(資料)インドネシア・スマラン戦時性奴隷事件 軍人・軍属証言(1)
国立公文書館所蔵の「法務省/平成11年度/4B-23-4915」及び「法務省/平成11年度/4B-23-4956」より
(原資料は強制連行真相究明ネット提供)
軍・警察が関与したことの証言(7)
能崎清次少将(南方軍幹部候補生学校校長兼駐屯地司令官)
・昭和十九(1944)年初め頃、私の参謀格の池田大佐及び歩兵隊長の大久保大佐から、抑留婦人を慰安所に使わしてもらいたいとの申し出があった。
・マゲランではその時すでに抑留婦人の慰安婦を連れてきており、一度見ないかということで見せてもらった。州庁と憲兵隊とで連れてきたとのことであった。
・偶々軍司令部で会議があり、私も出席した。会議のあと私は軍司令部の参謀に、抑留婦人を慰安婦として利用する件を話してみたが、軍司令部の方で別に反対の意見も出なかった。
・私は帰隊の上私の幕僚に対し具体的の計画を立案し、要求員数を出し、州長官に対し書類を要求するよう命じた。
・昭和十九年二月末か三月始め頃、…本件を代行中の歩兵隊の某少佐から副官を介して「昨日(一昨日)州庁側からの通知に接し、抑留婦人の引き渡しを受け、管下の各慰安所(三～四ヵ所)に配分した。
・慰安所は軍の治安や風紀に関係が深いということから、慰安所の管理だけは何処でも軍側がこれを管理することになっていた。
・慰安設備は何れの国の軍隊でも必要ではないだろうか。この種の設備が全然なかったとしたら、軍隊はとても治まりがつかなくなるのではないかと思う。
岡田慶治少佐（南方軍幹候隊歩兵隊）
・1944年2月始メテ本計画ヲ能崎少将ヨリ聞ケリ。此ノ話ハ何レモ幹候隊附将校タリモ、池田大佐、大久保中佐、高橋少佐ノ居ル席上ニテ聞ケルモノナリ。
・4ヵ所ノ慰安所ヲ作ル予定ニシテ、1ハ将校用、2ハ軍属用、他ノ1ハ邦人用タリ。
・能崎少将ハ既ニ「バタビヤ」ノ第16軍司令部ヨリ口頭ニ依ル許可ヲ得アリト、語リアリタリ。
・慰安所ノ設立ニハ第十六軍司令部ノ許可ガ必要ナリキ。
・大都市ニハ慰安所関係業務ヲ取扱フ将校ガヲリ、之等ハ通常尉官ニシテ、所謂「兵站係将校」ト呼バレテヰタリ。…「スマラン」ニハ本「兵站掛将校」ナカリシヲ以テ、能崎少将ハ本業務ヲ経理部主任タリシ池田大佐ニ命ジアリタリ。
・本件ニ関スル能崎少将ヨリノ書簡ヲモ携行シヰタリ。又此ノ時佐藤少佐ハ…之等婦女子ヲ以テスル慰安所四ヵ所ヲ開設シテモ良シトノ口頭ノ許可ヲ与ヘタリ。
・「スマラン」帰着後本件ニ関スル諸計画ガ更ニ進メラレタリ。余モ「将校クラブ」ニ対スル総監督ヲ命ゼラレ、同「クラブ」用ニ8名ノ婦女子ヲ得タリ。
・余ガ石田大尉及福沢中尉ニ対シ(婦女子ヲ探ス為ニ抑留所ニ行キタルコトヲ)命ジタルコトハ憶エナキモ、斯カルコトハナキニシモアラズ。
・石田(大尉)ガ州庁ノ一官吏ト共ニ婦女連出シノ為抑留所(複数)ヘ行キタルコトハ余ハ知リアリ。
・之等婦人ガ州庁ノ官吏ニ依リ「カナリーラーン」ノ一「ホテル」ニ集メラレタル後、余ハ此中種々ノ年齢、容姿ノ婦人8人ヲ余ノ監督下ニアリシ「将校クラブ」用トシテ選定セリ。
実ハ抑留所ヨリ婦女ヲ抽出シテ、慰安所ヲ開設セントノ案ハ池田大佐カラ出タルモノナリ。
・池田ハ既ニ婦女ノ必要人員数及其ノ他ノ慰安所ノ組織ニ関スル報告ヲ作リアリタリ。故ニ之等ノ準備業務ハ総テ池田ニ依リ行ハレタリ。
下田真治(軍属・慰安所「双葉荘」経営主)
・44年2月1日、池田大佐ニ依リ幹候隊ニ呼バレ、新慰安所青雲荘（「チャンディバルー」）ノ経営ヲ言渡サル。欧州人婦人ヲ抑留所ヨリ出シテ、慰安婦トスルトノコトナリキ。
・石田大尉ヨリ「スマラン」ノ婦人抑留所ヘ同行スベク命令セラレタリ。石田大尉ハ州庁ニテ作成セル婦人ノ名簿ヲ所持アリタリ。
・之等ノ「キャンプ」ニテハ、石田ノ命ニテ40~50名位ノ婦人ガ集メラレ、石田ハ名簿ヲ手ニシテ、之ヲ調ベ且ツ選出ヲ行ヘリ。
・此ノ「キャンプ」行ノ後、約2週間ニシテ約40名ノ婦人ガ「インドネシア」巡査ニ依ッテ、「カナリーラーン」ニ連行セラレタリ。岡田ハ将校「クラブ」用ニ8名ヲ選ビ、続イテ経営主ハ岡田ノ命ニ依リ他ノ婦女ヲ分ケ合ヘリ。
・此ノ時ノ分配ノ指導権ハ岡田少佐ニアリ、…石田大尉ハヰタリ。「スマラン」ニハ「兵站掛将校」ナク、故ニ本業務ハ池田大佐ヲ長トスル経理部ノ手ニアリタリ。
・本慰安所事件ニ関係アル責任者ハ能崎少将、次ニ池田大佐、ソノ次ニ岡田少佐ナリト思料ス。
蔦木健次郎(軍属・慰安所「将校クラブ」経営主)
・44年1月余及他ノ三名（古谷、下田、森本）ハ「スマラン」防衛隊本部ヘ出頭ヲ命ゼラレタ。出頭スルト、高橋少佐ト池田中佐カラ一慰安所ノ開設及慰安婦ヲ各「キャンプ」カラ連レ出シテ、使用スル旨ガ知ラセラレタ。
・余ハ岡田少佐カラ警察官ト共ニ各「キャンプ」ヨリ婦女ヲ選出スベク命ゼラレタリ。
・石田中尉及数名ノ警察官ニ依ッテ選バレタル30~40名ノ婦人ト遭ッタ。此ノ選出終了後我々ハ数名ノ「インドネシヤ」人警官ニヨッテ37~38名ノ婦人ヲ「スマラン」市ノ「カナリーラーン」ニ連レテ来タ。之等ノ婦人中ヨリ岡田ハ8名ノ婦人ヲ将校「クラブ」用トシテ選ビ、他ハ古谷、下田、森本ニ依ッテ夫々ノ慰安所ニ分ケラレタ。
・防衛隊本部ニ呼出シタル者ハ誰カ？…能崎少将ノ副官高橋少佐ナリ。余ハ幹候隊将校用ノ将校「クラブ」ノ酒場経営者トシテ、同隊ノ将校ノ部下トナリアリタリ。
松浦攻次郎(主計中尉・バタビア裁判通訳)
・慰安所開設の発案者は駐屯地司令部の高級幕僚であった池田省一大佐で、同大佐から命ぜられて、その実施に当たったのは庶務主任岡田慶治少佐であった。また岡田少佐の命令を受けて要員の選考に当たったのは石田英一大尉。
山口元吉(第16軍兵站参謀)
・兵站ハ慰安所開設ノ許可附与ニ際シ、如何ナル条件ヲ定メアリシヤ？1．慰安婦ハ自由意志ニ依ル者ノミヨリ採用ス。本人署名セル宣誓書ニ依ル。2．慰安所ノ開設サルル場所ノ衛戍地司令官ヨリノ申請タルコト。3．慰安婦トナルベキモノハ姓名、国籍、人数ノ報告。4．使用区分(将校或ハ其ノ他)。5．医務関係ラノ監督。6．使用期間。7．料金。
宮野ショウゾウ(ジャワ州長官)
・能崎ハ前以テ慰安所設置ノ件ニ関シ余ニ話ヲシタルヲ以テ、余ハ之等慰安所ガ軍ノ為ニ開設セラルルコトヲ知リタリ。
大久保朝雄(南方軍幹候隊歩兵隊長)
・駐屯地司令官タル能崎中将(清次元少将)ハ軍司令部ト暗黙ノ諒解ヲ遂ケタル後、スマランニ帰還シ、駐屯地司令部(南方軍幹候隊本部)勤務岡田少佐ニ命シ、スマランニ拘禁セル和蘭婦女子数十名ヲ抽出シ、之レヲ市内二ヵ所(？三個所ナリシヤ不明)ニ分配シ、一ツハ軍隊側ノ将校倶楽部、一ツハ地方人側ノスマラン食堂ニ配属シ、之レヲ娼婦的行動ヲ強請セルモノ。
欺罔による募集と強制連行に関する証言(8)
能崎清次少将(南方軍幹部候補生学校校長兼駐屯地司令官)
・その選出は州庁側で選出して、整列させていた婦人(その中には不承諾者も含まれていた)の中から、軍側の若い中尉が勝手に選定して、連れてきたのが実情…若干の人々には多少の強制があったようである。
・承諾書の内容についても、…ただサービス業的のこととして曖昧にしか表現されていないので、その点にも契約上の食い違いはあった訳である。
岡田慶治少佐(南方軍幹候隊歩兵隊)
・石田カ或ハ他ノ中ノ一名ガ余ニ対シ自由意志ニ基ク婦女45名ノ名簿ノ中ニモ自由意志ニ基カザル者ガ数名ヰルト云フコトヲ報告シ来レリ。
・35名ノ婦女ノ中ニモ慰安所ニテ働クコトヲ志望セザルモノガ数名ヲルト云フ話モ聞キタリ。
下田真治(軍属・慰安所「双葉荘」経営主)
・他ノ「キャンプ」ニテハ婦人達ハ恐怖ノ為事務所ヘ来ズ、一騒ギアリタリトノコトヲ聞ケリ。
・之等7名ノ婦人ガ余ノ慰安所ニ来リタル後、余ハ中ニ自由意志ニ依ラザル者アルコトヲ認メタリ。…之ヲ福田中尉ニ報告セリ。而ルニ彼ハ「ドウニモナラヌ。構ハヌカラ働カセヨ」ト云ヒタリ。
蔦木健次郎(軍属・慰安所「将校クラブ」経営主)
・岡田ハ全員ヲ集メテ通訳ヲ通ジテ、彼女等ニ彼女等ハ慰安所ニ入レラレタノデアル。故ニ皆其ノ心算デ行動セネバナラヌト告ゲタ。
・彼女等ノ第一夜ハ斯クシテ開始セラレタ。…1乃至2名ノ婦人ノ泣声ヲ聞キタリ。…余ハ又婦人達ガ泣イテヰルノヲ何回モ見タリ。
・貴下ハ婦女達ノ泣クノヲ良ク見タリト云フモ、理由如何？…慰安婦ノ仕事ガ嫌デ泣キタルモノト思考ス。
松浦攻次郎(主計中尉・バタビア裁判通訳)
・多くは良家の子女で、レストランにでも働く位で、出てきた者で、…選考に際して希望者を確かめず。
山口元吉(第16軍兵站参謀)
・岡田少佐ハ友人タル憲兵隊村瀬少佐カラ、当時規定等ハ遵守ノ要ナシ、宜シク強制的ニヤルベシト云ハレタリ。
尾西久太郎(憲兵中尉)
・岡田ハ「スマラン」及「マゲラン」ノ慰安所開設ノ許可申請ニ「バタビヤ」ニ来タル際、佐藤少佐ト村瀬少佐ト数回ニ亘リ会見シ、斯カル際ニ村瀬ハ岡田ニ対シ強制的ニ抑留婦人ヲ以テスル慰安所ノ開設ヲ勧メ、若シモ問題ガ起リタル際ハ村瀬ガ責任ヲ負フト云ヒタリトノコトナリ。
国立公文書館所蔵の「法務省/平成11年度/4B-23-4915」及び「法務省/平成11年度/4B-23-4956」より
(原資料は強制連行真相究明ネット提供)
軍・警察が関与したことの証言(7)
能崎清次少将(南方軍幹部候補生学校校長兼駐屯地司令官)
・昭和十九(1944)年初め頃、私の参謀格の池田大佐及び歩兵隊長の大久保大佐から、抑留婦人を慰安所に使わしてもらいたいとの申し出があった。
・マゲランではその時すでに抑留婦人の慰安婦を連れてきており、一度見ないかということで見せてもらった。州庁と憲兵隊とで連れてきたとのことであった。
・偶々軍司令部で会議があり、私も出席した。会議のあと私は軍司令部の参謀に、抑留婦人を慰安婦として利用する件を話してみたが、軍司令部の方で別に反対の意見も出なかった。
・私は帰隊の上私の幕僚に対し具体的の計画を立案し、要求員数を出し、州長官に対し書類を要求するよう命じた。
・昭和十九年二月末か三月始め頃、…本件を代行中の歩兵隊の某少佐から副官を介して「昨日(一昨日)州庁側からの通知に接し、抑留婦人の引き渡しを受け、管下の各慰安所(三～四ヵ所)に配分した。
・慰安所は軍の治安や風紀に関係が深いということから、慰安所の管理だけは何処でも軍側がこれを管理することになっていた。
・慰安設備は何れの国の軍隊でも必要ではないだろうか。この種の設備が全然なかったとしたら、軍隊はとても治まりがつかなくなるのではないかと思う。
岡田慶治少佐（南方軍幹候隊歩兵隊）
・1944年2月始メテ本計画ヲ能崎少将ヨリ聞ケリ。此ノ話ハ何レモ幹候隊附将校タリモ、池田大佐、大久保中佐、高橋少佐ノ居ル席上ニテ聞ケルモノナリ。
・4ヵ所ノ慰安所ヲ作ル予定ニシテ、1ハ将校用、2ハ軍属用、他ノ1ハ邦人用タリ。
・能崎少将ハ既ニ「バタビヤ」ノ第16軍司令部ヨリ口頭ニ依ル許可ヲ得アリト、語リアリタリ。
・慰安所ノ設立ニハ第十六軍司令部ノ許可ガ必要ナリキ。
・大都市ニハ慰安所関係業務ヲ取扱フ将校ガヲリ、之等ハ通常尉官ニシテ、所謂「兵站係将校」ト呼バレテヰタリ。…「スマラン」ニハ本「兵站掛将校」ナカリシヲ以テ、能崎少将ハ本業務ヲ経理部主任タリシ池田大佐ニ命ジアリタリ。
・本件ニ関スル能崎少将ヨリノ書簡ヲモ携行シヰタリ。又此ノ時佐藤少佐ハ…之等婦女子ヲ以テスル慰安所四ヵ所ヲ開設シテモ良シトノ口頭ノ許可ヲ与ヘタリ。
・「スマラン」帰着後本件ニ関スル諸計画ガ更ニ進メラレタリ。余モ「将校クラブ」ニ対スル総監督ヲ命ゼラレ、同「クラブ」用ニ8名ノ婦女子ヲ得タリ。
・余ガ石田大尉及福沢中尉ニ対シ(婦女子ヲ探ス為ニ抑留所ニ行キタルコトヲ)命ジタルコトハ憶エナキモ、斯カルコトハナキニシモアラズ。
・石田(大尉)ガ州庁ノ一官吏ト共ニ婦女連出シノ為抑留所(複数)ヘ行キタルコトハ余ハ知リアリ。
・之等婦人ガ州庁ノ官吏ニ依リ「カナリーラーン」ノ一「ホテル」ニ集メラレタル後、余ハ此中種々ノ年齢、容姿ノ婦人8人ヲ余ノ監督下ニアリシ「将校クラブ」用トシテ選定セリ。
実ハ抑留所ヨリ婦女ヲ抽出シテ、慰安所ヲ開設セントノ案ハ池田大佐カラ出タルモノナリ。
・池田ハ既ニ婦女ノ必要人員数及其ノ他ノ慰安所ノ組織ニ関スル報告ヲ作リアリタリ。故ニ之等ノ準備業務ハ総テ池田ニ依リ行ハレタリ。
下田真治(軍属・慰安所「双葉荘」経営主)
・44年2月1日、池田大佐ニ依リ幹候隊ニ呼バレ、新慰安所青雲荘（「チャンディバルー」）ノ経営ヲ言渡サル。欧州人婦人ヲ抑留所ヨリ出シテ、慰安婦トスルトノコトナリキ。
・石田大尉ヨリ「スマラン」ノ婦人抑留所ヘ同行スベク命令セラレタリ。石田大尉ハ州庁ニテ作成セル婦人ノ名簿ヲ所持アリタリ。
・之等ノ「キャンプ」ニテハ、石田ノ命ニテ40~50名位ノ婦人ガ集メラレ、石田ハ名簿ヲ手ニシテ、之ヲ調ベ且ツ選出ヲ行ヘリ。
・此ノ「キャンプ」行ノ後、約2週間ニシテ約40名ノ婦人ガ「インドネシア」巡査ニ依ッテ、「カナリーラーン」ニ連行セラレタリ。岡田ハ将校「クラブ」用ニ8名ヲ選ビ、続イテ経営主ハ岡田ノ命ニ依リ他ノ婦女ヲ分ケ合ヘリ。
・此ノ時ノ分配ノ指導権ハ岡田少佐ニアリ、…石田大尉ハヰタリ。「スマラン」ニハ「兵站掛将校」ナク、故ニ本業務ハ池田大佐ヲ長トスル経理部ノ手ニアリタリ。
・本慰安所事件ニ関係アル責任者ハ能崎少将、次ニ池田大佐、ソノ次ニ岡田少佐ナリト思料ス。
蔦木健次郎(軍属・慰安所「将校クラブ」経営主)
・44年1月余及他ノ三名（古谷、下田、森本）ハ「スマラン」防衛隊本部ヘ出頭ヲ命ゼラレタ。出頭スルト、高橋少佐ト池田中佐カラ一慰安所ノ開設及慰安婦ヲ各「キャンプ」カラ連レ出シテ、使用スル旨ガ知ラセラレタ。
・余ハ岡田少佐カラ警察官ト共ニ各「キャンプ」ヨリ婦女ヲ選出スベク命ゼラレタリ。
・石田中尉及数名ノ警察官ニ依ッテ選バレタル30~40名ノ婦人ト遭ッタ。此ノ選出終了後我々ハ数名ノ「インドネシヤ」人警官ニヨッテ37~38名ノ婦人ヲ「スマラン」市ノ「カナリーラーン」ニ連レテ来タ。之等ノ婦人中ヨリ岡田ハ8名ノ婦人ヲ将校「クラブ」用トシテ選ビ、他ハ古谷、下田、森本ニ依ッテ夫々ノ慰安所ニ分ケラレタ。
・防衛隊本部ニ呼出シタル者ハ誰カ？…能崎少将ノ副官高橋少佐ナリ。余ハ幹候隊将校用ノ将校「クラブ」ノ酒場経営者トシテ、同隊ノ将校ノ部下トナリアリタリ。
松浦攻次郎(主計中尉・バタビア裁判通訳)
・慰安所開設の発案者は駐屯地司令部の高級幕僚であった池田省一大佐で、同大佐から命ぜられて、その実施に当たったのは庶務主任岡田慶治少佐であった。また岡田少佐の命令を受けて要員の選考に当たったのは石田英一大尉。
山口元吉(第16軍兵站参謀)
・兵站ハ慰安所開設ノ許可附与ニ際シ、如何ナル条件ヲ定メアリシヤ？1．慰安婦ハ自由意志ニ依ル者ノミヨリ採用ス。本人署名セル宣誓書ニ依ル。2．慰安所ノ開設サルル場所ノ衛戍地司令官ヨリノ申請タルコト。3．慰安婦トナルベキモノハ姓名、国籍、人数ノ報告。4．使用区分(将校或ハ其ノ他)。5．医務関係ラノ監督。6．使用期間。7．料金。
宮野ショウゾウ(ジャワ州長官)
・能崎ハ前以テ慰安所設置ノ件ニ関シ余ニ話ヲシタルヲ以テ、余ハ之等慰安所ガ軍ノ為ニ開設セラルルコトヲ知リタリ。
大久保朝雄(南方軍幹候隊歩兵隊長)
・駐屯地司令官タル能崎中将(清次元少将)ハ軍司令部ト暗黙ノ諒解ヲ遂ケタル後、スマランニ帰還シ、駐屯地司令部(南方軍幹候隊本部)勤務岡田少佐ニ命シ、スマランニ拘禁セル和蘭婦女子数十名ヲ抽出シ、之レヲ市内二ヵ所(？三個所ナリシヤ不明)ニ分配シ、一ツハ軍隊側ノ将校倶楽部、一ツハ地方人側ノスマラン食堂ニ配属シ、之レヲ娼婦的行動ヲ強請セルモノ。
欺罔による募集と強制連行に関する証言(8)
能崎清次少将(南方軍幹部候補生学校校長兼駐屯地司令官)
・その選出は州庁側で選出して、整列させていた婦人(その中には不承諾者も含まれていた)の中から、軍側の若い中尉が勝手に選定して、連れてきたのが実情…若干の人々には多少の強制があったようである。
・承諾書の内容についても、…ただサービス業的のこととして曖昧にしか表現されていないので、その点にも契約上の食い違いはあった訳である。
岡田慶治少佐(南方軍幹候隊歩兵隊)
・石田カ或ハ他ノ中ノ一名ガ余ニ対シ自由意志ニ基ク婦女45名ノ名簿ノ中ニモ自由意志ニ基カザル者ガ数名ヰルト云フコトヲ報告シ来レリ。
・35名ノ婦女ノ中ニモ慰安所ニテ働クコトヲ志望セザルモノガ数名ヲルト云フ話モ聞キタリ。
下田真治(軍属・慰安所「双葉荘」経営主)
・他ノ「キャンプ」ニテハ婦人達ハ恐怖ノ為事務所ヘ来ズ、一騒ギアリタリトノコトヲ聞ケリ。
・之等7名ノ婦人ガ余ノ慰安所ニ来リタル後、余ハ中ニ自由意志ニ依ラザル者アルコトヲ認メタリ。…之ヲ福田中尉ニ報告セリ。而ルニ彼ハ「ドウニモナラヌ。構ハヌカラ働カセヨ」ト云ヒタリ。
蔦木健次郎(軍属・慰安所「将校クラブ」経営主)
・岡田ハ全員ヲ集メテ通訳ヲ通ジテ、彼女等ニ彼女等ハ慰安所ニ入レラレタノデアル。故ニ皆其ノ心算デ行動セネバナラヌト告ゲタ。
・彼女等ノ第一夜ハ斯クシテ開始セラレタ。…1乃至2名ノ婦人ノ泣声ヲ聞キタリ。…余ハ又婦人達ガ泣イテヰルノヲ何回モ見タリ。
・貴下ハ婦女達ノ泣クノヲ良ク見タリト云フモ、理由如何？…慰安婦ノ仕事ガ嫌デ泣キタルモノト思考ス。
松浦攻次郎(主計中尉・バタビア裁判通訳)
・多くは良家の子女で、レストランにでも働く位で、出てきた者で、…選考に際して希望者を確かめず。
山口元吉(第16軍兵站参謀)
・岡田少佐ハ友人タル憲兵隊村瀬少佐カラ、当時規定等ハ遵守ノ要ナシ、宜シク強制的ニヤルベシト云ハレタリ。
尾西久太郎(憲兵中尉)
・岡田ハ「スマラン」及「マゲラン」ノ慰安所開設ノ許可申請ニ「バタビヤ」ニ来タル際、佐藤少佐ト村瀬少佐ト数回ニ亘リ会見シ、斯カル際ニ村瀬ハ岡田ニ対シ強制的ニ抑留婦人ヲ以テスル慰安所ノ開設ヲ勧メ、若シモ問題ガ起リタル際ハ村瀬ガ責任ヲ負フト云ヒタリトノコトナリ。
