シドゥリ暦3490年 ブリタニア帝国 帝都ヒルデガルド スーパーロボット博物館
三千世界監察軍による対ベヅァー兵器として開発された数多のスーパーロボットたち。それらはいずれもベヅァーに対抗しうる能力を得ることなく失敗作の烙印を押された。その為、エンジンや電子機器などを取り外された張りぼてだけの姿でモスボールされて博物館に展示されることになった。
さて、そんなえらく偏った博物館であるが展示品はすごいの一言だろう。何しろスーパーロボット計画によって対ベヅァー用に多くのトリッパー達が自重せずにぼくのかんがえたさいきょうのスーパーロボットを作り上げていただけにゲッターロボ、イデオン、ライディーンなど豪華な機体が目白押しであったのだ。
それはまるでスーパーロボット大戦の世界にきてしまったような錯覚すら覚えるほどで、それだけにブリタニア人の子供たちにも大人気で子供連れの家族がここに訪れる事が多かった。
そんな展示品(スーパーロボット)の中にあって一際異彩を放っている機体があった。鬼械神パールヴァティー。それが、金色に輝くその機体の名であった。
その名の通り、それは『斬魔大聖デモンベイン』の鬼械神をベースにしており、エリーゼ・ペルティーニとアイシャ・ペルティーニが作り上げたチートなスーパーロボットだ。これは条件付きながらも破壊神ベヅァーを倒せるだけの性能を持つ成功作だ。
ここで、成功作なのに何で博物館行きなのかと思うかもしれないが、それはパールヴァティーがエリーゼとアイシャが使う専用機の試作機にすぎなかったからだ。
そもそもこの二人は様々な世界で技術を収集していたが、鬼械神を作った事がなかった。その為、ぶっつけ本番で専用機を作る事などせず、まずは試作機を作りデータ収集をしてから作ろうとしたのは当然の事であった。
その試作機であるパールヴァティーは幾多の改良を受けながらも各データにおいて優秀な数値を出し、これならばベヅァーにも対抗できうると判断されたわけであるが、そこで試作機にすぎなかったパールヴァティーの役目も終えてしまった。エリーゼは用済みとなったパールヴァティーを廃棄処分するかのようにエンジンと電子機器を取り除いて博物館行きにしたのだった。
ここで監察軍内部でパールヴァティーの退役を惜しむ声が出なかったのは、パールヴァティーが乗り手を選び過ぎる事が原因だった。パールヴァティーは対ベヅァー用に作られただけあってやたらとピーキーで、監察軍でもエリーゼとアイシャしか使える人間がいなかったが、その二人が別に専用機を作る以上パイロットがいない機体になってしまったのだ。
こうして、スーパーロボット計画の成功作でありながらも失敗作と一緒に展示されるという不遇な機体となったわけであるが、それが纏う雰囲気は他を隔絶していた。
「これが、パールヴァティーね。とても用済みになった機体には見えないわね」
博物館に展示された金色に塗装されている異様な鬼械神の姿に涼宮ハルヒは感心する。動力源たるディス・レヴを取り除いたとはいえその影響を受けていた為か超常的な力を感じずにはいられない。
そもそも鬼械神そのものがハルヒにとって手の届かないものであった。ハルヒは『下位世界に存在する人類が手に入れる可能性のあるすべての知識』という転生特典を持っている。これは当然ながら膨大な知識をハルヒにもたらしているが、彼女はそのすべてを使えているわけではなかった。というのも、知識の中には知るだけで害になるという厄介な代物があるからだ。
それは、例えば『とある魔術の禁書目録』の魔術や『斬魔大聖デモンベイン』の魔術などだ。これらは知るだけで命や精神を削るというトンデモない代物であった。それだけにハルヒが保有するそういった知識は死神によって厳重に封印されていた。
勿論、その気になればその封印を解いてそれらの知識を知る事はできるが、そんな事をすれば破滅することは分かりきっている。ハルヒは知識を得ることができるチート能力を持っていてもエリーゼたちのように知識に耐えきれるわけではないのだ。
エリーゼたちにあってハルヒにはない能力と知識、その象徴とも言える鬼械神にハルヒは思う所が全くないと言えば嘘になるが、それでもそれを妬むほど心が狭いわけではない。自分ができなくてもできる奴にやらせればいいと割り切れるだけの器量は持っていた。
「これほどの物を作り上げることができた事を考えればスーパーロボット計画は成功したと考えていいだろうけど……」
確かにこの機体をベースに製作されたエリーゼたちの専用機は凄まじい戦闘能力を誇っていた。それは第一次ベヅァー戦争時のベヅァーすら上回る程だ。それを考えれば自信満々なエリーゼたちの言うように問題ないはずだが、こちらの想定の斜め上を行きかねない敵だけにハルヒは安心できずにいた。
このハルヒの予想は的中して、後の第二次ベヅァー戦争にて想定外の強さとなったベヅァーにエリーゼたちは思わぬ苦戦をする羽目になるのであった。
解説
■鬼械神
『斬魔大聖デモンベイン』に登場するスーパーロボットの総称。通常は魔術によって構成される代物で、デモンベインやパールヴァティーは正確に言えば鬼械神を模した機械人形である。
■エリーゼ・ペルティーニ
このサイトのSS『二人の魔女』の主人公。転生型トリッパーで魔術のエキスパート。
■アイシャ・ペルティーニ
このサイトのSS『二人の魔女』に登場する転生型トリッパー。エリーゼと同じく魔術のエキスパート。
■涼宮ハルヒ
このサイトのSS『トリッパー列伝 涼宮ハルヒ』の主人公。転生型トリッパーで知識チートな転生特典を活かして監察軍の技術部部長を務めている。
■ディス・レヴ
『第3次スーパーロボット大戦α』で登場する悪霊や怨霊、死霊などの集合体「負の無限力」を吸収し、その力を糧とする動力機関。
あとがき
エリーゼとアイシャはいきなりカーリーとドゥルガーを製作するほど無謀ではなく、まず試作機を作りデータを集めてから専用の鬼械神を造ったという話です。その為、このパールヴァティーは踏み台的な扱いを受けている悲しい機体です。後、いくら知識チートでもデモンベイン系の知識はやばいのでハルヒはその手の知識は使えません。
ゲッターのほうは勝てるだけの進化が終るのが間に合わなかったからとかかな?
↓
>ぼくのかんがえた・さいきょう・のスーパーロボット
>・ゲーター・ロボ
↓
>・ゲッター・ロボ
>スーパーロボット大戦の世界に・きたしまったよ・うな
↓
>スーパーロボット大戦の世界に・きてしまったよ・うな
ゲッターロボやイデオンは確かに強いですがパイロットがベヅァーとの超光速戦闘に対応できなかったわけです。ようするにベヅァーからすれば初期のストライクの様にノロノロ動いて的になっている状態です。
>ミッドチルダ星人さんへ
誤字報告ありがとうございます。早速修正しておきました。
ぱっと思い付く限りでは小説版デモンベインのド・マリーニの時計と仮面ライダーカブトのクロックアップくらいですけど。
まあ、ベヅァーはチート揃いのドラゴンボールを基準に考えてもとんでもない化け物ですから、いくら機械でサポートしても人間の能力が追い付きません(笑)。