Are Core Hire Hare ~アレコレヒレハレ~

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不公平感が国を傾ける時代

2016-06-24 22:24:22 | コラム

トランプ氏、EU離脱決定を評価 「英国民は自国の統治権を取り戻した」「人々は外国にきて(国を)乗っ取ろうとする者たちに怒っている」(時事通信の記事より)

かつて「アラブの春」とマスコミがはやし立てたイスラム諸国の民主化運動がありました。
その発端の一つがリビアのカダフィ大佐へのクーデターだったと記憶しています。

しかし、独裁者個人の評価はともかく、リビアはそれほど悪い環境ではなかったと言われています。
石油が採れるおかげで社会福祉は無償、教育環境も世界の水準以上でした。

なのに、それでも革命は起きました。
そして皮肉にも生活が困窮する国民はずっと増えました。

一部の行動とはいえ、まともな生活を捨ててまで彼らを革命に走らせたものはなんなのでしょうか?
それは独裁政権への不公平感、です。

意外といえば意外ですが、国に革命や暴動が起こる条件は貧困層が一定以上増えることではありません。
例えば、ごく一部をのぞいて国民みんなが平等に貧乏の北朝鮮やキューバでは、待てど暮らせどクーデターは起きません。

そうではなくて、その原動力は「自分たちの意見が政治に反映されておらず不公平だ」という不満なのです。
これが一定以上たまると国は転覆します。
リビア国民のように北朝鮮の人民よりはるかにマシな暮らしをしていても、ちゃんと不満は募るのです。

そして、今は一般大衆が誰でもネットを使う時代で、不満は一気に広がります。
「アラブの春」でもフェイスブックのようなSNSが、その不公平感を大衆に広めるのに重要な役割を果たしたと言われています。

上記事の英国のEU離脱でもそうです。
少なくともしばらくは多くの英国民にとって厳しい状況が待ち受けています。
しかしそれでも「移民が英国民の仕事を奪っている」「移民がタダで社会福祉を受けている」「移民のせいで治安が悪化している」という情報がネットを通して駆け巡ります。
当然対策は必要でしょうけど、今現在はまだまだ受けるメリットの方がずっと大きかったはずです。

それでも「不公平感」を感じたイギリスの庶民の怒りは、経済にとって合理的な判断を上回るほど高まったのです。
日本を含めて各国の政治家は、このことを重々肝に銘じてもらいたいと思います。

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