歌わない時間

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「ビキニ」語源説

2013年11月07日 | 気になることば
YOMIURI ONLINE、11月5日付の記事によると、「地元ブレーメンの場内アナウンサーが、ハノーバーの酒井宏樹選手のゴールを『フクシマのようなシュート』と観客約4万人に向けて場内放送し、その後、謝罪する一幕があった。」とのこと。そのアナウンサーは「シュートが光線のように鋭かったことを表現したかった」と言ったそうです。

わたしはこの話からすぐに例の「ビキニ」の語源説を連想しました。そういう人は多かったんぢゃないですかね。

さしあたりMacに入っている辞書の類で「ビキニ」を引きますよ。まづ『広辞苑』第六版では、「(1)中部太平洋、マーシャル諸島の北西部に位置する環礁。1946~58年、アメリカの原子爆弾・水素爆弾の実験地。」とあり、さらに「(2)(bikini)(着用時の効果をたわむれに核爆発になぞらえての称)胸と腰だけを覆う型の女性用水着。」と書いてある。

研究社『新英和中辞典』第7版でも、〈bikini〉の項に「露出度の高い水着の出現を原爆実験にたとえた」とある。

以上両者では、女性用水着のビキニの語源を、ビキニ環礁での核実験に由来すると断定している。ただし例えた対象が、『広辞苑』では「着用時の効果」とされ、『新英和中辞典』は「露出度の高い水着の出現」とされ、違うことを言ってる。そのへんはつまりハッキリしないのだろう。

しかし、この「ビキニ」語源説について、やや慎重な書き方をするものもある。

『ブリタニカ国際大百科事典 小項目版 2013』は、女性用水着の「ビキニ」の説明文中に、「名称は 1954年にアメリカの原水爆実験が行われたビキニ環礁にちなむと言われるが,はっきりした由来は不明である。」とする。

『スーパー大辞林』は、女性用水着の「ビキニ」について、〔核爆発の衝撃になぞらえての命名といわれる〕と書き、『広辞苑』よりは腰が引けている。

『ブリタニカ』によると、水着のビキニは「1950年代から普及しはじめた」という。第五福龍丸が、ビキニ環礁での水爆実験による死の灰を浴びたのは、1954年のことでした。

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