ゆっくりと世界が沈む水辺で

きしの字間漫遊記。読んでも読んでも、まだ読みたい。

紅山 雪夫【イスラムものしり事典】

2010-06-09 | 新潮社
 
イスラム圏に旅行をする予定があるわけではありませんが、目についたので読んでみました。

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 イスラムものしり事典

 著者:紅山 雪夫
 発行:新潮社
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タイトルのとおり、ムスリムやイスラム圏についての入門編という本。
目次から少し拾ってみると、こんな感じです。

イスラムはどのようにして始まったか
コーランと人々の生活
神秘主義からイスラム原理主義まで
イスラム建築工芸の魅力
モスクとミナレットの変遷
じゅうたんの文化
ナツメヤシ
拝火教は生きている
民族音楽と楽器をたずねて
アラビア文字の話
パレスチナ問題
ムスリムを迎えるには

イスラムの歴史から、生活形態や文化、パレスチナ問題など現在に至る国際状況までを、ざっくりと説明しています。
もちろん、これでわかった気になってはいけないのは重々承知とはいえ、小さい頃から選択しなくても見聞きすることの多い仏教、キリスト教とは違うので、これを読んだだけでも、なるほど、そうかと思うことがあります。

単純な旅行記ではありませんが、イスラム圏へ何度も足を運んでいる著者の具体的な体験が反映していて、楽しく読むことができます。
風があたると肌がぴりぴりするほどの、「暑い」というより「熱い」空気というのはどんなものだろうかとか、あの砂漠のさらさらの熱い砂にはいろいろなものが混ざっているのだろうなとか(ええ、いろいろなものが。)想像させられたりして。
映像ではよくみる美しい建築物も、簡単にながら様式についての説明などがあると、『アルハンブラ物語<上><下>』で描かれていた宮殿までのイスラム圏の広がりが感じられるような気がします。
壁を埋め尽くすような幾何学文様や草花文様も、偶像崇拝を徹底的に排除したことで発展したものだと思いだせば、それだけでちょっと印象がかわりますし。

それにしても、アラビアンナイトの王様たちもムスリムだとすると、お酒を飲んでいなかったということでしょうか。
それはびっくり。
日本のお坊さんたちも「般若湯」があったように、きっと何か抜け道があったにちがいないと、つい思ってしまいます。




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