あべまつ行脚

ひたすら美しいものに導かれ、心写りを仕舞う玉手箱

出光美術館 名品展 Ⅱ

2006-12-18 12:23:40 | 日本美術
館内はことしリニューが施され、しっとりさっぱりした。
鑑賞者の入場数もそうとう上がったことだろう。

あの、風神雷神の時の人垣の真っ黒が嘘のように、
いつもの落ち着いた雰囲気が戻っていた。

エレベーターの金色の扇面柄の扉が閉まると、直に館内へ付く。
この時間が大事で、非日常へのトンネルのようなのだ。

映画の始まる予告の時間、
神社への参道、
なんでもたどり着くまでの時間は、とっても重要なのだ。

時代はすでに桃山時代となっていた。
狩野派達の屏風図がお迎えだ。
絵手本のような扇面貼交屏風。
これが描けたら、狩野スクール修了。ナイス!
一段下がった展示コーナーには、探幽の源氏物語。
松林図屏風の長谷川等伯の竹鶴図屏風は、
やはり、幽玄な怪しげな風が吹いている。墨絵の人なのだ。
隣の江戸名所図屏風は、細々と色んな人々の暮らしぶりが見えてくる。
増上寺あたりだとか。にぎやかだ。

その空間に、やきものがピンに置いてある。

なにしろ唐津好きにはたまらない、
絵唐津柿文三耳壺 が愛らしい。

あまりにも有名な仁清の芥子文茶壷や、
柿右衛門の八角壷、
乾山の銹絵染付金銀松波文蓋物、
これは、光悦のすずり箱を思い出す、などがある。

次の展示室に行くと、
宗達のゆるい虎・龍図。
龍神雷神の時にもあった、伝・光琳の紅白梅図屏風がある。
左右の屏風図のバランスが不思議なのだ。
MOAにある、紅白梅図のおどろおどろしさがないのだ。
とっても不思議だ。

その奥に、今日の一番のお気に入りとなった、
乾山の四季を描いた小品の掛け軸4幅。
何を隠そう私は、やきものに絵付けした乾山の絵より、
このように掛け物となった絵のほうを贔屓としている。
乾山のボクトツな有様がやきものの絵付け柄として、
評価したのが、光琳なのかもしれない。
光琳はうますぎるのだ。

抱一、其一の琳派が並ぶ。
また、消息ものの書が並ぶ。
芭蕉の文字はとても繊細。
もっと、太い文字を書く人なのかと思っていた。

前期に来ていれば、ここら辺に小川破笠の蒔絵の箱があるはずだったのに、
残念。そこには、伝・光琳の蒔絵硯箱。
鹿と波柄は、光悦のものに近いような気がする。
ドーム型になった、蓋も、光悦を思うのだ。
蓋の裏は、何か描かれているのだろうか?
そして、乾山のやきものがにぎにぎしくお披露目だ。

出光で、いつもほっとさせてもらっている
仙のお軸もの。
この脱力具合は、究極の人の道言葉。
丸だけでも、丸三角四角も、堪忍も。
ありがたいお言葉なのだ。

文人画をこれだけ沢山出光で見たことがなかった。
お歴々の墨絵の世界。
富岡鉄斎の吹きだしのある蓬莱図は、愉快だった。

今年は浮世絵、肉筆絵の当たり年だ。
岩佐又兵衛の伊勢物語、色っぽい。
宮川長春の切れのいい立ち姿美人図。

そして、驚きのあざやかずぎる色に、本当に江戸時代の作なのか????
と信じられないほどの美しい、勝川春章の美人鑑賞図。
たしか、探幽の軸を鑑賞している、六義園のお庭に似ているらしいところの
絵と解説してあった様に思う。
まったくなんと美しい色を出す絵の具があった事だろう!!

やきものは、猿投の灰釉短頸壷、これが最高にすばらしかった。
楽の長次郎の、黒楽。黒面翁は、おやと思うほど小ぶりだった。
ノンコウの赤楽、黒楽。あぁ、今年はなんと楽を沢山拝見したことだろう。

古九谷のにぎにぎしい絵付けに圧倒。
たまにシャープなデザインに遭遇する。

時代は下り、板谷波山の瓶が展示されていた。

この日のお茶室の水指が良かった。
共蓋のある、どっしりとした信楽。
師走に向かい、一年の過ぎし時をめぐり、
侘びた一席となるのだろう。

ムンクの赤が使われた絵にちょっと驚く。
赤があったのかと。

上流階級の雅な美術品にお茶の栄華を感じつつ、
今年出光見納めの優雅な時間を過ごすことができた。

さしずめ、お濃茶の一服。甘露、甘露。

コメント (4)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 新しい美術館、石洞美術館(... | トップ | クリスマスカード »
最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
素敵な出光美術館 (自由なランナー)
2006-12-20 22:38:09
風神雷神図屏風、伴大納言絵巻、の時とはうって変わって、本来の落ち着いた出光美術館でした。ほんと、素晴らしい名品がさりげなく置いてあって、至福の時間を過ごしました。
返信する
自由なランナー さま (あべまつ)
2006-12-21 22:44:13
こんばんは。コメント、TBありがとうございます。
出光の24日までの割引券があって、ん~~もう一度行っちゃおうかしらん、と思っているところです。
主婦がフラフラできるかどうか、案じているところです。そういう気にさせてくれる展覧会です。
返信する
初制覇 (Tak)
2006-12-28 23:00:33
こんばんは。

今年の出光はとにかく凄かったですね。
最後の最後まで。
初めて全ての展覧会行きました。
徐々にリニューアルされる館内の様子も
興味深かったです!!
返信する
Takさま (あべまつ)
2006-12-30 13:38:54
ようやく風邪から復帰で、
お返事遅くなりすみませんでした。
ほんと、出光は今年力入ってましたヨネ。

以前の出光も好きでした。
さすがTakさん全部ご覧になったのですね。
来年の出光も楽しみです。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。