Are Core Hire Hare ~アレコレヒレハレ~

自作のweb漫画、長編小説、音楽、随想、米ラジオ番組『Coast to Coast AM』の紹介など

036-探るアキラ

2012-10-23 21:20:56 | 伝承軌道上の恋の歌

 夕方、部活動を終えた帰りらしい制服姿の女子高生達とすれ違ってるとアキラの心は疼く。ここの大学の付属の高校に通ってる娘たちだ。あの歳に奏することすら許されなかった自分と比べてしまって、羨望と嫉妬の入り混じった不思議な感情が両肩をそばだたせる。イチョウ並木の先にあるその大学はシルシたちの学校とのダブルスクール組のアキラにとってもう一つの馴染みのある風景だ。
 校門をくぐるとすぐにその場に似つかわしくない近代的な造りの図書館が見えてくる。ガラスの自動ドアをくぐってエントランスでスロットにカードをくぐらせて中に入る。目的の場所には、新聞の年鑑がある。日付は20○○年、2月11日の翌日の記事。その前日の夜23時23分は、『あの事故』があった時刻。アキラは十センチ近くの厚さの蔵書ばかり、全国紙、地方紙を問わずとにかく探している日付が含まれている年鑑を何回かに分けて近くの四人がけの机に積んでいった。それから、椅子に座ってその山を崩すように一冊ずつ当時の記事を一ページずつ丁寧に目を通してめくっていく。アキラはその一ページごとに胸が少しだけ高鳴るのを感じた。シルシに力を貸したいなら、もっと早いうちに一度はこんなことをしておくべきだったかもしれない。この事実からアキラも逃げていたのかもしれないと気づく。
 そのうち、日は暮れて、夜になった。そしてアキラは見つけた。探していたのはとある地方紙の端記事。それはシルシの周知活動のビラに使われていたものとよく似ている。でも違う。その違い様はアキラの思った通りに登場人物が少し違っていた。それに元の記事には少しだけ続きがあった。

…つづき

人気ブログランキングへ

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 035-奇妙な符号 | トップ | 037-イナギ? »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

伝承軌道上の恋の歌」カテゴリの最新記事