『将来何が起こるのかは、誰もわかりません。先のことばかり不安がっていては、今日、負けてしまうかもしれない。お茶を飲む楽しさを失い、楽しいおしゃべりの相手も失ってしまうかもしれない。一年後に起きて欲しいことで頭がいっぱいになって、庭に咲きかけた今日の蕾の美しさ見逃してしまうかもしれません。15歳の時にクローン病を患い「40歳まで生きられない」と宣告されながらも、その後50年以上も生きる小児科医師レイチェルの、この言葉は、深い。
このようにして人生で失うことはたくさんあります。将来に焦点を会わせ、集中しすぎるあまり、隣に居る人との友情を分かち合うことができなくなる。
生命を脅かす病を得て初めて、どうしたらよく生きられるか、に気づく、発見することがたびたびあるのは、そういうことだからではないでしょうか?』(医師レイチェル・ナオミ・リーメン)【柳原和子・著“がん患者学 Ⅲ”(中公文庫)】より
人間だからこそ、生と死を考えることが出来る。
でも、多くの人は漠然と生と死に悩み恐れながら今を生きているのではないだろうか。
もし、私自身ががんと診断されなかったら、
レイチェルの言葉に決して巡り会うことはなかったと思う。
まさに「気づく、発見する」機会を与えてくれた病に、感謝したい。