目指せ! 標高1122メートル

山の神にお供して歩きつづける、ある山のぼら~の記録。ネイチャー、冒険の本もとりあげるよ。

大朝日岳・羽黒山Part4~発熱と下痢に苦しみ大朝日岳下山

2016-09-24 | 山行~東北

大朝日岳 標高 1870.7m 小朝日岳 1647m 鳥原山 1429.9m 山形県

2016年9月10日(土) 雨のち曇り

メンバー 山の神と私

コースタイム 大朝日小屋6:23--6:36大朝日岳山頂6:40--6:50大朝日小屋7:00--7:20銀玉水7:25--8:28小朝日岳8:36--10:00鳥原山山頂直下10:20--鳥原山山頂--2・3回休憩--12:16畑場峰--1・2回休憩--13:35古寺鉱泉先の駐車場

原因はいまだよくわかっていない。前日食べた賞味期限切れのスポーツゼリーのせいなのか、連日の疲労の蓄積のせいなのか、酒田で深酒したせいなのか、はたまた朝食にとったプライベートブランドの安いカップラーメンのせいなのか。朝起きたときには、体がつらい感じは微塵もなかったのに、大朝日小屋を出発する頃には下痢の症状が出ていたので、いまのところ、いちばんの原因と思っているのは、朝食べた塩ラーメンだ。。このカップめんはすごいしょっぱかったし、後から吐き気もしたから、たぶんこれだろう。ちなみに山の神の朝食は、パンだった。じつはこの塩ラーメンは、まだ山の神分が家に残っている。そろそろ食べないの?と今日も促してみたのだが、カップめんを食べる気はさらさらないようだった。

  真っ白の大朝日岳山頂。展望なしの山頂ほどつまらないものはない

5:00頃起床。窓の外を見ると、昨日に引き続いての雨風で意気消沈する。何ら変わっていない。無線で下界の状況を確認した小屋の管理人によると、下は見事に晴れていて、ここだけに雲がついているということだ。ということは、今日もダメか。ここまで来て山頂を踏まないのはしゃくなので、とりあえずザックはそのまま小屋にデポして、大朝日岳の山頂を目指した。

6:23小屋を出て、視界ゼロに近い真っ白のなかをいただき目指して登った。山頂は案の定、何も見えなかった。山の神と記念撮影だけして、つまないねえとこぼしこぼし、小屋へ戻った。

 一晩お世話になった大朝日小屋を出発

小屋のトイレに駆け込んで、用を済ます。ちょっと体調がかんばしくないなと思いながら、すぐに下山開始だ。

 
左:昨日水を汲んだ銀玉水 右:小朝日岳山頂。続々と反対側から登山者が登ってきた

小屋近くでツリガネニンジンが咲いていた。昨日山の神に咲いてると声をかけたのだが、あの雨風でまったく聞こえなったようで、さもここで初めて見たように山の神がはしゃいでいた。昨日見たじゃん。

銀玉水に立ち寄って、昨日撮れなかった写真をパチリ。昨日はカメラが濡れると思って、稜線に上がった頃にザックにしまっていたのだ。銀玉水から一気に下り、昨日は巻いた小朝日岳の急登にとりつく。なかなかハードな上りだ。いま思えば、ここで体力を使い果たしたのかもしれない。8:28これまた展望なしの小朝日岳の山頂に到着する。反対側から、天気予報の「晴れ」を信じた人たちが次々に登ってきた。残念ながらこの山塊は、今日も雨のようだ。

 小朝日岳からの下り

少し休憩をとり、鳥原山へ向かう。そこそこ長い下りとその後の登り返しは、体に堪えた。最後山頂への上りで精も根も尽き果てた感じだった。山頂直下のちょっと開けたところで、ザックを投げ出して横たわる。体調は最悪だった。ここで20分くらい休憩して少しはマシになったが、復活する感じはまったくない。

 
左:青空が覗き始めた鳥原山 右:登山者でにぎわう鳥原山山頂

昨日小屋で隣にいた2人組みの年配者に簡単に抜かれる。とりあえずエイヤの気合で歩くしかない。登山者でにぎわう鳥原山山頂を越えて、湿原へと向かう。


大朝日岳の山頂付近から伸びている黒い雲。月山にも雲がかかっていた

途中で空を見上げると、昨日の朝と同じような雲が出ていた。ちょうどこちら側に雨雲が張り出していて、下界のほうには雲がない。下界はやはり晴れているのだ。

 
左:鳥原山小屋分岐で広がっていた湿原。花は見当たらず 右:畑場峰で倒れていた案内の標柱

やっと鳥原山小屋の分岐に出る。ここからまだ駐車場まで2時間はある。目の前が真っ暗な感じだが、少しずつ前進するほかない。途中、ゆるゆるの腹が限界を超え、キジ撃ちに藪に入る。その後も腹具合は怪しかったが、何とか駐車場のトイレまではもった。

鳥原山直下から山の神もこちらの様子に気づき、そろそろ休もうかと何度も気遣ってくれたが、なるべく休まずに前進し、少しでも早くこの苦行から開放されたい。しかし体がいうことを聞かず、結局何度も休憩をとっては、クターとうずくまっていた。ただそれだけでもだいぶ違い、わずかながらパワーが戻る感覚があった。やがてなかなか到着しなかった畑場峰まで来ると、少し元気が出た。あと1時間だ。あとは無心に歩き、古寺鉱泉朝陽館が見えたときには、心からホッとした。

その後上山温泉まで車を運転して移動したのだが、宿でなかなかチェックインできずに、疲労はピークに達していた。体温計を借りて測ると、38度。体がだるいはずだ。その後、部屋食で供された山形牛やカニなどのご馳走はまったく食えず、おかゆを食べて終了という悲しいばかりの温泉滞在だった。ただ同志、山の神が風邪薬を買ってきてくれたのは、助かったし、ありがたかった。明日は東京まで帰れるのだろうか。あさっては仕事山積の会社に行けるのだろうかと、心配が募ったが、翌朝にはだいぶ回復し、朝食をそこそこ食べられた。それにしても山の中でここまで体調を崩したのは、初めてだった。予兆がらしい予兆がなかったから防ぎようもない。ちょっとした薬は常備しておくべきだなと新たな教訓ができた。当然か。 

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大朝日岳・羽黒山Part3~大朝日小屋まで

2016-09-22 | 山行~東北

古寺山 標高 1501.1m 山形県

2016年9月9日(金) 雨

メンバー 山の神と私

コースタイム 7:20古寺鉱泉手前、林道終点駐車場7:45--8:30休憩(ザックカバー装着)8:37--9:20一服清水--9:31ハナヌキ峰分岐--10:17三沢清水手前10:25--三沢清水--10:55古寺山(雨具装着)11:10--12:06熊越(昼食)12:30--13:13銀玉水13:20--13:50大朝日小屋(泊)

目が覚めて時計を見ると、5:17。泊まったASAHI自然観の窓から外を見ると、雲が切れていて、予報どおり晴れてきそうな予感がする。部屋で簡単に朝食をとり、6:45山の神とともに宿を後にした。時折雨が落ちてきて、車のフロンガラスを濡らす。大規模林道に入り、油断して古寺鉱泉への分岐を通り越してしまい、Uターンをしていると、先に車2台が曲がって行った。

7:20林道終点の駐車場に到着した。まだ小雨が降っていて、いつこの雨はあがるのだろうと、空を見上げる。先行して駐車場に到着した2台は、車を置きに来ただけだった。朝日鉱泉から登るのか、どこから登るのかはわからないが、ここに車を置いて下山時に利用するようだ。宿の車なのか、皆それに乗って、行ってしまった。

 
左:古寺鉱泉手前、林道終点の駐車場。トイレもある 右:古寺鉱泉朝陽館

あとからジモティ4人パーティが来て、10年ぶりの大朝日登山、登れっぺかという声が聞こえてくる。彼らは先に出発したが、だれかが忘れ物をしたらしく、山の神と私が先に進むことになった(7:45)。

駐車場から川づたいに進むと、すぐに古寺鉱泉朝陽館が現れる。見た目、古びた大きな山小屋といった風情だ。横を通り抜け、山へと分け入って行く。見事な松の木が登山道の横で枝を広げている。まもなくポチポチしていた雨が止んで、青空も覗き、天候回復の期待が膨らむ。快適なブナの森を堪能しながら、登高を続ける。

 
左:木漏れ日の森。このときは晴れてくると固く信じていた 右:一服清水

ん~、また降ってきてしまった。でもこの時はどうせすぐ止むだろうと、しばらく静観を決め込んでいた。決め込んではいたが、しとしととしつこく降り続き、意外とこういう雨が濡れるんだよなと山の神に声をかけ、ザックカバーだけは付けることにした。そして9:20水場、一服清水に到着する。冷たい軟水はうまい。

そこから樹林帯を進み、ハナヌキ峰分岐(日暮沢への分岐)に出た。だいぶ雲が厚くなったのか、暗さが一段と増している。一向に雨はやまず、しかたなくこの間買ったばかりのberghausの上を着込む。初めて山行で着るが、軽くていい。

 
2点とも:古寺山山頂

このあたりでは、まだ晴れてくると希望をもっていたのだが、雨具なしでびしょ濡れのおじさんが下ってくるのを見た時は、ダメかと観念し始めていた。そして次の休憩ポイントを三沢清水としていたのに、山の神がいつの間にか着いて来ていない。山の神の熊鈴の音が途切れた後、一切音がしないから、もしや水でも飲んでいるのかと引き返すと、案の定山の神は休憩に入っていた。ひどいじゃないと近づいていくと、まったく意に介した様子はなく、疲れたといって、へたり込んでいた。

三沢清水で再びのどを潤し、古寺山へ向かう。とりあえず今日は大朝日小屋まで行って、明日に期待だね、先を急ごうと、いったんは古寺山を出発した。けれども、もう雨があがる気配がまったくないので、雨具の下も履いていこうと、また小広い山頂に戻った。


小朝日岳を振り返る

小朝日岳は明日登るとして、巻き道をスタスタと進む。どこか昼食に適した場所はないかと物色しながら歩いてきたが、なかなかいい場所はない。もういい加減、腹が減りすぎて、12:06熊越の上りで昼食にした。雨の中、火を使うより、早く食べて、早く行動しようと、明日の朝食用だった菓子パンをそそくさと食べて腹に収めた。

12:30再び雨の中の登高が始まった。遮るもののない稜線に出ると、風が容赦なく襲ってきて歩くのがままならないくらいだ。と思ったら、後ろから私を追い抜いて、山の神の激走が始まった。車山スノーシューを思い出した。あのときとシチュエーションは似ている。その刹那、山の神の後ろ姿を見て違和感を覚えた。違和感の正体は、ザックカバーだった。強風にもっていかれたようで、山の神の真っ赤なザックカバー(上のほうに写真)がなくなっていた。思わず私のはと背中に手を回すと、ちゃんとついているが、危うい感じだった。手で引き剥がして、飛ばされないように装着し直した。

13:13銀玉水到着。水を2リットルタンクに詰め、歩き出す頃には、すごい風と雨になっていた。来るんじゃなかったと思わせるくらいの荒れ模様だ。自然と足が早まり、やがて見通しの悪いガスのなかに、うっすらと山小屋のシルエットが現れた。大朝日小屋到着は13:50。それから15:00くらいまでには、われわれと同じように晴れると思って登ってきた残念な人たち14,5人が、ここで停滞&宿泊を決めていた。その後も、雨も風も止む気配はまったくなく、一晩中、窓を揺らす風雨の音がしていた。

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大朝日岳・羽黒山Part2~大朝日岳前日&当日、県道289号の恐怖

2016-09-21 | 山雑記

9月8日(木)羽黒山から下山し、山の神と山菜蕎麦で腹がくちた後、本日の宿、Asahi自然観へと移動を開始した。最初の計画では、寒河江まで行ってスーパーで買出しをする予定だったのだが、庄内あさひIC辺りまで来ると、町が開けている。ヤマ勘で進んでいくと、食料品も売っているドラッグストアを発見できた。これならもう、わざわざ寒河江まで足を伸ばす必要はない。無事買出しを済ませ、カーナビの目的地にAsahi自然観を設定すると、到着16:30みたいな遅い時間が表示された。そんなことはないだろうと、自分の勝手な解釈で全否定して、高速には上がらずに国道112号を突き進んだ。そのうち天気予報どおり、小雨から本降りの雨になる。

湯殿山ICのところで、前の車も後ろの車も高速に吸い込まれていった、とそのときは思った。後から、間抜けなことに、われわれだけが、くねくねと折れ曲がった旧道に入っていったとわかった。だいぶ遠回りをして、県道27号に入る。交通量は極端に少ない。そのうちさらに雨脚は強くなり、気分はかなりダウンしていく。

やがて、山の神が最初に大朝日岳の前泊にいいんじゃないかと提案していた、朝日山の家の前を通過する。買出しができないだろうと、ここはパスしてしまったのだが、今となってはこちらのほうがよかったと臍をかんだ。どしゃぶりの中、集落もなくなり、大規模林道に入っていく。名前のごとく、2車線もある立派な舗装道だ。ちょうど伐採しているらしく、あちらこちらに伐採した丸太が積み上がっている。1台だけ、丸太を満載したトラックとすれ違った。

少し行くと、古寺鉱泉(大朝日岳への登山口;ここから私と山の神は登った)への分岐に出た。さあ、明日のために時間を計っておこうと、時計を見る。ここから宿までどのくらいかかるのか。Googleのルート検索では、1時間以上かかることになっているが、距離からいけば、そんなにかかるわけがない。もしや未舗装路なのか。戦々恐々としながら、交通量ゼロの広い道を行くと、突き当たりで右が朝日鉱泉、左が木川ダム・Asahi自然観方向という県道289号に出た。左折すると、それなりに道幅があって、安堵。しかし、それはすぐに裏切られた。くねくね折れ曲がり、徐々に道幅は狭くなる。しかも樹林帯で、どしゃぶりだから、見通しがまったくきかない。ヘッドライトをつけ、そのうちハイビームにして慎重に走る。ダムを越えると、左側が岩壁、右側が切り立った崖というすごいところに出た。こんなところで対向車が来て、延々バックするのはごめんだ。来るなと祈りながら走る。Googleマップでは、道幅が太く表示されていた場所だが、とんでもない。実際はかなり細い道だ。最後ゲートまでの数百メートルがまたひどく細く、冷や冷やしながら通過した。

古寺鉱泉への分岐から20分くらいでAsahi自然観(右上写真:9月9日早朝撮影)に到着した(16:00頃)。まあ、時間はそれほどかからず、いいとしても、明日の朝、雨量制限でゲートが締まるということはあるのだろうか。宿のスタッフに尋ねると、ゲートが締まるということは、まずありません。でも、あの道を通るのはやめたほうがいいですよと真顔で言われる。かなり遠回りになるが、大江の町を経由したほうが無難といわれる。そういわれても、さっきそこを走ってきたのだし、厳然とそこに道路があるのだから。

翌9月9日(金)早朝、宿のスタッフの言葉が頭に引っかかっていたものの、それを振り切り、前日どしゃぶりのなかを走った県道289号にあえて突入した。対向車よ来るなと祈りながら、バリバリ走っていく。この時間帯に対向車が来る可能性は極めて低いはずだが、可能性はゼロではない。昨日同様ヘッドランプをハイビームにして突き進み、無事危険地帯を通過した。

しかし、この日の午前中に山の神が重大なことを思い出した。「やっちまったよ」と悲鳴のような第一声。宿にケータイを忘れたのだ。コンセントが冷蔵庫周りにしかなかったため、そこで充電したまま、置き忘れたのだ。ということは、あの道をもう一度走ることになるのか。あるいは迂回、大回りして行くか。結局山から下りた9月10日にもう一度ここを通ることになった。大回りするなんて時間の無駄だし。そのときは、ジモティらしき車3台とすれ違った。ラッキーなことに、3台とも広い場所で行き交うことができた。どしゃぶりの夕方と小雨の早朝という見通しの悪い環境ではなく、お日様が照る中での走行は、過去2回に比べ、ずいぶんマシだった。

県道289号を車で通ろうと考えている方、十分に気をつけてください。

大朝日岳登山へつづく
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大朝日岳・羽黒山Part1~羽黒山2446段を往復

2016-09-20 | 山行~東北

標高 414m 山形県

2016年9月8日(木) 曇りときどき雨  |

メンバー 山の神と私

コースタイム 10:30頃 羽黒山駐車場10:45--11:45頃 羽黒山山頂 11:55頃--二の坂茶屋(力餅セット)--13:00駐車場

90年代に訪れたときには、ろくすっぽ調べもせずに出羽三山登っちゃえと来たので、道路地図を見て、そのまま山頂近くまで車であがり、あっけなく社殿に着いてしまった。その後テレビで、羽黒山の長~い階段の参道があることを知った。途中に茶屋まである。いずれ山形に行く機会があれば、そこを歩いてもう一度羽黒山だと思っていた。山の神にそのことを話すと、大賛成。羽黒山の参道歩きは、こうして決まった。

前泊は酒田のビジネスホテル、さかたセントラルホテル。前夜の飲みすぎが祟って、8:30チェックアウト予定だったのに、目が覚めた時にはすでに7:45になっていた。東京からの移動の疲れもあったのか、まったく目が開かなかった。山の神もゆるゆると起き出して、ホテルの食堂でいっしょに朝食をとる。チェックアウトは結局1時間くらい遅れた。平日のお仕事車両で混みあう酒田市内の幹線道路を抜けていくと、歩道にヒッチハイカーがいた。山の神もそれに気づいて、指を差す。バックパッカーの若い白人が「NIIGATA」と手書きしたボードを掲げていた。これから新潟には行かないし、後ろの座席は荷物で一杯だった。地方にもどんどん外国人観光客が来ているのだと驚かされた。

 
左:羽黒山駐車場。建物はトイレ 右:羽黒山の入口、随神門

10:30頃羽黒山の駐車場に到着した(左上)。駐車場はここだけではなく、いでは文化記念館のものも参拝客は利用できるようだ。がらんとした駐車場に車を置き、平日だから閑散としているなと山の神と話しながら、のんびりと出発する。随神門に来ると、カップルが1組。あとから老夫婦が来た。門から階段を下っていくと、観光客が2人上がってくる。結構いるじゃないかといっていると、分祀された小さな神社や朱塗りの橋にも人がいた。

 
左:祓川に架けられた立派な朱塗りの橋、神橋 左:橋の横には須賀の滝(水量が極端に少なかった)

神橋を渡ると、樹齢1000年の爺杉が出てくる。屋久島だと、ようやく屋久杉に仲間入りする樹齢だ。ちなみに屋久島では1000年未満は小杉と呼ばれている。名前といい、樹齢といい、あまりありがたみがないなとバチあたりなことをいいつつ、五重塔へ。

 
左:国宝羽黒山五重塔 右:五重塔の横には一の坂が延びる

こんな山の中によく建てたものだという豪壮な五重塔がそびえている。平将門の建立というから、驚く。こんなみちのくの山深いところまで勢力を伸ばしていたということになる。五重塔を過ぎると、一の坂の階段が延々と天までかというくらい続いている。

 
2点とも:二の坂にある二の坂茶屋。この辺りでよく見かけた魔よけの引き綱が軒先にかかっている

階段の先を見上げ、茶屋と思ったら、社ということがあった直後、今度はふいに「名物 力餅」の文字が見えた。今度はほんとうに茶屋だった。雨がポツポツしている中、二の坂茶屋に到着。気温は高くないが、だいぶ汗をかいて、のどが乾いていた。山の神は、茶屋でスポーツドリンクを買ってゴクゴクやっている。脇から手を出して一口もらう。ふと店内を覗くと、おいしそうに力餅をほおばっている年配の方がいた。帰りに寄ろうよと、山の神が言い出し、二人で力餅と抹茶の映像を心に刻んで、茶屋を後にした。


二の坂茶屋から庄内平野を望む(復路撮影)

最後三の坂を登りつめていくと、齋舘が出てきた。観光客は立入禁止かと思いきや、ここで精進料理を食べられる。目の前には最後の鳥居があって、もう山頂だ。

 
左:斎舘。精進料理を供している 右:出羽神社、三神合祭殿(月山・羽黒山・湯殿山の三神を合祭)

茅葺の巨大な屋根をもつ出羽神社の三神合祭殿が目に飛び込んでくる。とにかく軒に張り出した茅の厚みに圧倒される。何はともあれ、三神に参拝。反対側の駐車場からも観光客がやってきては、3つの社を参拝していく。

 
左:この厚み、三神合祭殿の屋根がすごい 右:鐘楼。鐘撞きは禁止

ひと時止んでいた雨が、またパラパラと落ちてきた。早く下ろうと山の神に促され、再び階段を下り始めた。この階段は、段差を低く造ってあり、下りに配慮しているようだ。全部でなんと2446段もあるという。やがて二の坂茶屋が見えてくる。もう昼時だけれど、YAZAWA張りに、「食べちゃえ」と力餅と抹茶のセットを、2人分注文した。あんこときなこの餅が各1つずつ(各2つずつのバージョンもある)、それに抹茶と切干がついていた(¥500)。雨がちょうど上がったので、外のベンチに腰かけて舌鼓。女将が声をかけてきて、話しているうちに餅がここで搗かれていると知る。名物というものは、苦労してつくられるものなのだ。

 復路の足取りは皆軽い

13:00頃駐車場までたどりつき、駐車場前にあった蕎麦屋いしいで、ボリューム満点の山菜蕎麦を食べた。ちょっと高かった(¥1,100)が、Very Good!

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大朝日岳・羽黒山~プロローグ・酒田入り

2016-09-19 | まち歩き

9月7日(水)14:10頃酒田の飯森山公園内にある土門拳記念館に到着した。長かった。東京を発って9時間余りもかかっている。やはり途中通行止めで高速を下ろされたのが痛かった。広い駐車場の一画に車を置き、山の神と伸びをしながら、記念館への道をたどった。

 特別展「時代を生きた写真家 濱谷浩と土門拳」を展示していた

記念館では、ちょうど特別展開催中で、濱谷浩との二人展となっていた。この濱谷浩とは誰だろう? 展示室へ行ってびっくり。すごいね、雪国(とくに豪雪地帯の)を題材に、昭和のいきいきとした庶民の暮らしを切り取っている。われわれのほんの一世代、二世代前くらい前のことなのに、やけに古びた遠い昔のことのように見えてしまうのは、雪国の生活と、私が無縁の生活を送ってきたからだろうか。山の神とちょっとした衝撃を受けながら、作品を見てまわった。もちろん土門拳の作品もすばらしかった。それぞれに味のある文豪や政治家らのポートレイトや、いかにもといった古寺巡礼シリーズは、存在感たっぷりだった。敷地内にはイサム・ノグチの彫刻もあり、また水と一体化しているこの記念館の建物自体もいい。皆さんにもお勧めです。

 山居倉庫

次に向かったのは、山居倉庫。海運で栄えた酒田の倉庫群で、あの「おしん」の撮影ロケ地としても有名だ。どっしりとしたケヤキ並木と黒塗りの倉庫がいい雰囲気をかもし出している。ただ手前の倉庫は、まるで道の駅のようにお土産屋とレストランになっていて、鼻白む。しかもレストランは、営業時間外で閉まっていて照明を落としていた。一部をカフェにしてくれれば、間違いなく入ったのになあと思うと残念だった。

 盛り上がりました弐番丁の夜

山居倉庫を後にし、今宵の宿、ビジネスホテルのさかたセントラルホテルにチェックインした。日もとっぷり暮れかかった頃、ホテルでもらったグルメマップに出ていたお店、弐番丁(にばんちょう)ののれんをくぐった。じつはその前に山の神がここがいいといった店に行ったのだが、なんと予約していないと実質入れない店だった。ほかにも店構えでよさそうなところに行ってみたのだが、どこも事情は同じだった。酒田のお食事処は、要予約なのか。

さて話を弐番丁に戻そう。カウンターだけの小ぢんまりとしたお店で、常連さんだけの閉鎖的なジモティの店かと身構えてしまったが、そんなことはなかった。気さくな大将と女将さんが2人で切り盛りしている店で、焼き鳥や刺身など、地のものを使った料理を出しくれる。

大将に、魚は目の前のケースに入っているのを頼んでねと言われるが、そう言われてもよくわからない。キジハタに何とか、それにアジがあって、タタキができるというので、それをを頼んでみた。すると、大将、顔を曇らせて、アジのタタキはいつでも食える。今日入ったキジハタの刺身にしてはどうかと聞いてくる。もちろんOKだ。白身でプリプリした食感でうまい。さすがは、酒田、新鮮な魚を地元で食えるのだ。

隣にいた常連さんと大朝日岳へ行くんだなどと他愛のない会話を交わしていたが、そのうち、リオ・オリンピックのボート競技で4位入賞したというアメリカ人とその友だちたちがやってきた。ググってみると、エイト(8+)で確かにアメリカは4位に入っている。選手をチェックすると、たしかにこの店で見た長身のお兄さんの顔が出ていた。オリンピック後日本に観光に来て、富士山に登ったと自慢げに言い募り、山頂で撮影した動画を見せてくれた。なぜ酒田にいるのかは聞きそびれてしまった。

この店がよほど居心地がよかったのか、私は知らぬ間に飲みすぎていた。私の記憶では、生ビールと瓶ビール、酎ハイ3杯を飲んだと思っていたのだが、酎ハイ2杯目と3杯目の間に、日本酒を飲んでいたと山の神に指摘される。記憶を丹念にたどってみると、お勧めの地酒は?と大将に聞いて、日本酒のリストを大将が指差して、この3つと言っていたっけ。その直後にどうやら、注文したようなのだ。山の神がいうには、その日本酒がグラスで出てきて、たちまち私のグラスは空になっていたと。ということは味わいもせず、スルスルと水のように飲んでいたのか。でも最後の1杯に、酎ハイを頼んだのはしっかりと覚えている。うちの酎ハイは濃いから気をつけてと大将だか、女将だかに言われたが、まったく気にせずに頼んでいた。お会計して、ごちそうさまとご機嫌で店を出て、上の写真をパチリ。ホテルに戻って、ベッドに横になった瞬間に泥のように眠っていた。ふと目が開くと1:30くらいで、慌ててシャワーを浴びる。そのときには明らかに酔っ払っているという自覚症状はあった。明日は羽黒山の階段歩き、アルコールを抜くためにもすぐに寝ないとと、髪をドライヤーで乾かし、また泥のように眠った。

大朝日岳・羽黒山Part1~羽黒山2446段を往復へつづく
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