかり作っています。
終盤の「クランショウ」のアドリブ・ソロ…こいつもカッコイイんです。
ラテン大好きな私はお気に入りの一曲になっていますよ。

5曲目「ヘッド・スタート」…都会的な雰囲気抜群の高速4ビート曲です。
こう言ったリズムの曲だと、ベーシストの独壇場になりますね。
とにかく「クランショウ」のびんびんベースが聴いていて、痛快ですよ。

6曲目「ホエン・ユー~」…短曲ですが、とにかく良い曲です。
何が良いかって?
それは、メロディが「貴方と夜と音楽と」を彷彿させるメロディアスな曲で、「ハッチャーソン」の幻想的なヴァイブと「ハンコック」の抑制したピアノのリリシズムが見事に融合されていて、胸が締め付けられます。
もう一寸演奏して欲しい…もう一寸聴きたい…佳曲です。


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