今回は、千代田線根津駅から異人坂へ行き、団子坂上、薬師坂上、御殿坂、氷川坂上などを通過して猫又坂に行き、それからもひたすら歩き、雑司ヶ谷方面に至った。
一番出口から出て不忍通りの歩道を北に歩き、すぐに左折する。突き当たりまで歩くところを、一本手前を右折してしまい、根津小学校の方へ行き、途中で気づき、ぐるりと一周し、もとにもどる。
突き当たりを右折し進むと、左手に見覚えのある壁が見えてくる。 壁に沿って歩き、左折すると、異人坂の坂下である(現代地図)。
このあたりまで来ると、いつもそうだが、ほとんど人通りはない。根津谷のちょっと奥に入り込んだところから本郷台地へ上るが、坂上は台地から一二段低いため、短い小坂である。
この坂は明治の新坂で、お雇い外国人がこの坂を上下したからであるという。
「異人」と云う語は、同じ語が歌詞にある童謡などでもそうだがちょっと変わった異な響きがある。主に西洋人を意味して使われたが、稀人(まれなひと)と同義と考えると、鎖国が終わってやって来た異国の人に人々が感じた感覚が伝わってくる。
坂上に立ってふり返ると、そんなに眺望はよくないが、ちょっぴり遠くの建物が見える。右側の道を進めば、弥生坂の中腹である。
これを書いている途中、ネットに寄り道をすると、車谷長吉の訃報記事に接した。確かこの近くに住まいがあって、東京人(坂道特集号)にこのあたりの坂について書いていた。
(続く)
参考文献
横関英一「江戸の坂 東京の坂(全)」(ちくま学芸文庫)
山野勝「江戸の坂 東京・歴史散歩ガイド」(朝日新聞社)
岡崎清記「今昔 東京の坂」(日本交通公社)
石川悌二「江戸東京坂道辞典」(新人物往来社)
デジタル古地図シリーズ第一集【復刻】江戸切絵図(人文社)
デジタル古地図シリーズ第二集【復刻】三都 江戸・京・大坂(人文社)
「嘉永・慶応 江戸切絵図(尾張屋清七板)」(人文社)
市古夏生 鈴木健一 編「江戸切絵図集 新訂 江戸名所図会 別巻1」(ちくま学芸文庫)
「大江戸地図帳」(人文社)
「東京人 特集 東京は坂の町」④april 2007 no.238(都市出版)
「古地図・現代図で歩く明治大正東京散歩」(人文社)
「古地図・現代図で歩く戦前昭和東京散歩」(人文社)