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妖怪フシアナと宇宙生物イキアタリバッタリー

2017-03-11 | 雑記
先日は、「人間をあなどることなかれ」という、マナティ、じゃなくて呪言(ジュゴン)を唱えるべしという教説を垂れた。

とはいえ、妖怪がコスプレしている例もかつて取り上げた。区別をする必要はあるといえよう。

人のことをブ○ーチのコスプレしてるとあざ笑うような存在は、人ではなく、妖怪フシアナが人間のコスプレをしているのだと。

だからといって、彼彼女、どっちでもいいが、それらが人間ではなかったわけでもないという話もしておく。

生まれた時は人間であったのだ。そして、妖怪から「あなたは妖怪フシアナ」と毎日教えられ、スクスク育っていく。

気がつけば、人間だったのに妖怪になってしまい、仕方ないので人間のコスプレをしているというわけである。

仕方なくしているという自覚がないし、人類と普段は見分けはつかないのだが、時折、ああやって地金を表す。


別の説で、彼らは宇宙生物だというのもある。もしくは、原初が宇宙生物、子孫が妖怪と呼ばれているのだろう。

それを示した漫画の話をする。

『寄生獣』という、有名な漫画がある。大学時代に読んだが、面白い漫画があったものだと感動したものである。

内容はというと、宇宙から飛んできたロイコクロリディウムのようなのが、他の生き物の体内に入り込んで乗っ取り、他の生物を捕食する生物、こちらから言えば化け物にしてしまうという話である。肉体まで改造してくれるので、ライ○ップは儲からなくなるだろう。

話の冒頭だと、それに乗っ取られたサラリーマンのおじさんにうっかり近づいた奥さんが、『The Thing』よろしく、顔をヤツメウナギのように広げたおじさんに頭をそっくり食われる、という印象的なシーンがあり、子供の情操教育に打ってつけである。

そして、ある夜、主人公にもその宇宙生物が入り込もうとするのだが、異変に気づいた主人公は、右掌辺りから侵入するそれを阻止してしまい、その個体は乗っ取りに失敗する。

個体ごとに違いがあったかは忘れたが、まったく知性と思しきものがないわけではない。次の日起きた主人公の高校生が、夢かと思っていたら、右手から話しかけられ、あれは夢ではなかったことを知り、その変な生き物との強制、じゃなくて共生が始まる。名前は右手だからミギーとつけらた。

物語の後半のほうだったか、同じように侵入を阻止された個体と人物が登場する。あごに取り付いているという、これまたインパクトのある状態だった。

ミギーは、主人公の部屋にあった本を読み漁り、知性的な感じになっていくのだが、アゴーとはいわれてないかしらんが、そっちはテレビばっかり見てたので、話しぶりが下品だった、などというのもある。

冒頭のサラリーマンのように完全の脳を掌握された個体は、事件が公になるにつれ、表立った行動をしなくなる。化け物とはいえ、殺せば死ぬからである。

脳をまるごと乗っ取った上で、人間と同じように暮らしていく、という個体も現れる。とはいえ、完全に人間らしいわけではなく、感情だとか寄生先の人間の記憶はない。

そういう個体の男女が子供を作ってみた、などという話も出てくる。その子供を守ろうとして、女性に寄生した個体が死んでいくシーンは、妙に考えさせられたものである。

それを読ませてくれた同期は、「人間って何?って思った」と、強く述べていた。


右手に取り付いてミギー。左に取り付いたらヒラリーならぬヒダリーか、などと思ったものだが、人間の額あたりに中途半端に取り付いたら、イキアタリバッタリーと呼ばれる。

何故イキアタリバッタリーなのか?

そうなると、何をやるにもイキアタリバッタリになるのである。

例えば、あなたは皿を洗っているとする。洗いながら頭では「明日の仕事めんどくさい」だとか「男が振り向いてくれない」だとか「金がない」だとか、つねにイキアタリバッタリの思考で乱れに乱れているのである。

それが他人に向くと、ブ○ーチのコスプレしてる、などとイキアタリバッタリのことを言い出したりするのである。

後は、昨日も書いた、至高の思考回路になったりもする。宇宙生物に取り付かれているとしか言いようがないのである。

つまり、我々は妖怪フシアナだったり、宇宙生物イキアタリバッタリーに取り付かれたりしている状態を、人間だと思い込んで生きてきたのである。

これはとても由々しき事態なのだが、「お前こそ妖怪だろう」と返せと、イキアタリバッタリーがしっかり活躍してくれているので、わしはあまり忙しくなくて、実は助かっている。

宇宙生物に取り付かれて正気を失っていても、人間はしっかり生きてこれた。だから、人間は素晴らしいのである。

うーむ?褒めてないな、これ。

それはともかく。頭に中途半端に取り付いた宇宙生物を駆逐できれば、怖いものなどなくなる。

妖怪や化け物よりパワフルなのが人間の正体なので、妖怪のほうが戦々恐々としているのが、世の真相なのである。


では、よき終末を。