ADONISの手記

主にADONISが書いた二次小説を公開しています。リンクフリーです。

番外編4

2017年07月30日 14時51分17秒 | 小説

 面倒なゲート問題の後始末を終えたことで佐天令子たち監察軍日本支部は一息ついていた。正直あの世界は関わりたくなかったのでさっさと切り上げたのだ。というか、大日本帝国を含め列強三カ国はいずれも閉鎖的なお国柄で、他所の世界と外交には消極的なのだ。

「それにしてもネタ兵器扱いだったガンダムダブルエックスやターンXが砲艦外交に使えるとはね」

 令子からすれば秋山のガンダム部隊はガンダムファンのロマンを追及するだけの高価なコレクション扱いだったが、今回は意外に役に立ったのだ。

「少なくない予算を使っているから少しは役に立ってよかったというべきでしょう」

 実のところガンダムは有名なアニメ作品だけに日本支部のトリッパーにもガンダムファンは多くいて、秋山のガンダム部隊に好意的な者が多かったりする。これは秋山が味方を少しでも増やすべくガンダムファンのトリッパーにガンダムの試乗会などをやっているからという理由もあった。

 

「問題はゲートが発生した原因ね」

 実のところ、同じ原作の世界であれば並行世界の移動や時間移動はよくあることだ。その手段が魔術だったり科学だったりするが、別にそれは目くじらを立てる程のものではない。その為、仮にこの世界が別のガンダム作品の世界と繋がってしまったとしても監察軍が脅威に思う程の問題ではなかった。

 しかし、このガンダム世界とゲート世界は全くと言っていいほど別の世界なので、理論的には監察軍の保有するユグドラシル・システムか、一部のトリッパーが有している異世界間転移能力でなければ移動は不可能なのだ。

 当然ながら日本支部では今回のゲートの発生原因を調査した彼らは想定外の事態に直面してしまう。

「まさか九兵衛が動いているとはね」
「あれだけ叩いているのに未だ健在とは、さすがに元ネタがあれなだけにしぶとい」

 九兵衛とは監察軍が敵対している破壊神ベヅァーに作られた奉仕種族である。その為、監察軍にとって彼らは敵の下僕なのでこれまで数千年にわたり発見しだい抹殺してきたが、未だに九兵衛を駆逐できていなかった。

 もちろん、監察軍とて九兵衛を駆逐すべく幾度となく大規模な殲滅作戦を展開してきたが、奴らの活動範囲があまりにも広すぎて追いついていないのだ。

「まったく、ゴキブリよりも厄介よね」

 ゴキブリは一匹見たら百匹はいると言われているが、九兵衛の場合、様々な下位世界で幅広く活動しているためにそれらを一々駆逐していく作業に多くのトリッパーは嫌気がさしていた。

「それで、今回のゲートは九兵衛の実験かしら?」 

 わざわざ異世界間のゲートを繋げていることからゲート実験と解釈できる。

「いや、それならわざわざ大日本帝国につなげる必要はないから、俺たちに対する嫌がらせだろ」

 確かに、ただの実験なら私たちの目につかない世界でやる筈。それなのに大日本帝国の領土でやるのは嫌がらせ以外の何物でもないだろう。

「質が悪いわね。嫌がらせだと分かっていても無視できない」

 今回のように領土問題に発展するようなことをされたら対処せざる得ないのだ。此方が所有する惑星をかってに領有宣言なんてされても無視したらそれこそより大きな問題になる。

 九兵衛からすれば多少の手間で監察軍の邪魔ができるなら利になるから、今回の行動は理解できる。

「今回の一件はブリタニア帝国とアトランティス帝国にも対応策を含めて通達済みだから問題ないよ」

 既に大日本帝国では今回のケースの対応策としてゲートを発見次第、ゲートを侵入者諸共排除するという対応を取ることにした。今回は一々交渉しようとしたから余計な手間をかけてしまったのだ。さっさと処分すればそんな無用な手間を省ける。

 もちろん、それは人道的に見れば問題がある対応だろうが、今後九兵衛がしかけてくるであろう妨害工作を思えば一々人道的に対応できないのだ。どうせゲートの向こうの相手も今回の中国のように面倒な相手なのは分かりきっているのだから。

 その後、予想通り大日本帝国を含めた三カ国の領土で異世界とのゲートが発生する事態が多発したが、三カ国はいずれもゲートを破壊して侵入した人間たちを抹殺するという非常に厳しい対処を行ったことで、やがて九兵衛も効果がないと判断したのかゲートを展開しなくなったのだった。

 

解説

■ユグドラシル・システム
 三千世界監察軍が使用している機械的に異世界間を移動できる技術。これによって並行世界だけでなくまったく異なる原作の下位世界に移動できる。

■九兵衛
『マギカではなくリリカル』で登場した。破壊神ベヅァーがエネルギー確保の為にキュゥべえ(魔法少女まどか☆マギカ)を参考に作り上げた奉仕種族。元ネタが元ネタだけに弱いが、やたらと数が多く駆逐が難しい。この世界ではただでさえ数が多いのに様々な下位世界で幅広く活動しているので、監察軍でも非常に手を焼いている。

 

あとがき

 これにて『文明の埋葬者』は終わりです。正暦が終わった後も大日本帝国は超大国として存続していきますが、大日本帝国のお話はここで幕切れにします。

 

コメント (4)

番外編3

2017年07月30日 14時50分39秒 | 小説

※今回は掲示板形式で日本国側の反応を書いています。


ガンダム世界の大日本帝国を語るスレ part6

11:名無しのガンダムファン
 それにして中国をあそこまでボコるなんて大日本帝国って容赦ないな。    

12:名無しのガンダムファン
 いやあれは中国の方にも問題があったぞ。
 大日本帝国がテラフォーミングした惑星に勝手に軍隊を乗り込んできたし撤退するどころか、全く関係のない異世界の日本に捏造だらけの歴史を使った謝罪と賠償の要求何てしてたからな。
 あれじゃ話し合いの余地なしと強硬手段にでるのもわからんでもない。

13:名無しのガンダムファン
 まあ、そうだよね。実際竹島みたいに自国の領土の乗り込まれて実効支配されても頑固とした対応をしないこの世界の日本の方が異常だろう。

14:名無しのガンダムファン
 そうなると、大日本帝国のあれは普通ということか?

15:名無しのガンダムファン
 おい、お前らなに言ってるんだよ。あんな帝国主義者たちを許すというのかよ!

16:名無しのガンダムファン
 いや、ぶっちゃけ俺達には関係ないじゃん。
 所詮は中国が異世界の国家と揉め事を起こして滅ぼされただけで、ぶっちゃけこっちには問題ない。

17:名無しのガンダムファン
 でも、中国滅亡で世界経済が混乱したのはいい迷惑だよな。
 おかげで株で大損したぞ。

18:名無しのガンダムファン
 そういや、大日本帝国ってガンダムの世界なんだよね。宇宙世紀とか正暦とか言ってたし。

19:名無しのガンダムファン
 正確には宇宙世紀以前の西暦時代に大日本帝国が成立して、太平洋戦争でアメリカに勝利した後でいち早く宇宙進出したらしいね。

20:名無しのガンダムファン
 異世界とはいえアメリカを滅ぼすとかすごいね。そういやアメリカはその辺りどう反応してるんだ?

21:名無しのガンダムファン
 そりゃ、ガンダム世界のアメリカが滅んだのは主に天災の所為だといって火消しにやっきらしいぞ。
 まあ、大日本帝国とやりあいたくないから国内の反日感情を必死に抑えている感じだな。

22:名無しのガンダムファン
 いくらアメリカでも一万年以上未来の日本とやり合いたくないからね。

23:名無しのガンダムファン
 複数の銀河に勢力を広げている超大規模星間国家と戦争なんかやってられないぞ。
 正直中国が馬鹿だったね。
 なんであそこまで無謀なことをしたのやら。

24:名無しのガンダムファン
 中国としても人口問題とはあったんだろうね。異世界に移民と称して人を大量に送れば国内問題の多くが解決できるし。
 それに日本が特地を事実上独占している状態なので焦りもあったと思うね。

25:名無しのガンダムファン
 おい、お前たち大日本帝国軍の艦艇が日本に来たらしいぞ。  

26:名無しのガンダムファン
 おー、ニュースでやっているね。ってあれMS、いやガンダムか!

27:名無しのガンダムファン
 間違いないガンダムだな。というかあれ何機あるんだ。全部ガンダムみたいだな。

28:名無しのガンダムファン
 えーと、ZZガンダム、Hi-νガンダム、ユニコーンガンダム、ガンダムF90、ガンダムF91、クロスボーンガンダム、ウイングガンダムゼロカスタム、ガンダムエピオンカスタム、ストライクフリーダムガンダム、ディスティニーガンダムって、勢揃いだな。

29:名無しのガンダムファン
 というか、専用ビットMS12機付のガンダムダブルエックスにターンXまであるじゃねえか。

30:名無しのガンダムファン
 マジかよ。ツインサテライトキャノンの一斉射撃や月光蝶とかシャレになってねえって、冗談抜きで日本が滅ぶぞ。

31:名無しのガンダムファン
 政治家の連中がそれを分かっているかだな。
 というか、ガンダムに詳しい政治家っているのか?

32:名無しのガンダムファン
 いや、大日本帝国がガンダム世界の国家というのは知っているから知らんでも学習(アニメ鑑賞)ぐらいやっているだろ。
 流石にその程度もやらないアホじゃないでしょ。
   

33:名無しのガンダムファン
 それにしてもガンダムをこんなに揃えるなんて大日本帝国の連中ずいぶんとロマンを追及しているな(笑)。

 

~中略~

 

526:名無しのガンダムファン
 日本政府が結局圧力に屈するか。
 あそこまで左翼の連中を締め上げるとはね。

527:名無しのガンダムファン
 しょうがねえよ。
 戦争はごめんだしな。

528:名無しのガンダムファン
 中国みたいになるのは嫌だし、というかガンダム世界の日本って本当に容赦ないから下手な事できねえもん。

529:名無しのガンダムファン
 ビットMS付のガンダムダブルエックスとは怖すぎるわ!

530:名無しのガンダムファン
 いやそれよりも最悪の黒歴史、ターンXだよ。
 あれ地球文明を埋葬できるから、まじやばいって!

531:名無しのガンダムファン
 あんなものを投入されたら砲艦外交だとわかっていてもどうしようもねえな。

532:名無しのガンダムファン
 おい、おまえら大日本帝国が日本政府の謝罪を受けて、この世界から撤退するってニュースでやっているぞ。

533:名無しのガンダムファン
 そりゃよかった。
 穏便に帰ってくれるならそれが一番!

534:名無しのガンダムファン
 でも、なんで撤退するんだ?

535:名無しのガンダムファン
 多分、こっちにかかってもメリットがないからだろう。
 相手は複数の銀河を領有している大規模星間国家なんだから、今更こんな異世界の一惑星を征服する旨みはないんだろ。

536:名無しのガンダムファン
 なるほどね。
 一部では地球が征服されるとか騒いでいたけど、よく考えれば採算が合わないね。

537:名無しのガンダムファン
 まあ、大日本帝国が去っても今度は諸外国がどう動くかわからないけどな。

538:名無しのガンダムファン
 それは問題だが、「別に何もなくこれまで通りやってきましょう」で通すんじゃね?

539:名無しのガンダムファン
 それで通ればいいけどね。

 

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番外編2

2017年07月30日 14時49分44秒 | 小説

 その日、大日本帝国軍人の秋山祐一(あきやま ゆういち)大佐率いる『第一MS部隊』は、上層部からある命令を受けていた。それは現在問題となっているゲート世界の日本国に対する出動命令だった。

 この第一MS部隊は『ガンダム部隊』や『ニュータイプ部隊』などと呼称されており、その名の通り、使用する機体をガンダムタイプのMSで統一し、所属するパイロットはニュータイプで統一されているというかなり特殊な部隊だった。

 そもそも大日本帝国では人型ロボット兵器は可変戦闘機で統一されており、MSは試験的に使われているに過ぎないマイナーな代物だった。

 またニュータイプにしてもスペースコロニーを主な生活空間としていた宇宙世紀時代と異なり、主に高度なテラフォーミング技術によって地球と同じ環境の地球型惑星で生活するようになった日本人からニュータイプが出現することは極めて稀で、マイノリティな人材であったのだ。

 この部隊はそんなマイナーなガンダムタイプのMSとマイノリティなニュータイプを集めた秋山たちガンダムファンのロマンが詰まったかなり趣味的なものである。そのような摩訶不思議な部隊の存在が許されていたのは大日本帝国がガンダム世界であるという事と秋山の実績が大きかったからだ。

 とはいえ、ロマンの追及を優先している為、軍内部での評価や戦力的には今一だったりするが、これは仕方ないだろう。

 そもそも兵器という代物は量産性、整備性、運用性などを重視されるもので、実際大日本帝国軍ではその手の主力機動兵器は可変戦闘機ルシファーで統一されていた。

 いくらロボットアニメの世界だからといって現実にはアニメのように主人公機が無双するというわけにはいかないし、スーパーロボット大戦のような様々な種類の機体が混在する部隊などまっとうな軍隊から見れば非効率極まる無駄な存在なのだ。

 それでも秋山は様々なニュータイプ専用機のデータ収集という口実で部隊を維持していたが、やはり部隊としての実績もあった方がいいのは間違いないので、今回の任務はその意味では大きなチャンスだった。

 勿論、失敗したら目も当てられないが、相手が宇宙世紀時代の地球連邦軍にも劣る21世紀の地球国家ならばよほどのへまをしなければ問題はないだろう。

 つまり、秋山にとって今回の任務は失敗するリスクが低く、メリットが大きいという都合がよい事だった為、張り切って部隊を日本に向かわせたのだった。

 

 かくして秋山は監察軍で広く使用されているガーティ・ルー級巡洋艦三隻を伴い、ゲート世界の日本に行った。そしてこの三隻に搭載されたMS部隊を出撃させて示威行為を行った。ここで21世紀日本相手にアニメに登場する20m以下の人型ロボット兵器ばかり出して示威行為になるのかと思う人もいるでしょう。

 しかし、そのガンダム部隊にはガンダムダブルエックスとその専用ビットMS12機に加えて、最凶の黒歴史であるターンXまで含まれていたのだ。これらのMSは日本では極めて有名で、『∀ガンダム』や『機動新世紀ガンダムX』を見たことがある者ならばその脅威度は誰でも理解できるだろう。

 つまり、わざわざこちらの戦闘力を教えてやらずとも相手が勝手の最低でもこの程度の能力があると理解しているわけで、その意味では手間が省けるのだ。

 その行為は言うまでもなく砲艦外交以外の何物でもないが、∀ガンダム世界の大日本帝国とゲート世界の日本国の差を考えればこれでも紳士的な方だろう。その狙い通り、ダブルエックスやターンXを見た日本政府は大いに慌てたのだった。

 

 その結果、日本政府は此方の要求通り国内の左翼主義者たちを大々的に締め上げた。それは外患罪を超法規的に拡大解釈して、彼らの行動を『大日本帝国との関係を悪化させて勝ち目のない戦争を誘発して国家を滅亡させかねない重大な犯罪行為』と定義して問答無用で拘束、牢屋に放り込むという過激な行動だった。

 これには批判が出たが、日本政府の「彼らの行動を放置して戦争になれば中国の二の舞になる。国家の主権と国民の生命財産を守る為にはこうするしかありません」と、いう主張に多くの日本人が同意した。

 やはり中国の悲惨な現状から、それを避ける為なら多少の無茶は仕方ないと思うのが普通の人間なのだ。中には反発する者もいるが、それは日本政府の国家権力に抑えられて沈静化したのだった。

 こうして、日本の過激な左翼は抑えられ、日本政府は大日本政府に謝罪することでこの問題は穏便に解決し、大日本帝国はゲート世界から何とか撤退したのであった。

 

 正直、いくら日本人でも政治家とかはガンダムに詳しくなくて示威行為にならないかという不安もあったが、流石に大日本帝国が『機動戦士ガンダム』から『∀ガンダム』へと続く黒歴史の世界の国家ということで、その手のガンダムシリーズの情報収集ぐらいはやっていたようだ。

 まあ、いい歳した政治家や官僚が情報収集として大真面目にガンダムアニメを視聴するというのは想像するとシュールな光景だが、現実的に彼らはそうするしかないのだろう。

 余談であるが、秋山たちが出撃させたガンダム部隊に政治とは関係ない多くの一般人なガンダムファンが燃え上がり、大いに話題になった挙句、ガンダム祭りを巻き起こすのだった。

 

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番外編1

2017年07月30日 14時49分04秒 | 小説

※この番外編は大日本帝国と『ゲート 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり』の中国を繋ぐゲートが発生したという話になっています。

 

皇紀13521年(アトラス暦11011年=シドゥリ暦13041年)

 正暦という時代が終わってから20年がすぎていた。その日、三千世界監察軍日本支部支部長を務める佐天令子はある報告を受けていた。

「はあ、テラフォーミングを終えたばかりの無人惑星に謎の武装勢力が現れたですって?」

 大日本帝国では複数の銀河系でテラフォーミングを行っており、テラフォーミングが完了した惑星に入植するという手順を踏んでいた為、テラフォーミング作業中や完了直後は日本人がだれも住んでいない無人惑星であるというのは別に珍しくなかった。

 しかし、日本人が入植していないにもかかわらず、謎のゲートが出現してそこから正体不明の武装勢力がこちらの惑星に出てきたという事例はこれまでなかった。

 言うまでもないが、いくら入植前の無人惑星とはいえ該当惑星は大日本帝国の領土であり国費を投じてテラフォーミングを行った惑星なのだ。いくら臣民がだれも住んでいなくてもよそ者がかってに乗り込んできたというのは面白いわけがない。だが、いきなり武力行使で排除するわけにもいかないので、ひとまず使者を贈ることにした。

 

 日本が送り込んだ使者が持ち帰った情報で相手が21世紀の中国人であることが分かった。更に世界情勢などから『ゲート 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり』の世界であることが判明したのだった。

 あちらでは原作通り日本が東京銀座に侵略した帝国軍を返り討ちにして、逆に特地に自衛隊を送り込んでいる状態で、中国は日本にゲートを国際社会に開放するように要求していたところで自国内でゲートが出現した為、そこに人民解放軍を進行させたというわけであった。

 当然日本は中国に即時退去を要求して問題のゲートを撤去、または破壊しようとしたが、中国はそれを拒否した。またこちらが大日本帝国であったことが問題で中国が反発するだけでなく、異世界の捏造されまくった歴史的問題を出して謝罪と賠償を要求しだしたのだ。

 これらの問題はあちらの地球でも問題になったものの中国だけでなく特定アジア諸国がのきなみ大日本帝国に反発しており、現地の日本国も左翼が大日本帝国に強く反発するという事態になった。

 当然ながら、これには大日本帝国は大激怒して、宇宙艦隊を用いて即座に該当惑星に存在するゲートを未だに居座っている人民解放軍ごと宙対地攻撃で粉砕した上にゲート世界の中国本土にも宇宙艦隊による宙対地攻撃を行い、一方的に壊滅させた。

 はっきり言って21世記の中国など大日本帝国にとって軽く吹けば吹っ飛ぶような弱小国家に過ぎず、いくら中国があがこうが鎧袖一触で蹴散らされてしまったのは当然の事だった。

 これによって中華人民共和国は崩壊して、その余波で現地では経済的混乱が起こってしまったが、そんなことは大日本帝国には関係なかった。

 

「まったく中国の馬鹿共にも困ったものね」

 令子は中国の暴走に愚痴をこぼした。一連の攻撃で中国は直接攻撃だけでも数千万人もの犠牲者が出ており、経済的混乱などによる二次被害においてはその数倍はしていたが、国内世論は彼らに同情などしていなかった。

 そもそも大日本帝国は三千世界の列強国家という自負があり、それがあの程度の連中にあそこまでコケにされて黙っていられないのだ。「そんな理由で」、と思う者もいるかもしれないが、面子というのは国家にとって大事なもので、それを守る為には多少の無茶もするのだ。

「とはいえ、こちらにつなかったゲートを早期に破壊できたのは幸いだったわ」

 原作ではハーディが作ったゲートには致命的な欠陥があったが、そもそも常時異世界間をゲートで繋げるというのは無理があるのだ。監察軍とて必要な時に短時間だけゲートを展開して異世界間を移動することで余計な負担を掛けないようにしているが、あれにはそんな安全対策などしていない。はっきり言って不良品としかいいようのない代物だった。

 もしも、中国に一々付き合って長々とあのゲートを繋ぎっぱなしにしていれば原作のように私たちのいる世界(宇宙)ごと次元震に巻き込まれて国土の各地で被害が出ていただろう。その為、穏便に早期解決するのが無理と見るや速攻で武力行使で中国を粉砕したのだ。

 その結果、大日本帝国に出現したゲートは僅か一ヶ月ほどで消えることになり、こちらにこれといった被害はでなかった。

「問題はあの世界の日本ね」

 21世紀の日本の左翼たちは大日本帝国を口やかましく非難しており、それが国内世論を刺激していた。まあ、偉大なる大日本帝国の臣民としてあの世界の日本人の姿に憤りを感じるのは無理もない。

 しかし、だからといって介入するのは面倒なのでさっさと撤退して関係を断ちたいのだが、熱しやすい臣民たちはその辺りの損得勘定ができておらず、世論の突き上げが酷かった。

「まったく所詮は異世界なんだから撤退してしまえば関係ないというのに」

 令子としては余計なことに目くじらを立てる臣民にいら立っていたが、こうなると、なんらかの手を打たないといけない為、この問題の解決に頭を痛めたのだった。

 

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ターンユニコーンの開発

2017年07月30日 14時48分13秒 | 小説

R.C.(リギルド・センチュリー)994年

 宇宙世紀が終わってから千年近くが過ぎた時期、日本ではあるMSの開発計画が立ち上がっていた。そのコンセプトは単独で地球圏の文明を崩壊させることができるMSである。

 当時の大日本帝国は西暦と宇宙世紀を乗り越えて国家を存続させただけでなく、宇宙世紀において地球圏の文明が崩壊するように誘導すら行っていたのだ。

 日本にとって太陽系から一億光年も離れた銀河に国家移転したとはいえ、太陽系に残存する日本人以外の人類は未だ懸念材料だった。正直に言うとこの宇宙を日本だけで独占した方がよく彼らは邪魔者だったのだ。

 しかし、いくら邪魔だからと言って戦争をしているわけでもないのに問答無用で日本人以外の地球人類を滅ぼしてしまうのはあまりにも乱暴であるし、発覚した時の外聞の悪さを考えるとそれはできない。

 そこで秘密工作で地球圏の文明を定期的に崩壊させることにしたのだ。要は地球人類が太陽系外に進出するのを阻止し、彼らを太陽系に隔離すればいい。

 以前にも地球圏の文明が崩壊するように誘導していたが、これはもっと踏み込んでこちらから地球圏の文明を崩壊させることにしたのだ。

 普通ならばたった一機のMSにそれを求めるのは無茶な話であるが、日本にはそれを実行できる月光蝶という兵装があった。月光蝶とはありとあらゆる人工物を砂状に分解する機能を持った無数のナノマシンで、これが正暦前の文明を崩壊させたものであった。

 つまりそのMSは月光蝶を搭載したものであることが前提で、その候補として勿論∀とターンXが上がっていたが、それ以外の候補としてユニコーンガンダムを参考にしたターンユニコーンがあり、最終的にターンユニコーンが選ばれた。

 これは∀ガンダムとターンXがガンダムというにはデザイン的に合わないというトリッパーたちのこだわりの結果であった。勿論、それはデザインのみの話であり、原型のユニコーンガンダムよりも大幅に強化するのは言うまでもない。

 これらの強化計画の一環としてまず、
『機動戦士ガンダムUC』からフル・サイコフレーム、
『新機動戦記ガンダムW』からガンダニュウム合金、
『機動戦士ガンダムOO』からGNドライヴ
『機動戦士ガンダムSEED』からG.U.N.D.A.M.(General Unilateral Neuro-Link Dispersive Autonomic Maneuver Synthesis System=単方向の分散型神経接続によって自律機動をおこなう汎用統合性システム)、
『∀ガンダム』からIフィールド、
などの技術が取り入れられた。

 これらはトリッパーたちのガンダムらしさを求めての事で勿論、そのまま採用ではなく日本の技術が改良されている。

 特にGNドライヴはツインドライブシステムの為に小型化されて二個まとめて胴体に収めることができるツインGNドライヴに進化していた。またG.U.N.D.A.M.はOSの名称が同じだけで、ツインGNドライヴを搭載したニュータイプ専用MSのOSという別者になっていたが、トリッパーたちとしてはとりあえずガンダムらしさがあればそれでよく細かい内容にはそこまで問題にならなかった。

 そのような様々な技術を取り入れて20年の開発期間を経てロールアウトしたターンユニコーンガンダムは地球圏の文明を崩壊させてリギルド・センチュリーという時代を終わらせた。

 また、それだけでなく未来世紀、アフターコロニー、アフターフォー、正暦といった時代の文明を崩壊させることで終わられたことで、いつしか日本内部ではターンユニコーンガンダムは文明の埋葬者と呼ばれるようになった。

 

解説

■フル・サイコフレーム
『機動戦士ガンダムUC』で登場。サイコフレームはサイコミュの基礎機能を持つコンピューター・チップを、金属粒子レベルで鋳込んだモビルスーツ(MS)用の構造部材。チップ単体では実効的な効果を持たないが、コアとなる高出力のメイン・プロセッサを配置することで、非常に高効率かつ高密度なサイコミュ・システム。そしてフル・サイコフレームはムーバブル・フレームそのものを、強度と生産性の問題をクリアしたサイコフレームを使って構築したフルサイコフレーム構造になっている。

■ガンダニュウム合金
『新機動戦記ガンダムW』で登場。名前の由来は「Genetic on Universal Neutraly Different Alloy」(電気的に中性な異種構造の宇宙製合金)で、開発当初はGND合金とも呼ばれ、その後接尾語のNUMをつけた。「電気的に中性」という特徴は、この合金が周囲の環境によって物理的にさまざまな振る舞い(電磁波の吸収、高温強度やクリープ強度の変化、荷電粒子による界面変化の減衰など)をすることに起因する。そのため、破壊係数は存在するものの、ビームなどの熱エネルギー兵器や、物理的な衝撃に対する耐性は極めて高い。また、電磁波を吸収するという性質はレーダー波をも吸収するということを意味しており、ステルス性も高いものとなる。

■GNドライヴ
『機動戦士ガンダムOO』に登場。GUNDAM NUCLEUS DRIVE(ガンダムの中核のドライヴ)の略称で通称「太陽炉」。ガンダムの根幹を成す動力機関。GN粒子を発生させることにより、莫大なエネルギーを半永久的に得ることができる。出力の割に小型化が容易であり、排熱量の低さから隠密性にも優れる。

■G.U.N.D.A.M.(General Unilateral Neuro-Link Dispersive Autonomic Maneuver Synthesis System=単方向の分散型神経接続によって自律機動をおこなう汎用統合性システム)
『機動戦士ガンダムSEED』に登場。G兵器開発計画で開発されたMSのOSとして使用されている。

 

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第六話 正暦③

2017年07月30日 14時47分23秒 | 小説

正暦2345年(皇紀13501年)
大日本帝国 大和銀河 帝都飛鳥

 ある施設に配置されていた時間凍結装置が解除された。その中にいた一人の青年が長きにわたる時間凍結から目覚め、ゆっくりとその身を起こした。

「目覚めたわね」 

 そんな彼に声を掛けてきたのは佐天令子。三千世界監察軍日本支部の支部長であった。

「俺を起こしたということは『∀ガンダム』の原作が始まったわけか」
「そうよ。今は正暦2345年で、先日ディアナ・ソレルが地球帰還作戦を実行、北アメリアのビシニティにてミリシャとムーンレィスの間で戦闘が起こったわ」
「原作通りというわけか。なら俺の仕事はいつも通りというわけだな」
「そういうことね」

 その青年の名は秋山祐一(あきやま ゆういち)。外見は20歳前後の青年であるが、実際は第三次宇宙遷都以前、つまり宇宙世紀時代の大日本帝国に転生しており、日本支部では佐天令子に次ぐほど長く生きているトリッパーだった。

 そう聞くとかなりの高齢者に聞こえるだろうが、大日本帝国には不老長寿の技術がある上、彼自身は一万年を超える期間の9割以上を時間凍結で過ごしていたため、実際には60年程度しか活動していない。

 実のところ、秋山は暗部の存在でその存在を知る者は極めて少ない。何故なら彼こそがターンユニコーンガンダムのパイロットであり、これまで幾度となく太陽系の文明を埋葬してきた実行犯だからだ。

 言うまでもないが、戦争を行っている敵国でもない勢力に問答無用で攻撃を仕掛けて文明を破壊するという行為はどう考えても正当化できない。

 しかし、大日本帝国としてはこの宇宙を独占しておきたいので、はっきり言って日本人以外の人間が大規模な宇宙進出を行うのは何かと都合が悪いのだ。かといって日本人以外の人間を皆殺しにするわけにもいかない。

 それらの妥協点として地球圏の文明がある程度発達したら彼らが太陽系の外に進出しないようにターンユニコーンを送り込んで文明を破壊してきたのだ。

 勿論、それらは極秘作戦であり、徹底的な機密の壁によって一般人どころか日本支部の大幹部でなければ知ることのない裏事情であった。

 そしてこれまで幾度となく太陽系の文明を崩壊させてきた秋山に最後の任務が回ってきたのだ。

「攻撃のタイミングはこちらに任せてかまわないな」
「ええ、でも∀ガンダムとターンXは確実は破壊してね。あの二機はこれ以上彼らに使わせるのは好ましくないからね」
「そうか」

 大日本帝国は『∀ガンダム』の原作に合わせるためにあえてターンXを太陽系に送り込み、当時の太陽系の文明がターンXを参考に∀ガンダムを作り上げることすら妨害しなかった。

 しかし、『∀ガンダム』の原作が開始したからには最早容赦は無用なので、後は最適なタイミングで介入してターンXと∀ガンダムを破壊し、返す刀で文明そのものを埋葬すればいい。

 

 さて、仮にも日本支部に所属するトリッパーである秋山がそんな国家規模の汚れ仕事をやっているのは実績が必要だったからだ。

 秋山にはトリッパーにしてニュータイプというかなり稀有な人材であったが、それだけに様々なニュータイプ専用ガンダムを揃えたガンダム部隊というべきマニアックな部隊を作り上げたいという夢があった。

 しかし、いくらトリッパーであってもそれを実現するのは難しかった。というのも大日本帝国は宇宙世紀にはすでに可変戦闘機が主流になっていたからだ。

 これはブリタニア帝国で使用されていた可変戦闘機ルシファーがあまりにも高性能すぎて今更MSを開発配備する必要性がなかったのが大きかった。

 こうなると、今更MSそれも量産機ではなくカスタム機や試作機にあたるガンダムを開発しようなどと思う者はロマンを追及するガンダムファンぐらいなもので、日本支部の上層部にはそんなロマンを追及する者はほとんどいなかったのだ。

 それは折角ニュータイプになった秋山にとっては不満な事で、何とかしたいと思っていた彼は日本支部の上層部と掛け合い、功を立てることと引き換えにそれを認めさせたのだった。

 実のところ、日本支部上層部としてはこの世界の太陽系文明は邪魔であり、それを定期的に潰す必要があったが、そんな汚れ仕事を誰にやらせるかという問題があったのだ。それを秋山が積極的に受け入れてくれるなら、多少のロマンの追及位は認めてもよかった。

 

 そしてターンユニコーンに乗った秋山は∀ガンダムとターンXが相打ちになるタイミングを狙って介入し、∀ガンダムのコア・ファイターとターンXのXトップを破壊した。∀ガンダムとターンXの構造からこれらを残していると時間がかかるものの機体を再生することが可能だからだ。

 この二機さえなければターンユニコーンの障害となりえるものは存在しない。その為、秋山は容易く月光蝶を展開して地球と月その他を一掃していったのだった。

 かくして、正暦の文明は完全に崩壊してしまう。月の人類は死に絶え、人類は文明が崩壊した地球で細々と生きていくことになるのだった。

 

あとがき

 これで『文明の埋葬者』の本編は終わりです。後は番外編を少し書いてみようとおもいます。

 

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幕間七 正暦②

2017年07月30日 14時46分36秒 | 小説

正暦1354年(皇紀12510年=シドゥリ暦12030年=アトラス暦10000年)

 佐天令子を筆頭とする三千世界監察軍がこの世界に干渉してから一万年が過ぎた。この一万年の成果によってこの世界の大日本帝国は大和銀河全土を開拓するという未曾有の繁栄を遂げていた。

 第三次宇宙遷都によって大和銀河に移ってから9000年程たっていた。その意味では大和銀河の開拓にかなりの時間をかけていたが、日本は急いで勢力拡大する必要はなにもないので、かつてのローマ帝国のように国力を無視して無理に領土を広げてはいなかった。

 そのおかげで統治体制に不備を出すことなく、繁栄を遂げることができたので結果としてそれが正解だったのだろう。現在では、近隣銀河の進出を計画しており、それらの地域でテラフォーミングをやっている最中であった。

 この近隣銀河の開発に関しては、監察軍が構築したヒサゴプランによる銀河間ネットワーク網を活用することで上手くやっていた。その為、近隣銀河でも移民が可能な惑星がそれなりに確保できる予定だ。

 実のところ日本の人口が五兆人を超えているので、将来的な居住地を考えると近隣銀河に進出する必要があった。

 

 そんな大日本帝国はブリタニア帝国及びアトランティス帝国との国交を樹立した。実はこれまで日本はブリタニアとアトランティスとは監察軍を通して非公式に協力関係を結んでいたが、公式に国交を結んではいなかった。その理油はブリタニア帝国の価値観にあった。

 ブリタニア人の国家の評価基準は、国力、軍事力、文明レベルを総合して判断されるので、あまりにもつり合いが取れない弱小国家の場合はどうしても軽視されてしまい対等な外交はできない。

 ここで「だったら、ブリタニアは後回しにして、先に日本と国交を結べばいいじゃない」という人もいるかもしれない。

 しかし、ブリタニアを無視して日本とアトランティスが手を結ぶような形になると、ブリタニア政府に不信を買いかねない。そんなことをしてもデメリットしかないので、ブリタニア帝国であっても軽視できないだけの力をつけてから国交を持つという選択をしたのだ。

 

 ブリタニア帝国、大日本帝国、アトランティス帝国の三カ国は、巨大星間国家にして異世界にわたる技術まで保有している紛れもない超大国で、この時代からこの三カ国は三千世界の列強もしくは単に列強と呼ばれるようになる。

 そしてこの列強三カ国は下位世界の維持を目的として三国同盟を結び、協力しあうようになった。こうして下位世界をブリタニア帝国が一極支配する体制から列強三カ国で管理する体制に変わっていった。

 その一環として、これまでブリタニア帝国皇帝直轄機関であった三千世界監察軍は大幅な制度変更を行い、列強共同の国際機関『三千世界監察軍』として再編成された。それに伴い、三カ国で三千世界監察軍が公的機関として公表されるようになり、臣民にも知られるようになった。

 こうして誕生した新たなる監察軍であるが、やっていることは今までと変わらない。
 ブリタニアにある本部が各地の下位世界に存在しているトリッパー達の支援に周り、日本支部とアトランティス支部はそれぞれ自分の世界にいるトリッパー達の相互支援組織として活動する為、これまでと同じだ。

 とはいえ、これで監察軍がシドゥリの手から半ば離れる事になり、シドゥリにとっては少々リスクの大きなこととなっていた。

 しかし、ブリタニアに存在するトリッパーがシドゥリ一人だけである以上、シドゥリの死後はトリッパーがブリタニアを支配するという体制が崩壊してしまう。そうなった場合、ブリタニアが監察軍というトリッパーを支援するシステムを残していくのか?という不安があるため、保険を掛けざるを得なかった。また、異世界間転移技術の独占を止めて三カ国に分散させたのも、いざという時のリスク分散が理由である。

 シドゥリは、『魔法少女リリカルなのは』の世界で監察軍を集中管理していた為に、第一次ベヅァー戦争で監察軍が一気に叩き潰されたしまったという事態を反省して、監察軍を『魔法少女リリカルなのは』、『新世紀エヴァンゲリオン』、『∀ガンダム』の三つの下位世界に分散する事にしたのだ。

 これならば今後ベヅァーが復活して、監察軍の拠点がその下位世界ごと滅ばされる事態になっても、どれか一箇所でも残っていれば監察軍というシステムを残していけるだろう。

 

 大日本帝国は長き渡る鎖国体制を終わらせて他国と国交を持つようになったので、外交を行うために外務省が設立された。

 ちなみに国交といっても、21世紀の地球のように他国に海外旅行ができるわけではない。三カ国はそれぞれ別の下位世界に存在しており、それぞれの世界を行き来するにはユグドラシル・システムが必要で、とてもではないが一般人が使えるような代物ではなかった。その為、外国人の観光はなく、貿易というのも存在しない。

 とどめに三カ国とも巨大星間国家なだけに資源、市場、安全保障のいずれも自己完結しており、交流を持つ必要がなかった。

 外交においても三カ国に属さないとある下位世界の宇宙空間に設置しておいた外交専門のスペースコロニーに大使館などを設けて、そこで三カ国の外交が行われるという徹底振りだった。

 これはそれぞれの世界の安全保障への配慮もあったが、三カ国ともあまりにも長く鎖国状態が続いていたため、行き成り他国と距離を詰めるのを嫌ったためであった。

 かくして、三カ国は付かず離れずの国交を持つようになった。

 

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幕間六 正暦①

2017年07月30日 14時45分52秒 | 小説

 第三次宇宙遷都から八千年以上の月日が流れていた。大日本帝国にとってそれだけの月日は帝都飛鳥を中心に大和銀河の多くを開拓するに十分な時間であった。

 大和銀河とて無限ではないのでいつまでも開拓はできないが、それなら近隣の銀河に進出して開拓すればいいだけなのだ。その為、大日本帝国の黄金時代は留まることを知らず人々は繁栄を謳歌していた。

 

正暦元年(皇紀11157年=シドゥリ暦11077年=アトラス暦9047年)
大日本帝国 大和銀河 帝都飛鳥

 VRMMOを利用した仮想空間にて政治家、官僚、企業家、軍人などの三千世界監察軍日本支部の幹部たちが集まり会議を行っていた。

「やっと正暦(コレクト・センチュリー=C.C.)になりましたね」
「そうだな。原作には後2300年以上あるからな。先が長いぞ」
「とはいえ、順調に計画通りに進んでいます。ターンXを地球圏に送り付けた甲斐がありました」

 第三次宇宙遷都以降は日本は太陽系に監視に留めつつも、時代の節目に干渉して太陽系の文明を崩壊させていた。その為、『∀ガンダム』の設定に合わせて正暦以前にターンXを地球圏に送り付けていた。

 地球圏ではこのターンXの驚異的性能に驚き、それを作り上げた外宇宙勢力(大日本帝国)に対応しようとしたが、当の日本は地球に関わるつもりはなかったために彼らの行動は空振りに終わる。

 しかし、その備えはやがて地球圏の動乱に用いられることになる。皮肉にも外宇宙勢力に対応するために作り上げた∀ガンダムによって文明崩壊してしまったのだ。ある意味で彼ら自身が手を下すまでもなく自滅したのは好都合だった。

「それ以前にターンユニコーンガンダムの働きによってここまで時代が進んでいますからね」
「そうだな。あまり胸を張って言えんが、よくやってくれたのは確かだ」

 ターンユニコーンガンダムは宇宙世紀のユニコーンガンダムをベースに様々な改良を加えた上に月光蝶まで搭載するほど魔改造を施したニュータイプ専用ガンダムで、当然ながらニュータイプによって運用されていた。

 今回だけでなく、太陽系では宇宙世紀以降も文明崩壊が幾度となく起こった。それは日本がリギルド・センチュリー、未来世紀、アフターコロニー、アフターフォーといった時代の節目にターンユニコーンを送り込んで月光蝶で文明を崩壊させていたからだ。

 当然ながら、大日本帝国は地球とは当の昔に縁を切っている状態なので、これは戦争相手でもない地球文明を問答無用で崩壊させるという問題行動である。その為、いくら国益になっても表立って言える事ではないし、裏工作の中でも特に機密事項の高い事であるので、日本支部の幹部たちしか知る者はいない。

 それ以外は実行犯であるターンユニコーンのパイロットぐらいだろうが、そのパイロットも日本支部の幹部であった為に問題になっていなかった。

 ちなみに、ニュータイプのパイロットは月光蝶による文明崩壊にともなう人間の大量死に大きな負担をかけるが、それは日本の技術で必要以上に精神に負荷が掛からないように安全装置を組み込んでいたので無事である。

 まあ、やることがやることなだけに最初からある程度人格が破綻している人間を選んでいるため、元から壊れているといえなくもないが。

「それで、今後はどうする?」
「やはり原作開始を待つ予定だ」
「なら地球と月の戦争に介入すると?」

 原作の争いに日本が大々的に介入するのかと疑問を抱く。確かに大日本帝国の発祥の地は地球であることは確かであるが、度重なる戦乱によってかつての日本列島はすでに失われており、取り立てて彼らが地球を特別視する必要はない筈だった。

 確かにこれまでもターンユニコーンを使って太陽系の文明を崩壊させてきたが、あれはあくまで秘密工作でしかなく、日本が国を挙げて大々的に介入してきたことはなかった。

「それは、状況に応じて判断すべきだろう。後、2300年以上あるんだ。今決める事でもあるまい」

 トリッパーの中には原作介入派もいるという事情もあるが、大多数は面倒事は嫌というのが本音だけに介入派は少ないだろうと予想されるが、それはどうでもいいだろう。。

 かくして、その日の会議は終わったのだった。

 

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第五話 リギルド・センチュリー

2017年07月30日 14時45分15秒 | 小説

 高度な文明を誇りながらも宇宙戦争に明け暮れ人類が滅亡しかけた結果、宇宙世紀が終わりリギルド・センチュリー(R.C.)という新たな世紀を迎えて千年以上の年月が流れていた。彼らは過去の反省から人々は技術進歩に自ら制限をかけることで再び繁栄を遂げていた。

 宇宙世紀の遺物である軌道エレベーターのキャピタル・タワーは、フォトン・バッテリーを搬入する経路として復元維持されていた。それがあるエルライド大陸の地球側基地と周辺のキャピタル・テリトリィは世界的な聖地であった。

 この時代の世界的宗教『スコード教』は宇宙からの恵みへの感謝と技術の発展・進歩を禁じているからこそ現在の平和と繁栄があると説き、人々に浸透していた。

 しかし、この時代が平和であったわけではなかった。それはアメリア大陸の国家アメリアとかつての欧州地域の国家ゴンドワンが、大陸間戦争をおこなっていたからだ。

 そんな両国は強力な兵器を手に入れるべく、禁忌として封印された宇宙世紀時代の技術を復元してしまう。

 そして、R.C.1014年。4つの国家それぞれの“改革派”である「キャピタル・アーミィ」、「アメリア軍」、「ドレット軍」、「ジット団」の4つの勢力が激しく戦闘を繰り広げられる状態となってしまった。

 キャピタル・アーミィは、キャピタル・テリトリィの軍で、ベルリたちの住んでいた都市国家。赤道直下のエルライド大陸北部、カリブ海からアマゾン川流域に至る国土を持ち、キャピタル・タワーの存在によって繁栄を極めている。

 アメリア軍は、エルライド大陸の北側、かつて北米と呼ばれた地域に位置する大陸国家の軍隊。

 ドレット軍は、月の裏側のスペースコロニー群からなるトワサンガの軍。ただし現在のハザム政権は、ドレット家がレイハントン王家を倒して擁立した傀儡政権である。

 ジット団は、金星近傍宙域にあるとされる巨大な球状のフォトン・バッテリーの集合体とそれに付随する「オーシャン・リング」と呼ばれるスペースコロニー群ビーナス・グロゥブの一団。ただしトップのラ・グー総裁に意に反して行動している。

 この四つの勢力による戦いはたった一機の白いMSによって唐突に終焉を迎えることになる。そのMSは宇宙世紀のユニコーンガンダムに酷似しているが、性能はまるで別者であった。

 それは月光蝶と呼ばれるあらゆる人工物を砂状に分解する機能を持った無数のナノマシンを用いて地球だけでなく太陽系のすべての文明を崩壊させたのだ。

 その破壊は敵味方の区別はなかった。地球宇宙を問わずありとあらゆる陣営がこのMSの無差別攻撃によって崩壊してしまう。

 当然ながらもはや戦争に勝ちも負けもなかった。スペースコロニーなどの宇宙で暮らしていた人々は全滅し、地球に住んでいた人々にしても文明崩壊の混乱によって大半が亡くなってしまうのであった。

 かくしてリギルド・センチュリーと呼ばれていた時代はたった一機のMSによって崩壊してしまい黒歴史の一部として埋葬されてしまうのであった。

 

あとがき

 月光蝶を使った謎のMSはどこのMSかはバレバレでしょうが、ネタバレなので一応伏せておきます。

 

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幕間五 宇宙世紀⑤

2017年07月30日 14時44分28秒 | 小説

 監察軍本部による大日本帝国建国計画。それは単に幕末の日本に干渉して理想の日本を作り上げるという話ではなく、その先の黒歴史をも乗り越えて、長きに渡って国家を繁栄させて、最終的にはブリタニア帝国、アトランティス帝国、大日本帝国による列強三ヵ国体制に移行させる計画だった。その為、当初から天の川銀河から遠く離れた場所に遷都するというのは考えられていた事だった。

 言うまでもないが、国を発展させるためにはそれ相応の領域が必要になる。当時のブリタニア帝国が既に帝都が存在する銀河だけでなく他の銀河にまで進出して銀河間国家になっていたのを顧みて、大日本帝国も将来的には銀河間国家に成長させる必要があったが、その領域は安定させる方が望ましいのは言うまでもないだろう。

 そこで監察軍は他民族、外国人の切り離し政策を行う事にした。つまり日本を太陽系どころか天の川銀河から一億光年も離れた別の銀河に国家移転させて、その距離の壁を利用する事で外部勢力に邪魔させることなく足場を固めるというものだった。

 なら、最初から国家移転させればいいじゃないと思うかもしれないが、監察軍は元々この世界にはそれほど干渉しておらず、当然ながら遷都先の銀河系にしてもテラフォーミング作業など一切していなかった。その為、その銀河のあちこちでテラフォーミングを行う事にしたが、それにはある程度の時間が必要だった。

 大日本帝国はその時間潰しの為に第二次世界大戦が終わって宇宙世紀が到来しても太陽系に留まっていたのだ。勿論、トリッパー達の宇宙世紀を楽しむという理由もあったが、それは余談である。

 そのテラフォーミング作業が終了した時、地球圏は宇宙戦国時代が到来して地球圏が混乱して火星圏に対する注意がそれていたのを機に、日本支部はこの銀河に先発隊を派遣する事にした。

 先発隊は首都になる惑星にする帝都飛鳥を含めた五つの惑星開拓に乗り出した。またその際にこの銀河は大和銀河という名称が付けられるようになった。

 これらの念入りの下準備によって後の第三次宇宙遷都が成功し、日本は帝都飛鳥を含めた惑星に入植して発展していくことになる。

 

宇宙世紀1053年(皇紀3357年=シドゥリ暦3277年=アトラス暦1247年)
大日本帝国 大和銀河 帝都飛鳥

 とあるVRMMOの仮想世界で、百名ほどの政治家、官僚、企業家、軍人などの日本を代表する要人が江戸城の大広間に集まっていた。この仮想世界は大江戸浪漫街道という江戸時代の街を再現したゲーム世界で、一見するとありきたりなVRゲームにすぎないが、実は日本支部が秘密会議に愛用している存在だった。

 この様なVRゲームを使うのは、スケジュール調整と機密保持のためだ。日本支部のトリッパーは内政チートの為に各界の要人になることが多く、当然ながらそんな彼らは暇ではないのでスケジュール調整が難しかったのだ。

 おまけにそうした要人たちが集まるとどうしても人目を引いてしまう。それは機密保持の観点で問題であり、そうした問題をクリアするためにVRゲームを利用した秘密会議が行われた。

 勿論、そうした使い道であるためにこのソフトは一般に販売されておらず日本支部のトリッパーしか持っていない。更に個人登録で日本支部のメンバーしかこのゲームをプレイできないようにセキリティもちゃんとしていた。

 更に通常のVRMMOと違ってプレイヤーがアバターの外見を好き勝手に弄る事はできない。ソードアート・オンラインのように外見、特に顔の造形は忠実に再現していたし、髪や瞳の色をリアルと同じものにしていた。それはリアルと異なると新しい仲間を憶えにくいという理由からだ。

 確かに彼らはゲームをしているが、国の方針を左右する重要な会議をしているのだ。まさに“これはゲームであっても、遊びではない”のだ。

 この席に出席している者たちはゲームの世界観に合わせて和服を着ていた。佐天は普通のとは違う豪華そうな着物をきており、まるでサブカルチャーに登場する日本のお姫様のようである。

 他の出席者もそれぞれの着物を着ていた。最も彼らの服装はバラバラで侍の服装、商人の服装、おまけに新選組のコスプレなど、和服なら何でもありかよと突っ込みたくなるぐらい滅茶苦茶になっているが、これは別に細かい服装は自由にしていたので各々が好き勝手にした結果だった。

 ちなみにこの手のVRゲームは、ソードアート・オンラインの世界に転生したトリッパーがザ・シードを持ち込んだ事で、監察軍内部に流行した。元々、監察軍本部では娯楽の為に同人誌即売会などが行われていたが、このVRゲームブームで同人VRゲームも登場するようになった。

 

「しかし、これで宇宙世紀も終わりですな」
「意外に長かったですね」
「そうだな」
「しかし、御前。原作と違って太陽系外に飛び出した者たちがいないようですな」 

 一人の軍人が畏まった態度で上座に座る佐天に話した。佐天は日本支部支部長で彼らのまとめ役であり、過去に霞御前として活動していた事もあって、佐天を御前と呼ぶ者は多かった。

「ええ、歴史改変の影響よ。まぁその方が都合がいいから、そう誘導したのは確かだけどね」

 日本支部にとって御膝元である本国が安定していないと困る。その為、日本人以外の人類が太陽系外に進出して星間国家に成長するというのは好ましくない。

 確かにそれも考慮して一億光年も離れた大和銀河に遷都したのだが、それでも将来的には大日本帝国と衝突する可能性がないとは言い切れないので、できれば彼らは太陽系内部に隔離しておきたかったのだ。その為、佐天はアカシックレコードを使ってそうなるように歴史を調整した。

「しかし、そうなるとターンXはどうしますか?」
「それは私たちが用意して適当な時期に太陽系に送り込めば済む事よ」
「確かにそうですな」

 黒歴史において太陽系外勢力がもたらした影響は宇宙世紀7800年頃に彼らが作ったターンXが太陽系に流れ着いた事ぐらいで、それを日本が代わりにやれば帳尻合わせが付く。

「次の宇宙時代はリギルド・センチュリーでしたが、千年以上も後ですね」
「そうですね。となると原作介入は無理だから、我々は内政をやるしかないですね」
「別にいいじゃないか。厄介事はない方がいいだろう」

 原作介入と言うのは個人でやるならともかく国家だと面倒なだけだ。事実、宇宙世紀では煩わしい事がやたら多かった。国家としては内政に集中できる環境が望ましいのだ。

 それに現在では第三次宇宙遷都の際に入植した五つの惑星の開拓はとうに終わり、他の惑星に入植を開始して勢力を拡大中なので太陽系に構っていられないのだ。

 こうして、いくつかの確認事項を終えて、日本支部の会議は終了した。

 

解説

■帝都飛鳥(ていとあすか)
 飛鳥時代は大和国(奈良県)の飛鳥が古代日本の都だった。日本支部その古事に習い、遷都先の銀河を大和銀河に、帝都にする惑星を飛鳥と命名している。

■これはゲームであっても、遊びではない
 デスゲームで有名な『ソードアート・オンライン』の名台詞。

■ザ・シード(ソードアート・オンライン)
 コンパクトなサイズのVRMMORPG作成・制御用のフリーソフト。茅場晶彦がキリトに託した「世界の種子」。VRMMOを動かすのに必須となる幾つかのシステムをはじめ、開発用のツールも同梱しており、3Dオブジェクトとゲーム用のサーバーさえ用意すれば、基本的には誰でもVRMMOの運営が可能となる。

 

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第四話 宇宙世紀④

2017年07月30日 14時43分31秒 | 小説

 宇宙世紀0100年代に入っても、地球連邦は相変わらず腐敗と増長を続けていた。そんな連邦に見切りをつけた大企業ブッホ・コンツェルンのマイッツァー・ロナは私兵組織クロスボーン・バンガードを結成。更に高貴な精神が持つ者が人民を統べるというコスモ貴族主義を掲げて、マイッツァーはコスモ・バビロニアの建国を目指し地球連邦に戦いを仕掛けた(コスモ・バビロニア建国戦争)。

 長きに渡る準備で力を整えていたクロスボーン・バンガードは平和が続いたことで実戦経験がなかった地球連邦の駐留軍を撃破して、サイド4のコロニー群を制圧。このサイド4でコスモ・バビロニアの建国宣言を行い、月から派遣された地球連邦軍艦隊すらも壊滅させた。

 この大企業の頭首とはいえ一個人の私兵集団による異常な大戦果には当然裏がある。原作を知っていた日本支部はかなり早くからマイッツァーを支援しており、彼を大企業の長にまで押し上げていたのだ。更に地球連邦に不満を持つマイッツァーを煽り、小型MS開発とそのパイロット養成を支援して私兵集団クロスボーン・バンガードを設立させるなど、最早その内情はクロスボーン・バンガードの皮を被った日本軍という有様だった。

 また、このコスモ・バビロニア建国戦争ではMSの性能差という要素が地味に大きかったりする。というのも日本の支援を受けたクロスボーン・バンガードの小型MSが原作よりも性能が向上していたのに対して、地球連邦軍は当時MSの市場を独占していたアナハイム社の怠慢の所為で小型MS開発が遅々として進まず、性能で劣る旧世代のMSで戦う羽目になったからだ。

 

 結局、このコスモ・バビロニアの建国自体は失敗に終わったが、この戦争とその後の木星戦役によって地球連邦軍の弱体化と地球連邦政府の宇宙への無関心さが誰の目にも明らかになっていた。

 各スペースコロニーはそんな旧態依然としたままで統率力を失っていく地球連邦への不満が爆発して、連邦の統治から脱却して次々に自治政府が樹立していった。

 この統一政体の崩壊が発生したのは、日本支部がスペースノイドの連邦への不満を煽ったのもあるが、スペースコロニーの数が一年戦争の事に比べてあまりにも多くなりすぎた為に、現状の地球連邦では統治することが困難になり、それが旧世紀時代のような多数の独立国家が誕生する土壌となったからだ。

 その後、この独立国家間で対立と紛争が続発したが、こうした事態になっても地球連邦にはそれを止めるだけの影響力も姿勢もなかった。

 こうした群雄割拠の戦国乱世の様な宇宙の混乱は戦国時代に例えられて、やがて宇宙戦国時代と呼ばれるようになった。

 

 この宇宙戦国時代に付け込む形でザンスカール帝国が建国されて、地球連邦の意向を無視して軍備増強を進めていくが、地球連邦はこれを放置してしまう。その結果、ザンスカール帝国は各コロニーを制圧して、地球にも侵攻してきた(ザンスカール戦争)。

 このザンスカール帝国に対して地球連邦の動くはあまりにも遅く、ザンスカール帝国に危機感を抱いた民間人の有志がリガ・ミリティアというレジスタンス組織を結成してザンスカール帝国と激しい抵抗をするようになり、それでも地球連邦軍は一部の部隊がリガ・ミリティアと共闘することはあったが、戦争末期になるまで動くことはなかった(戦争末期には連邦軍ムバラク艦隊が参戦している)。

 この戦争で両陣営は指導者や指揮官をことどとく失った為に、ザンスカール帝国とリガ・ミリティアは壊滅して戦争が終結した。
 こうして、ザンスカール戦争が終わったが、地球連邦はその後も衰退を続けて行く事になる。

 

 大日本帝国の対抗馬として存在していた地球連邦が見る影もなく落ちぶれている中でも、大日本帝国は依然として超大国として火星圏に君臨していた。そもそも混乱しているのは地球圏と木星圏などの地球連邦の元勢力圏の話であり、日本の勢力圏は安定そのものだった。

 日本が安定していたのは、大日本帝国が腐敗と衰退の限りを尽くしている地球連邦と違って、政府(日本支部)が健全で、軍も強大な力を保持し続けているからだ。

 そもそも宇宙世紀において日本の力は突出しており、当時の地球圏では“日本に勝てるなら宇宙統一も可能”と称されていた程で、かなり恐れられていた。事実、日本軍には日本人以外の人類が束になっても勝ち目はなく、新興のコロニー国家風情が手を出していい存在ではなかったのだ。

 そんな日本に対していくら紛争が頻発していてもわざわざ火星圏まで侵攻してくるバカは存在しなかった。仮にそんな事をすれば日本に潰される前に近隣諸国にスキを突かれて潰されただろう(宇宙戦国時代の乱世に火星圏まで大兵力を動かせば国防に大穴が空きます)。

 まさに混沌とした時代であったが、日本にとっては、やたらと自分たちに突っかかってくる地球連邦が衰退するのは好都合だった。その為に宇宙世紀において大日本帝国は地球連邦と直接的な武力衝突こそ避けていたが、原作知識を利用して幾度となく内部分裂を煽り、影では熾烈な争いを起こしていたのだ。

 しかし、日本に戦乱から逃れた難民が押し寄せてくるにあたって、繁栄を極めていた日本も眉を顰めた。

 日本政府は難民の受け入れに関してとても厳しかった。それは一部の人権団体が抗議するほどであったが、それでも強硬な立場を崩さなかった。
 これには勿論理由がある。

 そもそも史実では様々な国家が民族や宗教などで国内問題を抱えており、これが国家に重大な悪影響を与えていた。特に移民国家で様々な民族の坩堝となっているアメリカ合衆国など、法律では自由と正義を謳いながらも実際は白人優位社会で、黒人などの有色人種は不平不満を溜め込んでいるという歪な社会になっている。

 ちなみに日本では宗教問題や民族問題が表に出ないのは、国民多くが仏教徒の大和民族で、それ以外のアイヌと琉球民族も日本人化している上に、外国人の受け入れに対して厳しい制限を施しているからだ。更にこの世界では史実と違って在日朝鮮人や在日中国人などはいない。

 これは内政の安定を考えれば実に懸命な政策と言える。この為、日本政府を裏から動かしている日本支部は頑として難民を受け入れなかった。一度受け入れたら難民が大量に流入して、様々な問題が発生することが分かりきっているのだ。

 また、当時の日本の世論も難民受け入れには否定的だったことも理由にあげられる。というのもこの世界の日本は西暦時代から栄光ある孤立というスタンスをとっており、これが高じて日本人至上主義というか外国人嫌悪に繋がっていた。

 これは平成日本であれば大問題であったが、日本支部としては国をまとめる為に外敵がいた方が都合が良く、更に日本人を団結させるためにこうした民族差別的な行動も黙認していた。

 しかし、宇宙戦国時代が続いていく中で旧連邦勢力圏の治安の悪化と不安定化はかなりのもので、難民たちには安定した日本は唯一の楽園のように見えた為、いくら追い返しても次々に難民が押し寄せてきた。

 これに嫌気が差した日本支部は以前から計画していた第三次宇宙遷都(大遷都)を実行する事にした。元々、『機動戦士Vガンダム』が終わった以上、これといったイベントも発生しないので、トリッパーたちも地球圏にそれほどまで拘る必要はなかった。
 ボソンジャンプを使用して、各スペースコロニーを遷都先として開発が進めていた別の銀河に移動させるのは日本の技術力を持ってすれば簡単なことであり、彼らはそれを実行した。

 

 かくして、大日本帝国は太陽系から撤退したが、その後も宇宙戦国時代は続き、それらの紛争を鎮圧する為に地球連邦政府が強硬策を取った為にコロニー国家群が激しく反発して全面戦争になった。

 この戦争は事実上の連邦政府崩壊によって終結。その後、連邦とコロニー側は和解したが、コロニーの独立を認めざるを得なくなる。その際に、コロニー(植民地)という名称がセツルメント(隣保事業)に改められた。

 連邦崩壊後の地球圏と木星圏はセツルメント国家議会とセツルメント自由同盟の二大勢力が対立する世界になる。その為、争いが終わることなく、その長きに渡る戦乱の果てに宇宙世紀1053年に太陽系の文明は崩壊。宇宙世紀という時代は終焉を迎えた。

 しかし、宇宙戦国時代の最中に太陽系の外に進出していった大日本帝国の存在は記録に残り、黒歴史の一部として後のムーンレィスに伝わることになる。

 

解説

■宇宙戦国時代
 この開始年は連邦政府の権威失墜が決定的となった木星戦役終結後の宇宙世紀0140年頃を開始年とする説が有力で、この世界では宇宙世紀0222年に地球連邦崩壊という形で終結している。

■第三次宇宙遷都
 日本支部が計画していた遷都計画。ガンダム世界の舞台となる太陽系から一億光年ほど離れた別の銀河に遷都する計画で、そのスケールは前代未聞であった為に大遷都と言われるようになる。尚、技術流出を避ける為に持ち出せない施設などは利用どころか解析すらできないように処分されている。

■ボソンジャンプ(機動戦艦ナデシコ)
 監察軍が銀河間航行に使用している時空間跳躍技術で、核となる演算装置を各地の銀河に設置することで銀河間を行き来する銀河間ネットワーク網を構築している。

 

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第三話 宇宙世紀③

2017年07月30日 14時42分42秒 | 小説

 ティターンズの暴走を受けて、反地球連邦組織「エゥーゴ」が結成。やがて地球連邦軍はティターンズとエゥーゴに分裂して内乱を粉うようになった。これがグリプス戦役であるが、当初は連邦の内部対立にすぎなかったが、ここでアクシズが地球圏に襲来してこの戦いに介入したために三つ巴の戦いになっていった。

 アクシズは自らの消耗を抑えつつもティターンズとエゥーゴの戦いを煽り、両者の戦力を消耗させる事に成功した。やがてティターンズが壊滅してエゥーゴの勝利でグリプス戦役は終結したが、その時にはエゥーゴは戦力を大幅に低下させてしまっていた。


 
 グリプス戦役に勝利したが、大きく消耗したために戦後の主導権を確立できないエゥーゴであったが、アクシズは同戦役で戦力を可能な限り温存していた為に漁夫の利を得る形で主導権を握る事に成功した。

 このアクシズは名を「ネオ・ジオン」と改めて、ザビ家再興を目指してサイド3ジオン共和国を制圧。こうして地球圏の戦いは第一次ネオ・ジオン抗争に移行していった。

 これに対して連邦軍の対応は遅れて、各都市やスペースコロニーは孤立して上にアフリカ解放戦線などの武装勢力の跳梁跋扈するという地球圏は無政府状態に陥った。

 ネオ・ジオンは各サイドのスペースコロニーを制圧してダブリンへのコロニー落としをするなど、一時は地球連邦の喉元に迫るまでに至ったが、ネオ・ジオン内部の対立から反乱が発生して、仲間割れで自滅的崩壊をしていまうという醜態を晒した。そして地球連邦はエゥーゴを吸収して反撃に乗り出しネオ・ジオンは地球連邦に降伏することになった。

 こうして第一次ネオ・ジオン抗争は終結したが、この事態そもそもは日本支部の予定通りだった。とはいえそんな彼らもネオ・ジオンが内部をまとめる事も出来ずに仲間割れで自滅した事には呆れていた。

 

 また、グリプス戦役や第一次ネオ・ジオン抗争は、一年戦争の時よりもニュータイプの軍事利用が盛んにされていたのも特徴であった。特に強化人間と呼ばれる強化処置によってニュータイプの能力を人工的に再現した兵士やニュータイプのクローンなども登場していた。これらは人道的に大きな問題を抱えていたが、その戦闘力は侮れないものであった。

 ちなみに大日本帝国では地球連邦よりも一世紀近くも宇宙進出をしていた事と地球圏から遠く離れた火星圏に進出していた事からかなり早期からニュータイプはそれなりに出現していたが、ジオンのようにニュータイプ主義を掲げるような事はしていなかった。というものあくまで地球連邦の植民地に過ぎないジオンと違って、日本は西暦時代から地球最古の由緒正しい国家なので、そんな偏った思想はいらなかったのだ。

 勿論、日本支部もニュータイプの研究はしていたが、ジオン・ダイクンのように急いで結論を出すのではなく、じっくり時間をかけてニュータイプとは何なのかと検証していたのだった。その為、日本ではニュータイプは人の革新というよりも単なる特技として受け入れられていた。最もコロニー暮らしが長かった所為か、それとも憑依した影響なのか、何故かこの世界の日本人に憑依したトリッパーがニュータイプとして覚醒することが多かった。そこで、日本支部は趣味に走ってLシステムを搭載したニュータイプ専用MAなどを開発していた。

 

 さて、第一次ネオ・ジオン抗争で主だったジオン残党は壊滅したが、それでもジオンはなくなることがなった。グリプス戦役で行方不明になっていたシャアが新たなネオ・ジオン(ハマーン率いるネオ・ジオンとは別の組織)を結成して地球連邦に戦争を仕掛けて第二次ネオ・ジオン抗争が勃発した。

 シャアの目的はアクシズ落下と地表付近での核爆発により地球に核の冬を引き起こすことで、腐敗した地球連邦政府と地球に居続けるアースノイドを排除することだった。また、地球を人の住めない場所にすることで強制的にすべての人類を宇宙で生活させてニュータイプに導こうとした。

 言うまでもなくこれはかなり極端な行動であり、例によってシャアを支援していた日本にしてもいくら何でもそこまでやるか、と思うほどだったが、日本支部としてはシャアが逆襲してくれないと歴史が変わり過ぎて困るし、地球圏の混乱は国益に適うので支援をしていた。

 

 この第二次ネオ・ジオン抗争後は地球圏はとりあえず安定したが、その後もネオ・ジオン残党軍「袖付き」やマフティー・ナビーユ・エリンなどの反地球連邦勢力が出現して、地球圏の抗争は長期にわたって続いて行く事になる。勿論、日本支部がそれらの反連邦勢力を支援して地球連邦の勢力圏を引っ掻き回していたのは言うまでもないだろう。

 

解説

■Lシステム(機動新世紀ガンダムX)
 ニュータイプの精神波を増幅して電子機器を使用不能にする特殊装置。大日本帝国ではニュータイプの軍事利用を建前に(本当はニュータイプのトリッパーが趣味に走っただけ)これを改良した装置をMAに搭載している。

■袖付き
 第二次ネオ・ジオン抗争後の『機動戦士ガンダムUC』で登場するネオ・ジオン残党組織。だだしこれは連邦軍側の呼称で、彼ら自身はネオ・ジオンを名乗っている。

■マフティー・ナビーユ・エリン
 小説『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』に登場するテロ組織。また、その組織の表向きのリーダー、ハサウェイ・ノアの偽名としても用いられる。

 

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第二話 宇宙世紀②

2017年07月30日 14時41分54秒 | 小説

 一年戦争終結後、ジオン共和国(終戦により公国から共和国に戻った)に連邦軍が駐留して、ジオン軍の武装解除が行われて軍事施設やMSなどの軍備は接収された。これによって戦争が完全に終結したかに思われたが、それは大間違いであった。

 地球連邦は占領したサイド3から様々な技術を接収したが、(この際にモビルスーツ開発技術だけでなくニュータイプの研究データも接収されている)同時に今回の戦争のカギとなっていたミノフスキー粒子やモビルスーツなどの技術が日本からジオンに提供されていたものであったという衝撃の事実を知る事になった。

 これには地球連邦政府も頭を抱えた。彼らはこの戦いが大日本帝国が書いたシナリオによって引き起こされたことを理解したのだ。これに激怒した軍上層部の一部は大日本帝国の討伐を主張したが、これはあまりにも無謀な事であった為に退けらえた。

 そもそも大日本帝国は地球連邦樹立以前からの脅威であり、決して侮れない存在であった。特に技術力にいたっては空間跳躍を可能にするなど、地球連邦では逆立ちしても太刀打ちできない圧倒的な差があった。

 そんなとんでもない相手に戦いを挑むとなると、技術力の差を押しつぶすほどの物量で挑むしかないが、そんな大軍勢を用意して動かす余裕など疲弊した今の地球連邦にはなかったし、ジオン残党などの反連邦勢力が存在する為に地球圏の防衛を疎かにできない。

 更に地球圏と火星の距離も問題だった。当然ながら大軍で火星まで行くとなるとその補給の維持は容易な物ではなく、日本軍に補給を絶たれて叩き潰される危険性が大きすぎるのだ。また火星圏での戦いは日本に地の利がある為、その点でも連邦は不利だった。

 これらの理由から大日本帝国に攻め込むというのは自殺行為であった為に、それが実行されることはなかった。この点では彼ら連邦は賢明であった。もし、この無謀な遠征をやっていれば地球連邦軍は大敗するだけでなく、日本の報復で徹底的に叩きのめされてしまい、その権威は地に落ちていただろう。そうなれば後の宇宙戦国時代の到来を待たずに地球連邦が崩壊していた事は間違いなかったのだ。

 地球連邦が日本を下して真の人類統一を果たすには、ともかく足場を固めて力を付けなくてはいけない。こうして、地球連邦は戦前よりもスペースコロニーの抑圧を強める事になる。

 しかし、彼らのこの行動は大間違いだった。そもそも圧倒的な大日本帝国に対抗する為に力を付けようと焦り安易にスペースノイドを搾取したから、日本に付け込まれて一年戦争を引き起こしてしまったのだ。それにも関わらずここで戦後処理を上手くできなければ日本に対抗する処の騒ぎではなくなるのだが、彼らがそれを後悔するのはかなり後の事であった。

 

 ジオン公国が敗北したが、一部のジオン軍は連邦軍の接収を免れてジオン残党となっていた。それらのジオン残党は主に地球圏に潜伏するか、アクシズに集結することになる。尚、この世界では火星圏は日本の領域であるという認識が常識であった為にジオン残党が火星圏に落ち延びてくることはなく、彼らはアクシズに向かう事になる。

 このアクシズこそが後のネオ・ジオンの母体となる存在であるため、日本は戦前からジオンを支援する一方でアクシズにも支援していた。本国から遠く離れたアクシズにとってこの日本の支援はとてもありがたく、特に敗戦後にジオン残党が落ち延びて来た為にこれまで以上の食糧とエネルギーが必要になり困窮すると、(言うまでもなくアクシズの自給率はそれほど高くない)事態打開の為にアクシズは日本にこれまで以上に頼る様になった。

 当然ながら、これはアクシズにおける日本の影響力増大を意味していたが、困窮するアクシズはなりふり構っていられなかった。

 ちなみにアクシズに対する支援はガンダムファンであるトリッパーが主体となって取り仕切っていた為に、シャアやハマーンからサインを貰うなどミーハーな行動をする者が多かったが、上記の理由からアクシズは日本側に配慮しなければならないので、余程無茶な事でない限り日本側の要望は通っていた。

 

 そんな中で地球圏ではデラーズ紛争が勃発した。このデラーズ紛争は地球圏に潜伏したジオン残党の中でも最大勢力であるエギーユ・デラーズ率いるデラーズ・フリートが地球連邦で宣戦を布告して勃発した。まあ、その前にも連邦の新型MSのガンダム2号機を奪取するなどいろいろやっているみたいですが、このデラーズの演説ははたから見ると突っ込み処満載であった。

 そもそも日本支部からすると『機動戦士ガンダム0083~STARDUST MEMORIES~』ではジオンをやけに美化しすぎのような気がする。ソロモンでの核兵器使用は地球連邦軍だけを標的にしているからいいけど、星の屑作戦で北米穀倉地帯にスペースコロニーを落下させたのはやり過ぎである。あれで民間人がどれだけ死んだか想像もできないし、地球環境に対して与えたダメージはかなり大きいはずだ。正直悪役みたいに書かれているシーマや連邦軍の方が常識人に見える。

 しかし、日本支部からすれば地球圏の混乱は日本の国益にかなう物であるため歓迎できるものであった。彼らの行動も見方を変えればよくあれだけの戦力で連邦にあれほどの打撃を与えた物だと感心出来なくもないのだ。

 このデラーズ紛争後、ジオン残党の脅威を認識した地球連邦はティターンズを結成させてジオン残党狩りを行う事になるが、その手段はあまりにも強引かつ苛烈であった為に、これがまた新たな火種を産むことになる。

 

解説

■日本の領域
 第二次宇宙遷都以前の日本はサイド3を主な領域にしていたが、第二次宇宙遷都以降はそれを放棄して火星圏を領域にした。その為、宇宙世紀においては地球にある日本列島と火星圏が日本の領地という扱いになっている。ただし日本列島に関しては自然のゆりかごに戻すという建前の元に無人化していたにも関わらず、地球連邦からの不法入国者が勝手に住み着いているため日本の反発を買っている。

■デラーズの演説
 日本支部からみればジオン公国の降伏は正式の物であり、それが無効であるというエギーユの主張は非常識な物だった。更に南極条約はジオン降伏により無効になっているので、連邦が核兵器搭載型MSを生産しても問題ない。おまけに連邦が核兵器搭載型のMSを生産した事を非難した癖に自分でそれを使用しているなどデラーズの行動は支離滅裂であった。勿論、日本側は空気を読んで公式に突っ込む事はなく、それに対してノーコメントで通している。

■星の屑作戦(ほしのくずさくせん)
 デラーズ・フリートが実行した作戦で、その目的はコロニー落としで北米大陸の穀倉地帯を壊滅させることで、地球の食糧自給率を低下させて、宇宙に対する食糧依存率を高める事である。これによって地球連邦におけるスペースノイドの地位と発言力の向上を狙ったものである。事実この影響もあってか、『機動戦士ガンダムUC』ではコロニー共栄圏(サイド共栄圏)という思想がこの上なく地球連邦に致命的なものになってしまった。

 

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第一話 宇宙世紀①

2017年07月30日 14時41分09秒 | 小説

 大日本帝国に一世紀近くも遅れていたが何とか宇宙進出を果たした地球連邦は、これまでの西暦から宇宙世紀と暦を改めた。

 この切っ掛けはこれまでの国家間の垣根を取り払い地球連邦政府が樹立した事(大日本帝国を除く)。そして増えすぎた地球人口による環境対策や食糧問題、新たな資源開拓などの必要性から宇宙開発を推進する各界から従来の価値観を引きづる西暦に代わるものが必要だという意見が出たからであった。

 こうして、西暦2045年。地球連邦の宇宙移民の開始を以って暦を宇宙世紀(U.C.)に変更されることになった。

 ちなみにこの世界の大日本帝国ではそもそも西暦は一般に使われておらず、天皇陛下の即位で数え直される元号と、皇紀(こうき)が主に使われていた。その為、西暦が宇宙世紀に変わったとしても日本人からすれば「余所の国では宇宙世紀になったみたいだね」と完全に他人事であり、あまり関係なかったりする。

 

 こうして地球連邦が地球からスペースコロニーの住民(スペースノイド)を支配するという構造が出来たが、当初はそれほど問題は起きなかったが、地球連邦は次第にスペースノイドに対する搾取と支配を強めるようになり、地球とスペースコロニーの格差が拡大した。これに反発したスペースノイドがスペースコロニーの自治権を地球連邦に求めて地球連邦と衝突するようになる。

 この問題を煽ったのが、大日本帝国の存在であった。当時の日本は火星圏のラグランジュ・ポイントを拠点としてスペースコロニー国家になっていた。

 大日本帝国は地球発祥の国家でありながら地球の重力を振り切り火星圏にまで進出するだけでなく、スペースコロニーに遷都して、君主(天皇)までスペースコロニーで生活していたのだ。

 最も日本支部から言えば、日本列島が災害多発地域で資源がないという将来性の無さから日本列島に見切りをつけたのと、コロニー落としなどの宇宙世紀の戦災で受ける被害を抑えるためにすぎなかった。とはいえ、この大日本帝国の行動に地球圏のスペースノイドの多くが好感を持ち、相対的に地球に住むエリートがスペースノイドを見下している地球連邦への反発は余計に高まってしまった。

 ちなみにこの世界の日本は火星のテラフォーミングはわざとやっていない。確かに第二次宇宙遷都以前にいち早く火星に到着して領有宣言をしていたが、火星は宇宙世紀に介入する為の仮の拠点にすぎなかったのだ。だから日本人は火星に住んでおらず火星圏のスペースコロニーで生活していた。

 

 こうした背景により、宇宙世紀0058年に単独での自給自足が可能になったサイド3でジオン共和国が成立した。これに対して地球連邦はジオン共和国に経済制裁を実施しため両者の対立は強まっていった。

 この状況にほくそ笑んだのは大日本帝国であった。当時の日本は確かにいち早く宇宙進出を行い技術革新を行って地球連邦を大きく引き離していたが、地球連邦との人口に大きな差があった。当時の日本人が5億人ほどであったのに対して、地球連邦は100億を超えていたのだ。

 この圧倒的な人口比率はさすがの日本も軽視できず、もしも地球連邦が失策などせずにスペースノイドを上手くまとめ上げて日本に敵対して来た場合、いくら日本でも宇宙世紀のイベントを楽しむなどと言ってられなくなり、太陽系から撤退するしかなかっただろう。だが、その可能性はなくなった。

 これでジオン公国が一年戦争で増えすぎた人口を間引いて地球連邦とスペースノイドの関係を徹底的に破壊してくれればいい。そうなれば地球圏は弱体化した挙句、バラバラに分裂していくだろう。

 その仕掛けとして日本は経済制裁によって困窮したジオン共和国と接触して支援するようになった。表向きの名目は地球連邦の不当な経済制裁で困窮するサイド3の民衆に対する人道支援としていたが、その裏ではジオン共和国にミノフスキー物理学や、それを利用したミノフスキー・イヨネスコ型熱核反応炉、そしてそれを搭載したモビルスーツ(旧ザク)などの技術を提供していた。

 実は日本がここまでしたのは、原作でミノフスキー粒子を発見したトレノフ・Y・ミノフスキー博士がこの世界には存在しなかったからだ。

 どうも日本支部の歴史改変の影響を受けたものだと思わえるが、流石にこれはガンダムの世界観をぶち壊しかねない事態であった為に、日本が発見した新しい粒子としてミノフスキー粒子と名付けて無理矢理ミノフスキー粒子にした。最もジオン共和国側は日本人が発見した粒子と技術なのに、わざわざミノフスキーという日本らしくない名前にした理由が分からないままだった。

 この結果、サイド3では人型ロボット兵器MS(モビルスーツ)の開発が史実よりも早く進められるようになる。その間にジオン・ズム・ダイクンが死亡してザビ家が独裁体制を取る様になり、ジオン共和国はジオン公国になったが、それはどうでもいい事だった。

 肝心なのは史実よりもジオン公国の軍事力が強化されていった事で、これによって一年戦争で地球連邦の被害が拡大すれば儲けものであった。

 この一連の動きには地球連邦も警戒したが、ジオンが工作機械として開発していたのはおおよそ戦争の役に立つとは思えない人型ロボット(旧ザク)だった。また、ジオン側は意図的にこのモビルスーツの映像(どこにも軍事的価値を見いだせない)を一般に公開して地球連邦を油断させようとした。

 このジオンの策は大いに成功して連邦は油断した。もし、彼らがミノフスキー粒子の存在を知りそれを用いた戦争を予想していればこうはいかなかっただろうが、日本とジオンはミノフスキー粒子の存在を隠蔽していた為に連邦は知る由もなかった。

 

 こうして、宇宙世紀0079年に地球圏は大規模宇宙戦争に突入する。

 ジオン公国は地球連邦政府に宣戦布告して、その直後に地球連邦軍に先制攻撃を仕掛けた。月面都市グラナダを制圧。続いてサイド1・2・4の各スペースコロニーを壊滅。これで確保したスペースコロニーをジャブローに落下させる事で地球連邦を壊滅させようとした。

 しかし、スペースコロニーは落下の衝撃に耐えきれずに分解して、コースが大きくずれてオーストラリア大陸のシドニーに落下した。この開戦から一連の戦いを一週間戦争と呼ぶが、一説によるとこの一週間戦争で地球圏の半数が死に至ったらしい。

 この軍民を問わない凄まじい数の虐殺は、宇宙世紀において後にも先にもジオン公国のみであった。日本支部も日米戦争で暗躍して多くの人々を死に追いやったが、それすらも些事に見える程のスケールだった。

 その後、ジオン公国は史実よりは善戦したが、やはり地球連邦との国力差と、ザビ家内部の確執などによって追い詰められてしまい地球連邦に事実上の降伏をすることになる。最もジオン公国は日本支部が求めた役割を既に達成していたので、それは問題なかった。

 

解説

■地球連邦政府
 元々は圧倒的な大日本帝国の脅威に対抗する為に樹立した組織であるが、建前としては旧来の国家間の垣根を取り払った人類初の統一政体と主張している。しかし、原作と違って日本が参加していないから不完全なものとなっている為に、宇宙世紀には日本を下して真の人類統一を目指すことになるが、それは思うようにいかず後に衰退して滅亡する事になる。

■皇紀(こうき)
 神武天皇即位紀元(じんむてんのうそくいきげん)の略称で、皇紀の他にも皇暦(すめらこよみ、こうれき)、神武暦(じんむれき)、神武紀元(じんむきげん)、日紀(にっき)などともいう。初代天皇である神武天皇が即位したとされる年を元年(紀元)とする、日本の紀年法である。

 

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幕間四 西暦④

2017年07月30日 14時40分11秒 | 小説

 アメリカ合衆国を滅亡させるという仮想戦記でもめったに存在しない形で日米戦争に完全勝利した大日本帝国であったが、監察軍からすれば消化試合のようなものにすぎなかった。日本支部はアメリカという障害を取り除き、残りの列強諸国は世界大戦で消耗しきっている状況をうけて、これまでの自重をやめて次の時代に備えて派手に動くことにした。

 まず、西暦1943年に日本本土に『機動戦士ガンダムSEED』で登場するようなマスドライバーを建設して、月にシャトルを打ち上げた。これによって人類初の有人での月面着陸は日本の功績となり、この偉大なる一歩は世界に大きな衝撃を与えた。特にナチスドイツのヒトラーは日本が世界にばら撒いたこの時のニュース映像に思いっきり悔しがっていた。

 いうまでもないが、マスドライバーなど当時の欧州諸国が逆立ちしても建設できる物ではない。それを備えた宇宙港は厳重な警備がされていたが、例えスパイが紛れ込んでいたとしても模倣は不可能だった。

 続いて西暦1948年には日本はいつまにかラグランジュ・ポイントの一つ(サイド3)にスペースコロニー群を建造して宇宙移民を開始したのだった。この非常識極まる日本のチートぶりに各国首脳部が頭を抱えた。勿論、これは監察軍が異世界で建造したスペースコロニー群をサイド3に送り込んだだけであるが、そんな裏事象など他国は知る由もなかった。

 こうして第二次世界大戦が終結してやっと一息ついた西暦1950年代には、地球各国は日本領土となったサイド3のスペースコロニー群と、それを守るガンダムで出てくるような宇宙艦艇を中心とした日本宇宙軍に天空の高みから威圧されるようになった。まぁ実際には日本がこの宇宙軍で砲艦外交を仕掛けたわけではないが、それが存在しているという事実だけでも各国には強力なプレッシャーになっていた。
 
 日本支部はこのようにチートを繰り返して他国を引き離していき、西暦1955年に大日本帝国は東京からスペースコロニー『天照』に遷都した。これが第一次宇宙遷都と呼ばれるもので、これが速やかに行われたのは一年戦争の被害を避ける為だった。それに日本列島は国土が狭くて資源がない上に、地震や津波などの天災が頻繁にあるので、国家を繁栄させるのに不向きだったからだ。

 地球への愛着も何もあったものではないが、日本支部にとってはそんなものよりも国益の方がよっぽど大切だった。

 こうして東京を含めた日本列島は過疎地域となっていくが、各国の大使館などは東京におかれたままで、スペースコロニーに他国の施設を設置することは防諜を理由に許可しなかった。

 これは外交的にみると非常識な行動であったが、日本支部はスペースコロニーにかなりの技術を持ち込んでいたので外国人の出入りを認めて技術流出する羽目になるのを避けたかったし、ここまで来ると各国と協調路線をする必要など全くなかった。その為かつての大英帝国のような栄光ある孤立を問題なく実行できる状態、というよりも世界中を敵に回しても勝てる状況になっていた。

 こうして半ば鎖国体制に入った大日本帝国であるが、後に地球各国が統合されて地球連邦政府が樹立すると、日本はその地球連邦と国交を結ぶことなく、サイド3にあったスペースコロニー群ごと地球圏から退去して火星に移動した。これが第二次宇宙遷都で、これによって日本は地球と完全に交流を立つことになる。尚この際にスペースコロニー群が空間跳躍して瞬時に火星に移動した事から、地球連邦は大日本帝国との技術力の格差に愕然とすることになる。

 ちなみに監察軍が遷都先に火星を選んだのは、火星は木星と違って宇宙世紀の歴史ではそれほど重要でないからだ。日本支部のトリッパーたちは宇宙世紀を高みの見物を楽しみたいので、地球からある程度距離があって物語にあまり影響のない場所を自分たちの領域に選んだのだ。

 

 さて、ここで一端話を西暦1950年代に戻すが、この当時の日本以外の国々は、異常としか言いようのない日本の爆発的発展に恐れおののいていた。

 特に大戦で疲弊しきった欧州諸国はその傾向は強く、どう贔屓目に見ても対抗できる相手ではない日本に対して、彼らがその気になれば世界は日本のものになるのでは? と日本脅威論が巷で蔓延することになる。

 そのような恐怖は欧州各国だけでなく、他の地域の各国も多かれ少なかれ持つようになり、その脅威に対抗するために各国をまとめるべきだという意見が盛んに交わされるようになる。これが後々の地球連邦成立に繋がっていく事になる。

 実のところ、この地球各国の懸念は全くの的外れな物であった。というのも日本支部は次の宇宙世紀の動乱に備えて早めに宇宙進出していただけで地球各国に領土的野心などもっていなかった。それを知らず、日本に対抗する為に必死に宇宙開発を進めている各国の姿は滑稽ですらあった。

 しかし、こうした国々によって西暦1999年に地球連邦政府が樹立されて、日本に大きな遅れをとりながらも何とか宇宙開発を軌道に乗せていった。

 

解説

■マスドライバー
 日本支部としては軌道エレベーターでもよかったが、宇宙施設は地球圏離脱に際に爆破する予定であったからマスドライバーを使う事にした。勿論、マスドライバーを含めた宇宙港は機密保持の為に第二次宇宙遷都の時に爆破処理されている。

■サイド3
 後のジオン公国が誕生する場所で、第一次宇宙遷都で日本がこの場所に遷都したのは後のジオン公国とのつながりを持つ為である。

■天照
 大日本帝国の宇宙遷都で新たに首都になったスペースコロニー。第一次宇宙遷都の時に首都機能と皇居がここに移り、また国宝、美術品、文化財なども持ち出せるものはすべて天照などのスペースコロニーに移動させた。

■空間跳躍
 日本のスペースコロニー群にはフォールドエンジン(マクロスF)が搭載されていたので、第二次宇宙遷都の時に火星までフォールドしている。

 

あとがき

 西暦時代はこれで終わりです。流石にチートを繰り返すとこうなりますね。地球連邦樹立がちょっと強引過ぎたかもしれませんが、アメリカが滅んでソ連や欧州諸国が青息吐息の状態なのに日本があれだけチートをやっていれば警戒されない筈がありませんよね(笑)。
 次回はとうとうファーストガンダムの宇宙世紀になります。ガンダム世界の黒歴史がまた1ページ。

 

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