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ジャパンタイムズが「池田大作コラム」で内紛勃発

2006-10-18 18:34:09 | 記事・創価学会
『FRIDAY』 2006.07.21

 告発ルポ
 「巨大宗教団体・創価学会のPR記事だ」と現場記事が猛反発
 ジャパンタイムズが「池田大作コラム」で内紛勃発


 前頁では、創価学会を二分する覇権争いの内幕をレポートしたが、国内でもっとも長い歴史を誇る(1897年創刊)の日刊英字新聞『ジャパンタイムズ』(本社・東京都港区)も“学会騒動”の渦に巻き込まれている。
 コトの発端は、今年5月から同紙上で、池田大作・創価学会名誉会長(78)の連載コラムが始まったことにある。このコラムは毎月第2木曜日に、計12回掲載される予定だが、これに『ジャパンタイムズ』の社員たちが猛反発。上層部に連載の中止を求める事態となっているのだ。『ジャパンタイムズ』の社員が語る。
「創価学会はフランスではカルト団体とみなされた一方、特定の政治団体(公明党)と一心同体の関係にある。これら問題を抱える宗教団体のトップにPR記事を書かせ、おまけに連載枠を与えるとは言語道断。報道の公平性の観点から言っても、許されることではない」
 5月末、反対派の社員たちは『池田大作のコラムに反対する有志の会』なる差出人名で、小笠原有輝子社長宛に連載中止の要望書を提出した。『有志の会』は匿名の集いだが、その反響は大きく、社員約260人のうち過半数の支持を得たという。実際、そうした声の強さから、同社の上層部は社内メールで回答を示さざるを得なくなったのだか、小笠原社長による説明はこんな内容に止まっていた。
「池田大作氏のコラムについては、報道の公平性を保つために、他のオピニオン・リーダーのコラムも載せるように、編集局と営業局の幹部に指示を出した」
 肝心のコラム連載の是非については、触れずじまいだったのだ。しかも、ほかの執筆者を立てたところで問題は解決しないのだから、『有志の会』にとっては、まるで意味のない回答だった。前出の『ジャパンタイムズ』社員がこう語る。
「今回の連載はウチの社から創価学会に申し入れたもので、学会シンパの役員がその橋渡しをしたようだ。この役員は編集部門と広告部門を兼任で担当し、大きな発言力を持っている。そのため、『ウチは近いうちに、学会に買収されるのではないか?』と疑う声も上かっている」
 社員たちが危慎するのも無理はない。同社には、創価学会との“蜜月関係”を窺わせる過去があるからだ。かつて創価学会発行の英字新聞の印刷を請け負っていたり、94年にはSGI(創価学会インターナショナル)の記事広告をデカデカと載せたりしていたほか、これまでも池田名誉会長の寄稿を数年前から4回、読み切りの形で続けていたのである。
 問題のコラムを翻訳して検証すると、池田名誉会長の我田引水ぶりも浮き彫りになる。たとえば、5月11日付の第1回コラムの文中にはこんなくだりがある。
<私は戦争の絶対悪を世界規模で体験した世代の一員として、暴力と戦争を消滅させるために、同年代の人間、そして若い世代と力を合わせて全力を尽くす責任を感じている>
 また、6月8日付の第2回コラムでは、池田名誉会長は戸田城聖・2代目創価学会会長に触れて、こう記している。
<戸田は日本の人々の権利と自由を奪い、日本を侵略戦争に突入させた軍事政権に抵抗した人物だった。そのため、彼は迫害を受け、2年間投獄されたこともあった。自分の信念のために投獄に耐えた人の言葉には特別な重みがあった。私は直感で、彼を信用できると思った>
 だが、ジャーナリストの乙骨正生氏は次のように語る。
「池田氏は03年1月26日の『SGIの日』に、開戦が迫っていたイラク情勢を前提として『軍事力を全否定するということは、一個の人間の心情倫理としてならまだしも、政治の場でのオプションとしては、必ずしも現実的とはいえない』と述べていました。つまり、武力行使を容認するような姿勢を見せていたのです。また、戸田城聖が逮捕されたのは、戦争に反対したからではなく、伊勢神宮の神札を否定し、国家神道を国の指導理念とすることを批判したため、東条英機政権に睨まれたからです。創価学会が“ハト派”の団体で、池田氏も“平和の使徒”であると強調しようとして、こうした改竄をしているのでしょう」
『ジャパンタイムズ』は池田名誉会長にとって都合のいい言説をタレ流したと言われても、仕方がないのではないか?
 同社を取材すると、こう答えた。
「池田氏のコラムが議論を呼んだのは事実ですが、言論の自由を標榜する報道機関として、社内にさまざまな意見があるのは健全な姿であると認識しています。今後も、さまざまな立場のオピニオン・リーダーに執筆を依頼して参ります」
『ジャパンタイムズ』は連載を中止するつもりはないようである。報道機関としての矜持は、どこへ行ったのだろうか。

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