ほとんどの乳癌および再発乳癌のハイリスク女性において予防薬タモキシフェンは延命に役立たない、という新しい結果が発表された。ハイリスク群の中でもリスクが低い層の女性では、タモキシフェンは血栓や子宮癌リスクといった副作用のほうがベネフィットを上回るという。タモキシフェンは、当初FDAに5年以内の乳癌発症リスクが1.67%(ハイリスクとみなされる)以上の女性での予防薬として認可されたが、今回カリフォルニア大学の研究者らによると、リスクが3%以上の女性、特に子宮摘出した女性、にのみ有益であった。
現在、タモキシフェンからアロマターゼ阻害剤や骨粗鬆症薬ラロキシフェン(エビスタ)に変更する患者が多い。ラロキシフェンはタモキシフェンと効果は同等で副作用も少ない。また、タモキシフェンからアロマシンに移行した女性は17%死亡が少ないと6月に発表された。タモキシフェンは、近い血縁に乳癌がある場合、または疑わしい病変がある場合などには49%乳癌リスクを減少させる。アロマターゼ阻害剤は乳癌予防には認可されていない。HealthDay Newsほか英文記事
タモキシフェンが、ある種の乳癌においては腫瘍増殖を促進するという報告がスウェーデンのMalmö大学病院の研究で明らかになった。それによると、腫瘍の15%にみられるcyclin D1遺伝子コピーの多い腫瘍では、タモキシフェンは正反対の影響をもたらす。2005年9月原文記事
現在、タモキシフェンからアロマターゼ阻害剤や骨粗鬆症薬ラロキシフェン(エビスタ)に変更する患者が多い。ラロキシフェンはタモキシフェンと効果は同等で副作用も少ない。また、タモキシフェンからアロマシンに移行した女性は17%死亡が少ないと6月に発表された。タモキシフェンは、近い血縁に乳癌がある場合、または疑わしい病変がある場合などには49%乳癌リスクを減少させる。アロマターゼ阻害剤は乳癌予防には認可されていない。HealthDay Newsほか英文記事
タモキシフェンが、ある種の乳癌においては腫瘍増殖を促進するという報告がスウェーデンのMalmö大学病院の研究で明らかになった。それによると、腫瘍の15%にみられるcyclin D1遺伝子コピーの多い腫瘍では、タモキシフェンは正反対の影響をもたらす。2005年9月原文記事
Adverse effect of adjuvant tamoxifen in premenopausal breast cancer with cyclin D1 gene amplification.
Cancer Res. 2005 Sep 1;65(17):8009-16.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?db=pubmed&cmd=Retrieve&dopt=AbstractPlus&list_uids=16140974&query_hl=1&itool=pubmed_docsum
ですね。この領域は一年経つともう古いという変化の激しいところみたいなので、あくまでも乳癌の一面と考えたほうが良いみたいです。
関連するような論文として、
Association between Pak1 expression and subcellular localization and tamoxifen resistance in breast cancer patients.
J Natl Cancer Inst. 2006 May 17;98(10):671-80.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?db=pubmed&cmd=Retrieve&dopt=AbstractPlus&list_uids=16705121&query_hl=1&itool=pubmed_docsum
こんなのもありますが、この論文に関連してEDITORIALがあります。
Pak up your breast tumor--and grow!
J Natl Cancer Inst. 2006 May 17;98(10):657-9.
http://jncicancerspectrum.oxfordjournals.org/cgi/reprint/jnci;98/10/657.pdf
上記EDITORIALはfreeで読めますから、良ければ閲覧してみてください。どっか一箇所何とかすればうまくいくほど、癌は安直ではないことが強調されていると思います。どれかを抑制しても、それ以外の経路もありますから、さまざまの経路の一番上流近くの阻害を試みるか、もしくは、タモキシフェンが有効な症例を絞り込むか・・・。というEDITORIALの意見だと理解しました。
私もそんな論旨に共感します。少なくとも、特定の酵素や遺伝子の阻害だけで癌が制圧できるようなことを堂々と言うような人は、極論すれば健康補助食品を推奨する人と、五十歩百歩だと私は思います。
スウェーデンの記事は、以前ニュースで読んでずっと気になっていたものですが、裏づけが取れました。
さらに詳しい分子レベルの発見によって以前より格段に多くのことがわかってきていますし、どんどん治療も変化するもの(すべき)と思います。今後、がん治療医は本当に大変ですね。
Editorial、もちろん私には難しいのですが、図がわかりやすいですね。
分子レベルの発見を速やかに臨床に反映することも重要な課題と思います。例えば、予防的にはBRCA1、BRCA2変異の乳癌、卵巣癌リスクは何年も前からわかっていますが、いつになったら可能になるのでしょうかー日本で。
http://www.cancerit.jp/NCIinfo/factsheet/BRCA.html
将来は、血液検査でがんの判定、抗がん剤効果の判定ー早く実現してほしいものです。
Effect of Chest X-Rays on the Risk of Breast Cancer Among BRCA1/2 Mutation Carriers in the International BRCA1/2 Carrier Cohort Study: A Report from the EMBRACE, GENEPSO, GEO-HEBON, and IBCCS Collaborators’ Group
JCO Jul 20 2006: 3361–3366.
興味があったのですが、EDITORIALでいろんな指摘もあったので、訳してません(^_^;)。いずれにせよ、こういった領域は進歩が著しい分、それをどう使ってゆくか人類の叡知が試されているという風に私には感じられます。
The Case for Individualized Screening Recommendations for Breast Cancer
Angela Bradbury and Olufumilayo I. Olopade
JCO Jul 20 2006: 3328–3330.
また放射線領域のみならず、勉強熱心なので尊敬のまなざしです・・
そうそう、乳癌の分子テストによる個別化治療の臨床試験は先日開始されたばかりですね。
http://www.cancerit.jp/NCIinfo/press/TAILORx060523.html
ちゃしば先生のこの意見に全く同感です。
「がん」はしたたかです。生体の仕組みを利用して抵抗性を作る。抵抗性を人工的になくすると,生命までもが危うくなりかねない。このようなバランスを考えないと・・・・
今の抗がん剤を分子標的治療薬と同じように圧制してみるところはありませんかね。用量によって,効果が変わるかも知れませんよ。
もう少しよく勉強してみます。
ああいうレビュー的な分かりやすいサイトを作って欲しいですよね。
ちなみに、個人的にお勧めのサイトですが、TGF-βならば
http://beta-lab.umin.ac.jp/angle/angle.htm
下手な教科書より分かりやすいという、凄いサイトです。
おふたりとも、、他意のあるコメントを・・・(^^;;
ハイレベルな話で割って入れる価値もないのですが、、、
TGF-αはよくターゲットに出てきますが、TGF-βは増殖抑制因子なのですね。
φ(.. ) メモメモ
私も一応知りたいというかすかな希望はあったのでこんなサイトもブックマークしてました。ご参考まで。
NFkappa-B
http://people.bu.edu/gilmore/nf-kb/index.html
またまた難しいものを!!
夜寝れなくなってしまうよ~
でも読んでいたら理解できなくて寝てしまうかも。
この因子は色々な反応を司る転写因子出るよね。これを標的とする薬剤がありますが,要調査です。
でも、NFkappa-Bは憎き相手ですから、促進因子と阻害因子のリストがなかなかすぐれもの~と思って見てました。
海外のサイトはそれぞれ裏づけとなる論文などが示されており、助かりますねー
いい加減な発言では相手にされません。