昭和42年7月暑い午後でした。
東宝からの業務命令で円谷特技プロダクションに「面接」に向った。
時間前に着いた私は恐る恐る社屋の庭に立つ・・ビクッ!
目の前を凄い勢いで路地猫2匹が次々横切り、コンクリ塀の向うに消えて行った。
ここは古い何かの跡地なのか?平屋で長屋風の建物が逆L字型に建っていた。
程なくして後ろ隅の部屋からスタッフの一人がにこにこしながら近付いて来て
『菱見百合子さんですね、私は演技課の新野です。』
物腰が柔らかで彼の声の良さと歯切れの良さがとても爽やかだった。
『ところで「ウルトラマン」というテレビ番組観た事ありますか?』
「いえっありません・・すみません」
『視聴率が40%にもいった番組なんです。ではまず一本観てもらいましょう』
薄暗い廊下を通り抜け試写室まで通された。
ドアを開けると壁に何かでかでかと貼られたものに気を取られた。
それはウルトラマンの視聴率が一話一話棒グラフにして貼られていたのだ。
20歳の新人女優にはそれがどれほど大きな意味を占めてるかはまだ解らない。
テレビ製作に携わる全ての因果がこれに凝縮されているという意識はなかった。
新野さんが映写技師さんに何か頼むと部屋から出て行った。
入れ替わりにプロデューサーの末安昌美氏を紹介された。
温厚で言葉少ない重役さんってタイプだが二人だけの試写会となった。
部屋が暗くなり「ウルトラマン」が上映された。
綺麗なカラー映像だ。
しかし試写室での映写はこれがテレビで放送されるという意識を忘れ、
普通に映画の試写気分で観てしまったので然程驚きはなかったナ。
それより末安さんと二人だけで観るコトのほうが大いに気になったよ。
咳払い一つ息づかい一つにも気を使ったものだ。フ~~
つづく・・小出しですみませ~ン。
東宝からの業務命令で円谷特技プロダクションに「面接」に向った。
時間前に着いた私は恐る恐る社屋の庭に立つ・・ビクッ!
目の前を凄い勢いで路地猫2匹が次々横切り、コンクリ塀の向うに消えて行った。
ここは古い何かの跡地なのか?平屋で長屋風の建物が逆L字型に建っていた。
程なくして後ろ隅の部屋からスタッフの一人がにこにこしながら近付いて来て
『菱見百合子さんですね、私は演技課の新野です。』
物腰が柔らかで彼の声の良さと歯切れの良さがとても爽やかだった。
『ところで「ウルトラマン」というテレビ番組観た事ありますか?』
「いえっありません・・すみません」
『視聴率が40%にもいった番組なんです。ではまず一本観てもらいましょう』
薄暗い廊下を通り抜け試写室まで通された。
ドアを開けると壁に何かでかでかと貼られたものに気を取られた。
それはウルトラマンの視聴率が一話一話棒グラフにして貼られていたのだ。
20歳の新人女優にはそれがどれほど大きな意味を占めてるかはまだ解らない。
テレビ製作に携わる全ての因果がこれに凝縮されているという意識はなかった。
新野さんが映写技師さんに何か頼むと部屋から出て行った。
入れ替わりにプロデューサーの末安昌美氏を紹介された。
温厚で言葉少ない重役さんってタイプだが二人だけの試写会となった。
部屋が暗くなり「ウルトラマン」が上映された。
綺麗なカラー映像だ。
しかし試写室での映写はこれがテレビで放送されるという意識を忘れ、
普通に映画の試写気分で観てしまったので然程驚きはなかったナ。
それより末安さんと二人だけで観るコトのほうが大いに気になったよ。
咳払い一つ息づかい一つにも気を使ったものだ。フ~~
つづく・・小出しですみませ~ン。
なんだか、週一連載の小説…いやラジオ&TVドラマ…う~ん「マンガ」!?を待ってる気分です(笑)
いやいや、「セブン」で例えるなら、「史上最大の侵略(ダッケ?)」の前編を見終わった段階と言うべきか…(笑)
以前、本にも書いてありましたが、当時の「ウルトラ」シリーズは「ジャリ番」…20歳の(女優の卵とはいえ)うら若き女性が見る番組ではなかったでしょうね。
昨今の特撮「イケメン」ブームとは、時代が違いましたね(笑)
「第三話」…のんびり「泡盛」でも呑みながら待っています(ウィー ヒック!)
>目の前を凄い勢いで路地猫2匹が横切り、コンクリ塀の向うに消えて行った。
こういう描写、ご本人にしか書けません。試写室の心境も。貴重な記録ですネ。
そのとき上映されたウルトラマン、どんなエピソードだったのでしょう。
覚えておられますか?
ひし美さんはウルトラマンを見たことなかったんですね。若い(+美しい!)女性故、あたりまえなのですが、なんか不思議で意外!この試写室がウルトラマンと初対面であり、始まりだったんですね~。感動!
新聞小説のようで毎回楽しみです!
息抜きしながら(別の話題もあるでしょうからw)長~く連載を!
じゃあ、「ウルトラQ」は?
これも見てられなかったのかなぁ・・・・
「アンヌも呼んだらどうだい?」
ちゃぶ台なかったですか~?(笑)
ショートストーリーですがすっかり引き込まれてしまいました。
”アンヌ隊員”誕生の奇跡でしょうか。
昭和42年7月14日・・・アンヌファンにとっても大切な記念日ですね。
はい「ウルトラQ」も「帰って来たもウル・・」も自分に関わっていないものウルトラは見た事なかった
先回の
>華やかなオレンジのワンピに薄オレンジの帽子を被って颯爽と出掛けました~。
という一文などは、あまりに鮮やかに脳内再生されるため「これは夢か現実か」とよくよく目をこすってしまったほどでした(本ブログの背景色とは関係ございません)。
第三弾もゆるりとお待ち申しあげております。
私は43年4月生まれですが、42年夏を感じられるような気がしてます。