ぶつぶつ地蔵

地蔵 呟く ひーの言葉を。ぶつぶつと…。

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No More War

2006-09-11 15:06:17 | 舞台関係
何年越しだろう。何で知ったんだろう。
ともかく、この作品は随分前から知っていた。なんとなく、ずっと気になっていた。
98年にオフ・ブロードウェイで上演したというニュースをテレビで見た。その時、「絶対観てみたい」作品になった。
「絶対観てみたい」からといって、情報を集める訳でもないトコロがズボラなオイラなのだ。お陰で毎度観る機会を逃してきた。(気付いたら終わってた・・・みたいな^^;)
今年は上演前に知る事が出来た。なので、迷わずチケットを押さえた。
そして9月10日にこの衝撃の舞台を観たのだ。

『THE WINDS OF GOD ~零のかなたへ~』

8月1日。東京駅で一人の男が老神父と出会う。
神父は全国にある仲間の墓参りをしている。
どこかで見たことのあるようなその老神父に、ふとした事から懺悔をすることになった男。
男の一年前の体験が懺悔として語られる。

兄貴とキンタは「お笑い名人大賞」を夢見て上京してきた漫才師である。
今はまだ、ストリップ劇場の前座の漫才をしている二人。いつでも自分に引っ付いているキンタが兄貴には可愛くて仕方が無い。しかしキンタの行く末を案じ、覚えが悪いキンタとのコンビを解消してキンタを田舎に帰そうとする。んが、結局、キンタの根性に負けて、兄貴はコンビを再結成する。
二人が、二人だけのナナハンに乗って再結成を喜んでいた時、トラックに突っ込み事故ってしまう。二人のナナハンはチャリンコだった。

次に目覚めた時、二人は1945年8月1日の岸田中尉と福元少尉として目覚めた。
岸田と福元として目覚めたものの、中身は兄貴とキンタである。状況にはなんとなく溶け込むものの、平和な時代に生まれ育った二人は時代に溶け込めるはずもなく。。。
彼らを取り巻く当時の若者は、寺川中尉、松島少尉、山本少尉である。あとは分隊長。
軍では事故のため、記憶消失になっているとされている二人であるが、大学で輪廻の研究をしていた山本が、どうやら事故の衝撃で時間に歪が生じ、前世の自分に魂が来てしまったのではないか、という仮説をたてる。
「嫌なことからは逃げればいい。」「知らん振りしてやり過ごそう。」「いつか現代に帰れるまで仕方ないや」そんな姿勢だった二人が、時代に揉まれて知られることの無かった特攻の心と接するうちに、また、そんな時代を生きている人の心に触れるうちに、本来あるべき岸田と福元の心を感じ出す。

仲良くなった山本も、分隊長にキリスト教を捨てるように言われても尚捨て切れなかった松島も、岸田(兄貴)といつも対立していた寺川も、特攻として散っていった。

そうして、いつも自分の後ろをついて回っていたキンタが言った。
「特攻に志願する」と。

以前山本が岸田(兄貴)に「福元少尉に返しておいて下さい」と言って渡した福元少尉と妹の写真。この写真に写っていたのは、キンタの若い頃の母だった。
キンタはこの写真を岸田(兄貴)のベットを整理していて見つけた時に解ってしまった。福元の心が。散っていった仲間の心が。
「兄貴が隠していた気持ちはわかる。でも、僕を産んでもらうために、この人を守らなあかんのや」
兄貴は解っていた事を認めざるを得なかった。キンタの心も仲間の想いも。そして、同じ時代に同じ人格が存在できないことも。

晴れ渡った青空に、二人の乗ったゼロ戦が駆けてゆく。
大切なものを胸に抱いて。


そうして兄貴は2005年の8月15日、東京の病院のベットの上で目覚める。
横のベットにはキンタが静に眠っていた。
それから一年。兄貴の懺悔が終わった。。。時には老神父は居眠りを(笑)
結局、なんとなく会ったことのあるような老神父は、松島少尉が最後に焼き捨てて欲しいと言って分隊長に残していった聖書によく似た聖書を抱えて立ち去る。

兄貴のとなりに身重の女性が座る。
キンタを亡くした兄貴は、漫才師を諦めてくにに戻ろうとしていたが踏みとどまる。
リーインカーネーション。
きっと、キンタとはまた出会えるから。



ってな感じのお話。オイラの見たときの感覚も込みですが^^;
誰が一番良かったって、キンタです。頼りない金魚の糞だったキンタが、どんどん福元としての表情を身につけて行く。そして最後は福元ともキンタともどっちともつかない表情で機体に乗り込む。
兄貴がずっと兄貴のままで居続けているので、キンタの成長が非常に感じられるんだよね。素敵でした。
そして、山本少尉のつぶらな瞳も良かった。この人がいたからこそ、二人はこの時代の心を感じる事が出来たのだと思う。
漫才なんかもあって、すっごく笑えるんだけど、ラストは号泣。ハンカチがビシャビシャになるまで泣いたのは、『夢の人』以来かもしれん。。。
最後にカテコで今井さんが枯れた声を押しておっしゃった言葉にも号泣。
「この芝居は本来、風化されて必要とされなくなるべき話なんです。それが、いまだに必要とされる。」
「ずっと叫び続けてきた言葉、No More War」

本来封印されるべき時があったこの作品。
5年前の今日起きた9.11事件に関する記事で書かれた「KAMIKAZE ATTACK」。
今井さんはもう一度上演することを決意したそうです。本当の神風を知ってもらうために。
その公演も今回を持って終了されるとか・・・

続演の切っ掛けとなってしまった9.11事件
9.11及び戦いによって犠牲になられたすべての方々のご冥福をお祈りいたします。

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