著者の作品はわりと読んでいると思う。
今回は初めてエッセイ。
春になったら莓を摘みに
著者:梨木 香歩
発行:新潮社
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最初は人に薦められて読んだ。
『裏庭』である。
裏庭
著者:梨木 香歩
発行:理論社
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児童文学として出版されていたものだが、その厚さといい、文章といい、内容といい、明らかに枠を超えているという印象があった。
すでに文庫になっているので、読んでいただきたい。
既存の作品に重なるイメージもあるのだが、美しく構成された、秘密の裏庭の世界にどっぷりと浸れる。
ただ、底を流れるテーマはけして軽くなく、読むには多少気力が必要だった。
さて、本書『春になったら苺を摘みに』はエッセイ集だ。
私は単行本で買ったが、もう文庫も出ていると思う。
著者が学生時代に下宿した先の女主人ウェスト夫人とその周辺での出来事が描写される。
ウェスト夫人は「理解はできないが、受け容れる」ということのできる人である。
著者の作品を読んでいて感じていたことの『基』がここにあると思う。
著者の作品は、どこか日本離れしていると思っていた。
師事したのは英国の児童文学者だと知って、さもありなんという感じである。
須賀敦子氏の作品の手触りにも、似たところを感じる。
それは、著者自身の生きる姿勢の問題かと思う。
思想的なこともあるので、類似点を感じるのかもしれない。
タイトルのイメージよりも、読み応えのある1冊だ。
帯にはこうある。
『共感してもらいたい
つながっていたい
分かり合いたい
うちとけたい
納得したい
私たちは
本当は
みな 』
そうなのだろうと思う。
だが、この本の終わりの頃には、同時多発テロ事件が起こっている。
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2012-06追記。
現在はどちらも文庫化されている。
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よろしくお願いします。
とてもすっきりとした文章ですね。 私の方は、少々遊んでしまっていますが・・・。
いろんな本を読まれているようなので、また拝見させていただきます。
ブログ、拝見させていただきました。
あたたかい感想がすてきでした。他にも読みたい本がたくさんありました。
これからもよろしくお願いいたします~。