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理念とビジョン: 「全文」 「ダイジェスト版」
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今日は日曜日のため、夕刊はなし。
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第6章の目次
エネルギー体系修正の必要性
以上のような状況から、現行のエネルギー体系の修正が求められているのです。エネルギー体系修正の方向として、二つの大きな方向が考えられます。一つはスウェーデンの試みで、もう一つの方向はわが国の目標とするところです。
●スウェーデンの試み
原子力に依存しない再生可能なエネルギー体系への転換
●わが国の目標
原子力に依存するエネルギー体系への転換
当然の帰結ですが、原子力に依存する場合には現在の軽水炉用のウランは可採年数による制限がありそうですから、プルトニウムを利用する高速増殖炉(FBR)の開発ということになり、使用済み核燃料の再処理が必要になります。スウェーデンは原子力に依存しないエネルギー体系を模索していますので、現在は、再処理施設の建設計画も、高速増殖炉の開発計画もありません。
私たちは将来のエネルギー体系の中でプルトニウムを利用するにしろ、しないにしろ、なぜ、わが国を除く工業先進国がプルトニウムの利用に積極的でないのかをしっかり見極めておかなければなりません。日本経済新聞(1991年6月1日号)は「原子力委員会が、ほぼ五年ごとに改定している原子力開発利用長期計画に盛られてきた高速増殖炉(FBR)の実用化時期は後退の一途だ。1967年に作った計画から計算すると2020~2030年を実用化時期とする現行計画は、約50年もの遅れが生じている」と述べ、次のようにこれまでの目標時期の後退を報じています。
「原子力開発利用長期計画」にみるFBR実用化の目標時期の後退
計画策定時期 実用化時期
1967年 1985年~1986年
1972年 1985年~1995年
1978年 1995年~2005年
1982年 2010年頃
1987年 2020年~2030年
現在の実用化の時期は2020年~2030年と見積もられていますが、この頃には石油、天然ガスには赤信号がともり始めている頃でしょうから、これ以上の遅れは許されないことになります。しかも、原子力は化石燃料と違って化学原料にはなりません。電気を取り出すか、熱を取り出すしかありません。
現時点では高速増殖炉が電力供給源として考えられていますが、プルトニウム経済の社会がどのような社会なのか私たちはまったくといってよいほど知らされていません。想像されるのは民主主義とは正反対の管理社会となりそうだということです。
原子力に依存しようとしまいと、いずれの場合をめざすにしても、あるいは第三の道を歩むにしろ、技術による狭い意味の省エネルギーではなくて、国全体のエネルギー消費を増加させないという意味の省エネルギーがエネルギーの安定的な供給のためにも、環境への配慮の点からも、何にもまして重要であることがおわかりいただけるでしょう。
ここで、将来のエネルギー体系を考える際の一つの参考として米国の環境問題のシンクタンク、ワールドウオッチ研究所の所長で、わが国にも馴染みのあるレスター・ブラウン氏は1990年1月3日付の朝日新聞で、地球に破壊的な影響を与える気候変動を避けるためには
①エネルギー効率を高め、
②再生可能なエネルギーを開発し、
③原子力という選択肢を捨てる
ことだと思うと結論づけていることを紹介しておきましょう。スウェーデンが国を挙げて模索しているエネルギー体系はこの線に沿ったものです。
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エネルギー体系修正の必要性
以上のような状況から、現行のエネルギー体系の修正が求められているのです。エネルギー体系修正の方向として、二つの大きな方向が考えられます。一つはスウェーデンの試みで、もう一つの方向はわが国の目標とするところです。
●スウェーデンの試み
原子力に依存しない再生可能なエネルギー体系への転換
●わが国の目標
原子力に依存するエネルギー体系への転換
当然の帰結ですが、原子力に依存する場合には現在の軽水炉用のウランは可採年数による制限がありそうですから、プルトニウムを利用する高速増殖炉(FBR)の開発ということになり、使用済み核燃料の再処理が必要になります。スウェーデンは原子力に依存しないエネルギー体系を模索していますので、現在は、再処理施設の建設計画も、高速増殖炉の開発計画もありません。
私たちは将来のエネルギー体系の中でプルトニウムを利用するにしろ、しないにしろ、なぜ、わが国を除く工業先進国がプルトニウムの利用に積極的でないのかをしっかり見極めておかなければなりません。日本経済新聞(1991年6月1日号)は「原子力委員会が、ほぼ五年ごとに改定している原子力開発利用長期計画に盛られてきた高速増殖炉(FBR)の実用化時期は後退の一途だ。1967年に作った計画から計算すると2020~2030年を実用化時期とする現行計画は、約50年もの遅れが生じている」と述べ、次のようにこれまでの目標時期の後退を報じています。
「原子力開発利用長期計画」にみるFBR実用化の目標時期の後退
計画策定時期 実用化時期
1967年 1985年~1986年
1972年 1985年~1995年
1978年 1995年~2005年
1982年 2010年頃
1987年 2020年~2030年
現在の実用化の時期は2020年~2030年と見積もられていますが、この頃には石油、天然ガスには赤信号がともり始めている頃でしょうから、これ以上の遅れは許されないことになります。しかも、原子力は化石燃料と違って化学原料にはなりません。電気を取り出すか、熱を取り出すしかありません。
現時点では高速増殖炉が電力供給源として考えられていますが、プルトニウム経済の社会がどのような社会なのか私たちはまったくといってよいほど知らされていません。想像されるのは民主主義とは正反対の管理社会となりそうだということです。
原子力に依存しようとしまいと、いずれの場合をめざすにしても、あるいは第三の道を歩むにしろ、技術による狭い意味の省エネルギーではなくて、国全体のエネルギー消費を増加させないという意味の省エネルギーがエネルギーの安定的な供給のためにも、環境への配慮の点からも、何にもまして重要であることがおわかりいただけるでしょう。
ここで、将来のエネルギー体系を考える際の一つの参考として米国の環境問題のシンクタンク、ワールドウオッチ研究所の所長で、わが国にも馴染みのあるレスター・ブラウン氏は1990年1月3日付の朝日新聞で、地球に破壊的な影響を与える気候変動を避けるためには
①エネルギー効率を高め、
②再生可能なエネルギーを開発し、
③原子力という選択肢を捨てる
ことだと思うと結論づけていることを紹介しておきましょう。スウェーデンが国を挙げて模索しているエネルギー体系はこの線に沿ったものです。
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