ANANDA BHAVAN 人生の芯

ヨガを通じた哲学日記

無駄な会話

2014年09月05日 | 日記
無駄な会話

 この間、大学時代のクラブ活動の2年後輩のMが亡くなり、私は行きませんでしたが友人TKとMKがお葬式に行きました。そしてお葬式のあと友人TKから私にメールが入りました。学生時代が懐かしく、久しぶりに友人TTを交えて食事をしよう、メンバーはお葬式に行った友人TKとMKに、友人TTと私との4人でやろうとの事で、私も快諾しました。場所は神楽坂だそうです。神楽坂か、あの辺は道が入り組んでいるよな、お店がすぐに分かるかな、何だか嫌な予感。私はホームページの地図を頭に叩き込みました。店名は「鳥茶屋」と有りますので値段はそんなに高く無いようです。当日はとんでもない細道を3度程曲がって約束の時間通りにお店に着き、私が絶対に道に迷うだろうと確信していたTKとMKとをがっかりさせて見せました。

 友人MKは博識でドライ、徹底的に相手を論破する所が有ります。一方友人TTも鋭く切り込むところが有るけれどもMKのようにドライでは無く、豊かな感性を言語化するのが得意な詩人タイプ。そして友人TKは切れ味の鋭いこの2人の話をニコニコと受け止めるポジションなのでこの3人の相性はピッタリのようです。そして私はMKやTTと切り結んではスリルを味わうのが堪らないと言う変人です。

 私が「facebookが友達の誕生日を知らせてくれてその友達にお祝いを言うように仕向けられるのが嫌だよ」と言いますとMKはfacebookはそんなものじゃない、facebook社の都合の良いように画面を操作して、見せたい物だけを見せて会社の好きなようにfacebookメンバーを誘導しているのだと説明してくれました。なるほど、facebookをやる時にはハナから騙されている事を念頭に置いた方が良いようです。MKはまた広告代理店業界の暗黒部分、社員達が如何にして落とし穴に落ち込んでしまうのかも話してくれました。私は酒類メーカーに勤めていて良かったとしみじみ思います。MKが「何才まで生きるつもりだ」と聞きますので「邱永漢が、70才を過ぎたら銀行がお金を貸してくれなくなったって昔こぼしていたよ」と私が言いますとMKは「心身共に人格を維持出来るのは80才まで、あと10年くらいだ」と言います。これからの10年余りをどう過ごしたものでしょうか。

 そうこうするうちにTTからTKの携帯に電話が入りました。TTはどうやら地下鉄で降りる駅を間違えたようです。TKは嫌な顔もせずTTを迎えに行きました。TKはそう言う男です。でも、神楽坂は入り組んだ街だから、まあ仕方が無いか。TKがTTを連れて来て皆が揃うとMKは思い切りTTをからかって見せ、TTもそれを楽しんでいるフシが有ります。そしてTT曰く、「何か食わせろ、クソ暑い中を昔は青線だった北品川あたりで仕事して来たんだぞ」。

 友人TTはブログを書いていて私も楽しみに読んでいたのですが、ここの所ブログを更新していません。そしてTTは毎日facebookで脱原発やら政治家への不満やらを書き募っています。酔いの回って来た私はTTに言いました、「朝日新聞を読んでいれば誰でも言えるような事をTTには書いて欲しく無いよ、TTは詩人だよ、facebookを止めろとは言わないけれどブログを書いてくれよ」。TTは「分かった、書くよ・・・面倒くさいなあ」と言います。Facebookと較べてブログは確かに面倒です。テーマを決めて簡単なプロットを作り、実際に書いて見て誤字は無いか、文にリズムは有るかと4日程推敲してからアップしますから仕事の忙しいTTには面倒な話なのでしょう。でも、以前は書いてたじゃん。

 さて、話題が友人YKの事になってTTが「YKは内向きなんだよ」と言いますので私が「内向きだけど、内が無いんだ」と応えますとTTは「そうか」と言います。この会話が理解出来ますか?この4人ですとこんな会話が通じるのです。お互いがお互いを分かっているので個々の感性に触れるような内容の会話もテンポ良く進む、こんな友人達が有るのは本当に有り難い事です。

 飲み会も終わってお店を出て、帰りの電車は友人TTと私の2人でした。「MKは都会人なんだよなあ」とTTが呟きますので私が「MKは都会人だけどピュアだよ」と応えますとTTはしばらく黙っていました。話題を変えて私が今年の3月に夫婦でインド旅行をし、ヴァラナシのラヒリ・マハサヤのお寺で5分余りの間そこに居ない人と英語で会話した事を言いますとTTは「それには2通りの解釈が有るなあ」と応えます。私がTTはどんな解釈をするのだろうかと期待していますと、電車がTTの駅に着きTTはそのまま電車を降りて帰って行きました。そして私が帰宅しますと時刻はほとんど午前零時近くでした。在職中は兎も角、午前零時の帰宅は本当に久しぶりでした。

 この年になりますと新しい友達はそうそう出来るものでは有りません。初対面の人と話す時にはその人の人格や人柄、得意分野や知識、そしてどのような人生を歩んで来たのかを探ります。そしてそれが分かったからと言って友達になれる訳では有りません。気持ちが通じないと駄目です。ですから今回のように、打ち合わせ等では無い無駄な会話が遅くまで続けられる友人達はとても大事で、まだまだ失いたく無いものです。



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