今日の横浜は久しぶりに爽やかな季候でした。
こんな冬晴れの日は、なんだか仕事もはかどります。
週の後半木曜日
先日ある裁判所での出来事~
サラ金相手の過払金返還請求訴訟で、相手方が取引履歴を一部しか開示しないため、原告は貸付残高をゼロとして利息の引直計算、それを基に算出した金額を請求したというケースです。
最近では、履歴の開示に非協力的な業者は少なくなりましたが、業者の中には、10年以上前の計算書は破棄してないと言ってくるトコがあります。
このような場合の対処方法として、この「残高ゼロ計算」というのがあります。
以下、うろ覚えですが、これに関する原告代理人と裁判官のやりとりです。
裁判官
「えー、原告は、最初の金額をゼロで計算してるんですか?」
原 告
「はい。」
裁判官
「あーそーですか、だったら次回期日までに、なんでゼロで計算したのか、陳述書なり使って準備書面で詳しく書いてきて下さい、いいですね。」
原 告
「??えーーと・・??」
裁判官
「だって、頭ゼロってことは、あなたはこの時点で既に借入金がゼロ若しくは過払いになっている、そー判断してゼロで計算したんでしょ?だったら、(提出した計算書には残があるのに)どうしてここがゼロなのか、それを次回期日までに、具体的に準備書面に書いて提出して下さいと、そー言ってるんですが・・・言ってることわかりませんか?」
原 告
「あ、はい、それはわかります・・・・ただ、この残高については被告に立証責任があるかと・・・・」
裁判官
「(ちょっとスイッチが入ったらしく)だからぁー、私が言っているのは、そーいうことじゃないの、立証責任がどうとか、そーいう次元の話をしているんじゃなくて、もっとそのサキの話、つまり、本件における具体的な事実はどうなっているのかと、それを聞いているんです。だって、頭ゼロってことは・・・(さっきと同じ事のくり返し)・・・・でしょ。。裁判所は判決文を書くのに事実認定が出来なければ書けませんよ。あなたが用意した今回の準備書面は、ただただ一般的な法律論や判例が書いてあるだけで、こんなんじゃ裁判所は事実認定出来ませんよ。実際はどうなんですか?この時点で残ゼロ(or既に過払い)というなら、次回までにそのことを詳しく書いてきて下さいと、そーいうことです。」
原告代理人は、これに渋々頷いていました。
簡裁では、同じ時間に多くの事件を扱うため、自分が呼ばれるまでの間、裁判官が当事者にこのような指示するところを見ます。裁判の傍聴は、そー言う意味でも非常に勉強になります。
ただ、これを聞いていて、この原告代理人が首をかしげてしまうのは、良く理解できます。
原告としては、こっちの主張事実に何ら不足なし、この計算方法が認められる根拠として、その時点で残債があることの立証責任は、サラ金業者である被告側にあるのだから、それを被告が立証しない(当初からの計算書を出さない)限り、結果として残債はゼロであり、頭ゼロ計算が認められる、とまぁそんな感じで起案したのでしょう。ただ、実際の裁判(と、えらそうに言っても私もそんなにやっているわけではありませんが。)は、そう単純には行かないところがあります。例えば、原告には平成7年頃に金50万円を借りたという事実(但し、この事実がどこで判明するかは不明であるが。)があるのに、開示された計算書が、平成9年頃からの途中開示だからといって、これをいきなり頭ゼロで計算しても、やはり裁判官は難色を示すのではないでしょうか。。事実認定を重視する裁判官をどう納得させるか、悩ましいところである。
こんな冬晴れの日は、なんだか仕事もはかどります。
週の後半木曜日
先日ある裁判所での出来事~
サラ金相手の過払金返還請求訴訟で、相手方が取引履歴を一部しか開示しないため、原告は貸付残高をゼロとして利息の引直計算、それを基に算出した金額を請求したというケースです。
最近では、履歴の開示に非協力的な業者は少なくなりましたが、業者の中には、10年以上前の計算書は破棄してないと言ってくるトコがあります。
このような場合の対処方法として、この「残高ゼロ計算」というのがあります。
以下、うろ覚えですが、これに関する原告代理人と裁判官のやりとりです。
裁判官
「えー、原告は、最初の金額をゼロで計算してるんですか?」
原 告
「はい。」
裁判官
「あーそーですか、だったら次回期日までに、なんでゼロで計算したのか、陳述書なり使って準備書面で詳しく書いてきて下さい、いいですね。」
原 告
「??えーーと・・??」
裁判官
「だって、頭ゼロってことは、あなたはこの時点で既に借入金がゼロ若しくは過払いになっている、そー判断してゼロで計算したんでしょ?だったら、(提出した計算書には残があるのに)どうしてここがゼロなのか、それを次回期日までに、具体的に準備書面に書いて提出して下さいと、そー言ってるんですが・・・言ってることわかりませんか?」
原 告
「あ、はい、それはわかります・・・・ただ、この残高については被告に立証責任があるかと・・・・」
裁判官
「(ちょっとスイッチが入ったらしく)だからぁー、私が言っているのは、そーいうことじゃないの、立証責任がどうとか、そーいう次元の話をしているんじゃなくて、もっとそのサキの話、つまり、本件における具体的な事実はどうなっているのかと、それを聞いているんです。だって、頭ゼロってことは・・・(さっきと同じ事のくり返し)・・・・でしょ。。裁判所は判決文を書くのに事実認定が出来なければ書けませんよ。あなたが用意した今回の準備書面は、ただただ一般的な法律論や判例が書いてあるだけで、こんなんじゃ裁判所は事実認定出来ませんよ。実際はどうなんですか?この時点で残ゼロ(or既に過払い)というなら、次回までにそのことを詳しく書いてきて下さいと、そーいうことです。」
原告代理人は、これに渋々頷いていました。
簡裁では、同じ時間に多くの事件を扱うため、自分が呼ばれるまでの間、裁判官が当事者にこのような指示するところを見ます。裁判の傍聴は、そー言う意味でも非常に勉強になります。
ただ、これを聞いていて、この原告代理人が首をかしげてしまうのは、良く理解できます。
原告としては、こっちの主張事実に何ら不足なし、この計算方法が認められる根拠として、その時点で残債があることの立証責任は、サラ金業者である被告側にあるのだから、それを被告が立証しない(当初からの計算書を出さない)限り、結果として残債はゼロであり、頭ゼロ計算が認められる、とまぁそんな感じで起案したのでしょう。ただ、実際の裁判(と、えらそうに言っても私もそんなにやっているわけではありませんが。)は、そう単純には行かないところがあります。例えば、原告には平成7年頃に金50万円を借りたという事実(但し、この事実がどこで判明するかは不明であるが。)があるのに、開示された計算書が、平成9年頃からの途中開示だからといって、これをいきなり頭ゼロで計算しても、やはり裁判官は難色を示すのではないでしょうか。。事実認定を重視する裁判官をどう納得させるか、悩ましいところである。