田中悟の片道旅団

大阪で芝居と弾き語りをしています。

2009年11月02日 | 日記
 夜

それでも普通に立っていられるかい?

世界が斜めに傾いても

アスファルトの上に立っていられるのかい?

今日の夜は午後四時からスタートしたんだ

かすかな夏の空気を感じながら

灰色の世界の隅っこで薄暮を見送ったんだ

西の空を見れば

そこにはマーブルな紫の雲が見えていたのに

俺はいつだって

そんな景色に気付かないでいるんだよ

ひずんだ音が聞こえて

ギブソンじゃあるまいしって皮肉っていたら

それは誰かのクラクションだった

もの凄いスピードで落ちていく様な印象さ

もの凄い・・・

スピードでね

それから暫くして

誰かのことを思ってみたけど

その誰かってのが

誰のことも思い浮かばない

単純な人型の影だけが

頭の中から胸の中を通り過ぎて行ったよ

辺りはすっかり夜になっていて

ビルとビルの間には

星さえ輝いていなかった

ただ大きなマンションにちらほら灯る窓明かりだけが

この世の中で一番美しく思えたんだ

いつも

そうなんだ

そして

救いを求めて歩くんだ



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