宇宙海賊を撃破してから数ヶ月がすぎた。あれからブリタニアは大きく変わっていた。その理由は若返りと不老長寿の規制緩和がなされたことだった。この規制緩和によりこれまで貴族の特権だった不老長寿が平民にももたらされることになり、人々は自分の希望する外見年齢のまま不老長寿となることができるようになった。
ちなみに若返りまでできるのは、すでに年老いてしまった人やまだ若いがもう少し若い外見年齢がいいと望む人々に対する救済処置らしい。確かにまだ子供と呼ばれるものならば、希望する外見年齢になってから不老長寿になればいいが、そうでない人々は不平不満がでるだろうから、それを避けるためには必要な処置だろう。
そして、俺とケインもその処置を受けることになった。といっても俺たちは士官学校を出たばかりなのでまだ20歳と非常に若いからわざわざ若返らせる必要はない。このままの外見年齢で不老長寿になればいいだろう。というか、仮にも軍の士官ともなれば外見年齢が若すぎるのは好ましくない。
世の中は外見と能力は関係ないといいながらも外見が他者に与える影響は大きいのだ。例えばブリタニアの法衣貴族(宮廷貴族)たちはブリタニアの政治を担う重臣であるが、外見年齢は17歳ほどの少女に過ぎない為、他国の年配の男性などはどうしても彼女たちを甘く見る傾向がある。
勿論、ブリタニア人はブリタニア貴族という者がどういう存在か熟知しているためそんなことはないが、他国の人間はそうではないのだ。そういった意味では不必要に歳をとっておらず若すぎない今の年齢は丁度いいだろう。
それはさておき、俺はエンジェル隊のテンション管理の一環として彼女たちと深く関わるようになり仲良くなっていた。というよりも恋愛シミュレーションゲームの主人公のように彼女たちを攻略していた。
いや、この場合は攻略してしまったというべきだろう。ちとせを含めた六人全員とキスしているからな。そんなわけで、俺はちとせたちエンジェル隊の皆に「誰が好きなのか?」と質問される羽目になった。勿論俺の答えは決まっている。
「ミルフィーは可愛くて好きだし、蘭花は綺麗で好きだなぁ。フォルテは頼れる感じで好きだし、ミントは礼儀正しい感じで好きだなぁ。ヴァニラは大人しい所が好きだし、ちとせは大和撫子な雰囲気が好きだ」
そう、みんな良い所がって素晴らしいのだ。
「俺は、女の子はみんな大好きだあああ!!」
と、皆に言っておいた。
「さ、サイッテー!!」
しかし、蘭花は俺の言葉に怒って出て行ってしまった。
「ブルーノさん、あれはないですよ」
ちとせにも柔らかく苦情を言われてしまう。
「いやー、ウソは言っていないけどね…」
「まあ、蘭花さんも本気で怒っているわけじゃないから私からも言っておきます。ですが、ウソではないと言いましたが、それは私たち皆が好きだという事ですか?」
「ああ、そうだよ」
俺は嘘は言っていない。彼女たちは皆好きで、全員恋人にしたいぐらいだ。
「でも、皆というのはどうでしょう。誰か一人ならともかく六人となると、六人全員を愛して満足させる必要があるので、ブルーノさん一人ではかなり難しいと思いますが?」
確かにちとせの言う通りだ。ハーレムというのは男の夢だが、その困難は相当なものであろう。例えば夜の生活にしても一人ならばその相手だけを満足させればいいが、六人となると単純計算で六倍の負担になる。俺は人一倍女好きであるが、それでも六人全員を満足させられる自信はない。
「その困難を乗り越えてでも皆を愛したいというのであれば、いい方法があります」
「いい方法?」
そんな俺はちとせの言葉に興味を持つのであった。
ちとせside
ブルーノ艦長が私を含めたエンジェル隊メンバーたちと仲良くなっていた。これはエンジェル隊のテンション管理の面では都合がいいですが、問題なのは艦長が私たち全員と仲良くなってしまったことです。これでは艦長が好きなのは誰なのか揉めてしまいます。
案の定、その件で揉めてしまったので、艦長にそのことを訊ねてみたら「みんな好きだー」というハーレム発言されてしまいました。テンション管理でいうならそれはそれでいいでしょうが、問題なのはそれを私たちが受け入れられるかという事です。
いえ、監察軍に所属する私たちはそこまで生活に困っていないので、一般人のように相手の職業や年収などに拘る必要はありません。ですから、よほどの問題人物でない限り純粋に好き嫌いで恋人を選んで恋愛を楽しむことができます。
その点、艦長はいい人ですし、そもそもブリタニアでは一夫多妻制なので、私たち全員が艦長に嫁ぐというのも可能です。勿論、妻が複数いるとなると人間関係が問題になりますが、元々私たちは家族同然に暮らしていたわけですから、そんなことは今更問題になりません。
それを考慮すれば悪くはないかもしれません。そう思った私はその事をミルフィーたちに伝えました。蘭花も艦長にそれほど怒っていないようで改めて考えなおすと悪くないと思ったようです。
「でも、ブルーノさんは皆を平等に愛せるんですか?」
一人の男性が六人の女性を愛して、その夜の生活でも満足させるのは大変な事です。そういった意味では一夫多妻は大変ですが、その点は抜かりはありません。
「それは大丈夫です。良い代物があるので艦長が私たち全員を相手にしても大丈夫でしょう」
監察軍では霊子力工学あまり一般的ではありません。やはり純粋科学技術が高水準すぎるというものありますね。
とはいえ、テラフォーミング技術の一環として独自の生態系を構築するのに応用していたりしています。特にトリコ食材を養殖している惑星では(笑)。
それと夕呼先生が霊子力工学を手に入れるという話は監察軍が下位世界人に余計に技術提供をしないという原則からないでしょう。まあ、それでも万が一にも技術提供があったら00ユニットが魔改造されそうで怖いですね。
↓
>大きく・変わっていた、それは・
誤字報告ありがとうございます。修正しました。