あべまつ行脚

ひたすら美しいものに導かれ、心写りを仕舞う玉手箱

花鳥画展 ・大倉集古館

2007-03-14 12:38:10 | 日本美術
前にも書いたことがあるのだが、
大倉集古館という建物が、ホテルオークラの雰囲気と離れていて、
この建物は中華飯店??という不思議さ。
面白くって仕方がない。
庭園におかれている銅像達も不思議なパワーがある。

この匂いは、箱根の富士屋ホテルを思い出させるのだ。

ここの通りにはいくつもの大使館があったりするから、
無国籍治外法権エリア。そんな感じもする。
外車が走り去り、
外人大使館スタッフなどがランチに出かけたりしている。

さて、薄暗い館内にはいると、
天井も高く、既に異空間。

ここも随分鑑賞に来る人が増えたような気がする。
お元気そうなおばさま達が楽しいおしゃべりしながら、
絵の前にいる。
いいんだか、自分の母を思い出して、
まぁ、楽しいんだから、いいかと、距離を置きながら、
寛大になった。
私だって、友人がいると、いらぬ話をしてしまいがちだし・・・

ぐるっとパスで、お金を払わないで入館できたのも嬉しい。

ここは、中国物が充実。
日本のお手本の大元とお目にかかれるのだ。
国立博物館の東洋館にはない、小品のぴりっとした物があって、
嬉しくなる。

「花鳥図巻」がすばらしい。潘崇寧 清時代1717年
花と虫のコラボレーション。
様々な色使いも透明に、南画のまったり書き込む絵が延々と続く。
花に群れる虫。恍惚が溢れていた。

ラストエンペラーの愛新覚羅溥儀による、
「牡丹図」
はぁ、歴史がここにある。

狩野組のすばらしいもの。
探幽の「探幽縮図」
様々な絵のスッケッチのような、下図のような絵をスクラップしてある。
一つ一つが技量確実。うまいなぁ。

安信。
探幽の3兄弟で、探幽があまりにも天才絵師だったから、
兄弟絵師としてやっていくのはかなりつらいものがあったのではないかと、
勝手に想像するけれど、
「狩野派決定版」(別冊 太陽 平凡社)によると、
努力家で、画論のほうに力を注ぎ、「画道要訣」を記した、とある。
老中の前で探幽3兄弟が席画を申し付けられた時、
探幽は安信が描くことを許さなかったとか。
そんなに言われることはない。
展示されたいた
「梅図」「梅に鶯図」「梅に尾長鳥・柳に黄鳥図」
「風景人物花鳥図巻」
などなどはどうしてどうして、すばらしい画力が溢れていた。
馬や、猿もバッチリだ
探幽は自分の技量に相当な自信があったのかもしれない。

お家主義と言うのは、こういう話が必ずお約束であるものだ。

二階の奥に、すごい屏風がドン、とあった。
「籬に葡萄図」作者? 江戸時代17世紀

絢爛な葡萄が6曲1双にたわわに横たわり、
籬が絵を締めている。
胡粉で盛り上げられた葡萄は、型押しになったようにも見える。
金箔がふんだんに使われているのに、
嫌味がない。
ジャパン・アールヌーボーな感じ。

シンプルな構図、色数も少なく、それでもなぜこんなにゴージャスなのか?

先日の出光の「柳橋水車図」の水脈も感じる。

小さな屏風、も京都の香りのする雅な作があった。
「四季草花図」 松村景文

速水御舟の「鯉魚」を見てみたかったけれど、
前期で終わってしまっていた。残念。

昭和の画壇コーナーには、
小林古径の「木菟図」
横山大観の「夜桜」

春は始まったばかりなのだった。

ん~~すばらしい、絵の数々。
川合玉堂の絵、大倉喜七郎の賛のコラボ、「煮梅花図」も興味深かった。

次回は、狩野派にスポットが当たる。
「狩野派誕生」!!

先にあげた、「狩野派決定版」をガイドに日本絵画の歴史と
その作品に触れることを楽しみとしたい。

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6 コメント

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大倉集古館 (supika)
2007-03-14 16:14:16
素適なご紹介ありがとう!
16日に出かけるついでに寄ってきます。
あそこはいつもミステリアス、昼の日中に突然の
雨にあったり、でも好きな美術館。
今回の花鳥画はあまり見たことないのが多そうで
たのしみです。
智美術館てすぐそばなのですね。
返信する
supika さま (あべまつ)
2007-03-14 20:23:40
こんばんは。
私の記事は独断が強いので、ご注意下さいましね。
智美術館は、大倉を出て、坂を下りるとすぐです。
ランチも美味しそうなので、次回チェックです。
金曜日は寒くなるそうです。
お出かけはお気をつけて~
私は病院行って、ついでに上野あたり出没予定です。
返信する
ちゅうた~~~! (遊行七恵)
2007-03-14 22:52:29
大倉集古館を設計したのは、築地本願寺や一橋大学の講堂、両国の震災慰霊堂などをこしらえた伊東忠太です。
わたしのいちばん好きな建築家♪
忠太は大倉喜八郎、大谷光瑞をパトロンにして、一目見たら忘れられない建物を多く作りました。関西にも多いですよ。

十年位前、腕章付けて特別許可貰って、建物の撮影しました。嬉しかったです。
大倉にゆくと必ず階段の唐獅子くんたちを撫でることにしています。

返信する
遊行 さま (あべまつ)
2007-03-15 17:19:30
建物オタの遊行さま、
伊東忠太氏の名をありがとうございます。
築地本願寺もそうなのですか。
きっと知らないところで、
忠太氏と遭遇してるんだと思います。
平成のパトロン財閥は何をしているんでしょうか~
昨日も唐獅子君達、いたいけに段違いで座ってました。
手すりの金細工も良いです!!

そういえば、トイレをチェックしておりません。
面白い建物のトイレ、重要ですよね♪
腕章つけての撮影隊、うらやまし~
返信する
安信。 (Tak)
2007-03-28 01:09:32
こんばんは。
TBありがとうございました。

安信が白眉でした。
狩野派展もそろそろ始まりますね。
また「坂」のぼらなくちゃ!
返信する
Tak さま (あべまつ)
2007-03-28 22:25:54
泉屋博古館とこことセットで、
坂道の多い大倉界隈楽しみましょう~~♪

六本木に通うときが増えますね。
Takさんのレポが楽しみです。
返信する

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