紫のオルフェ~何でもかんでも気になる音楽、名曲アルバム独り言

ジャズ、ラテン、クラシックを中心として、名曲、アルバム演奏者を紹介します。&私の独り言を…

ジャズ界の超異色アルバム…フィリー・ジョー・ジョーンズ~ブルース・フォー・ドラキュラ

2007-10-06 09:32:25 | ジャズ・ビッグバンド・その他
私の大好きな、スーパー・ドラマー、「フィリー・ジョー・ジョーンズ」がリーダーとなり、ドラキュラ俳優、「ルゴシ」の声色を「フィリー・ジョー」が真似て、口上(語り)を入れたのが、タイトルになった1曲目「ブルース・フォー・ドラキュラ」である。

まぁ、表題曲以外は、珍曲・珍演ではなく、いかにもリバー・サイド・レーベルらしい、ハード・バップ・セッションがなされた好演が多いので、只の異色アルバムには留まってはいない。
参加メンバーも良いメンツが揃った、セクステットですよ。

アルバムタイトル…ブルース・フォー・ドラキュラ

パーソネル…リーダー;フィリー・ジョー・ジョーンズ(ds)
      ナット・アダレイ(cor)
      ジュリアン・ブリースター(tb)
      ジョニー・グリフィン(ts)
      トミー・フラナガン(p)
      ジミー・ギャリソン(b)

曲目…1.ブルース・フォー・ドラキュラ、2.トリック・ストリート、3.フィエスタ、4.チューン・アップ、5.オウ!

1958年9月17日 NY録音

原盤…RIVERSIDE RLP12-282  発売…ビクター音楽産業
CD番号…VICJ-23772

演奏について…表題曲である実験的な珍作、「ブルース~」は、やはりと言うべきか、とても面白く、且つかなりの名演である。
聴き所の一つは、「フィリー・ジョー」の語り部パートが、演奏の大半を占めていて、その語りも真に板についていて、ドラキュラを怖く&ユーモアに表現している事と、勿論、彼自身の真骨頂、超絶ドラムも堪能させてもらえる事である。
その後続く、各人のソロパート「ブリースター」のトロンボーン、「グリフィン」のテナー、「ナット・アダレイ」のコルネット、そして「フラナガン」のピアノと全て短めながら、好フレーズが多く、この辺が第二の聴き所でしょう。

2曲目「トリック・ストリート」は、一寸、メロディが「ウィスパー・ノット」を連想させる小品佳曲で、寛ぎのハード・バップを聴くのには丁度良いかな?って感じです。
特に「グリフィン」の骨太なアドリブも良いですね。

3曲目「フィエスタ」…私的には、この曲がアルバム中、ぴか1のお薦め曲でしょうか。
冒頭のラテンチックな「フィリー・ジョー」のドラミングに導かれて、相変わらず「グリフィン」が、ぶいぶいと豪快にアドリブソロをかます。
次いで「ナット・アダレイ」が、コルネットながら、とても煌びやかなソロを軽快に吹き切る。
その後の「ブリースター」のソロが、また良いんですよ。
何が良いって言うと、音色が良いんです。
「カーティス・フラー」や「JJ・ジョンソン」のウォーム系とは異なり、かなり明るい音色の「トロンボーン」が、個性を醸し出しています。
〆は何と言っても「フィリー・ジョー」が、すごテク出し捲りの、超絶ドラム・ソロで決めてくれます。
一言で言うなら、正しくハード・バップの規範的な演奏ですね。

4曲目「チューン・アップ」は、「マイルス」作品なので、ここでの主役はやっぱり「ナット・アダレイ」です。
かなり、高速な曲なんだけど、テクニック抜群で運指して、スタート・ダッシュに成功すると、受ける「グリフィン」のソロもそれ以上の聴き物です。
とても、パワフルでエキサイティングな演奏をしています。
「ブリースター」は、トロンボーンだとこのリズム速度は、好演はしていますが、正直かなり苦しい感じです。
「真打」「フィリー」は、ここでも剛打連発!
アルバム・リーダーとしての責務を果たしますよ。

終曲「オウ!」では、今迄完全に影役に徹していた「ギャリソン」が、バックでありながらも、チョコッとベース・ラインで自己主張をしてくれます。
もう一人の脇役・職人ピアニスト「フラナガン」も、この曲ではソロを弾く場面が有り、「トミフラ」らしい、繊細な好フレーズのシングルトーンを繰り出して、曲の品がグーンとアップするんだなぁ。
「ブリースター」はキレのあるフレーズで曲を推進し、「グリフィン」は雄大なソロを取り、「ナット」の出来も素晴らしい。
ここでも最後は「バンマス」「フィリー・ジョー」が、華麗なドラミングで曲を纏め上げます。
相変わらず「時」と「空間」を完全に掌中にした、マジシャン(イリュージョン)の様な素晴らしいドラムに完全に魅入られますよ。

タイトルは異色盤と思いますが、2曲目以降は真面目にハードバップの名演・名盤と言って良いでしょう。


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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
これ気になっていたのですよ (garjyu)
2007-10-06 13:28:01
おはようございます。
このアルバム、ジャケットといい、面子といい、気になっていました。
『とんでも珍盤かもしれないけど・・。』とおびえていましたが、えりっく$Φさんのお墨つきということで、どこかでみかけたら手にいれます。
LPで持ってたんですが・・・。 (加持顕)
2007-10-06 21:46:28
こんばんわ、加持でございます。

LP手放してしまったので記憶を頼りにコメントします。

表題曲、ブラシでコウモリの羽音を真似していましたよね?その辺の気合の入れようが素敵です。

他、ナット・アダレイの意外なほどの好演が印象に残っています。

gariyu さん、買って損は無いと思いまーす。
レス、いつもすいません。 (えりっく$Φ)
2007-10-06 23:48:38
garjyuさん、こんばんわ。
いつもありがとうございます。
このアルバム、ジャケだけでも、興味引き捲りですよね。
演奏は、真面目に良いと思います。
是非、GETしてみて下さい。

加持さん、モブレーのコメント、ありがとうございます。
皆様に紹介するには、一寸渋すぎでしょうかね。
しかしながら、この「ブルース・フォー・ドラキュラ」同様、名盤紹介には、とても出て来そうにも無い、アルバムを紹介するのは、私の天命かなっ?なんて生意気にチョコっとだけ思っています。
また、コメントお待ちしております。

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