いつまでもぼちぼち

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実在する全てと無関係です

読書録「サンマの丸かじり」ほか

2021-02-19 | Weblog
読書録「サンマの丸かじり」4

著者 東海林さだお
出版 文藝春秋

p88より引用
“ カレーだけを食べてる人を見ても、トン
カツだけを食べてる人を見ても、別に何とも
思わないのに、その二つをくっつけたカツカ
レーを食べている人を見ると、いいことして
るなー、と思う。”

目次より抜粋引用
“好漢!キャベツ
 禁ゴクゴク飲みの時代
 「サンマの悲劇」
 カラスミを作ろう
 コンニャクと日本人”

 漫画家でエッセイストである著者による、
食べ物に関する雑誌連載エッセイをまとめた
一冊。他社刊行作文庫版。
 キャベツの世間への馴染み具合から回転寿
司でのラーメンまで、自作の漫画と共に面白
おかしく綴られています。

 上記の引用は、カツカレーについて書かれ
た項での一文。
カツもカレーも、一つで一食分のおかずにな
るものなので、それをまとめて食べているの
ですから、カツカレーは確かにいいことです
ね。
 比較的身近な食べ物に対して、独特な見方
と思いが書かれていて、しかし、独特である
のに共感できるという不思議な魅力のある一
連の作品です。今巻も安定した面白さ。
 酒飲みの人には特に、手作りカラスミの話
は必見ではないでしょうか。

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読書録「猫大好き」4

著者 東海林さだお
出版 文藝春秋

p222より引用
“ 人間は何をやってもすぐ成果に結びつけ
る。
 成果があがらなければ、すべて失敗という
ことになる。
 この場合の猫は、成果は最初から求めてな
いのだ。
 途中が面白ければそれでいいのだ。”

目次より抜粋引用
“ラーメン店の七不思議
 ホームセンターで血が騒ぐ
 人生最高の幸せな一日
 内臓とわたし
 猫大好き”

 漫画家でエッセイストである著者による、
日々の出来事を描いた雑誌連載エッセイをま
とめた一冊。同社刊行作文庫版。
 ラーメン屋の店主についてから避けて通る
のが難しい病気についてまで、自身による漫
画と共に面白おかしく綴られています。

 上記の引用は、猫と人間の行動の違いにつ
いて書かれた項での一節。
猫のような生き方や行動には、多くの人が憧
れるところかもしれませんが、皆が皆猫的に
生きていたら、今の世の中は維持できなさそ
うですね。
 p98の西洋人のたこ観の漫画は、実際はど
うかわかりませんが、タコやイカをデビルフィッ
シュと呼ぶ人たちのイメージとして的確では
ないでしょうか。
 安定した面白さ。しかし、著者もご高齢の
ためか、病気の話題が多いのも、身近な感が
より増しています。

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読書録「目玉焼きの丸かじり」3

著者 東海林さだお
出版 文藝春秋

p202より引用
“ さっき「違いはほとんどわからない」と
書いたが、実際は「まったくわからない」。
 店の人が、
 「焼き加減いかがいたしましょう」
 と三人の客に訊き、三人が、
「ミディアム」「レア」「ウェルダン」と答
え、訊いたほうは厨房の人に、「ステーキ」
とだけ告げるという外国漫画があった。
(どう焼いたって、客はわかりゃしないんだ
よ)
 というオチである。
 自信を持ってください。
 どうやら世界中の人がよくわからないらし
いのだ。”

目次より抜粋引用
“きゅうりは誠実か
 クサヤ好きの立場
 トンカツ威風堂々
 駅弁総選挙
 ホカホカ大好き”

 漫画家でエッセイストである著者による、
食べ物に関する雑誌連載エッセイをまとめた
一冊。他社刊行作文庫版。
 野菜の名前と実情についてから酢蛸の食感
の問題についてまで、比較的身近な食べ物に
ついて自作の漫画と共に面白おかしく綴られ
ています。

 上記の引用は、ステーキの焼き加減につい
て書かれた項での一節。
食べ物についてよくわかっている風な人が多
いようですが、本当はこんなものなのかもし
れません。日頃から常に肉を焼いているよう
な人たち位しか、焼き加減による美味しさの
違いは判らなさそうです。
 読んでその日の献立を決められるくらいに、
身近な食べ物についての話が多いので、食欲
を誘うのにも夕食の参考にもいいシリーズで
す。

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読書録「メンチカツの丸かじり」3

著者 東海林さだお
出版 文藝春秋

p55より引用
“ できたらこの話、断りたいな。
 誘ってくれたのは飲み仲間のM氏で、以前か
ら豆腐好きだとは聞いていたが、一食全部豆
腐というのはちょっとなあ、と心が塞ぐ。”

目次より抜粋引用
“すき焼き、廃墟となる
 お餅は踊る
 ヨーグルトの正義
 稲荷ずしに異変
 食べる前に見よ”

 漫画家でエッセイストである著者による、
食べ物に関する雑誌連載エッセイをまとめた
一冊。他社刊行作文庫版。
 すき焼き鍋の食後の様子から食べ物の容姿
についてまで、比較的身近な食べ物について
自作の漫画と共に面白おかしく綴られていま
す。

 上記の引用は、豆腐専門の名店に誘われた
著者の心情。
美味しいものはとことん美味しいらしい豆腐
ですが、余程好きでないと著者のような気持
になるのかもしれません。実際に食べに行け
ば、きっと多くの工夫があって飽きることな
く食べられるのでしょうけど。
 安定の面白さ。今日食べるものに迷ってい
る時や、食欲不振な時などに、ぱらぱらとペー
ジをめくると何か食べたくなる一冊ではない
でしょうか。

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読書録「ガン入院オロオロ日記」3

著者 東海林さだお
出版 文藝春秋

p12より引用
“ ぼくは毎年一回人間ドックにかかってい
て、その前年まで特にひっかかるところがな
かったのに、昨年(2015年)の秋、突然、肝
臓のがんマーカーが大きくはね上がった。”

目次より抜粋引用
“初体験入院日記
 大冒険 水陸両用バス
 〆切5分前
 初詣はおねだりである
 分類学入門”

 漫画家でエッセイストである著者による、
身近な出来事を描いた雑誌連載エッセイをま
とめた一冊。同社刊行作文庫版。
 著者本人のガン闘病記からオリンピックに
対する対談まで、自作の漫画と共に面白おか
しく綴られています。

 上記の引用は、著者が入院することになっ
た経緯について書かれた項での一文。
毎年検査していても、手術をせざるを得ない
事態になるようです。私の知人も、毎年検査
していましたが、ガンが見つかって3年程で亡
くなってしまいました。人の生き死には、い
つどうなるかなんて、本当は誰にも分からな
い気がします。
 闘病記がこうして出版されて、その後の連
載も続けられておられるようで、ファンとし
ては胸を撫で下ろす気持ちです。これからも
少しでも元気であられるように祈っています。

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読書録「焼き鳥の丸かじり」3

著者 東海林さだお
出版 文藝春秋

p106より引用
“ 肝臓がんといえばがん界では横綱級の大
物。
 でも、それほど大した横綱ではなかったら
しく、アヤシイ部分を切り取って一か月ちょっ
とで無事退院。”

目次より抜粋引用
“焼きそばにちょい足し
 マッシュルームはかわゆい
 数の子について考える
 甘いもん
 豆大福の豆物語”

 漫画家でエッセイストである著者による、
食べ物に関する雑誌連載エッセイをまとめた
一冊。他社刊行作文庫版。
 昼食後のエレベーターでの人間模様から料
理の発する音についてまで、比較的身近な食
べ物について自作の漫画と共に面白おかしく
綴られています。

 上記の引用は、著者のガン入院に関しての
一節。
病気にはかからないのが一番ですが、ご無事
で何よりです。患った部位がもし胃であった
なら、この丸かじりシリーズも終了していた
のかもしれないと思うと、ファンにとっては
不幸中の幸いだったのではないでしょうか。
 どうかお体を大事にしていただいて、これ
からも美味しく食べて面白く書き続けていた
だきたいと思います。

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読書録「化学探偵Mr.キュリー4」4

著者 喜多喜久
出版 中央公論新社

p36より引用
“「店主のお爺さんはなんと?」
「効くも八卦、効かぬも八卦ーだそうです」
 無責任というか、達観しているというか。
呵々大笑する老店主の姿が思い浮かぶようだっ
た。”

目次より抜粋引用
“化学探偵と猫騒動
 化学探偵と互助組合の暗躍
 「化学探偵」の殺人研究
 沖野春彦と偽装の真意
 七瀬舞衣と三月の幽霊”

 優秀な化学者と大学職員を主人公とした、
短編連作ミステリ。
 大学庶務課の仕事をいつも通りに勤めてい
る主人公・七瀬舞衣。陳情や苦情のメールを
読み進める中に、大学構内での猫の増加に対
するものがあり…。(化学探偵と猫騒動)

 上記の引用は、アレルギーに対する漢方薬
の効き目についてのやりとり。
一人一人の体の都合が分からない以上、どん
なに良い薬であっても、最終的には使ってみ
ないとわからないということになるのでしょ
うね。自分の体を強く保つことが、どんな病
気に対しても有効な手段なのではないでしょ
うか。
 過去シリーズに出てきた人物が、割と何度
も出てくるので、出来るだけ間を開けずに順
を追って読む方が良さそうです。今巻で主人
公二人が出会って約一年。まだまだ微妙な間
柄で、ラブコメとしての展開もまだまだ盛り
上がりを見せそうです。

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読書録「化学探偵Mr.キュリー5」3

著者 喜多喜久
出版 中央公論新社

p156より引用
“「医療用の放射線源だろうな。廃棄された
機器を誰かが横流しして、専門知識のない業
者が適当に処理をしたんだ。たまにあるんだ
こういう事故は。放射線は目には見えないか
らな、誰かがどこかの段階で正しい検査をし
ないと、見抜くことはできない。コストカッ
トも結構だが、度を過ぎるとこうなる、とい
うことだ」”

目次より抜粋引用
“化学探偵と無上の甘味
 化学探偵と痩躯の代償
 化学探偵と襲い来る者
 化学探偵と未来への対話
 化学探偵と冷暗の密室”

 優秀な化学者と大学職員を主人公とした、
短編連作ミステリ。
 大学にある二つの科学サークルの代表が、
それぞれの存続をかけて話し合っていた。資
金の不足による統合に関して、どうしてもお
互いの意見が合わず…。(化学探偵と無上の
甘味)

 上記の引用は、大学内設備の材料に放射性
物質が含まれていたことに対する、主人公・
沖野春彦の台詞。
著者は製薬会社の元研究員だそうですので、
実際にそういう事態に出くわしたことがある
のかもしれませんね。たまに表に出てくるの
であれば、出てこない事例がもっとあるとい
うことなのかもしれません。そんな簡単に横
流しできるの?
 主人公の二人は、もう付き合いなさいよ。
と、思いながら読み進むことになる読者が多
数いるであろう、話の展開です。いい年のおっ
さんが読んでいると、何かむずむずしてしま
います。嫌いではないですが。

ーーーーー

読書録「化学探偵Mr.キュリー6」5

著者 喜多喜久
出版 中央公論新社

p261より引用
“ 研究内容がマイナーで誰の役にも立たな
くても、実質的には誰かの下請けのような作
業をしていても、独自の理論が実証できずに
苦しんでいても、「自分は研究者なのだ」と
いう矜持を捨てない限り、存在意義を失うこ
とはない。”

目次より抜粋引用
“イントロダクション
 Step 1
 Step 2
 Step 3
 Step 4”

 優秀な化学者と大学職員を主人公とした、
長編ミステリ。シリーズ初の長編作品。
 大学に勤め始めて二度目の夏も終わりに近
づき、季節の移ろいを思う主人公・七瀬舞衣。
夏休みの出勤シフトのために職場に向かった
ところ、出勤予定ではない上司の姿があり…。

 上記の引用は、天才ではない人間の要不要
についての一文。
世の中の多くの職業人についても、こういう
気持ちでいることで、続けていけるようであ
れればいいなと思います。もちろん私もこう
であろうと思います。
 ここまでのシリーズの一区切りといった感
のある一冊。初の長編で雰囲気が変わるかと
思いましたが、主人公以外を含め、人物像や
舞台背景が出来上がってきているので、無理
なく楽しめました。将来ドラマ化の後、映画
化されるのであれば、この話になるのでしょ
う。
 主人公・七瀬舞衣のこれまでの行動に、一
つの答えが出ます。情けは人のためならずと
いったところですね。

ーーーーー