
大阪フィル定期初日、オルフ「カルミナ・ブラーナ」。
大植マエストロの創造するカルミナ・ブラーナ像は、第一印象エキセントリックに見えても、この作品に潜む狂気を描いて余すところがない。大きく納得したところ。
大胆なテンポ設定や間の取り方。声部間のバランスの取り方など、大きな感銘を受けた次第。
ソプラノの森麻季さん、その至純の中に仄かな官能を想わせる歌唱に金縛りにあうほど感動。
バリトンの与那城敬さんはその役柄への没入と表現の振幅の大きさがまことに素晴らしい。
カウンターテナーの藤木大地さんも焼かれて喰われる白鳥の惨めさを見事に描ききっていた。
コーラスについては、巨大なフェスティバルホールにきてから、「ああ、もっとこうできた!」と気付くことも多い。細部に於いて課題は山積ながら、全体的には良く歌っていたと思う。
終演後、森麻季さんに「合唱が見事でした。響きの質が素晴らしい」、与那城敬さんには「ディクションもはっきりしていたし、発音も良かった」、藤木大地さんには「プロのような合唱だった」と、お誉めの言葉を頂けたことは、素直に歓びたいと思う。
音楽界の第一線で活躍される皆さんに、声楽家目線から高い評価を頂けたことは、合唱指揮者としてとても嬉しいことだ。大阪フィル合唱団のメンバーは胸を張ってよいし、「この道でよいのだ」と日々の鍛錬を継続して欲しい。
さて、大植マエストロの棒は、毎日、毎回変容する。2日目の公演はどんなになるのか、身内の自分にすら全く予見できない。文字通り一期一会、二度と繰り返せないパフォーマンスとなるだろう。乞うご期待!