アメリカGAYライフ American Gay Life by an expat Japanese

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自分を知るということ

2006-08-21 15:00:48 | ゲイ事情
「窓際に座る?」と言いながら、その反対側の窓が見える席の背もたれに一旦、手を置くデービッド。でもとっさに思い直して背もたれから手を離し、その席を僕に譲った。

これは観劇した後、二人で近くのレストランに行ったときのこと。結局、僕が内側で窓の外の景色が見える席に座ったけど、その後も、デービッドは納得いかない様子。

「90度椅子をずらして、窓と平行にする?そうすれば二人とも外が見える」と、かなりしつこい。

しかも、このレストランは内装もしっかりとしたやや高めのお店。観劇後で10時を回っていたこともあり、店内にはほとんどお客さんがいなかったけれど、勝手に座席のレイアウトを変えたりするのなんて非常識。

窓の外が見える席に座りたい、だけど今晩はタイに譲ろう。だけど、やっぱり窓の外が見える席に座りたい、っていうデービッドの葛藤・・・まるでお子様。


劇が始まる前の数分間、僕らが話をしていたときも、デービッドは自分のことしか話さない。僕らが別れた直後、僕はヨーロッパ旅行へ、そしてデービッドはタイランドとカンボジアへ旅行に行っていた。そのことを覚えていた僕は、その旅行がどうだったか聞いてみた。そうしたらノンストップで自慢話。

デービッドのフランス人の知り合いがバンコクで働いていて、彼のゴージャスな家に泊まったとか、グッチやプラダなんかのブランドものがアメリカで買うより安かったからショッピング三昧だったとか。一方的な自慢話を聞かされ、辟易する僕。それにまったく気がつかずに話し続ける彼。

まったく変わってないなぁ~ホントに。ま、「三つ子の魂百まで」という言葉があるけど、人間って、根本では変わらないらしいね。変わるんじゃなくて気がつくんだって。「気づき」が人の行動を変えるようになるっていうのを物の本で読んだことがある。だけど、デービッドって、自分の行為が相手にどう受け止められているかとかまったく気がつくことがなさそう。

デービッドの自慢したがり症はかなり深刻。

レストランでも、去年転職した先の仕事をかなり気に入っているということも延々と聞かされた。だけど、デービッドがその仕事を好きという大きな理由が、給料がいいから。大会社の顧問弁護士のポジションで、今、担当している案件が7億5,000万ドル(約800億円)の売買契約についてなのだとか。

「昨日、会社の副社長から電話がかかってきてさー。契約方針を変更することにしたから、契約書を書き直してくれないかって言われたんだ」とニヤニヤしながら自慢げ。

この高めのレストランに入るときも、入り口のメニューを見ながら、デービッドは僕に、

「少し高いけど、君はここでもいい?」と聞いてきた。もちろん、自腹だから僕が払える料金か聞いてきたわけ。僕は、

「大丈夫。払えるからここにしよう。デービッドはここで大丈夫?」

「ちょうど今日、今月の給料が出たところだからOK」

あんただったら、給料日じゃなくてもこれくらい簡単に払えるだろー!とドつきたくなった、まじ。自分の会社がいかに大会社でやってる仕事も大金がからむものかを自慢する彼ですが、支払いに関してはケチケチ度はまったく変わりなし。一人15ドルの観劇チケットも当然、割り勘だった。

しかも、夕食時、仕事の話が流れに流れてクレジットカードについてになった。するとデービッド、

「僕、1万ドル単位のクレジットカード・ローンを抱えてるんだよ、実は」とのこと。それに対して、僕はすかさず、

「でもそれって、利子が0%のやつでしょ?」と言ってやった。

「え?何で知ってるの?僕、もう話したことがあったっけ?」

ケチなデービッドが何十%もある年利を払ってまでクレジットカード・ローンなんて組むわけがない。しかも、ジミーも同じように年利0%のクレジットカード・ローンを使っていた。この二人、実はとても似てるかもしれない・・・。


帰りの車の中で映画について話していたとき、意見の食い違いが(また)あった。するとデービッドは運転しながら、

「僕ら、この映画についてまた大議論を繰り広げるわけ?」と、警戒メッセージを発してきた。

僕が三行半を突きつけた理由について、デービッドなりに考えてはいたんだろう。確かに、デービッドとはあまりに議論が絶えなかったというのが僕が愛想をつかした最大の原因の一つだけど、すべてじゃない。デービッドはとにかくお子様。①自慢話好き、②たちの悪い議論好き、③思いやりに欠ける言動、そして④ケチ。②については「気づき」があったようだけど、残りについては絶望的。

僕の家はデービッドの近所なのに、結局、自分の家に直行して僕の家の前で降ろしてくれなかったし!ブー・ブー、失格!ジミーですら、ちゃんと僕の家の前までいつも送ってくれたのに。しかも犯罪が増える夏の週末夜ということも一切、考慮なし。だめ男君の烙印10個くらいヤツの背中に押してやりたい。

デービッドのマンション前で別れるとき、饒舌なデービッドらしからず無口になった。なので僕のほうから、

「今晩は誘ってくれてありがとう。じゃ、おやすみ」と言った。デービッドも「お休み」と言って僕らは握手をして別れた。


ヤツは一生一人の人生だね。あんなのに付き合うのは時間のムダ!誰も相手にしてくれないから僕に1年ぶりにお声がかかったっていうのが僕の読み。たぶん、的中。もう勝手にやってくださいよ。ホントに。ただ可愛そうなのが、誰もデービッドにどこが欠点かっていうのを言わないんだろうね。僕が別れ際に何が理由かを言おうとしたときも、「whatever, whatever」ってまったく聞く耳持たなかったからね。プライドが高い人ほど、「気づき」がなくって改善の余地がないんだろうな。まことにオメデタイ。


さて、僕の夏はこれから。来週からメキシコへスペイン語を勉強に行ってきます。ついでに、日ごろのしがらみから距離を置いて、ゆっくりとした時間を感じに。

■ ■ ■新作映画情報■ ■ ■



昨日観た、新作映画、「Little Miss Sunshine」が、笑えて、泣けて、新鮮だった。ゲイのおじさんが登場するっていうことに興味ひかれて見に行ったのだけど、それとは別のところで予想以上の出来栄え。

ポンコツのフォルクス・ワーゲン(VW)のバンでロード・トリップをする家族の物語。それぞれ挫折を味わい、家族としての絆がとぎれそうになっている状態を、ポンコツで壊れかけのVWが象徴的に表現している。家族のメンバーは、文字通り、それを一緒になって押して前に進もうとする。「人生は苦しいもの。だけど苦しいときにこそ人は成長する」っていうそのメッセージに、胸がきゅんとなった。

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1 コメント

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Little Miss Sunshine (グリンピース夫人)
2006-08-27 05:34:12
私もこの映画試写会で観ました。ブラックな笑い、サイコーでしたね!! あのお爺ちゃんとかもイイ感じだし。久々に満足の4つ星映画でした。
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