オータムリーフの部屋

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中国の新植民地政策

2017-05-23 | 国際
一帯一路は4年前、習近平国家主席が提唱した経済圏構想で、中国からアジア、中東、アフリカなどを通って欧州までを陸と海のルートでつなぐ現代版シルクロード。その影響はおよそ65カ国、世界人口の6割に及ぶ。中国は今、そうした国々のインフラ整備を積極的に進めている。そのお陰で急速に発展しているのがアフリカのエチオピア。
「中国はエチオピアにとても貢献してくれているよ」「エチオピアの成長の為に中国の進出は大歓迎よ」
中国資本による建築ラッシュ、国内最大の建造物・アフリカ連合本部ビルも中国政府が総工費150億円を負担した。電車も中国の国有企業によって造られた。
極めて良好な友好関係を築いているように見えるが、その国のためにはなっていないらしい。
 
南太平洋にある小さな島国・トンガ王国にも中国の一帯一路構想は及んでいる。
国内線で使われている航空機を中国が供与、間もなく完成するトンガの総理官邸も中国によって建設された。中国資本とともに移住してくる中国人も増加。そんな状況をトンガ人は歓迎していない。
中国人が暴行される事件が続発し、日本の外務省もトンガ渡航に際し、中国人に間違われ暴行を受ける可能性があると注意喚起を行っている。
「中国の投資のほとんどが問題です。ここには零細企業がたくさんあり競争が激しくなった。」
街の商店のほとんどが中国人経営。中国から商品を取り寄せる為、品数が豊富でトンガ人が経営する店は太刀打ちできない。
建設現場で働いていた人も「私達は大きな打撃を受けました。多くのトンガ人は今仕事がありません。中国人が安い労働力を中国から連れてくるからです。今はこの歩道で暮らしている。仕事がないから・・」
「日本人がトンガに来てた頃は良かったよ。日本人は漁業や建設でトンガをたくさん助けてくれた。中国人は奉仕しているように見せかけているだけだ。彼らはズルい奴らだ。その上ケチなんだよ。日本人はトンガにお金をもたらしても奪い取る事はなかった。それが違いだよ。」
そして中国の工事にも不満が噴出している。「(この道は造られて)まだ1年半なのにもう壊れている」
道路の至るところに穴が開いてしまっていた。中国が造った道路はアスファルトが薄いため、1年でボロボロになってしまうという。
そんな中、ポヒヴァ首相の発言を地元メディアが報じた。「数年以内にトンガの実権が中国に奪われる」
こういった危機的状況に陥っているのはトンガだけではない。更に深刻な国がある
 
一帯一路の重要地点・スリランカ。
中心都市・コロンボの海岸では中国の国有企業が大量の土砂を噴射するという工法で埋め立て工事を進めている。
空港建設なども行われているが、事業費の大半は中国からの融資だ。そしてその結果、スリランカの負債は雪だるま式に膨れ上がり、およそ9000億円になり、中国の高い金利がスリランカの財政を蝕んでいる。
更に財政危機に陥ったスリランカに対し、中国は開発した港やその周辺の土地を99年間中国企業に貸し出すという案を突きつけた。これに地元住民らは激怒、激しい抗議デモも起きた。
 
東京福祉大学国際交流センター長・遠藤誉氏「表向きは巨大経済圏を作るというふうに謳っておりますけども、真の狙いは・・中国にとって非常に有利な安全保障を構築していこうと、借金を(一部)帳消しにしてあげるという形で゙次々と軍港化していく。中国の”新植民地化政策”ではないかと位置づける事も可能かと思います。」
齋藤孝氏「融資と大量の移民をセットにしてやるのは中国の戦略。チベットなんかも大量の移民が来る事で実質中国の街にし、段々実権を奪っていくやり方。新しい植民地政策と言える。」
安住アナ「8割近くが中国人になったら中国のものになるんだろう。サラミスライス戦術といって、相手に気づかれないようにとっちゃうやり方」
 
中国のインフラ工事も粗悪だ。空港を一般住宅建設企業が建設したが、振動計算ができないため、飛行機の離発着の度にガラスが落下する。
植林はせず伐採のみだから、森林開発でジャングルが砂漠化する。年間で九州の面積以上のジャングルが伐採されている。
事前調査なしに道路を建設するから、8割が渋滞や陥没など被害を受けている。政府は賄賂を貰っているから、何も言えない。
現在、中国のアフリカ移民は約1000万人、将来的には2~3億人の移民を計画していて、そうなるとアフリカの5人に1人は中国人になると言う。
安倍総理は、日本式アフリカ支援策を中国に対抗して打ち出しているが、中国は安倍外交を、『世界を駆け回り中国の残飯をあさる安倍総理』と揶揄している。
 
欧米諸国と違い、中国はアフリカ諸国の内政には干渉しない。そのため為政者にとっては都合がよいので、中国は歓迎される。西側のメディアは中国を「新植民地」であると批判しているようだが、中国の援助はインフラ整備には貢献している。欧米諸国の中には、フランス、イギリス、ベルギー、ポルトガルなどの「旧植民地主義」の国家が多数含まれている。
奴隷まで輸出し、収奪に徹していた旧植民地主義の苛酷さは、今の中国の比ではない。自国の植民地主義を自己批判することもなく、中国の「新植民地主義」を批判する資格はない。
 
新植民地主義は何も中国の専売特許ではない。先進国も保護や援助という形で間接的な支配を企んでいる。政治的には独立を認めながら経済的な支援や軍事同盟などを通じて関係を維持し、実質的な支配を続けようとする。グロ-バル企業が、発展途上国の資源を確保し、また市場を拡大するやり方で支配を強めている。
ただ、中国のやり方は大量の移民を伴う点において欧米諸国とは異なる。アフリカに住む中国人事業家は貧しい農村地帯の出身で、満足な収入が得られず、生活苦で中国から逃げ出した貧民が多い。親戚知人からかき集めた資金を頼りに新興国に出る。1人が成功すると、それを頼って地元から次々と出てくる。週末も休まずに働き、知恵を絞って努力し、早く借金を返そうと懸命に働く。
「地元の人たちは私達と違って熱心に働かない。私たちは彼らよりも早い時間から開店し彼らより遅くまで営業するし、他の店が閉まっている日曜も無休で働く。私たちは熱心に働くから嫌われているんだ。非常に不公平に扱われていると感じるし、とても腹が立つ。」
 
現地の政府指導者は自分の懐が豊かになるので何もしない。彼らは救急車が足りない国民の中をベンツで走り抜ける。海外資本と一緒になって国民を搾取する大統領たちは不思議なことに選挙で再選される。
政府に任せておくと、援助物資も横流しされ、国民の下には届かない。指導者がこんな調子だから、新植民地主義諸国には好都合である。
今のところ、新興国が自立できるような方策はない。
 
人類はひたすら「経済成長」を目指して走り続ける。「経済成長しなければ豊かになれない。幸せになれない。」という強迫観念に駆られながら世界を駆け巡り、収奪を繰り広げる。
経済成長を追い求めれば、他国を経済的に収奪するところに行きつく。強い国は栄え、弱い国は崩壊していく。強い者は金を儲け、弱い者は困窮する超格差社会という荒廃が始まる。
貧乏人に与えられた小さな小さなパイを横取りされまいと貧困者同士の争いが始まる。経済成長を目指すという発想から転換して、停滞を受け入れ、格差社会を是正する政治制度が確立しなければ、少数の指導者が権力を独占し、既得権益層ばかりを利する体制が生まれる。一握りのエリートたちを豊かにすることを前提とするこの制度では、その他すべての人々はまともな経済生活ができなくなる。

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