through the frozen window

ふさわしい言葉を探しているうちに、小さな羽音だけを残して、遠くへ。

もう出せなくなった声を残しておきたくて

2020-04-03 | Weblog
あれから時間が長く過ぎてしまいましたが、ここを残せたらと。

i miss you

2008-08-21 | Weblog
i miss you so much.

凛とする

2006-06-15 | Weblog
それが何をあらわしているのか。
指先や、眼で、
気持ちを感じたくて。
毎日を祈りながら過ごしている。
少し動く空気の澱みに、
テーブルの上のページがめくれる。
揺れる樹の葉の重なる影に、
聴こえるはずのない音がする。
それが何かのきっかけではないかと、
期待して、
手探りで探しても、
そんな日はほとんど、あらわれてはくれない。
人の心を奪い、気持ちを揺さぶる。
嫉妬する。
あんなふうに穏やかな沈黙が、
僕の中にも満ちることを。
願い続ける。
そこから立ち去ることが惜しいと感じる。
そこに立ったままで、
その中に共存したい。
辿り着くまで。
そしてそれは、手の中で愛される。

気持ちを揺るがないように伝える為に。
真っ直ぐに削いでゆく。
それを手に取って、
そのみずみずしい香りを、慈しみたい。
わずらわしい感覚を、
カタチにして、
残しておきたい。
だんだんと解らなくなっていることが、
自分で気付いているうちに。
この手が、意志に因って動かせる。
自分の名前が、解るうちに。

それを手の中で、愛したい。

So long

2004-11-29 | Weblog
雨の日に、
羽根を休める場所が、同じだったから、
ささやき続けたミツバチ達は、
僕の耳元から、飛び去ってしまった。
帰るところがあると云うこと。
小さな庭の片隅を覆う、
四枚の葉を、知らぬ間に踏みつぶしてしまってた。
自分の分では足りなくて。
小さな手を差し伸べる、
大切な人たちの育てた分までも。

また春が来るまでは、
その葉が開くのを待ち続ける。
手は汚れ、歩くその後に足跡をつけても、
大切な人たちの中を、
この気持ちで染める事はできない。
背負うモノの中から、精一杯の、
ふさわしい言葉を探しているうちに、
大事なことを見失う。
持ち合わせがないことにだけ、気付かされる。
そして遠くに去ってしまった。
追いつくまで、歩けるだろうか。

浅い眠りに落ちる前に、
出口を見つける事はできない。
けれどその向こう側に、
光が射すことを感謝しよう。
必ず目が覚めるのだと、感じることができるなら、
凍えるようなベッドであっても、
身体を預け、安心してその眠りに倒れ込むことができる。
目覚めた時に雨が降っていても、
また眠りに落ちるまで、
降り続く雨はない。
雨は大事なモノを連れて来て、
光とともにぬぐい去る。
それでも僕の中には、しっかりと昨日が残っている。
数えられる毎日が、
これからも続くように。

もうすぐ僕は、時間の順序が解らなくなる。
大事だった時間だけが、
毎日繰り返し訪れるようになってしまう。
それに解き放たれることが出来なくなっても。
僕が自分を感じていられるうちに。
いつか感じられなくなる前に。

またみなさんに会いたい。

今まで本当にありがとうございました。
みなさんの心のこもった声に励まされ続けてきました。
とても感謝しています。
また何処かで会えることが出来ることを祈っています。
声を残して下さった方々には、
突然のご迷惑を、お詫びします。

さようなら。

感謝

2004-11-25 | Weblog
僕はとても幸せでした。
そして、この上なく幸運でした。
僕のこのページに集まって下さるみなさんは、
ここに気持ちを持ち寄って、
僕を支え、このページを支え、
そうして、あの静かな空気を生み出してくれています。
そして、その身をもって、
大切なことが何かを教えてくれる。
勿論今これを読んで下さっているあなたもその一人です。

僕の荷物を降ろしてくれようとしてくれる。
僕の言葉を受け止めようとしてくれる。

確かに決してたくさんという人数ではありません。
おそらくお会いすれば、
その顔を憶えてしまえる程度の人数なのでしょう。
けれど、その方達が、
繰り返し訊ねて来てくれる。
気にかけていてくれること。
本当に嬉しかった。

みなさんが僕の器に注ぎ込んでくれるひと匙が、
僕を溢れさせ、
僕の身体を震わせる。

僕には何のチカラもない。
一人で何かを支えることができるような、
能力を持ってはいない。
誰かを悲しませる事は出来ても、
誰かを支えるチカラはないのに、
みなさんは、柔らかく、温かく、
包んで下さった。
思いやり。
寂しさと悲しさで形作られたこのページは、
そんな心のこもった言葉に包まれて、
いままでずっと成り立つことが出来てきました。
本当にありがとうございます。
感謝しています。

it

2004-11-22 | Weblog
この指は、
僕のモノのはずなのに、
けれど、僕の言うことを聞かない。
ちゃんと動く。
でも、僕の意志とは離れ、自由だ。
それは自立していて、何にも属さない。
みんなはそれを知らない。
ただ見ただけでは判らない。
だから気付かれないでやり過ごして来た。
子供の頃からそうだった。
僕には当たり前のことだった。

やりきれない。
繰り返される。
指は、何処かに落ち着こうと、焦る。
その先を求めて、
手当りしだいに動き回る。
せわしない動きに疲れ、
投げやりに放り出す。
指先の力は、示される前に呑み込まれる。
その動きを僕の眼が追いかける。

あの人は、それを知っていた。
「あなたの指」とか「彼の指」とか、
それを呼ぶことはない。
僕から独立した突起であることを判っている。
まるでモノのように、「その指」と呼んでいた。
時には自分の所有物のように、それを呼んだ。
指は落ち着きなく這い廻る。
手探りでその落ち着く先を探している。

緩やかな勾配を昇り、
縊れた曲り角で折り返す。
僕の呼吸とは別に、
リズムが狂い、弧を描く。
刻む。
凍えたガラスの曇りを拭う。
滑り落ちるしずくを、掬おうとする。
間にあわなくて、滴り落ちる。
溶けて絡み付く感覚に、僕は戸惑ってしまう。

音のない言葉を隠し持っていて、
その身体に、
震えるのを伝えている。
それは上手に嘘をつく。

reminiscence

2004-11-20 | Weblog
砂浜に、
遠くから流れ着く、
破片を拾い集めながら、歩いてみる。
誰かの足跡がまだ新しい。
そうして刻まれた足跡を、
順序とは逆になぞってゆく。
時にはその行く先を見失い、
また何処かでつじつまが合う。
あなたは何処か遠くで、それを眺めている。

僕は拾い集めたモノを、
あなたの目の前に並べて、
ひとつひとつ、その物語を話している。
あなたはそれにうなずいて、
僕を小さく満足させる。

あなたは知らぬ間に種を蒔き、
僕はそれを、
芽が出た時に初めて知る。
長い時間の末にようやく、
その豊穣を収穫する時が来る。
初めて、何の種子なのかを、
その手の中で知ることになる。
その手の中で確認する。

枝を繁らせ、
花が咲き、
またその種子が実る頃に、
その葉の影に、面影を見る。
すべては巡り、繰り返される。
光を遮る葉の影で、さらさらと撓む音を聴く。
それを僕は、知らされる。
それを僕は、思い出す。
あなたの声をそこに聴く。

lost my touch

2004-11-19 | Weblog
ただ、あの人が下を向く。
それだけで空に雲がかかる。
眉の間にしわを寄せると、
もうすぐ雨が降り出しそうで。

まつげが何度も上下する。
真一文字に唇をひく。
どうしたらいいのか判らなくて、
足許を覗き込む。
声をかける勇気が欲しい。
靴の紐の結び目を、
呼ばれるまで何度も目で辿る。
指は、その居場所をなくして、
何処かで動いている。
こんな時こそ、電話が鳴ればいい。
誰かが救い出してくれるのを、
手持ち無沙汰で待っている。

僕に何ができるのだろう。
悲しそうな顔を見ると、拭き取ってあげたくて。
それを分けてもらっても、
あの人のつらさは減らないけれど。
僕の時間を差し出して、
その精一杯があの人には足りなくても、
少しでも、拭き取ってあげられれば。

指はまだ靴紐を辿る。
手を伸ばせばその頬に届くのに。
そのわずかな距離を埋められない。
その道のりを辿れない。
それでも拭き取ってあげられるなら。

まだ雲は晴れないけれど。

Let you blow my mind.

2004-11-18 | Weblog
その度にそれを望んでいた。
あの静かな犬のように、
その足に纏わりついて、
まわりを巡る。
背が触れるように、そこに座る。
顎を足の上に載せ、
そこにいることが当たり前のように、
振る舞うことができるなら。

その名前を呼んでみる。
身体が絞り出す。
声は喉から出る直前に、
目の前で垂直に堕ちてゆく。
誰かがそれを耳にする事はない。

柔らかな肌を感じて、
背骨に波が押し寄せる。
それを僕に見せてくれる。
震えが、
口移しするように、
身体の中に染み渡る。
そこから外へと沁み出してゆく。

ほんの少し、その尾を動かせば、
微かにすねに触れる場所。
少しでも近くに。
表面積を、探し当てる。

その匂いが、
何処から来るのかを伝えたい。
もういちど、
名前を呼んでみる。
糸がその揺れを辿り、
余白が、それを埋める。

ひとしずくで、溢れてしまう。
スプーン一杯で充分。

水の中に水をこぼす。

2004-11-15 | Weblog
そんな日は、
ポツポツ降る雨を拭う、
ワイパーの動きを見ても、泣けて来る。
フロントシールドを滑り落ちるしずくも、
誰かの笑顔も、
とらなかった電話も、
滲みをつくる原因になるのに、充分。

西の空の色が変わる。
それが窓のガラスに映る。
降り積もる光がコップから溢れるのを、
急いで両手で掬いとろうとしても、
目の前が滲んで、
定まらない。

匂いも、仕草も、肌触りも、
眼を瞑ってやり過ごしても、胸を絞める。
食べ残しだって、
汚れた皿も。
破いたページも。
滲む文字が浮かび上がる。

大きな音で曲を聴いたら、
言葉にならない音を出して、
からっぽになるまで叫ぶ。
涙は、雨の中に隠せばいい。

音の中に音を隠す。
水の中に水をこぼす。

泣き止むまで、
みんな静かに待ってくれる。

The sky is the limit.

2004-11-13 | Weblog
至福。
眼を開けていることができない。
強い陽射し。
オレンジ色の花粉が、白いシャツに染み込んでゆく。
滲む。
輪郭が溶けて、消えようとする。
まぶたの裏に、
影を残す。

その足許から立ち昇る。
咽せ返るような乾いた空気と、
取り残された喪失感。
燃えるような明るい色彩の中に身を投げる。
焦土。
その熱を帯びた塊は、
身体の中に呑み込まれて、
息を吸い込む度に、肺の中で勢いよく燃え上がる。
眼が眩む。

若い草の匂いが取り囲む。
その明るさに、
気を失いそうになる。
生きている。


reflection

2004-11-12 | Weblog
どうしてだろう。
話しかけても、聴こえない。
まだ横顔のままでいる。
手を伸ばせば、指先は届くのに、
触れられないほど遠くに感じる。
窓の外の雨のほうが、
身体を通り越して、ずっと近くにある。
雨がチカラを貸してくれる。
時間をかけて、氷を溶かして、
やっと言葉が届いても、
何処か遠いところから、
数秒だけ、偶然笑顔が舞い戻って来て、
その表層を撫でてから、
すれ違うように消えてゆく。
冷たい頬の上で、
一度だけ躊躇する。

それは笑顔とは逆に、
その印象を悲しくさせる。
あまりに小さく青白い。
重い言葉を、
チカラを込めずに、淡々と話す。

the smell still remains.

2004-11-10 | Weblog
忘れない。
まだ口を付ける前に、
僕の皿から、あの人のさらに取り分ける。
そのカタチの生々しさが、
僕を悲しくさせる。
目の前に並ぶ食事は、色褪せて、
あらかじめ漂白されている。
味も香りも抜け落ちている。
思い出したように口に運ぶ指先が、
落ち着く先を探して、宙を掻く。
けれどあの人はそれに手を付けない。
もうここにはいないのだから。

身体が覚えている。
もうしなくてもいいことを、
あの人の為にしてしまう。
もうそこにいないのに、
少し膝を折って、目の高さを同じにする。
同じ高さから空を見上げる。
もうそれも必要ない。
それでも身体は勝手に動いてしまう。
ようやく僕はその重さを忘れはじめた。
でも身体はしっかりと覚えていて、
まだその重さを抱えている。

誰が決めたのだろう。
どうして僕は、
いつも見送る役目なのだろう。

灰色の眼

2004-11-08 | Weblog
すれ違いざま、肩をぶつけて人が歩き去る。
混ざりあう匂いに、嫌悪する。
澱みに射した棹。
流れる汚れがまとわりつく。
膜のように油の浮いた、上澄み。

目の前に立つ人の、眼の中を覗き込む。
濁った白い膜は、分厚く、鈍い。
その鉛色に自分が映る。
姿が溶けて大きく歪む。
内斜視。
滲んだ視線は、僕よりも手前にある。
焦点を結ぶことのない、僕を見てはいない眼。

いつの頃からか、身体の中に生まれた未熟な棘は、
気付くと育って、その先を鋭利な刃に変えている。
果実を剥くのと同じように、
自分の大切なものを守れるはずが、
他の誰かを充分に傷つける。
加害者。

夏が終わる時

2004-11-06 | Weblog
もうすぐこの日が来るはずだった。
「またこの日が来るころ、お伺いします」
僕がそう伝えると、
あの人は遠慮がちに話した。
夏のうちに、会いに来て欲しいと。
そして、1年後のこの日が来たら、
ゆっくりココにいてくれないかと。

季節が過ぎるにつれ、
そろそろと思いながら、
僕はその時期を過ごしてしまった。
連絡は繰り返しても、
理由を付けて、会いに行くのを先延ばしにしていた。
夏が終わってもいいはずの頃に、電話をすると、
今年の夏は、いつ終わるのだろう。
あの人は恥ずかしそうにつぶやいた。
秋になるまでに、会いに来て欲しいと。
あなたが来てくれるまで、
夏が終わらないといいけれど。
そのチカラが途切れる時に、秋がやって来た。

急いで会いに行きました。
それが最後になってしまった。

家の前まで着いた時に、
窓から外を眺めていたあの人を、
今も思い出す。
あの木の陰に立って、
身体を支えるように、僕の車を見送るあの人を。
あの人は気付いていたのでしょうか。
あの日には、
間に合わないということを。

あの日には少し早いけど、
ゆっくりとあの人を訪ねることになってしまった。
そしてもうすぐ、約束のあの日もやって来る。
僕は何度も足を運び、
あの人の前で時間を過ごす。
もう一度手を握りたかった。

あの人がこの夏を長くした。