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公明党─創価学会という「劇薬」を飲んだ小泉

2005-12-03 00:00:11 | 記事・創価学会
 「小泉純一郎と日本の病理 Koizumi's Zombie Politics」藤原肇著より

 公明党─創価学会という「劇薬」を飲んだ小泉

 小泉改革がペテンに包まれているのは、小泉内閣が公明党によって支えられていることにも起因する。公明党の裏側(支持母体)に創価学会があるのは周知のことだから、改革は創価学会に操られてしまうことになる。
 創価学会は、フランスなどではカルト教団に指定されている。
「宗教の仮面をかぶった全体主義」ということで、社会に有害な組織だとされているのである。1996年末、パリの行政裁判所が下した判決は、「創価学会は、雑誌、本、アクセサリー、集会などの営利活動を利用して、収入の大半を、収益率50%のビジネスを行っており、その活動は公権カヘの浸透を目指す」というものだった。
 しかも、本来の仏教の戒律は、経済行為を厳禁しているため、仏教者の生活は喜捨に基づき、必要以上の富を得ることはできない。しかし、日本の仏教は鎖国の影響もあってか、国内で独自の俗的発展を遂げてしまい、そのまま創価学会も引き継いでしまった。世界のどこに、営利事業を行う仏教があるのか?
 宗教は人間の内面と聖なる領域を扱う活動だが、カルトは世俗権力と結ぶ政治性の強い排他的な教団である。しかも、盲信的な忠誠を求めて批判精神を奪い、社会の価値観に敵対することが多いゆえに、フランスには、苦労して政教分離を実現してきた歴史がある。
 では、フランスでは、どんな基準である組織がカルトであるとの査定をするのだろうか?それは以下の3点である。

 [1] 反社会的な教義と行動
 [2] 公共秩序の撹乱と破壊
 [3] 多くの裁判沙汰を起こす体質

 文明の歴史を宗教との関連から振り返れば、近代社会を特徴づけるのは「政教分離」の原則である。つまり、俗と聖の分離を確立することによって、初めて「信教の自由」が保障されるのである。
 だから、日本国憲法の第20条は、政教分離に関して、「信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない」と規定している。しかも、第89条において、「公金その他の公の財産は、宗教上の組織もしくは団体の使用、便益もしくは維持のため、または公の支配に属さない慈善、教育もしくは博愛の事業に対し、これを支出またはその利用に供してはならない」と規定している。
 それにもかかわらず、日本では、憲法の規定がないがしろにされ、宗教団体は宗教法人としての非課税の特権を活用し、蓄財に励んでいるのが現実だ。また、1995年秋の国会での質疑応答によれば、創価学会は10兆円という巨大な資産を持っており、不動産の資産評価は9兆円にものぼるという。スイスの銀行口座には、大預金が眠っているらしい。
 このように見てくると、小泉純一郎と池田大作の組み合わせが、日本を独裁と全体主義へと導く危険性は歴然としている。
 にもかかわらず、自民党は延命のために、この「劇薬」を飲み込んでしまった。劇薬は最初のうちは効き目がある。しかし、いずれは本体を蝕み、乗っ取ってしまうだろう。学会が進める「総体革命」のうねりが、「改革」に取って代わることで、「賎民資本主義」(パーリア・キャピタリズム)から抜け出せなくなる可能性は強い。

 「総体革命」の威力と忍びよる全体主義

 創価学会が公明党をつくって政界に進出したときに、大宅壮一(1900-1970)は、「ファシズムの体質がある」と指摘した。また、田中角栄は、当時の池田大作を名指しで、「法華経を唱えるヒトラーだ」と言い切り、公明党を操る創価学会の体質を喝破した。
 現に、池田大作は、1972年の社長会の席上で、「今の世の中は個人主義と自由主義だが、本当は、全体主義がいちばん理想の形態だ」と発言している。そして、その頃から「天下取り」を目指す創価学会の活動が始まったのである。
 こうして、池田の野望と独善により、創価学会は信仰を逸脱してカルト性を強め、今では日蓮正宗からも破門(1990)され、池田教に成り果てている。そして、「天下取り」という妄執に取り憑かれ、「総体革命」の道に踏み込んでしまったのである。
「総体革命」は「天下取り」のための布石である。今や創価学会は、官庁や有力組織の内部に浸透して拠点をつくり、幹部会員をネットワーク化することで、”いざ鎌倉”のときに備えているという。
「総体革命」の最優先ターゲットは、法務省と外務省であり、検事になった会員は、すでに100人に達している。在外公館職員の4分の1は学会員であり、自民党員の3分の1も命綱を握られている。その下に、社会の下層を構成する伝統集団が位置し、芸能界や自衛隊にも隠れ会員が大量にいて、組織力はあらゆる業界に広がっているのだ。
 これら代表的な集団には、次のようなものがある。

 「大鳳会」外交官の学会員グループ
 「旭日グループ」弁護士と検事の学会員グループ
 「草峰グループ」理容師の学会員グループ
 「白樺グループ」看護婦の学会員グループ
 「白雲会」調理士の学会員グループ
 「金城会」ボディーガードの学会員グループ
 「鉄人会」建設と大工関係の学会員グループ
 「牙城会」警備関係の学会員グループ
 「ブロンズ会」国家試験合格の学会員グループ

 こうした組織力と機動性の高さは、今や自民党を圧倒するに至っているし、絶対服従(Ikeda is the law)の堅固な統一機構を誇った状態で、「天下取り」の命令が届くのを待ち構えている。
 評論家の藤原弘達(1921-1999)が書いた『創価学会を斬る』(日新報道1969)には、次のような記述がある。

<公明党が社会党と連立政権を組むとか、野党連合の中に入ると言うようなことは、まずありえないと私は考える。その意味において、自民党と連立政権を組んだとき、ちょうどナチス・ヒトラーが出たときの形と非常によく似て、自民党という政党の中にある右翼ファシズム的要素、公明党の中における宗教的ファナティックな要素、この両者の間に微妙な癒着関係ができ、保守独裁体制を安定化する機能を果たしながら、同時にこれをファッショ的な傾向にもっていく起爆的な役割として、働く可能性も非常に多く持っている。そうなったときには日本の議会政治、民主政治もまさにアウトになる。そうなってからでは遅い、ということを私は現在の段階においてあえて言う>

 この藤原の予言は、ほぼ的中したと言わざるを得ない。
 歴史を鑑にして現在の状況を見れば、従来は「突撃隊」を中心に動いた大衆運動が、エリートによる「親衛隊」を主役にしたものへと転化しかけている。創価学会のエリートは、主に法務省と外務省を中心に構成され、特に際立っているのが法務官僚への浸透で、高検検事のうちで15名が学会員だという。だから、検察が汚職議員を監視する”威力”の前で、利権で汚れた自民党の族議員は怯えているという。そして、それが自民党が公明党に追従する理由であるともされる。
 検察の国家権力を使った暴虐行為については、「ムネオ事件」(2002)で逮捕された佐藤優・元外務省ロシア情報分析官が、著書『国家の罠』(新潮社2005)の中で暴露している。それによると、検察官は「これは国策捜査なんだ。あなたが捕まった理由は簡単。あなたと鈴木宗男を繋げる事件を作るため、国策捜査は時代のけじめをつけるために必要なんです。時代を転換するために、何か象徴的な事件を作り出してそれを断罪する」と佐藤に語っている。
 とすれば、もし学会が検察権力を握ったときに、何が起こるかは言うまでもないことである。

 間違いなく日本のデモクラシーは壊れる

 小泉改革の政治手法は単純明快であり、すべてを白か黒かで分ける「二分法」である。そこには、支持派か反対派しか存在しない。つまり、「敵か味方か」だけである。
 これは池田大作の考え方とまったく同じであり、池田に側近として長らく仕えた原島嵩・元創価学会教学部長は、「創価学会は常に敵をつくらなければ、結束を維持できない組織です」という指摘をしている。つまり、小泉も池田も「魔女狩り」で権力を維持していることになる。
 しかも、このような現代版の「魔女狩り」は、IT技術が発達した情報化時代では、複雑怪奇な様相を見せている。つまり、個人情報が国際的な利権になり、多重債務で行方不明になった人の戸籍がサラ金業者を通じて市場に流れ、日本人の国籍が国外で売買されている。それによって、日本人に成りすました人物が地方議員の中にもかなりいると言われているのだ。
 また、ヤフーBBの450万人個人情報流出事件は、宮本顕治共産党委員長電話盗聴事件の主犯で創価学会の全国副男子部長だった竹岡誠治容疑者が、関与していた。
『月刊・現代』(2005年7月号)で、「宗教に権力が屈するとき」と題して、ジャーナリストの魚住明と前参議院議員の平野貞夫が対談している。この中で、平野は次のような恐ろしい指摘をしている。

平野 いまの自公政権の構造は、自民党内の柔軟な保守層を政権中枢から外した小泉首相と、ともすれば、一気にファシズムに傾きかねない公明党との結合体となっています。これが議会を機能させないような働きをしているんです。自民・公明が合意してしまえば、多数を握っているわけだから、もう民主党に議論させないでしょう。これでは本来、国民の要請を受けて国会議員が果たすべきチェック機能が働きませんよ。
 それから日歯連から橋本派へ渡った迂回献金の問題について、本来だったら公明党が一番、政治倫理の確立を言うべきでしょう。それなのに、橋本元首相の証人喚問もしようとしない。「これで打ち切り」となったら一切議論しない。

 魚住 結局、自公政権になってから、議会が機能しなくなっているのですね。

 平野 まさに、それこそ問題なんです。私がもっとも心配するのは、公明党がいままでの動きを反省せずに、この路線を突っ走り、近い将来、彼らと安倍晋三が組んだ政権ができることです。
 公明党は田中角栄以来、竹下派─小渕派─橋本派というラインとの関係が深いことはよく知られています。しかし、じつは創価学会は戸田城聖会長の時代から、岸信介と関係が深かったんです。岸さんが亡くなったときには聖教新聞が一面トップで大きく報じ、追悼記事を組んだほどです。
 岸の政治的DNAを引き継ぐ安倍さんと、ある意味で戸田城聖の遺言を忠実に守っている池田大作体制下の創価学会が、もう一度結びつく可能性は決して低くありません。私はそれを懸念しています。安倍さんには、いま国内の一部の勢力が振り付けをしようとしている。そこに学会まで乗ってきたら、間違いなく日本のデモクラシーは壊れます>

 小泉改革のいったいどこが「聖域なき改革」なのであろうか?
 それは「聖域ばかりの改革」であるばかりか、ファシズム革命の危険性すらはらんでいる。

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