環境問題スペシャリスト 小澤徳太郎のブログ

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社会的な合意形成 ⑤ 環境問題解決の鍵:科学と政治 

2007-03-04 16:43:46 | 社会/合意形成/アクター


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科学者と政策担当者(行政)の協力に加えて、科学者政治家の協力もまた大切です。原発の運転に伴って生ずる放射性廃棄物の処分がスウェーデンで着実に進展したのは、ノーベル賞受賞物理学者(ハネス・アルフベン博士)を中心とした1960年代の反原発運動から生まれた疑問を、野党中央党の政治家(ビルギッタ・ハンブレウス女史)が取り上げ、72年に国会で「放射性廃棄物」に対する政府の考えをただしたことによるものでした。

スウェーデンが72年の「第1回国連人間環境会議」の開催までにこぎつけたのは大気汚染の地道なモニタリングに基づいて「環境の酸性化」を指摘した科学者たちの考えを政治家が取り上げ、国連の場で訴え続けた結果でした。

また、もうすこし最近の例で言えば、オゾン層保護のためのフロンの規制や地球温暖化防止に関わる国際会議などはいずれも科学者の指摘を政治家が取り上げた結果、現在に至っているものです。このように考えてきますと、環境問題の解決の鍵となるのは「科学」と「政治」の結び付きだと思います。

これはあまり難しい議論ではなく、私たち人間の中で、将来をある程度“予見”できる知識を持った専門家は科学者(技術者ではない)であり、国内外を問わず世界を動かしているのは政治家だからです。このことは92年のリオデジャネイロの地球サミット、2002年のヨハネスブルグの「持続可能な開発に関する世界サミット」(環境・開発サミット)を見てもわかることです。

これらの会議は科学者の会議ではなく、政治家の会議でした。この会議の前に数多くの科学者の会議が開催され、そこで議論が煮詰められたのです。そして、科学者の議論の結果を行動に移すために世界の政治的リーダーがリオデジャネイロに、そして、ヨハネスブルグに集まったのです。

こう考えますと、人間の社会では、環境問題の改善のために科学と政治がしっかりしないと難しいのではないかということになります。ただ、この二つだけが結び付くと別な意味で危険性が高まることを私たちは歴史の教訓から学んでおりますので、この結び付きに「チェック機能」が働くことが必要になります。

ここで言うチェック機能とは「専門家の知識」「素人あるいは市民の直感だとか知恵」に基づくものです。このような組み合わせが社会の中に存在するかどうかが環境問題の解決のために重要です。

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