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養護教諭の脊柱側弯症の子どもへの支援に関する研究

2008-04-06 17:55:53 | 脊柱検診スクリーニング
大学の教育学部で学ばれている方の研究発表を見つけました。
添付表は、この論文中に掲載されていたものです。


養護教諭の脊柱側弯症の子どもへの支援に関する研究-家族のニーズからの考察-
(弘前大学教育学部紀要 第98号2007年10月) 

一部引用させていただきます :

側弯症などの脊柱変形を早期に発見する最大のメリットは、早い段階から適切な
保健指導や治療を始められることである。側弯症などの脊柱変形は小・中学校の時
期に発生することが多いため、学校保健のプログラムの中に脊柱検診を含めること
が有意義で、最も効果的な側弯症対策となる。このことから、学校保健法施行規則
の一部が改正され、昭和54年度から、児童・生徒の定期健康診断の一環として、脊
柱検診が実施されるようになった4)。これまで行われてきた小・中学校における
脊柱検診の集計では、脊柱側弯症を中心とする姿勢異常として拾い上げられる数は
その疑いがあるものを含めて、全児童・生徒の約0.5~1.5%とされており、
決して少ない数ではない。
(赤字マークはaugust03による)

脊柱側弯症をもつ子どもの場合も、家族が重要な拠りどころであり、最高の援助者
である。治療方針が経過観察の場合には、日常生活では運動を制限するなど、普段
の生活を変える必要はないが、側弯による外見の変化は心理的ストレスを引き起
こすことがある。また、装具療法の場合には、医師の指示に従い装具の装着時間を
厳しく守る必要があり、これは大きなストレスとなり得る。
子どもがこれらのストレスに対処するためには、家族の大きな支えが必要となる。
(赤字マークはaugust03による)

(august03より:家族による支えのためにも、側彎症に対する正しい知識と理解が
根底になると思います。そのベースとなる医学(治療方針)に横やりをいれて、かき
回しているのが整体、カイロ等の民間業者です。米国ではそのような状況を解決す
るのに長年月を要しましたが、現在では、いかなる媒体....たとえそれがカイロの
ホームページであったとしても.....特発性側わん症の治療方針は医学的に定められ
たもののみが表記されています。日本の現状は米国に比較して、10年以上も遅れた
状態が続いています)

引用の続き :
日中の大半を過ごす学校での生活が快適かどうかは大きな意味を持つ。病気の子ど
もの場合は、学校という生活環境に適応するのみならず、療養行動をも学校という
生活環境に適応させていかなければならない。それには、担任教師、養護教諭など
学校関係者の理解と協力が不可欠である。これらを踏まえ、脊柱側弯症の子どもが
快適な学校生活を送れるようにするためには、家族と学校とが話し合いを持つべき
であると考えられる。しかし、本調査では、脊柱側弯症の子どもに関して学校と話
し合ったという家族は24名中10名であり、半数以上の14名の家族は学校と話し合っ
ていないことが明らかとなった。また、話し合ったという10名中、同席した教職員
は学級担任のみが7名、学級担任と養護教諭が3名であり、養護教諭と家族が話し
合ったのは24名中3名のみであることがわかった。
(赤字マークはaugust03による)

(august03より: この調査によれば、ご家族と学校側-学級担任/養護教諭-とお子さん
のそくわん症という病気について話し合いを持たれたのは、半分の方々のみであった
ということですが、現場の現実は話し合いができないような心理的な壁があるの
でしょうか? ここには引用しませんでしたが、この調査によれば、クラスメートに
も病気のこと、装具をしていることを打ち明けているケースはかなり少数でした。
私には、側彎症という病気が正しく認識され、正しい情報が広く公知になっていな
いことが心理的壁を生み出しているのではないかと思われます。なによりも、大切
なことは、側彎症とは、「治療を必要とする病気」だということです。それは白血病
や小児ガンなどと、病気という意味で同列であり、「隠さなければならない」もの
ではない、という常識が広まらなければなりません。何度でも同じことを繰り返し
ますが、側彎症を“病院で治療する病気”から、病院で診てもらっても仕方ない
もの→病気という概念からはずれたもの→整体にいく程度のもの→世間体の悪いもの
、という構図を作り出し、それをさらに増長させて自らのビジネスの為に利用して
いる整体等の誇大広告を摘発し、正しい知識と情報が普及される社会構造が求め
られているのです)

引用の続き:
保護者との連携は担任が第一に行う立場にあるが、養護教諭は心身の健康を担当す
る学校内での専門職であることから、子どもに関して家族と学校が話し合う場合に
は、学級担任だけでなく養護教諭も同席するのが望ましい。しかし、本調査で話し
合いに参加した養護教諭が3名のみであったのは、学級担任と養護教諭の連携が十
分でなかったためではないかと考えられる。「健康問題を抱えた子どもの話し合い
には養護教諭が同席する」という体制が学校内で確立されることが望まれる
(赤字マークはaugust03による)

関連ホームページ:
   養護教諭の役割
   http://www.dokidoki.ne.jp/home2/aritomo/hokensitu/hou/yougo.htm

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(august03より)
こどもたちの側湾症が発見されるきっかけのうち、学校検診は半分程度の比率しか
もっていない、ということをどう捉えればいいのか考えてしまいます。
これまでブログ内で記述してきましたように、学校検診が様々な問題を抱えている
なかで、それでも約半数の患者は検診によって発見されているのだから、そくわん
症を早期に発見するのに十分機能している、というべきなのかもしれません。
その上で、現状の問題点を解決していくことに努めることで、さらに早期発見に
繋がる。その為の努力をすべきである。
私august03はそのようにこの数字を捉えたいと思います。

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