オータムリーフの部屋

残された人生で一番若い今日を生きる。

メイ首相の政策転換とトランプの反グロ-バル政策

2016-11-25 | 国際

英国のメイ首相が経済政策の大胆な転換に乗り出した。法人税率を先進国最低の水準まで引き下げるほか、企業だけでなく低所得者層への助成など歳出の拡大によって離脱後の国内経済を下支えする。サッチャー元首相からキャメロン前政権まで、「小さな政府」を志向してきた保守党政権の路線と一線を画し、労働者や弱者保護を意識した政策にも手を広げようとしている。「私のスタイルは前政権と異なる」。

 法人税を現在の20%から2020年までに17%に引き下げるほか、ロボットやバイオテクノロジーなど企業の先端技術に年20億ポンド(約2700億円)を助成。大規模なインフラ投資による景気刺激策も打ち出した。法人税を巡っては、トランプ次期米大統領も税率を35%から15%に下げる方針を示している。メイ首相は21日に行った演説で「税率をG20(主要20カ国・地域)で最低水準にする」と表明。トランプ氏が15%にした場合はさらに引き下げる可能性を示唆した。英国はもともと国内総生産(GDP)に占める対内投資の割合が高く、海外から呼び込むカネは経済成長のエンジンでもある。だが、EU離脱が決まった6月の国民投票後に英経営者協会が行った調査では、経営者の5分の1以上が「英国外への事業移転を検討中」と回答。このため、企業向けの減税や助成を通じて国外移転を食い止めたい考えだ。

 一方、メイ政権は労働者や低所得者向けの政策も重視。「労働者はEU離脱を支持することで企業に変化を要求した」として、労働者の声を企業経営に反映する企業統治(コーポレートガバナンス)改革も目指している。財政報告でも最低賃金の引き上げや安価な住宅投資の促進が盛り込まれ、ハモンド氏は「これ以上、福祉(予算)はカットしない」と述べた。ただ、この日示された経済見通しでは、17年の経済成長率が1.4%増となり、従来の2.2%増から減速。目先の歳出拡大は財政を悪化させる懸念もあり、英財政研究所(IFS)の報告書によると、離脱に伴う経済成長の減速で20年度の財政赤字は約150億ポンドに膨らむ。ハモンド氏は前政権が掲げていた財政赤字を解消する目標にはこだわらない姿勢を強調し「我々の責務はEU離脱に向かう英国経済を弾力あるものにすることだ」と述べた。( 毎日新聞)

 英国のメイ首相はEU離脱にあたり、良好な通商をめぐる合意と同時に移民のコントロールの双方を確保しようと奮闘中である。また、英経済にとり金融サービス部門が重要であると認識しており、EU離脱に伴う不利益を最小限にしようとしている。

 それに比べて、国民を煽ったEU離脱派は無為無策で逃げ出したままである。ドナルド・トランプ米次期大統領はツイッターで、英国の欧州連合(EU)離脱キャンペーンの中心的存在だったナイジェル・ファラージ氏が駐米英国大使になることを多くの人が望んでいると述べ、同氏は素晴らしい大使になるとコメントした。ファラージ氏はトランプ氏の選挙活動を支援したほか、トランプ氏の当選後に面談している。トランプ氏の発言について質問された英首相府の報道官は、「既に優秀な駐米大使がいる」と述べた。

内政干渉になりかないトランプのツイッタ-だが、トランプは思い付きで放言する考えの足りない人間である。しかし、自由貿易協定で職を失ったラストベルト地帯の労働者に向け、グローバル化を批判することで支持を得た。TPP離脱通告は、当然である。日本の政府や財界は、「トランプ氏に翻意を促す」と言うが、トランプが従うわけもない。さらに呆れるのは安倍政権がこの期に及んでも、今まで通り、大企業や富裕層を優遇し、子供達や貧困層を放置する政策しか行わないことである。

 法人には手厚い税の優遇措置があるというのに法人税率の引き下げに安倍首相はこれからも熱心だろう。そして、メイ首相やトランプと決定的に異なるのは労働者や弱者保護を意識した政策には全く関心を示さないことである。
 

最新の画像もっと見る

コメントを投稿