新聞などで、時々「世論調査の結果」なるものを発表している。この調査に協力を要請された経験を持つ方は、大勢おられると思う。私は昨年の衆議院総選挙の前に、生まれて始めて体験した。多分、週末だったと思う。夜の8時か9時、のんびりとコーヒー飲んでいるところに電話がかかってきた。「夜分、失礼いたします。○○新聞の者です」と言葉は丁寧。「総選挙に関して世論調査をおこなっております。お時間はとらせません。ごく簡単な質問にお答え戴くだけですので、ご協力お願いできますでしょうか」。声からすると、20歳そこそこ。アルバイトで雇われた学生さん、という感じである。
私はこの手の調査やアンケートには疑問を持っている(理由は後述のやりとりの中で話している)ので、「申し訳ありませんがご協力出来ません」と即座に断った。そうしたらまあ……粘ること、粘ること。以下、記憶をたどって一部を再現してみる(シ=新聞社の世論調査で電話をかけてきたひと)。
シ「えっ……でも、皆さんにご協力戴いているのですが……」
私「他の方は知りません。少なくとも私はお宅の新聞に、世論調査に応じると言った覚えはありません」
シ「調査対象は、無作為で選ばせていただいたのです」
私「選ぶのはそちらの勝手ですが、応じないのは私の自由です」
シ「でも、世論調査というのは非常に意義のあることで……」
私「あなた方がそう思われているからといって、誰もが同じように考えているわけではありませんよ」
シ「あの、ほんとに簡単な質問に答えていただけばいいんですけど。5分もかかりませんので……」
私「それがおかしいと言っているのです。本当に国民の意識を調査する気があるなら、そんな簡単なことですむはずがないでしょう。どの政党に投票しますかとか、郵政民営化賛成ですか反対ですかとか、数分でちょこちょこっと聞いて、それで世論を把握できたと思う方がおかしい。そう思いませんか」
シ「でも、あまり長い時間をとっていただくのは申し訳ないですし」
私「そう思うなら、はなっからやらなきゃいいんです」
シ「しかしですね。先にも申し上げましたように、世論を調査し、報道するというのは私共の使命ですし……」
私「私は新聞にそんなこと頼んでませんよ。安易な方法でアンケートとって、それを一面でデカデカと載せた調査結果とやらも、その分析とやらも、私は読みたくありません」
シ「そう言われましてもですね……」
私「第一ね、電話で尋ねられて、私が正直に言うとは限らないでしょう。虫の居所が悪くて、デタラメ答えるかも知れない。そういう可能性の上に立ったものを、麗々しく報道と言って欲しくないです」
……というような問答のあげく、やっと電話が終わったのだが、10分ぐらいしてまたかかってきた。今度は先の青年よりちょっと年上かな?と思われる男性で、「先ほどは失礼がありましたようで」と気持ち悪いほど低姿勢。「決して怪しい者ではございません。確かに○○新聞の者です。本社のナントカカントカにお問い合わせいただいても結構です」。ある種のイタズラ電話と間違えられたとでも思っているのか。
私「別にイタズラだと思ったわけではありませんよ。ホンモノだろうがイタズラだろうが、私の答えは同じなのですが」
シ「そのことでございますが、先ほどの者が説明不足で、きちんとご理解戴けなかったようですので……」
……と言って、世論調査の意義がどうの、新聞の使命がどうの、読者に求められているものがどうの、と滔々と述べ始める。ほとんど立て板に水というやつで(マニュアル読み上げているのではないかと思ったほどだ)、半ば感心しながら聞いたが、さすがにくたびれた。それで「理解してるつもりですよ、あなたのおっしゃっていることは」と、おそらくうんざりしたような声を出したと思う。「でも、ご協力できないと言っているんです、私は。どうしても調査したければ、他の人を選んでください」
それから、先ほどと同じような問答を繰り返したあげく、その日はそれでおしまいだったのだが……何ともはや、次の日の夜、またしてもかかってきた。今度は(声や喋り方からして)おそらく30代半ば以上。「いろいろ失礼がございましたようで」と言葉は先の2人と同様丁寧だが、電話口から漂ってくる気配は押しつけがましい。「無作為抽出しているので、調査の公正を期すためにもぜひご協力いただきたい」と、まるでそれが国民の義務とでも言わんばかり。先の2人に対するのと同様の話を繰り返したが、耳に入っているのかどうか、「本当に簡単な質問なので、ご心配なく。時間はとらせません」としつこく言うので、ついに私は「時間の問題じゃありません」と声を尖らせた。
「考えてみて下さい。昨日からこうやって3人の方と話している時間を合計したら、30分じゃきかないはずです。忙しくて時間をとられるのが嫌だというだけなら、5分以内ですむという質問にさっさと答えていますよ。そういう安易な紙面作りにはご協力できない、と言っているのです。長年やっていることだからと言って、右から左へ業務として流して欲しくないのです。マスコミって、そんなものではないでしょう。私と同じようなことを考えている方は多いと思います。それでも何となく言いづらかったり、面倒な気がして、黙って調査に協力なさっている方が多いのではないでしょうか。○○新聞ですとおっしゃれば、誰でも喜んで協力していると思われては困ります」
相手は「わかりました」と言い、「どうも失礼いたしました」と付け加えて電話を切った。ムッとしていたかも知れない(多分、していただろう)。頭に来て机をドン!と叩いたかも知れない。「たまに、こういうわからず屋がいるから困るんだよな」と、酒の肴にされたかも知れない。言うだけ無駄……であったかも知れないのだけれども。
(これを周囲に話すと、みんな腹をかかえて笑った。「オタクみたいなのは、そんなにいないだろうな~多分」。電話世論調査などと言われれば「ヤだ」と言いそうな奴が多いのだが、わざわざ時間かけて問答する気はないらしく、「ノーとひとこと言って電話切るだろうな」。アルバイトの青年イジメたくないから、「ごめん。猛烈に忙しい、手が離せない」と言って逃げ回る、という人も。あ、むろん、「真面目に答えちゃうかも」という人もいる)
私はヒネクレてるのか……泣。でも、私はもう少しヒネクレようよ、と呼びかけたい。マスコミに対して、もっとしっかりしなよ、巨大メディアの権威なるものにあぐらをかいていると、肝心のところで感覚が麻痺してしまうよ、と言い続けるために。


私はこの手の調査やアンケートには疑問を持っている(理由は後述のやりとりの中で話している)ので、「申し訳ありませんがご協力出来ません」と即座に断った。そうしたらまあ……粘ること、粘ること。以下、記憶をたどって一部を再現してみる(シ=新聞社の世論調査で電話をかけてきたひと)。
シ「えっ……でも、皆さんにご協力戴いているのですが……」
私「他の方は知りません。少なくとも私はお宅の新聞に、世論調査に応じると言った覚えはありません」
シ「調査対象は、無作為で選ばせていただいたのです」
私「選ぶのはそちらの勝手ですが、応じないのは私の自由です」
シ「でも、世論調査というのは非常に意義のあることで……」
私「あなた方がそう思われているからといって、誰もが同じように考えているわけではありませんよ」
シ「あの、ほんとに簡単な質問に答えていただけばいいんですけど。5分もかかりませんので……」
私「それがおかしいと言っているのです。本当に国民の意識を調査する気があるなら、そんな簡単なことですむはずがないでしょう。どの政党に投票しますかとか、郵政民営化賛成ですか反対ですかとか、数分でちょこちょこっと聞いて、それで世論を把握できたと思う方がおかしい。そう思いませんか」
シ「でも、あまり長い時間をとっていただくのは申し訳ないですし」
私「そう思うなら、はなっからやらなきゃいいんです」
シ「しかしですね。先にも申し上げましたように、世論を調査し、報道するというのは私共の使命ですし……」
私「私は新聞にそんなこと頼んでませんよ。安易な方法でアンケートとって、それを一面でデカデカと載せた調査結果とやらも、その分析とやらも、私は読みたくありません」
シ「そう言われましてもですね……」
私「第一ね、電話で尋ねられて、私が正直に言うとは限らないでしょう。虫の居所が悪くて、デタラメ答えるかも知れない。そういう可能性の上に立ったものを、麗々しく報道と言って欲しくないです」
……というような問答のあげく、やっと電話が終わったのだが、10分ぐらいしてまたかかってきた。今度は先の青年よりちょっと年上かな?と思われる男性で、「先ほどは失礼がありましたようで」と気持ち悪いほど低姿勢。「決して怪しい者ではございません。確かに○○新聞の者です。本社のナントカカントカにお問い合わせいただいても結構です」。ある種のイタズラ電話と間違えられたとでも思っているのか。
私「別にイタズラだと思ったわけではありませんよ。ホンモノだろうがイタズラだろうが、私の答えは同じなのですが」
シ「そのことでございますが、先ほどの者が説明不足で、きちんとご理解戴けなかったようですので……」
……と言って、世論調査の意義がどうの、新聞の使命がどうの、読者に求められているものがどうの、と滔々と述べ始める。ほとんど立て板に水というやつで(マニュアル読み上げているのではないかと思ったほどだ)、半ば感心しながら聞いたが、さすがにくたびれた。それで「理解してるつもりですよ、あなたのおっしゃっていることは」と、おそらくうんざりしたような声を出したと思う。「でも、ご協力できないと言っているんです、私は。どうしても調査したければ、他の人を選んでください」
それから、先ほどと同じような問答を繰り返したあげく、その日はそれでおしまいだったのだが……何ともはや、次の日の夜、またしてもかかってきた。今度は(声や喋り方からして)おそらく30代半ば以上。「いろいろ失礼がございましたようで」と言葉は先の2人と同様丁寧だが、電話口から漂ってくる気配は押しつけがましい。「無作為抽出しているので、調査の公正を期すためにもぜひご協力いただきたい」と、まるでそれが国民の義務とでも言わんばかり。先の2人に対するのと同様の話を繰り返したが、耳に入っているのかどうか、「本当に簡単な質問なので、ご心配なく。時間はとらせません」としつこく言うので、ついに私は「時間の問題じゃありません」と声を尖らせた。
「考えてみて下さい。昨日からこうやって3人の方と話している時間を合計したら、30分じゃきかないはずです。忙しくて時間をとられるのが嫌だというだけなら、5分以内ですむという質問にさっさと答えていますよ。そういう安易な紙面作りにはご協力できない、と言っているのです。長年やっていることだからと言って、右から左へ業務として流して欲しくないのです。マスコミって、そんなものではないでしょう。私と同じようなことを考えている方は多いと思います。それでも何となく言いづらかったり、面倒な気がして、黙って調査に協力なさっている方が多いのではないでしょうか。○○新聞ですとおっしゃれば、誰でも喜んで協力していると思われては困ります」
相手は「わかりました」と言い、「どうも失礼いたしました」と付け加えて電話を切った。ムッとしていたかも知れない(多分、していただろう)。頭に来て机をドン!と叩いたかも知れない。「たまに、こういうわからず屋がいるから困るんだよな」と、酒の肴にされたかも知れない。言うだけ無駄……であったかも知れないのだけれども。
(これを周囲に話すと、みんな腹をかかえて笑った。「オタクみたいなのは、そんなにいないだろうな~多分」。電話世論調査などと言われれば「ヤだ」と言いそうな奴が多いのだが、わざわざ時間かけて問答する気はないらしく、「ノーとひとこと言って電話切るだろうな」。アルバイトの青年イジメたくないから、「ごめん。猛烈に忙しい、手が離せない」と言って逃げ回る、という人も。あ、むろん、「真面目に答えちゃうかも」という人もいる)
私はヒネクレてるのか……泣。でも、私はもう少しヒネクレようよ、と呼びかけたい。マスコミに対して、もっとしっかりしなよ、巨大メディアの権威なるものにあぐらをかいていると、肝心のところで感覚が麻痺してしまうよ、と言い続けるために。


マスコミ、応援したいんです。ちゃんとやってる人にはエールを送りたいんです。でも悲しいかな、どの世界でも頑張ってる人は目立たないし、なかなか外部の人間の目にまでは見えないんです。
自分は学生の時に地方紙の社長面接で落とされたんで(マスコミ志望専念じゃなかったし全然準備してなかったからあんま言えないけど)、やっぱり頑張って欲しいんです。
そんな事言うと、警察学校入校1週間前に、大学卒業できずになりそびれた警官も応援しなきゃw。
再TBさせていただきました。
「世論調査」、同感です。
感想ですが、今時の風潮からいえば、かなりまじめな新聞社ですね。私が経験したのは、機械音声でのものや、もっとおざなりのものでした。
「八国山だより」というタイトルで駄文を書いているものです。
私も生真面目なほうだと思っているのですが、NOGIさんはそれ以上の方なのですね。
マスコミは発言者の意図に関係なく(いや時には意図に反して)自分の主張を強化する目的でインタビューなどを利用することがあってちょっと?と思っているのでNOGIさんの対応に同意しますが、私だったら「取り込み中なので」と言ってさっさと電話を切ったことだろうと思います(実際働いてない時間だけ収入が失われるというのもある)。
そしてしつこく電話がかかってくるようだったら着信拒否(またはブラックリスト)に設定して電話自体がかからないようにしていただろうと思います。
権威にあぐら。
そういうことがあるのは残念なことです。
その新聞社は無作為に選んだということを強調したかったんでしょうかね?
「断る」という行為自体も世論に絡んでくることもあるでしょうし。
最後のほうの”テキトーに断る。”という風潮も仕方ないことなのか・・・、これが現状かぁと改めて思います。
アンケートは経験ないのですが、宗教の勧誘とか営業の人とか相手にしばしばガチンコを挑んでは、ちゃんと納得して帰っていただいてます。
でも、新聞の勧誘とかおなじみのはさらっとかわしてあげますね。お互い時間がもったいないですから。
家族からはまったくもうしょうがないなあと呆れられてますけど、なんかそういうことだけはキチンとしないと気がすまないんですよね。
ずっと昔に家族がTVから24時間取材を受けたことがありました。いろいろ義理もあって私も少なからぬ時間インタビューとかされたんですが、なんか誘導されてる感じが嫌で、まったく隙のない受け答えをしたら、オンエアでは全部カットされてしまいました。
勝ったな、って感じでしたよ。
harayosi-2さん、えーっ、そんな、私の経験以上に安易なとこもあるんですか~。世の中広い……。
寒北斗さん、へたれきんぐさん、真面目とかガチンコ勝負しなくちゃっ! というより……「何でも対応してしまう病」なのです(泣)。道ばたで呼び止められてもついつい対応してしまい、言葉のやりとりが始まると逃げられなくなり……多分、やっぱり小心者なんですね。
めらんこりいさん、そうですね……「テキトーに断る」……私もほんとはそうしたい(泣)気もあったりします。でも、やっぱり「言うことは言う」ってのも大切だし(私の場合は確信犯的というより窮鼠猫を噛むみたいなものですが)、あまりテキトーにやってると、いつの間にか恐ろしいところに連れて行かれそうな感じがしますね……(怖ッ)。
あの、有名な奴です。
「 わたしは嘆かずにはいられない
告発せずにもいられない
よしやヒネクレモノとなるまでも
しかしわたしはいう
わたしは決してヒネクレではないと 」
( 『 わたしは嘆かずにはいられない 』 )
賭けてもいいですが、中野さんはヒネクレだったとぼくは思いますね・・・
でも、そんなヒトだから、あんなに素晴らしい詩を作れたんだと思います。
いや、べつに、そこでヒネクレるのは素晴らしい!って言いたい訳じゃなくて、ええと、ええと・・・そう、ぼくにも、NOGIさんを応援させてください!・・・といっても、無力なぼくには、フレーフレー!って言うくらいが関の山ですが。
カバーの裏の絵を見て、帯の言葉を読んだとたんに、不覚にも何だかウルウルしてきてしまって……切ない本ですね。夢の中のニャンコの挿絵が唯一慰めですよね。
ニャンコのことも切ないけれど、ダブがね、もっと。でも「ヒゲ一本もどってこなかった」まで読むと、もっとですね。
ひげ、といえば、『ひげよさらば」はご存じですか?
私の経験はもっとひどいものです。「○○新聞社から依頼を受けた××リサーチと申します」の前置きでアンケートにはいっていったが、こちらの声に反応しないのでどうも録音した声らしい。そのうちに「賛成の方は1を」といいそうになったので、ガチャッとやってしまった。後学のために聞いておいた方がよかったかも・・・。
とはいうものの、新聞社の世論調査がなくて「国民の意思を反映した国会が・・・」でなんでも押し切られるたらたまりませんね。調査方法や設問のしかた、調査内容の透明性(マスコミに内在する傲慢性の改善を含め)を高め、続けてほしいです。
現在、「福沢1万円札続投について」のアンケートを実施中です。
http://utseqt.exblog.jp/737265/
一読後、よろしければご参加頂ければ幸いです。