写真は20年以上も前のものとなりました

つれづれなるまゝに日ぐらしPCに向かひて心にうつりゆくよしなしごとをそこはかとなく書きつづっていきます

2020年09月19日 | 随想

 

旧暦のお盆盂蘭盆、7月14日~16日)は、今の暦では9月1日からの3日間になるということだったが、同じように、「中秋の名月(旧暦8月15日)は、今年は10月1日のお月さま、である。

 

今年の名月は満月の前日となっているが、「十五夜」と「満月」というのは必ずしも一致しない、ということがリンク先の少し下の部分に解説してある。

つまり、「十五夜」というのは「新月の日を1日目としたときの15日目の夜」ということであり、「満月」というのは「月が望、つまり地球から見てちょうど太陽の反対方向を通る瞬間」のことを意味する天文学用語である。

2020年の「中秋の名月」は「満月」の前日だったが、直近では2013年9月19日(旧暦8月15日)が「満月」の「十五夜」となっており、この後、2021年9月21日(旧暦8月15日)、2022年9月10日(旧暦8月15日)、2023年9月29日(旧暦8月15日)の3年続けて「中秋の名月(十五夜)」が「満月」になる、という珍しい現象が続くことになる。

 

ちなみに、「中秋」というのは、秋のちょうど真ん中の日ということを意味している。

旧暦では7・8・9月(現在の暦の8・9・10月頃)が「秋」となっており、7月は「孟秋」(孟は「はじめ」の意味)、8月は「仲秋」、9月は「季秋」(季は「末」のこと)と呼んでいたので、「仲秋」と書けば8月全体を指すこととなる。

なので、厳密に言えば「仲秋の月」にはいろんな形の月があるので「名月」と言った場合でも「満月」の他にも、いろんな月齢の月を指す、ということになる。

「この月の月」という名月は「中秋の月」でなければならぬ、という訳だ。

 

「仲秋」の他にも、陰暦8月を表す別名・異名としては、「葉月」がよく知られるところだが、その他にも、「清秋」、「盛秋」、「竹春」、「酉月」、「月見月」など、数多くの異称があり、「燕去月(つばめさりづき)」というのもある。

 

月の名には「」の字を使っている訳だが、二十四節気白露の末候(9/17~9/21頃)は玄鳥去(つばめさる)と、ツバメに「玄鳥」という字を当てている。

」というのは「黒色」や「赤みを帯びた黒色」を表す漢字であり、「黒い鳥」といえば真っ先にカラスを思い浮かべるのだが、ツバメはエサをやるときのホバリングやエサを捕るときの飛行能力など、如何にも飛ぶことに関しては玄人(くろうと)はだしのトリだ、ということで「玄鳥」と名付けられた・・・、のかもしれない (^_^);。

 

同じく七十二候の第十三候には「玄鳥至 (つばめきたる)」(4/4~4/8頃)というのがあり、まぁあ、その時期のツバメの(さえず)りのやかましさといったら尋常のものではない。

朝早くから「チュピチュピチュピ ジーッ. チュピチュピチュピ ジーッ」っと、カラダに似合わない大声なのだが、その鳴き声の意味としては、メスを呼ぶためや、他のオスが近寄らないように警告しているんだとか。

 

それだけ騒がしかった玄鳥(つばめ)が去る時期というのは、季節の移り変わりとはいえ、いと寂しという感覚になってしまうというものだ。

 

思い起こせば、先日の豪雨の際、電線に止まっていたツバメが、豪雨に対してどのような行動を取るかをじっくりと見ていたんだが、濡れ続けた十数羽のツバメのどれもが一斉に羽根をバタバタさせて、濡れる水滴を払い落とすしぐさをしていた。

あまりにも一斉に同じ行動をするもんだから、ある意味、ヒゲダンスを踊っているように見えないこともなかった。

雨宿りできる場所へ飛んで行くわけでもなく、じっと雨に濡れるにまかせるでなく、ブルブルッと雨を払い除ける、というのはある意味、驚きであった。

 

ところで、「玄」という字で一番お馴染みといったら、「玄関」という用法だろう。

玄米(げんまい)の「玄」が、「色が濃い」という意味で、精白されていない米を表しているというのは割とすぐに理解できる。

クロ色と「玄」がなかなか直感では結びつかない・・・。

玄関」というのは元は仏教から来ており、「玄」が奥深い悟りの境地を意味し、「関」が入り口を示しているとのこと。つまり、「玄関」というのは、悟りという深遠な仏道の修行へ踏み込む入り口、という意味だった。

一般家庭でも入り口のことを「玄関」と呼ぶようになったのは江戸時代頃からだというが、農家だった我が家の建て替え前の家には、「おおど(大戸)」という出入り口はあったが玄関というものはなかった。

・・・・ということで、神聖な玄関には靴とか履物は脱ぎ散らかしておいたらいけん、ということなのだが、加えて禅寺の玄関には「脚下照顧」という奥深い意味を込めた立て札なんかも置いてあったりする。

 

つづく(予定 (-_-); )