なるようになろう!

中小企業診断士修行中の生活。学習日記や素朴なギモンなど。

2010年12月に読んだ本

2011-01-04 | 【近況】
あけましてめでとうございます。

正月休みは、行事的な諸々があったり、
ホットカーペットの誘惑あったりで、
あっという間に終わってしまいますね。

新春セールにも行ってきましたが、
人出のわりには買い物をしている人が少なかった気がします。


さて、いよいよ2011年。
今年もまた「なるようになろう!」というタイトル通りでいきます。

もう少し「なろう!」的な要素をがんばりたいなと思うのが
2011年バージョンかな。


12月は仕事と実務研修とでなかなか本を手に取る気力が湧かず。
1ケタの9冊でした。

先月ちらりと予告したSFも、読み進めるのが疲れる内容なので先送りに。



12月の読書メーター
読んだ本の数:9冊
読んだページ数:1960ページ

袋小路の男 (講談社文庫)袋小路の男 (講談社文庫)
3冊読んだ著者の本ではいちばん好み。解説にあるように「大きな活字でゆったり組まれた単行本で」読みたい気分。近づきたいのに躊躇して立ち止まったり、求めているのにわざとかわしたり、なさそうで実はどこにでもありそうな男女の距離感の12年間。わかる、いるよ、そういう人。その人を思うと、中年になった今でも中学生のころみたいに胸がきゅーんとなる人が。私も袋小路にいるんだろう。成長せんなあ。『アーリオ オーリオ』がまたいい。ゆっくり読み返したい。川端康成文学賞受賞。
読了日:12月31日 著者:絲山 秋子
イッツ・オンリー・トーク (文春文庫)イッツ・オンリー・トーク (文春文庫)
スーッと入ってきてドンドンひろがってくる無駄話。なんかハードボイルドだな、事件は何も起きないけど。著者の書く女性はみんなふんわりとしつつも分厚いバリアーをまとっているような気がする。女性は、いや、人はみんなそうなのか。親近感を感じつつも現実にはお近づきになりたくない人たち。バリアの存在を感じさせない人こそが、実はもっと巧妙で強固なバリアを持っている。ATフィールドが攻撃されて崩壊しそうになったときに見え始めるように、壊れかけのバリアーのみが他者の目の前に現れて、抗いのたうちまわる。第96回文學界新人賞。
読了日:12月21日 著者:絲山 秋子
まあじゃんほうろうき (上) (竹書房文庫ギャグ・ザ・ベスト)まあじゃんほうろうき (上) (竹書房文庫ギャグ・ザ・ベスト)
20年(?)ぶりに再読。その頃の私はすっかり麻雀から足を洗っていた時期なのに、なぜ手に取ったんだろう?昔のマージャン仲間に教えられたのかな、記憶がない。当時、麻雀覚えたてのころを思い出しつつ、凄惨な負けっぷりに大笑いしていたのだけど、今読むとさほど笑えない。結局、サイバラは麻雀でマンション1室買えるくらい負けたらしく、そういうネタで笑えないほどありふれたおじさんになってしまったのかと思うとちょっと寂しい。しかし、脇役たちのなんと魅力的なことか。負けることを知っている男たちはかっこいいなあ。
読了日:12月20日 著者:西原 理恵子
佐藤可士和の超整理術佐藤可士和の超整理術
タイトルは「超整理術」だけれど、気軽に読める「コンサル術」の本としてもクオリティが高い。問診して情報を見えるように整理し、因果関係をはっきりさせて問題の本質を見つけ、それに対して課題を設定して解決に導く。という著者の仕事の手順はコンサルの仕事そのものだ。「広告なんて誰も見ていない」がゆえに、「伝えたい情報を相当きちんと整理したうえで、筋道を立てて戦略的に伝えることを考えないと、受け手のバリアを破って入り込むことはできない」のだ。うーん、ごもっとも。表現力は論理の筋道が通ってこそ活きてくるのですよね。
読了日:12月14日 著者:佐藤 可士和
沖で待つ (文春文庫)沖で待つ (文春文庫)
私は著者よりも少し先に社会人となったが、男女差も一般職採用もない職場だったので、男女の区別ない同期入社の親密感、深夜まで残業した昂りでどうにもまっすぐ帰れなくて寄る飲み屋など、そういう時代があったよなと懐かしい。今20代の社会人たちはこの小説をどう感じるのだろう。普通なのか、ありえないのか。併録の「勤労感謝の日」もまた、痛快かつじんわりと良かった。「おれたちひょうきん族」の名作コントみたい。これ、褒めコトバですからね。あらすじが作品の根幹ではないという点で、小説らしい小説だと思う。第134回芥川賞受賞作。
読了日:12月13日 著者:絲山 秋子
この世でいちばん大事な「カネ」の話 (よりみちパン!セ)この世でいちばん大事な「カネ」の話 (よりみちパン!セ)
サイバラの半生記。最初に読んだ「まあじゃんほうろうき」で、鬼気迫る負けっぷりに感動して以来のファン。ドラマの原作らしいけど、ドラマにはできなかった内容にこそ、この本の核心がある。「ギャンブルは、大人が負けかたを学ぶもの」「負けてもちゃんと笑っていること」には大いに納得。負けた時にこそ、その人の成熟度が垣間見えると思う。自分の能力も才能も、すべて他人が教えてくれることであり、自分が思い込んでいることが正しいわけではない。開いて考えて行動することでしか、「自分」というものは見つからないと思う。
読了日:12月10日 著者:西原 理恵子
市川崑のタイポグラフィ 「犬神家の一族」の明朝体研究市川崑のタイポグラフィ 「犬神家の一族」の明朝体研究
タイトルロールを作品の一部にまで高めた市川昆監督作品にみられるタイポグラフィの研究本。大ブームとなり多くの亜流を生んだ『犬神家の一族』のタイトルロールの書体探索を縦軸に、金属活字から写植を経てデジタルフォントにいたるまでの印刷書体の歴史をたどりつつ、キュビズム・ダダイズム・バウハウスなどの現代美術との関連にも言及。『極太明朝&L型配置』をみて『エヴァ風』とニヤつく人たちに、「元ネタはこれなんだよっ!」と語ってみたくなる本。仕事で印刷物と接する機会が多い私には、すべてが興味深く、ある部分は懐かしくもある。
読了日:12月09日 著者:小谷 充
マンガは哲学する (講談社SOPHIA BOOKS)マンガは哲学する (講談社SOPHIA BOOKS)
意味。私。夢。死。人生。無自覚に受容させられているさまざまな約束事に対する疑義。90年代マンガをテキストにすることで、私のような俗人でも考えるきっかけができる。非日常的な設定の物語のなかに超日常的な思索がちりばめられている。面白いなあと思ったのは、哲学している漫画として選ばれている作品たちの多くがマンガ界ではSFあるは怪談としてカテゴライズされていること。哲学は「知る」ことではなく「する」ことであるのだなあと改めて思った。00年代のマンガを題材にして書かれた新しい本が読んでみたい。
読了日:12月06日 著者:永井 均
街場のマンガ論街場のマンガ論
最後の養老孟司氏との対談以外は著者のブログからマンガに関係する内容を編集したもの。なぜマンガが日本で発達したのか、アメコミとマンガはどこが違うのか、少年マンガと少女マンガはどこがどう違うのか、などなどマンガにまつわるあれこれ。著者がマンガ好きを自認した体験を読みつつ、散髪屋で店にあるマンガを何時間も読み続けていたなあと自らのマンガ体験を懐かしく思い出した。有害図書規制の愚かさをまっとうに指摘する著者の文章がリーフレットで付いている。それをしっかり見返しに貼り付けている図書館員にも拍手。いいね。
読了日:12月02日 著者:内田 樹

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