夢かよふ

古典文学大好きな国語教師が、日々の悪戦苦闘ぶりと雑感を紹介しています。

大炊殿

2014-04-25 23:19:19 | 旅行
下鴨神社は、上賀茂神社とともに、来年式年遷宮(しきねんせんぐう)を迎える。
これは、二十一年ごとに御本宮以下の社殿を造り替えることだが、社殿の多くは国宝・重要文化財であるため、現在では大修理をもって式年遷宮に替えている。
「下鴨神社の年中行事と式年遷宮」は、その記念として行われる特別展であり、第1回「みあれのまつり-御蔭祭と賀茂祭(葵祭)」が現在開催中である。(6月下旬まで)
毎年行われる、5月12日の御蔭(みかげ)祭と、5月15日の賀茂祭(葵祭)に関する当社所蔵の資料が展示され、『賀茂葵祭絵巻』(江戸時代中期)が初めて公開されるというので、楽しみにしていた。


会場は、神社境内の西端にある御車舎資料館で、そのすぐ隣にある重要文化財の大炊殿(おおいどの。写真)も、普段は入れないが特別公開(共通券が必要)となっている。
大炊殿は、毎朝神前に捧げる供え物や、すべての年中行事の際の食材を調理する「神様の台所」である。
大きな竈や、大釜、水桶、臼などがあり、ここで神に献じられる御飯、餅、長芋、昆布などを煮炊きしていたのかなと思う。
庭に出ると、桂の木の新緑がまぶしい。


この辺りにはもともと、葵祭などの年中行事の際に斎院(賀茂社に奉仕する未婚の皇女)が滞在する御所があったが、応仁・文明の乱の兵火で消失し、大炊殿や葵の自生する「葵の庭」だけが再現されたのだという。
この葵(フタバアオイ)は、賀茂神社の祭事に用いられ、同社の社紋でもある。
「葵の庭」の由来を説明する立て札に、賀茂斎院であった式子(しょくし)内親王が詠んだ、
  忘れめや葵を草に引き結び仮寝の野辺の露のあけぼの(新古今集・夏・182)
の歌が紹介されていた。これは、葵祭のために式子内親王が賀茂社の神館(かんだち=神事や潔斎のためにこもる建物)に泊まった際の作とみられる。


「葵の庭」に咲いていたイカリソウの花。
船の錨にたとえられる変わった形の花だが、淡い紫の色でとてもかわいい。

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