ブルックリン横丁

ブルックリン在住17年の音楽ライター/歌詞対訳者=渡辺深雪の駄ブログ。 そろそろきちんと再開しますよ。

久々の更新はいきなり紀行文。しかもコロラド。

2017-08-09 | ブルックリン横丁
<注:帰りの機内誌で読んだモンタナ紀行エッセイが素晴らしかったのでちょっと焚きつけられた模様。えらい長文ですゴメンナサイ>

子供達はまだしばらく帰って来ないし、ということで思い立ってコロラドへ。旦那と二人きりの旅は実に14年ぶりと気づくが、何を記念してるわけでも祝ってるでもなく。しいていうなら全米各地で盛り上がりつつある某ビジネスの現場の視察旅行、かね。我ながらウマい建前だ!

カウボーイの案内でアスペンの生い茂る森を乗馬したり、旦那が念願のクレイ射撃デビューしてる間、私は夢のように美しい谷を貫くカウンティ・ロードを北上したところにあるひなびた硫黄温泉までお一人様ドライブを堪能したり。ロッキーマウンテン国立公園内に夏の期間だけ開通する横断道路ではあいにくの雨とひょう(!!)に見舞われ、視界がほぼゼロというありえないシチュエーションの中、富士山よりも標高の高いクネクネの山道を死ぬ思いで走破。これ、10代の頃からやりたかったやつ!晴れた日に運転したことがある人から聞いた話では、路肩から少しでも外れようものなら即転落死決定、という状況が見えなかっただけ逆に良かったかもよ、と。

WiFiやケータイのサービスなぞ無くて当然、という環境で生きているカウボーイや滞在先のランチ(ranchね)の同い年のオーナーや若いスタッフたちとの共同生活でつくづく思ったのは、自然を相手に肉体を使って働く人間のシンプルな喜びと慎ましさ、そしてその美しさ、というか。都会の人間は効率よく楽することにお金を使うわけで、つまり楽しい思いをするにはゼニっこが必要だし、だからこそラットレースから抜けられなくなるという悪ループ。いつのまにかお金がないと楽しめない、不幸な体質に仕上がっちゃう。

山の男達は汗水垂らして労働することを厭わず、自分達の手で何かを作りったり挑戦したりして、そこに経験や知識を練り込んで工夫を凝らし、思い通りの成果が生まれたらそれを嬉しく誇らしく思うことを何よりの喜びであり対価と考えている。現金収入にはつながらないかもしれないが、目の前で急変する大自然に翻弄されながらも力強く生きている。それしか術がないから、というのもあるだろうけど。

彼らとの共同生活を体験しにインディアナから来ていたカップルはヨガを愛し、ランチには置いてないこじゃれたマイIPAを冷蔵庫に冷やしていたりしたし、旦那の方は細身でふさふさのヒゲをたくわえ、アクセントの少ない英語を喋っていたので、私と旦那は真っ先に「でた〜ヒップスター」と勝手に見当をつけて会話していたのだが、銃規制の話になったあたりでどうも噛み合わなくなってきた。何と二人とも、小さい頃誕生日にプレゼントされた護身用の銃を大事に持ってるし、その後も人生の段階のニーズに合わせて銃を買い続けているというのだ。実家に預けてきた15ヶ月になる息子にも将来間違いなく銃をプレゼントするよ、と屈託なく笑う。もう、めっちゃ銃愛用してんじゃん!なのにそんな見かけ!?っていうシンプルな驚きというか。

ブルックリンのバブルの中にいると、多かれ少なかれ「ヒップスター=超リベラル、環境保全超大事!人類動物みな兄弟!ラブ&ハピネス!銃なんてあり得ないし!向けるのは銃口じゃなくてiPhone7のカメラでお願い!インスタがない世界なんて死んだ方がマシ!ヨガとコンブチャとスーパーフードを愛する私、実はそんな自分が一番大好きなんです!テへっ!」って手合いの輩(&ワナビー)の流入が止まらないし、そういう浮わついたトーンと後追いの開発にホトホトうんざりしてた(生粋のブルックリンナイトは大抵そう思ってる)ので、インディアナの夫婦を見た時にも「こんなところにまで!」と勝手に決めつけちゃったわけだが、その浅はかさと、当然ながら「その土地にはその土地なりの正義がある」ことを、バブルの中で忘れてしまっていた自分たちを恥じた。

近くの馬主から夏の期間だけ借りている愛馬を連れてトレイルに連れて行ってくれたミズーリ出身の26歳のカウボーイにしても、田舎の生活を便利にするため、とエンジニアを目指し大学に通っていた時期もあったが、カウボーイのライフスタイルへの憧れが諦めきれず「やるなら若いうちに」と大学を中退して「この道」に入ったとか。10代の頃からエルクやムースのハンティングガイドとして愛馬とともに山奥で寝泊まりする生活が日常だったという彼の言葉や考えには一縷の迷いもなく、まさに自分の経験と勘とスキルだけで生きてきた人間特有の自信(これはゲトーや俗悪な生育環境を奇跡的にサバイブし成功したラッパーとかにも共通する感じか)が頼もしく。都会じゃ5歳の子供でもそんな顔してないよ、っていうくらいの澄んだ目と曇りのない笑顔。どこでもサバイブできるし、お腹が空いたら愛馬と愛犬とともに狩りに出るから衣食住には困らないとはいえ、自分の「ホーム」である大自然に分け入るたびに目の当たりにする環境破壊の現実を無視するわけにはいかず、26歳となった今になってからやっぱり大学に入りなおし、そこで環境科学を学び、保全の手伝いがしたいのだとか。彼が照れながら言う「この歳でまた学校に行くのは恥ずかしい気もするけど。。」くだりの辺りで、こういう真摯な人の話を聞くと諸手を挙げてサポートしたがるワナビー親分気質の旦那はもう鼻息が荒いのなんの。口からツバや泡を飛ばしながら「お前は大丈夫だ、やる気があればいつでもどこでも道はひらけるよマイメン!」とアントニオ猪木ばりの熱いメッセージを送っていたよ(苦笑)。

学費を工面するために何ができるか、と意識の高いカウボーイが考えた結果選んだのは、大自然の中で景色や動物、草花などを撮影する、ネイチャーフォトグラファー。ハンティングツアーにもこれからはカメラを肌身離さず持って行くんだとか。これは客にもさぞかし喜ばれるだろう。「スキルはまだまだこれからだけど、誰も見たことのない素晴らしい撮影スポットならたくさん知ってるから」と、中古で譲り受けたという入門クラスのEOSを、仰々しいアルミケースに入れてさらにバックパックに背負い、大事に持ち歩く。「よし、ならば最初の客になろうではないか!」と頼まれてもいないのに色々とポーズを取ったワナビー親分の旦那であるが、その夜ディナーが終わり、ひと仕事を終えたカウボーイがいそいそとラップトップ(何週間もかけて選んだ、初めてのパワーブックだそうだ。型落ちして値段が下がるのを待ってようやく購入したそう)を持参し、取り込んだ写真を見せてくれた時は笑った。背景の景色はどれもバッチリ、ライティングもバッチリ、修正もバッチリ、あとは被写体の写り具合で選ぶだけかね、どれどれ、、という段階でカウボーイが選んだのは「この写真が馬が一番笑ってる」という一枚。あくまでも動物>人間なのね!なんか私の三段腹と二重アゴがすごい写り方なんですけど、それもまあ四十路の摂理、大自然の一部ってことでいいのかな。コロラド、いいところだな(多分違う)。

息子が来年から大学生になるというこのタイミングだけに、金髪碧眼、正真正銘のアメリカンでとっくに成人したストレートの白人男性に対して付与される大学の奨学金など皆無に等しいことは知ってる。彼ら自身もそのことは知ってる。だけど、人種や国籍だけでなく、アメリカ国内であっても、生まれた土地の風土や環境によって得られる教育やチャンスに雲泥の差があることは明らかで、ぶっちゃけ「だからこそ」のトランプ勝利、だったわけだ。田舎の白人の声を聞け!っていうやつ。先の大統領選ではコロラドは僅差でリベラル派が勝った、一応はリベラルな州ではあるけど。

もちろん、レイシストでセクシストで、労働倫理も意欲もないくせに働き者の移民に「仕事を取られた!」とうそぶく教養(教育と教養は同義語ではないからね)のない怠け者は人種を問わずそのまま滅びて良いと思うし、トランプがフェイクニュースと呼びたがるリベラル寄りのニュース番組やナイトショウしか見ていない我々は、キュレートされ画面越しに写された、リベラルとは対極にある極端に保守的な人々ばかりを見ていたので、正直なところ「アメリカ大陸の中央部にいるアメリカ白人」というものについてはすごく警戒していたのだ。有色人種は我々しかいないというようなアウェイな環境に身を置くことも多いし、春先に滞在した、アメリカ人しかいないメキシコ西海岸のリゾートでは、赤ら顔の小金持ちなアメリカ白人達に嫌な思いをさせられたこともあったし。

だけど、だからといって「これだからミッドカントリー(国の中央部分的な)の低脳はイヤだわ・・・」とバッサリ断罪してしまうと、それはつまり自分自身の視野を狭めたり、大切な出会いを台無しにしてしまう勿体無いリスクを孕んでいるのですね。日曜の夜にはヒゲの銃愛好者も環境保全カウボーイも、ミッドライフクライシスをこじらせたブルックリンのおっさんも一緒になって「Game of Thrones」見て「うひょ〜〜」とか言ってたしね。

結局、すごーく当たり前の結論に着地してしまうわけだが、「バブルの外へ」というチョイスをして大正解だった。地図にもない道を勘で進んで見つけた景色もそうだし、「ここに行けばとにかくハッピー」という自分の中の大事な聖地がまた増えた感じ。これから大学という外の世界に息子が飛び出して行く前に「夫婦のアメリカ観」的なものが微調整できたことも本当に良かったと思う。レッテルを貼られることに慣れてしまったからと言って、自分が相手に同じことをしても良いという言い訳にはならないのだ、ということを痛感したから。髪の毛にまだしっかり残る硫黄の残り香をクンクンしながら、次はスキーのシーズンにまた彼らを訪ねられるよう、母ちゃんはしばらくラットレースでがむばります。。



そしてまた3年ぶりの投稿

2016-05-18 | ブルックリン横丁
どうも私は3年置きにブログ更新熱が出るらしく。またボチボチと更新していこうかなと思っているのですが、これを機に新しいブログサイトに引越しも検討しています。「個人ブログをやるならここだ!」みたいなところってあるのかしら。。このヘンもマイペースにちょこちょこ調べつつ、在住歴も17年目を迎えようとするブルックリンの日常をユル〜く綴っていこうかなと。一体どこの誰が読んでくれているのかも謎ですが、何か決まったらまたここでお知らせしたいと思います。

3年ぶりにアップしてみた。

2013-06-07 | ブルックリン横丁
<<まだあったのかこのブログ!Mixi、Twitterを経てFacebookに落ち着いた日々ながら、たまに長文書いたら一応こちらにも載せてみることにします。読んでくれてる人いますかーーーかーーーーかーーーーー(こだま)>>


昨日息子が英文学の授業で(彼にとっては国語なわけだが)ラップの歌詞からメタファーや韻について学んできたこと、やっぱり一晩経ってもフツフツと嬉しい。先生はその学校の卒業生でまだ33歳(白人)ながら、生徒達に「ラップはビートを聞くものじゃなくてリリックに素晴らしい宝が隠れてる」「カースワードだらけ、とかバイオレントなものという先入観でラップの全てを拒絶するのはもったいない」と説いたそうな。偉い!よー言った!あれもこれも、と色んな曲提案したい!「宝=gem」と言うアタリもオースクマナーを踏襲していて好感度高し!オメェ絶対Brand Nubian聞いてただろ、みたいな。

しかし、両親とラップについて話が出来るようになったオトナ~な俺、というのを前面に押し出したかった太陽が、「2パックとビギーが死んで、リル・ウェインとかドレイクとかニッキーがラップをダメにした」とか言い出したのはマズかった。ラップの歴史を20年近くすっ飛ばしたテキトー過ぎる解釈!聞きかじりの浅知恵がやはり中2らしいww

もうね、カレー煮込むのも忘れてお母さん慌ててエプロンで手を拭きながら(←脚色。エプロン持ってないしw)キッチンからパタパタスリッパ鳴らして早期介入しちゃったよ。だって、ヒップホップが無かったらこの子達産まれてなかった訳だから、ちょっとそのヘンの解釈だけはキッチリしといて欲しいかな、と。

というわけで昨晩はサウスブロンクスから東海岸、ラップ黄金期(と何故そう呼ばれるか、東海岸至上主義的見方まで)、東西抗争とその教訓(とそこから軌道修正してシャイニースーツ時代を迎えた流れ)、マイアミベース含むサウス(とその時代既にピットブルやフローライダーが足場固めしてた事実)、キャッシュマネーの台頭(とbling blingなどのラップ発流行語の一般化)、ヒップホップの国際化/商業化によるリリックの内容の変遷(都市部の黒人の諸問題だけじゃ残りの世界が感情移入できないからね的な)、と息荒く一気に喋り倒しちゃったYO!多分ぜーんぜん耳に入ってなかったと思うが、とにかくスッキリした!

それにしても、「どこに学びのキッカケが潜んでいるかわからない」ということを早くから子供達に気づかせるこの先生のアプローチに感服。「国語=言葉のアート」として、『その教科の面白みを堪能させるための思考回路とかツールを与える』ことは、単に綴りや文法を学ぶのとは全く別ものだし、何よりもその授業が「響いた」生徒の中には一生の財産として残っていくだろうから。

息子の学校の教師の採用の条件に教職の有無は無く、脚本の授業であれば現役のブロードウェイの脚本家を招いたり、とにかく「その道の真髄を知るプロ」の視線から、それぞれの教科の核となる部分、つまり「どうすれば出来るようになるのか」、というノウハウの伝授ではなく「どこに面白みを感じて、その衝動をどうカタチにするのか」という、その人達が紆余曲折を経て到達したであろう「想い」を生徒達と共有することがヨシとされている。間違いなく楽しい授業に決まってる。これぞ学び。

成績表も一切無く、期末テストも語学系の教科のみ、遅刻とかもいちいち記録されないユルユルな学校ながら、どういう訳かアイビー含む超一流大学の進学率もぶっちぎり、という摩訶不思議さなのだが、昨夜読んだ初等部の生徒の文集のクオリティを目の当たりにし、小さい頃からノウハウの叩き込みじゃなく、「自分が学んでいることがどうしてworth learningなのか」、の目の付け所、をその道のプロが共有してくれる、つまり感受性を育む(こう書くととても陳腐だけどやっぱりそうなのね)取り組みを続けてきた子供達の底力を見せつけられた気分っす。参りました。

いよいよ発売!

2010-05-17 | ブルックリン横丁
出ますよー。200ページを超える大ボリューム、ヒップホップ最強レーベルの全貌が紐解かれる!
てなわけで詳細はアマゾンのコピペから。

立ち読み厳禁!

自己マン全開でパーソナルな音楽愛好履歴(途中渋カジとブラック・ミュージックとの独特なつながりなど、80年代後半から90年代にかけての風俗回顧録にもなってます)を綴った訳者あとがきも必読。力入ってます!

よろしくどうぞ!

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【内容紹介】

ニューヨーク大学、その学生寮の一室からスタートし、ヒップホップの代名詞といっても差し支えない老舗レーベル“デフ・ジャム”。白人の音楽おたく(リック・ルービン)としゃべりがめっぽう上手い黒人学生起業家(ラッセル・シモンズ)のコンビが立ち上げたインディ・レーベルが、ヒップホップの世界を牛耳りることになるとは! LL・クール・J、パブリック・エネミー、Run DMC、レッドマンらを世に送り出し、自由な気風・インディらならではのやり方で音楽業界の常識を塗り替えた20年史をまとめ上げた1冊。

【主な登場人物】
リック・ルービン、ラッセル・シモンズ、Run DMC、ビースティー・ボーイズ、LL・クール・J、パブリック・エネミー、スリック・リック、レッドマン、ウータン・クラン、メソッドマン、ウォーレン・G、ジェイ・Z、フォクシー・ブラウン

単行本
出版社: シンコーミュージック・エンタテイメント (2010/5/27)
言語 日本語
ISBN-10: 4401634136
ISBN-13: 978-4401634132
発売日: 2010/5/27

最強12時間耐久マラソンBBQ aka 90's黄金期リバイバルの夜

2009-08-12 | ブルックリン横丁
ホントはこのエントリー、今朝とある原稿のウォームアップとして勢い良く書き上げたと思ったら興奮過多でキーを押し間違えて削除、という痛恨のミステイクをカマしとりました。。。

その痛手から復活した約12時間後!わたしゃ新たに書き直す決心をいたしました!

あのイベントはそれだけ後世に残す価値があったからでございます!

あれは8月8日「ハチ」の日そして「ハッパ」の日。母の日でも婆の日でもあり。

NYで日本のブラックミュージック・シーンを各方面から支え続けた強者共がBKの我が家に集結、送別会(aka卒業式)でもあり、歓迎会でもあり、リリパでもあったこのイベント。我々はここNYでペンやカメラや電波、そしてターンテーブルを武器に弱肉強食、survival of the fittestを地で行くin da streetなindustryを共に闊歩してきた戦友なのである!

なんつって。でもまぁそういうことなのです。しかし我々はただメシ食って酒飲んでるだけで満足するようなhalf steppinなパーティーはしません!

ということでまずはパーティーの裏テーマ:「アラフォー de 90's Hiphop」。ちょっと前の日記でも書いた、マイメンDJソルジャーのイカした90'sクラシックミックスCDの発売記念も兼ねたこのイベント、メシよりもBGMの音世界がキモと思われたため心の準備も入念に。そこで参加者にはパーティーの前日に以下のような招待状が届けられた。


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(途中略)

…このイベントをさらに味わい深いものにするため、90's黄金期を彷彿とさせるファッション、メイクアップ、キャラ設定etcでお越し頂けると大変楽しいかと思われます。

キーワード:ふちどりリップスティック(MAC)、SWVのような長い爪、貝殻ネックレス、帽子の頭頂部切り取り→髪の毛出す、2 Black Guys(これを知っているアナタはかなりのブラパン)、初期の555soul(バックパックなど)、ハウス・オブ・ヌビアンで買ったプロ・ブラックなメッセージTシャツ、逆三角形のパッチがケツについたguess?のバギージーンズ腰穿き(thong見せはオプショナルbut strongly recommended)、サンバイザー逆さ載せ(キャラ設定:レッドマン)、ベースボール・ジャージーにスパッツ&膝サポーター(バット付き)、香水はエタニティ、オブセッション、ポロ・スポーツもしくはdrakkar noir。

ちなみにメアリーJブライジ(サリー)、トレッチ(オヤジ)、そしてT-Boz(ワシ)は既にリザーブ済みなのであしからず。

メッシュのタンクトップにふくらはぎ丈のデニムショーツ&ティンバーランド(aka Boy-Kenの正装スタイル)でレゲエ風味もおさえたいところです。

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そして当日。「思いついた妙案を全部実行してたら今頃ビリオネア」が合い言葉の我々、コスプレ参加は案の定ゼロ。つーか当時の化粧品とか服とかまだ持ってる方がキモいって!

しかし当日の朝まで推敲を繰り返したという、熟練の玄人達をも唸らせるさすがの選曲センスを見せつけたサリーaka DJ Miss TMI(too much info、和名DJ聞きたかねーよ)のスペシャル90's HIPHOPがiPodスピーカーから鳴り出した途端、我が家のテラスの名称は「中二階」へと変わり、そこはNYの真夏の土曜の夜でも一番アツくてヤバいパーティー・フロアと変貌したのであった。いや、マジでそこら中のBKの黒いオースク・ファン達だって尻尾を巻いて逃げ出すくらいにオーセンティックでレミニス度100%の90'sパラダイスでございましたわよ。せいぜい15cm四方のboseのスピーカーにカブり付きで「超ウルトライントロドン!」状態のアラフォー/アラサー男女。侍DJソルジャーもメモ取りに必死。しかしモーケンステフが登場した途端脱落する若造数名。普通に女性トリオの名前の頭文字を暗記してるアラフォー組との間の深くて長い溝に絶句。若造ケ○タにいたっては「リターン・オブ・ザ・マック」がレーダー外という衝撃の事実も発覚。早速今月末に日本に強制送還してやることにしました。

で、宴もたけなわな夕暮れ時、半ばいい感じに出来上がりつつあった我々は徒歩でプロスペクト・パークへ移動。本イベントのもう一つの目玉であったビッグ・ダディ・ケインの無料屋外ライブへなだれ込み!

我々が到着した頃には既に前座3組も終了し、老舗de現役VJラルフ・マクダニエルぷれぜんつな90'sビデオミックス・タイム。そのうちの多くがプロスペクト・パーク近辺で撮影されたBK発の90'sクラシックス。スペシャルEDにジェルー、MOP(もちろんante upですわよ!)、ブラックスター、デッドプレズ(流れてたビデオは「HIPHOP」だから全然新しいんだけどね!)既にDJ Miss TMIのスペシャル・ミックスでアゲアゲのウキウキ状態だった我々アジア人軍団はここでもイントロドン炸裂で周囲のNYオースクファン達を圧倒(あ、ドン引きされてただけ?)、サビどころかビートのドラムパターンまで熟知したあれやこれやのクラシックスに酔いしれながら、我々に羨望の眼差しを送る(あ、軽蔑されてただけ?)辺りのオーディエンスに「you don't know nuthin about this!」とか言い放ちながら陽気に踊りまくる。いやマジでそこにいたヤツら全員が、アタシ達を見て「how can I be down!?」って羨ましがってたと思うよ!「アイツら、いい顔してるぜ!」ってね!

そしてケイン登場。ヤツは90'sどころか80'sまでレミニス。卒業式の訓辞は「ain't no half steppin」。ハンパなことやってちゃいけないんだよ!ここでもまたケインにノせられるがままにクレオ&ビエッティ組がスネークを意気揚々と踊り若造の冷たい視線を浴びるというアクシデントを乗り越え、ホクホクした気持ちで再度帰宅。

そこからは中二階に続き庭の奥の焚き火会場へと営業拡大~90'sR&Bタイムそしてお吸い物休憩、CWニコルと化したオヤジが起こした焚き火で焼いたマシュマロをマンチーのツマミに、暴れん坊DJと化したソルジャーの奇行を観察したり、豚鼻を鳴らしたりしながら午前4時半までほぼ半日を共に過ごした耐久BBQでございました。。。

それにしても、マチガイなくこの夏で一番楽しいイベントだった!

オヤジ、ありがとう!忘れんなよ!

ナオちゃん、いらっしゃい!待ってたぜ!

ゆきお君、おめでとう!これからのシーン任せた!でも酒癖治せよな!

ケイタ君、頑張れよ!顔洗ってまたNYに出直して来い!

それからヤスコさん、愛子ちゃん、チーコちゃん、美味しい差し入れと楽しい会話をありがとう!JTもグリル番長お疲れさん!

来年からは毎年8/8は「ハチの日」として記念BBQやるぞ!オヤジ、ケイタ君、それからスーシーは名誉会員としていつでも自腹でNYに来てね!

さ、DJ Miss TMIから90'sミックスCD焼いてもらわなきゃ。

KRS-One!

2009-07-23 | ブルックリン横丁
すごい展開です。

まずはマイメンゆきお君ことDJソルジャーが御大KRSと『You Must Learn 2K9』でコラボしたことから始まり。アラサー世代、90’sヒップホップファンにはタマらん名曲を集めたDJソルジャーのCDが7/29に発売される運びとなり、そのタイミングでKRSの数ある代表曲の一つである『You Must Learn』がリリースされた1989年から20年という節目にあのクラシックが蘇る…的なナイス企画の対訳をやらせて頂きまして。(以下リンク)

http://www.primecuts.jp/manhattan.jp/taiyaku.html

したらばどういう訳か多方面でご好評を頂いているとかで、7/29にはiTunesでもリリースされる同曲の購入者特典のブックレットにも掲載されるということですー。ナイスサービス!


で、そんなこともあり、さらに今日はKRSワンがブロンクスで野外コンサートを(しかも無料!)行うということで、旦那に子供を預けNちゃん(現時点では名前を伏せておこう)とソルジャーとBXまでかっ飛ばしました。

ライブ自体はもちろんオースク全開&ファミリーも沢山、ということでタイトかつ牧歌的なノリではあったのですが(でもサウスブロンクスでKRSを観た、という人生の「やることリスト」の一つが片付いた感アリ)、今日のハイライトは何といってもライブ後にアリ。あ、それからソルジャーとの新曲も早速ライブでやってたよ!良かったねユキオくん。アンタは日本人ヒップホッパーの期待の星だよまったくよー!

さらに、出かける直前になってKRSとの取材許可が降りていたので、ステージからKRSがはけた後は彼の居場所を追うことに。二転三転の後、KRSが選んだのはジョージ・ワシントン橋を越えたNJの自宅。早速カーナビをフル稼働させ、N嬢とソルジャーを乗せて出発。その時点でもう9時半。

過去2回電話取材はしたものの、対面は今回が初だったわけだが、KRSが一度話し始めると永遠に止まらないことはよーーーーーーーーーく承知だったので、始めに貰っていた質問状を半分くらいに減らしてもらう。で、広報担当のコと自宅の階下で待っているとKRS登場。何故か近所のバーガーキングで取材しようと言い出した!おもしれー。普通にNJのガキとかが食ってる横であのデカい声で説法。

でまぁいつも通りどんどん話が膨らみあちこちへトリップし、色々な雑学/トリビア満載のさすが!なインタビューを撮り、滅多にしないアーティストとの2ショット写真はもちろん今回一緒に動いたチーム全員のグループ写真まで撮るという浮かれポンチなノリで終了。

KRSといえば公共交通機関嫌い、さらには飛行機が大嫌いということで来日イベントのブッキングの難関アーティストとしても有名なのだが、今回のソルジャーとのコラボを機に来日しないわけにはいかないでしょ!とじわりじわりと突いてみたらかなり興味シンシンの模様でした。近々にマネジメント側と来日の可能性について相談することになっているのでもしかするともしかするかもよー。

で結論:やっぱ鼻もデカけりゃ声もデカかった!

気が向いたら2ショット写真もアップします~。Nちゃんのカメラだけど。

Jay-Z取材ガツンと行ってまいりました。

2009-07-23 | ブルックリン横丁
<<ミクシィでアップしてすっかり満足しちょりました。1ヶ月くらい前の話ですが記録として。>>



あードッと疲れが。でも充実したい~い感じの疲れですぅ。

新作『Blueprint3』を控えてのインタビュー。予想通りよしくん作成ジェネリックな質問状&411用の通訳。

『Black Album』以来数年振りの対面取材。前回はもちろんデフジャム仕切りだったんだけど、レーベル/アーティスト側からのリクエストにより、違う雑誌用とは言え何度も同じ質問をされるのは勘弁、ってことで、当日になっていきなりジェネリック/オフィシャル(一般書き分け用)担当だったワシの取材に同業者/先輩ライターも同席し、私の質問とカブる内容のものは各自削除、っていうちょっと(つーかかなり)やりにくい感じだったのでした。

で、質問の数もかなり沢山あったので、軽い気持ちで「代表インタビューでもあるし、ちょいと長丁場になりそうだからよろしく頼みますよ!」的なことを言ったんですね。私としては「ということで気を抜かずに頑張って!」みたいなつもりで。そしたらジェイは「そういうのはやる前からアーティストがゲンナリするから言わない方が得策だったな」と。私もそりゃそうか、とすぐに引き下がりつつ(当たり前)、今までの取材でそんな切り返しをされたことがなかったため、「むむむ…ジェイZやるわね…」とか思って、以来彼はやはりただのラッパーじゃないんだな、と一目置くようになった、といういきさつがあったのでした。。。

んな過去があったため、今回は私も含めTVを入れて合計4人がそれぞれ持ち時間をきっちり確保出来る、という運びになっててちょっとビックリ。

場所はジェイ保有のロック・ザ・マイクスタジオ。今まではジェイ関連の取材はほぼマイメンジャスト・ブレイズ所有のベースラインだったんけど、そこから半ブロックくらいの至近距離にて。全体的にまだまだ新しく、もちろんロカフェラ関連のプラックが飾られてました。

ホントはリスニング・セッションもアリ、なはずで、そのために正午には集合してたっつうのに、結局はまだまだアルバムの全体像が見えてないためジェイが聴かせたくない、という理由でキャンセル。

実際に取材が始まるまでの数時間の待ち時間は、プラズマTVでMTVのマイケルPVマラソンを見たり、ベースラインを拠点としていたはずのエンジニアであり、ジェイ傘下のデフジャム時代にはA&Rも担当、そして今回はroc nationでもジェイに引っ張られてA&Rをやってるというヤング・グールー(以前ブラストでやった彼の音楽馬鹿っぷりが伺えるインタビューは秀逸でした)に、ラウンジに置いてあったギャラガ/パックマンの攻略法を伝授してもらったり(余裕で30万点とかスタジオの最高記録保持者だったよ…ちょっとコツを教えてもらうはずがすっかりゲーム横取りされてワロタ)して潰す。さらにはワーナーのプロダクト・マネージャーと「スリラー」のビデオに出て来るマイケルの彼女役はニア・ロングか否か、とアホ丸出し(相手がね)な賭けをして$100勝ったり(これはワーナー・ジャパンに請求する、とか言ってたよ←チクってみた)、何かとエンターテイメントに事欠かない感じでした。


で、そんない~い感じで取材用のスタジオへ入り、数年振りにジェイZと対面。こないだのビヨンセ(ステージから遠かったけど)に感じたのと共通して、「…痩せた?」ってのが第一印象。あの夫婦絶対ヘルシーだけど美味しく、かつカロリー低、みたいなウマいもん作ってくれるシェフもしくは栄養士とかはいるんだろうけど、相当に締まってますた。

あ、あと事前に「私生活に関する質問、特にビヨンセねたは大NG、訊いた場合はその場でインタビュー中止」という通達が出てました。

でもとりあえず昨日の今日なタイミングだし、マイケルの死について&昨夜はどこでどう過ごしたのか、という質問(これは質問状には無かったけど)はしてみたんだけど、「家にいた。どこにも行かなかった」って言われちゃあね…「やっぱりBeyも一緒に?」なんて言えるわけないんで。でも「まだ気持ちに整理がついてない段階でのコメントはしたくない」って言われてしまいました。

細かいインタビューの内容はよしくんが色んなところで書き分けるだろうからそこで読んでね、って感じなんだけど、全体的な印象としては「数年前より確実に【自分のブランドを守る】ことに対してのストイックさが格段にアップした」って感じ。とにかく、「どうにでも解釈可能」みたいな曖昧な言い方は絶対しないし、「これ以上このネタには触れるな」的な雰囲気の時は必ずそう伝えてくるし。前回に一言で諭されてしまった時点で「やはり」とは思ってたものの、その「緊張感」とも取れる迫力が数段アップ。

これって、去年ビヨンセに取材した時にも同じようなことを感じ、ここでも日記に書いたんだけどねー。いや、あの夫婦の成功の鍵はコレだと思いますね。断言。メディアでの報じられ方に完全なる主導権を握ること。いかようにも解釈されそうな中途半端なことはしない、言わない。ゴシップサイトとかはそれでも食いついてるけど、肝心なプライベート情報とか、あのレベルのセレブにしたらミラクルか、っつうくらい封印されてるしねー。ま、今のこのゲームであの二人を敵に回したらやってけないからねー。なんかジャニー&メリー喜多川か、ってな。例えが違うか。


なんだか、一時期はジェイとナズでキングの座を争ってビーフがあったけど、今のナズ&ケリースの離婚ネタの醜聞なんかを目にしたり耳にしたりすると、隔世の感がある、っつうか。。。捕まえた女が悪かったのかねぇナズは。。。ま、そんな人間くさいところもナズの魅力ではあるんだけどさ。ジェイのあの立ち回りの巧さは政治向きかもよー。ちょっと、今日のやり取りでジェイの政界入りもあながち馬鹿げた空想とも思えなくなってきたわ。

いや参りました。時計もジュエリーも革ジャンも高そうでした。普通にヤンキーズ帽だったけどね。


あ、でも最後にひとつ…自分のブランドを守る=もうタダで他人のエンドースメント(宣伝の肩担ぎ、とでも訳すか)はしない、ってことで、マイガールDJナオミやマイメンDJソルジャーへのシャウトアウト/IDをゲトろうと思い用意してったのにNGもいいとこでした。。。ご免よナオちゃん&ユキオくん。ちなみにMTV JAPAN用のIDですらNGだった、というところでその厳しさを察して頂ければと。。

あーでも音源聴きたかったっす!

ビヨンセ「アイ・アム…サーシャ・フィアース」ツアー@MSG!!(注:鼻息荒

2009-06-22 | ブルックリン横丁
ほぇ~。凄いもの見せてもらいました!
MSG帰りの定番寄り道、Kタウンで晩飯買って、食いながらアップ。
興奮の新鮮なうちにね。
今日はライブレヴューなどの予定はなく、同行のソニーNY駐在しばけいからも普通に観賞モードでオッケー、とのお達しが出ていたのでビール片手に楽しみましたぜ。

いやいやそれにしても。
しょっぱなからクレイジーインラブで惜しげもなくジェイ登場。
売り上げや数々のアワード受賞合計数からしても当たり前なのだが、ティナ・ターナーとかそういうアイコンのレベルを超越。パフォーマンス中のビヨンセの頭上に輝いた太字フォントの四字熟語(私の脳内でね)は「人間国宝」、なのでした。
それからそれから、Beyの痩せっぷり&女ぢからにただただ脱帽。
2時間があっという間の密度の濃過ぎる(=ヒット曲あり過ぎ)ショウ、今後これを超越するステージングができるのかどうか見てるこっちが不安になるくらい。っていうかきっと、私の人生のうちで一度だってあんなに集中して踊ったり歌ったり宙づりになってしかも3回転くらいしたり、なんて2時間は訪れるわけがないんだが、それを彼女は連日やってのけてるわけだよねぇ。しかもスティレット履いて。比べんなよ!とか一応セルフ突っ込みしてみましたが、とにかく彼女はエンタメ界の至宝です。間違いなく。最後は「シングル・レディース」から「Halo」でシメ、だったんだけど、大ラスはフロアに膝ついて、両手でマイク挟んで大きく前後に頭を振りながら歌ってたんだけど、もうその姿がシャーマン入っちゃってる、っていうか、神懸かり的な迫力。

それから途中途中でアラニスとかサラマクラクラン、ジャネット、さらにドーン・ペン!!!!(ビヨンセの「ノーノーノー」だよ!MSGのステージの背景が一面ジャマイカ国旗。さすがカリビアンマッシブにも目配せしたNYCらしい演出)なんかのヒット曲を挟んだり、アレンジされたトラックで「カリフォルニア・ラブ」のイントロ使ったりニクいことしてました。

それから今日の衣装はハイレグ祭。これでもかっつうほどのハイレグ祭。レオタード祭とも言う。

っていうか、これ言うとイヤらしいかもしれないけどあの取材に立ち合った人間じゃないと言えない感じのことなんで、敢えて言わせてもらいますが、今回の『アイ・アム…サーシャ・フィアース』の全ての収録曲についてビヨンセがメディアに話をしたのはUSのレポーターでもなく他でもないこのアタクシだったのですよ。偶然そういうタイミングでインターナショナル諸国代表取材として日本が時間をもらった、っていうだけのことなんだけど。

アルバムのライナーでも同じことを書いたけど、アルバムについて語るのはビヨンセも初めてだったため、まだまだ曲解説とかの内容が練れてなかった(=うまくまとまってない、一番絞りである意味最も正直なコメント)だけに、取材慣れしてきて何百回となく言い古されたみたいな、用意されたコメントじゃない分、彼女が各曲についてどれだけの情熱と興奮を注いでいるか、っていうか、気迫つうか、そういうのがぐわぁぁぁぁぁっと放射能のような威力で伝わってきてたのよね。その時はまだアルバム自体も取材前日の試聴会で、通しで1回しか聴かせてもらえなくて、でそのうち商品になってCDとして聴いて、それと同時にラジオやメディアでがんがんかかるようになって。もちろんレコーディングとかの現場に一緒にいたわけじゃないんだけど、作品が産み落とされ、その産みの親が自分の作品について愛おしげに語る姿を目撃し、その意図をまるごと伝えるという使命を仰せつかってイタコの気持ちであちこちに記事を書き、そうこうするうちに確実にこの作品が世に知れ渡り…という、ある一点から放射状に広がる現象を目の当たりにしたという実感がひしひしと感じられた経験だったのですよ、私にとって今回のビヨのアルバムは。

で、今日のMSGはその放射状に広がったものの集大成、という意味で、なんだか私の中でも「昇華」というか、お相撲さんでいうと右手で「心」の文字を切ってるところ、っていうか、決着つけてやったぜ!みたいなさー。いつもは自分がこういう仕事をさせてもらっていることについて結構淡々としてるんだけど、今日だけはちょっと鼻高々な気分でした。素晴らしい現象のほんのちょっとの一部ですが柱の陰から目撃させてもらってありがとよ!みたいな。

それから、「生身のビヨンセ」と「サーシャ・フィアース」、というビヨに内在する両極端なキャラ=二面性、というテーマ/ギミックも、インタビューの時は「おいおい世間はついてきてくれるのかいな」、と一瞬焦りつつも、それを浸透させるのも自分の役目かも、とか気張ってイタコに徹してたから(ホントにこのアルバムに関しては気合い入れまくって書きまくったのだ!)、今日のMSGの大観衆を見回して、あのギミックがきっちりアーティスト・サイドの思惑通りに浸透したのだということを見届けてちょっとホッとした、みたいな。ちょ~お節介もいいとこなのは承知なんですけどね。お恥ずかしい限りです。こんなとこまで気にしたアルバムとか作品ってちょっと初めてだったもので自分でもビックリでございます。

すんません、あまり練らずに思いつくままに書いとこう(備忘録として)、と思ってタイプしまくり千代子(最近コレ好きなの)なので意味不明かもしんないけど!

とにかくこのワールドツアーが終わったら、そうとうに充電したりインスピレーションを備蓄しとかないとこれ以上のものを作り出そうたってなかなかそうはいかなそうな。そんだけ凄いもの見ちゃったんですよ今夜は。もうね、女であることが誇らしく思えるような、それくらいempoweringな経験とまで言い切っちまいたいくらいです。

今はNYCがホームになったBeyだけに、他のどの場所の公演よりも気合いが入ってたっつうこともあるかもしれないけど、今回のワールド・ツアー、東京と大阪にも行くということなので行けるヒトは絶対に観ておくべきだと思います。父の日の夜に子供と置き去りにされてブースカ文句を言っていた旦那を尻目に出かけてホントよかったぜ!!!

Jay-ZとD.O.A、そしてHOT97

2009-06-11 | ブルックリン横丁
久々にヒップホップねたです。

ストリーミングで24/7な感じで世界のどこでもHOT97をチェック出来るようになったご時世。HOT97としてもこのハイプには乗れるだけ乗っていきますよー!!的に毎日毎日宣伝に忙しい感じ。

先週末に開催されたお馴染みサマージャムではやはりJay-ZがDOAをパフォーマンス(Tペイン登場のサプライズ付き)してオイシイところを持ってちゃった訳ですが、HOT97でも数日前に行われたアンジー・マーの番組内に出演したジェイの発言を15分置きくらいに繰り返し繰り返し放送して「聞き逃したヒトはネットで聴けるよ!」的に宣伝しまくり千代子なわけです。

私もまさにそのインタビューが生放送されていた時にクルマを運転してて、信号待ちの時にメールチェックしてたら、最近リユナイトした東京の元レコ屋店員(フフフ)からの「今ジェイがHOT97で喋ってるのをストリーミングで聴いてます!」という知らせで慌ててチューン・インしたという始末。ってか東京午前5時だし。元レコ屋恐るべし。

残念ながら私が聴いた時にはアンジーとジェイは雑談モードに入っており、パンチラインは聞き逃したものの、数日経った今でもインタビューの核心の部分はガンガンラジオで流れているので一応「拾い聞き」ながらもジェイの言い分は判ったぜ、って感じ。

要は「ウェインとかカニエとか、オートチューンで良い曲作ってるやつらもいるし、自分はオートチューンが嫌いな訳じゃない、でも流行だからってみんながみんな同じサウンドを作るとそこでヒップホップが停滞する」ということ。

ま、その通りなんだけど、NYに住んでるからなのか、もうジェイZって何やっても周囲が良いように解釈してあげちゃうモードっていうか。ラッパーであるよりも既にビジネスマンの側面が強い存在になっちゃったし、DOAをこのタイミングでリリースするのも「そろそろヒップホップ界にビーフ投入→多少の物議を呼びつつサマージャム&ネットストリーミングの宣伝に貢献」というHOT97とのしがらみ/癒着を感じないでもないというか。本気でオートチューンが嫌いとか言ってるわけでも、Tペインがどうの、とか言ってるわけでもないし、釈迦の手の平で孫悟空が飛び回る図、というか、このゲームを手中に入れた人間が気まぐれにシーンを揺さぶってる、としか思えんのですわ。

「分厚い札束が入らねえからスキニー・ジーンズは穿かねえ!」のパンチラインも記憶に新しいジェイですが、これだって昨今のヒップスター寄りのヒップホップ・ファションを当然意識しつつも世代的についていけないオヤジなりの、「流行は意識/理解してるけど敢えてノらない分別のついたオレ」という姿勢出しだよね?

そのヘンの、若者に媚びないながらもシーンの動向には気を配ってる感の配分がウマいんだよなぁ。30+をも安心させる言動。策士だねぇ。

Tペインにしてもジェイから(エセ)ビーフを仕掛けて頂いた時点で男が上がるワケで有り難さ満点だろうし、何だかジェイを取り巻くシチュエーションはどう転んでも皆が得するように出来てるよなー。ウマいよなー。と感服です。これぞ究極のエンターテイメント、じゃないの?ヒップホップ界未曾有のアゲチン。それをハンドルするワイフィー=ビヨンセ。無敵だ…。

あのー。。

2008-12-12 | ブルックリン横丁
ここ数年はこっちのブログにはほぼアップせず、ミクシィでお茶を濁していた訳ですが、普通に社会人をしてる友人等はミクシィなぞ利用していなかったりもするんだよな。。

とりあえず近況としてビヨンセ新作の解説文など書かせて頂いたりしてますので、興味のある方は是非読んでみてね。
2枚組の収録曲全てに対する本人からのコメントも一字一句載せましたので。多分ライナーでしか読めないシロモノだと思われます。

ミクシィで探したい方は本名で出ておりますのでよろしこ。もしくはBK横町でお探しください。

もしかしたらぼちぼちミクシィの過去日記をこっちに移したりもするかも。でもまぁ古いネタなんか載っけてもねぇ。どうしようかな。

TIライブ、Jim Jones取材

2008-12-12 | ブルックリン横丁
師走だけにちょこちょこ出かけたり仕事したり。

先週はハマースタインにてTIのライブ。
FM105.1のイベントだけに観客は若め&4年くらい前のアポロ・シアターでのジョイント・チーフ(ファット・ジョー、ファボラス、ジュヴィナイル、トリック・ダディそしてTI)のライブに比べてオーディエンスにものすごい広がりがあったのには驚きつつも納得。コネチカットとかロングアイランドの高校生風とか白人、インド人女子とかまでがTI口ずさんでるんだもん!

さすがにあれから数年経ち、ラッパーとしての人気もステイタスもきっちり確立された後のステージングということで、ライム裁きも客裁きも堂に入ったものでした。まぁ新人時代からずば抜けた「新人らしからぬズケズケ感(わかりますか)」の持ち主ではあったものの、ちょっと身のこなしに落ち着きが見え、それにセックス・シンボルとしてのサービスが加わったと言いましょうか。Tシャツを客席に投げつける前に一度パンツの中に突っ込んでキングのエキスを注入してから、っていう余計な真心まで込めてましたよ。タンクトップ姿は相変わらず夏休みの小学生風。腕相撲したら勝つ自信あるね。

ライブのトリは「マイアヒ・ライフ」。プロデュースしたジャスト・ブレイズもステージの上でフツーにライブ観賞してたんだけど、いきなりTIにマイク渡されパフォーマンスに引きずり出されて慌ててました。後で話した時には「もう二度とやらん」とか言ってましたが。


んで昨日はジム・ジョーンズの取材。2月発売予定の新作は何とコロンビアからリリース。KOCHじゃないのね。ということでNY入り中のソニー・ジャパンチームやスーシーと共に28丁目に出来たばかりのジムのスタジオへ。

ホントは一昨日にソニーで取材のハズだったんだが、「腹がいてぇ」っていう幼稚園児みたいな理由でキャンセルされてたんですねー。ただのキマり過ぎでしかなかったんだが。3時間待ちの後、ようやく登場した本人にそう言われちゃあねぇ。ということで「絶対明日は復活して来いよ!」とお願いしての再設定。

で仕切り直し取材はバッチリ。ま、サービス精神旺盛にもりもり喋るキャラじゃないし(ディップセット時代はジムが一番しっかりしてたんだけどねぇ。ソロで当たると色々キャラ設定にも変更が出るものです)、スタジオに到着したら速攻ハッパ巻き巻き作業に取りかかってしまったので、大関さんと「こりゃぁデロデロになる前にやっちゃいましょう!」ということで有無を言わさず矢継ぎ早にあれこれ訊き出しました。2月以降に色々出て来るはずなんで宜しくです。

スタジオには、音楽稼業から足を洗っていたところを説得され、ビジネスパートナーとして引っ張り出されてきたデーモン・ダッシュと息子の姿も。昔ロカフェラのオフィスで見た時より息子がちょーデカくなっててビビりました。息子もラッパーになるんだってさ。

でも一番傑作だったのはジムのスタジオ。スカル(どくろ)・グッズがそこら中にあしらわれており。さらにはボデガ(フッドの街角に必ずある商店。ジュリアーニ以降は相当厳しくなったけど、行くとこに行けばハッパも売ってたりする)がスタジオの中に再現されているというこだわり様!NYの治安が良くなってからはあんまり見かけなくなったものの、金のやり取りは防弾ガラスで出来た回転ドアみたいのに出し入れしたりする装置までもが精巧に再現。。。
とりあえずジムの登場を待つ間にスーシーと共にボデガでのイケナイお買い物ごっこなどをして遊んでみました。

…って色々画像アップしたくてもこのブログだと1枚だけなのね。。めんどくせ。。。

一夜明けて<追記あり>

2008-11-06 | ブルックリン横丁
感無量。

昨日はElection Dayということで学校は休み。学校の体育館が投票所となった。この世紀の大統領選に一票を投じるため朝から記録的な人数の有権者が集まった。アメリカ市民でない私には残念ながら投票権はないが、旦那は出勤前の朝9時から行列に並び、結局2時間以上並んでようやく投票した。会社の上司に遅刻を伝えると、私と同じく投票出来ない立場のフランス人の彼は「国民としての義務を果たせ、遅刻は気にするな」と言った。私は子供達を連れてなかなか進まない行列に立ち続ける旦那を応援しに行き、同じく立たされっぱなしの近所の知り合い達に「私の分まで投票してくれ!」とハグしていた。

各地の投票所の状況がTVで生中継されていた。ハーレムの投票所は朝8時の段階で既に、過去のどの選挙の記録をも遥かに上回る数の有権者が集まったという。全米中でこれと同じような現象が起こっていた。
後で報道されたことだが、今回初めて投票した若者を中心とする有権者達の実に90%以上がオバマに票を投じたという。

近所で昼間からよくたむろしてるキッズ達も集団で投票の行列に並んでいた。待ち時間を見込んで持参していたラジカセのHot97からは、パブリック・エネミーや2パックの「Change」等が流れていた。やっぱり、彼らも今回初めて投票したという。

夜になって開票速報が流れ、それぞれの政治的立場のあるTV局によって多少雰囲気や扱うトピックの内容にバラつきはあったものの、「事実」には抗うことは出来ない。オバマの圧勝。

まだオバマと言えずどうしても「オババ」になってしまう娘も、クラスメイトとさんざん親やTVから仕入れた選挙ネタでにわかにポリティカルな小学生になってしまった太陽も既にベッドで寝ている中、旦那とTVでオバマの勝利宣言を見た。

キング牧師の演説やJFKの就任演説と同じように、今後歴史に輝く瞬間、それをリアルタイムで味わっているという興奮。

高校、大学の頃にカウンター・カルチャーという言葉を知り、ヒッピー・ムーヴメントだったり学園紛争だったり、そういう「何か理念のために若者が団結する」という現象に憧れを抱いていた時代を思い出した。もう、私達にはそんな経験を味わうことはないのだろうと思っていた。

911の後にNYの市民が「今この惨事の中、自分達に出来ること」を模索し、草の根レベルから自発的に被災者の救済やボランティアに奔走していた時、まだ渡米して2年目だった私は「理念につき動かされた人々」がもたらすパワーの底知れなさを目の当たりにして感動したものだった。

それとまた同じ現象が、あの時よりも桁違いの規模で、全米中で起きている。もちろん、初の黒人大統領が誕生したという事実は色々な人々にとって大勝利だ。自分の息子と同じ、黒人の混血児が大統領になった。私と旦那は興奮しながらお互いに同じ質問を問いかけ続けた。「これは何を意味しているんだろう?」「これから何が起きるんだろう??」

2年に及ぶキャンペーンを経て、私達は既にオバマが大統領になった時の心の準備は出来ていたと思っていた。でもどこかで、「まさか「ホワイトアメリカがそんなことを許すはずがない!」と疑う気持ちも捨て切れなかった。「どんな手を使ってもヤツらは初の黒人大統領の誕生を阻止するはずだ」と。でもその疑念を打ち消すために、人々は朝から行列した。「今ここで自分達の声を届けなければ一生後悔することになる」、と。

そしてバラク・オバマの圧勝。大勝利。勝利が決まった瞬間、LAからワシントンDCでの投票ボランティアに駆けつけていた義姉の友人らが集まっていた上の階では床を踏みならし狂喜乱舞のお祭り騒ぎ。すぐにビデオカメラを持った義姉が駆け下りてきて私達の様子とコメントを録画して行った。

そのうち外からも大歓声が聴こえてきた。ヴァンダービルト通りに数軒あるバーの巨大TVで開票速報を観戦(?)していたヒップスター達が通りに溢れ、即席の勝利パーティーが始まったのだ。午前1時過ぎ。銃声もあちこちで上がっていた。最も、これは祝賀のガンショット。何百発だろう、爆竹みたいな連発。

路上に溢れ出た群衆に調子を合わせて、通り過ぎるクルマがクラクションを鳴らす様子が四方八方から聴こえてきた。こんな映画みたいなことが今起きているなんて!

既にパジャマにはんてんを羽織って庭のテラスで耳をそばだてていた私は居ても立ってもいられなくなり、ジーンズに履き替えて通りに走り出した。通りでは軽く200人くらいはいただろうか、近所のバーや、私のように家から駆け出してきた人達が通りを占拠し、NASの「If I Rule The World」に合わせて「オバマ!オバマ!」と叫びながら踊っている。誰かのiPodだろうか、その後はトライブの「シナリオ」、そしてジェイ-Zの「Dead Presidents」や「Roc Boys」が流れていた。でもその9割はいわゆるヒップスターと呼ばれる、イマドキなトレンド・セッターの白人達。ヴァンダビルト通りの再開発に取り残されたように立っている「昔ながら」のアパートメント・ビルに住む黒人キッズ達も通りに出ていたものの、彼らは丸くなってヒップスター達の響宴を見ていたが、増え続けるクラウドが車道にはみ出し、中央分離帯まで占拠したところで、彼らもそれまではかろうじて保ち続けていた「クールネス」を脱ぎ捨て大団円に参加し、大声で「Yes, We Can!」と叫び始めた。私も喉が枯れるほど叫んでいた。

深夜のゴミ収集車も、イエロー・キャブも、この響宴の横を通り過ぎる度にクラクションを鳴らして参加し、運転席から片手を伸ばして知らない者同士が手を握り合った。

そのうち白髪頭の黒人の老女を助手席に乗せたクルマが近づいてくると、車道を占領していた群衆はゆっくりと道を開け、右手を差し出した老女の側に行って握手を求めた。この瞬間が全てを体現していたように思う。彼女の胸に去来する気持ちはどんなだったろう。

ケニヤに住むオバマの祖母の笑顔がTVに映る。ブルックリンのさらに奥、カリビアンの集まるフラットブッシュ地区でも、ハーレムの125丁目でも、ヒップスターのメッカのウィリアムスバーグやグリーンポイントでも、何千人という若者達が深夜の祝宴に興じている。

興奮して帰宅した私に旦那は「このえも言われぬピースフルな心持ちは一体なんだろう?」と言った。「何だか、これからは全てがうまく行くような気がする」とも。

オバマは演説で、人種や党派、年齢を超えて人々が「理想」の元に結託し、アメリカ合衆国の理念を忘れなかった人々の勝利だ、と言った。本当にそう思う。肌の色とか、フィジカルな違いを超えたもっと深く崇高なレベルで、変革を求める若い世代が体制を覆した瞬間だ。「希望」の持つ力。感動だ。

これからどんな素晴らしい未来が広がっていくんだろう?経済恐慌、環境問題、課題は山積みだけど、これまで政治には目もくれなかった若者達までが腕まくりして世直しに精を出す…人種を超えて、同じ理念の元に。そんなユートピアのようなイメージまでが歯がゆくもなく感じられる。YES, WE CAN!そう、私達だってやれば出来るんだ!

確実に良くなる。これからの世の中。

<追記>
<追記>

オバマとマケイン、それぞれの勝利宣言と敗北宣言のスピーチの中で象徴的だった瞬間。マケインがオバマの名前を口にすると、支持者達からはブーイングの声が漏れた。しかしオバマのサポーター達は、マケインの名前を聴いて拍手した。この心意気の違いだと思う。スポーツマンシップ、というか。敵味方としての立場を超えて、人間としてリスペクトできる器があるかどうか。政治も元をたどれば人の心持ちが根底にある。それが最終的には政策という具体的な行動に現れていくのだ、と考えると、「自分達の勝利だけ」を気にするのと「違いを乗り越えて励まし合える」のとじゃその差は歴然だ。子供の頃から教えられる「人として正しいこと」がこの超大国の大統領選びできちんと示されたのだ。世の中捨てたモンじゃない。本当に、これからどうなっていくんだろう!?政治にこんなに浮き立つような興奮を味わわせてもらえる日が来るなんて思ってなかった。誇張ナシで、昨日までの世界とは全てが違った色に見えてしまうほどだ!朝の路上ですれ違う人達が抱き合い握手し、キッズ達は満面の笑顔で通学している。

昨日の歴史的瞬間が世界のこれからの世代にどれだけの希望を与えるんだろう?本当に人生って分からない。

2008 Hummer HX Concept

2008-01-17 | ブルックリン横丁
ひぃぃぃ~。ヤバすぎるスタイル!
コンセプトなので市販されるかどうかは疑問ですが我が家的にはツボもいいところです。かっちょイイイイイイ!!
というわけでこの興奮をお裾分け♥

もっと見たい方はこちらへ:
http://www.autoblog.com/photos/detroit-2008-hummer-hx-concept/

恥はかき捨て

2008-01-10 | ブルックリン横丁
ご存知ある方もない方もいらっしゃるかと思われますが我が家のサイドハッスル(またの名を早期退職計画)は大家業。3つの建物に10人を超えるテナントちゃん達が入居中なのだが、彼らの日々の生活を通じてNYという街の人間模様や様々なドラマを伺い知ることができるわけです。良い事も悪い事も含めて。

イケメンプレイボーイの部屋に抜き打ち訪問しにきて、まんまと裸の女とハチ合わせした血の気の荒いプエルトリカン女のおかげでNYPDを呼ぶ騒ぎになったこともあった。

ジプシージャズ・ギタリストが勝手に教室を始めて、ボヘミアンに憧れる(=しっとしりた長髪をなびかせるもっさいティーンネイジャー男子率高し)ギター小僧達がひっきりなしに出入りすることもあった。ティーンズ・スピリットがスメりまくりな。

ニュージャージーの、世間とは隔離されたゲーテッド・コミュニティ(敷地を柵で囲まれ、出入りする時はセキュリティのチェックを受けなければならない管理の整ったネイバーフッド)で育ったボンボン黒人男子が「世界を知るため」にブルックリンに武者修行を決意し引っ越ししてきたものの、心配で後をつけてきた父親と泣きながら喧嘩してたことも。結局父親は最後に「彼の部屋のドアだけ鍵を3つつけるように」と言い残ししぶしぶ退散して行った。

ちなみにそのボンボン、結局殆ど部屋から出ずに何かの執筆に専念しているとのことだったが(外に出るのが怖かったらしい)、半年も経たないうちに賃貸契約の解消を要求。家賃の小切手は毎月実家から送られてきていたし、別に無害っちゃあ無害だったのだが、どういう訳かそいつが住んでいる間じゅう、今までは何の問題もなかったトイレがよく詰まるように。なので我々としても「逝ってよし」状態。とっととお引き取り頂いたわけだが。

ルームメイトとしてアパートを共有する男気溢れるレズビアンなソーシャルワーカーと、駆け出しのメイクアップ・アーティストとして頑張っているらしいソフトな物腰のゲイ男子のコンビは、同居1年目にして早くも関係が崩壊。
何でもゴミ出しやら電球の取り替えやら、重い荷物の運び込みなど、全てをお任せ状態にされてしまった硬派レズボーが「こんなに手のかかるルームメイトは要らん!」とキレちゃった、ということで。

デートに忙しく子供の世話を怠り親権を取り上げられそうになっていたベイビー・ママからすんでのところで娘を取り戻したシングル・ファーザーもいた。エリカ・バドゥやデッド・プレズらと親交の深い彼は何かにつけて「これは政府の陰謀だ」だの何だの、最終的にはブラック・パワー論に持ち込むのが得意技なので、家賃を滞納しても涼しい顔をしてうちの旦那に「カモ~ンメ~ン!」と同胞カードを振り回して何とか取り繕うのに必死だった。個人的にはこのテのが一番苦手。でもホントに多いんだよな、こういうタイプ。

ハーヴァードに通うレズビアン女子のサブレッターが夏休み限定のNY生活の拠点に我が家を選んだこともあった。毎晩毎晩、盛りのついた猫のように出入りを許可すらしてない屋上にとっかえひっかえ違う女を連れ込み、夜景を見ながらしこたまワインを飲ませて発情プレイに明け暮れていたらしく。カミングアウト直後なんだか知らんが、あまりに「文句あっか!」的な不遜な態度と柄の悪さに業を煮やして、リファレンス先(賃貸人の後ろ盾として連絡先を公表する、保証人みたいな感じ)になっていたハーヴァードの某教授の名前を出し「テメーいい加減にしないと電話してチクるぞ!」と脅したことも。


産まれてこのかた賃貸人ライフを経験したことのない旦那としては、彼らが日々見せつけてくれる人間の醜態に慣れっこになりながらもやはりゲンナリさせられている訳だが、社会人時代渋谷で3年ほど賃貸一人暮らしライフを堪能したワタクシには分からないでもないこともあり。いや、間違ってるんだけどさ。「どうせ自分の家じゃないしぃ~」「もっと他にオイシイ物件があったらいつでも引っ越しちゃうしぃ~」みたいな宙ぶらりんの自由。

「旅の恥はかき捨て」ならぬ「賃貸の恥はかき捨て」状態。

でも、一歩家の外に出るとテメェの暗いプライベートな顔は一転して愛想の良い模範市民みたいな外面を装う、と。

あれはあれで楽しかったけど、もう戻りたくないなぁ。「水は低きに流れる」を地で行く、自堕落ライフ。

そのうちそんな自堕落にも飽きて、独りだろうと何だろうときちんとした生活を営むようになっていったのかしら…。

ま、今となっては知る由もない訳ですが。

ということで今日も我々は何度言ってもゴミ出しのルールを守らないろくでなしに喝を入れ、「寒い!」って言うから暖房の設定温度を上げたのに部屋に行ってみたら窓全開、みたいな理解不能な行動をする馬鹿に睨みをきかせているのです。

さあ、そろそろどっかにバケーションに出かけてうちらも恥のかき捨てを…

ドープな掘り出し物

2008-01-05 | ブルックリン横丁
この前の投稿でビーフ&ブロッコリーの画像を探していたらこんなモノまで!

(注:ここのブログだと複数の画像の一気アップが出来なそうなのでめんどくさくて省略しました。なんてことはないフツーのティンパーランドの緑X茶の定番ブーツのことっす)


「アリ」です。

「即買い決定」です。


やっぱり定期的にパトロールしてみるもんですね。

これにユニクロのスキニー穿いて、赤黒のランバージャックなフディ着て、旦那にもらったモンゴリアン・マナー全開なラビット・ファーのボンバー被って、これまた頂きものの80’sど真ん中なグッチ最新作のフレームにちゃんと検眼してレンズ入れて、前述のクラシックなブレイクスをガンガン鳴らして子供を小学校までお迎えに行きます2K8。